ユヴァル・ノア・ハラリのレビュー一覧
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今回は歴史の覇者はだれか、という話。
まず人類の歴史は果てしなく続く文明同士の対立だというクラッシュウーマン。しかし文明の対立は出会いでもある。こうして世の中はグローバルに発展してきた。
次はサイクル。しかし地球全体から見れば、1万年前には地球上に一万を超える別々の世界があったが、現在はほぼ1個になってしまった。サイクル説は視野が狭い。
そして帝国レディエンパイヤ。帝国主義は民族の一体化や壮大な文明の成立にも大きく関与し、現代の国家観を形成するうえで大きな効果を与えたことは否めない。史上大きな成功を収めた帝国は、多数の異なる文化を混ぜ合わせ、新しい文明を作ってきた。さらに民主主義・市場経済・人権ですら、たとえ軍事力を使っても全世界に広めることが、道義的義務だと考えられている。
それでももっと強大な力を持つのはキャプテンドルであろう。いかに対立する経済体制、宗教、思想であろうと$を手に入れたい。なぜなら貨幣は精神の革命で、全人類の共有された想像の中にしか存在しない。現在でも誰もが信頼している魔法だ。お金を信じることが出来る、この能力が人類の歴史の覇者。素晴らしい。そして最後には市場が世界を支配する不安もあるが、そうはならない。市場自体も道徳的価値観が頼りだからだ。
では宗教のスカイマン。日本では宗教はさほど重要視されていないと思う。これは神道が原始宗教のまま来ていることが大きいと考えるが、一時期はそうでなかった。日本は近代化を進めるにあたり、神道も作り替えた。国家主義的で人種主義的な思想と結びつけ、さらに仏教・儒教と武士の伝統的考え方を少しづつ放り込み、仕上げとして太陽神女神の直系子孫である天皇を採り入れた。これは魔法のように上手くいき、日本人は恐ろしいスピードで近代化を進めながらも、他の近代国家とは全く異なる独自性を保ち、しかも国家への狂信的忠誠心を持つことに成功した。そして近代的科学技術と猛烈な信仰心を組み合わせれば並外れて強力なカクテルが出来ることを世界に広めた。ロシア・ポーランド・イラン・サウジ・イスラエルそして北朝鮮など日本の例に倣ってきた政府が続出してしまったと書かれている。
世界では宗教というものが、かなり重要な位置を占めることは明らかだ。宗教とは人間を超えた秩序を信じることに基づく、人間の規則・規範・価値観の体系だ。
スカイマンもかなり強力だったが、次回科学革命のサイエンティフィック。この話に度肝を抜かれない人はいないと豪語する。何万年も続いてきた人類が、わずか500年で原子力・遺伝子工学・AIを進歩させたのか。
私たちは次にどこに向かうのか、次号期待大! -
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ネタバレ自分を価値ある何かに帰属させ、その中で役割と意味を与える物語。人はこれを信じてしまいがちらしい。
物語を疑うのが恐ろしいのは、その物語を前提に個人のアイデンティティや社会制度が築かれているから、とのこと。物語を否定すれば、今ある個人や社会も否定することになる。
たしかに、人権も物語に根拠をもつ、と言われると、物語を否定する恐ろしさがわかる。ここまでは同感。だけど著者のようにそれを受け入れ、瞑想によって心の真実を探ろうとは思えなかった。
僕なんかは、嘘でも人生に意味が欲しい、と思ってしまう。我ながら典型的なホモ・サピエンスなんだと思った。(笑) -
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ネタバレ人類がこれまで戦ってきた飢餓・病気・戦争は良くも悪くも危機がさっていき、新しい時代に突入しようとしている。
人間はどこはゆくのか、著者の答えは神になること=デウスになることだと言う。あらゆる他の生き物を従えるどころか、生命を生み出し、操ることのできる能力はもはや神と呼ぶに相応しい…
単なる歴史解説に留まらず、宗教や科学の話もとっても面白い。自分は生命についてアルゴリズムの集合体というイメージに肩入れしてしまい、神の存在など考えたこともなかったが、言われてみると自己意識ってなんだろう…とか、なるほど宗教ってこういうことなんだなぁ…と前書に続いて気付かされることが多い。 -
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ホモサピエンスがどのように我々に変化していったのかを、描くサピエンス全史の漫画バージョン。今回は「歴史の覇者」編です。
歴史の方向性はどのように決まったのか?なぜ対立がずーとあるのか?誰かが言うように陰謀があるのか?裏で誰かが糸をひいいているのか。
なぜ、ホモサピエンスがその他の動物と違って今の隆盛を誇るようになったのかを色々な観点から考察していきます。なんか、堅苦しい感じがするが、漫画なので楽しいです。
歴史上バラバラだったホモサピエンスがどのように統一されてきたのか?
その有力な原動力として 帝国 貨幣 宗教 をあげて検証していきます。
はたして、どの要素が世界をわりと一つにしたのでしょうか?かんがえてみてください。 -
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この本を、すでに世を去った人々、今を生きている人々、そしてこれから生まれてくる人々、すべてに捧げる。
私たちの祖先が、今ある世界を作りあげてきた。未来の世界がどんなものになるかを決めることができるのは私たちだ。
もくじ
時間のながれ
献辞
はじめに そんなの不公平だ
そしてそれは、ほんとうにあった物語だ
第1章 すべてを支配する
・世界を変えた植物、穀類、コムギ
・かわいそうな動物の金メダル、銀メダル、銅メダルを決めるを分け合うのは、ウシ、ブタ、ニワトリではないだろうか。
・農耕民は動物を、人間の役に立つ間だけ生かしておく。何年かは長生きさせてもらえる。でもそのために動物たちが払う代償は大きく、待ちうける過酷な毎日は、けっして長く生きていたくなるようなものではない。
・乳がもつ悲しい側面
肉と乳のために育てられるヒツジ
・だれが農耕民になりたい?
動物と植物を支配する、つまり自分たちの思い通りにすることによって、農耕民は以前よりずっと大きい力を手にした。
でもやがて農耕民もは、自分自身もだれかほかの人に言われた通りのことをしているのに気づいていくー農耕民はどんどんん、聖職者と首長(村や町や都市の上に立って率いる人)に支配されていった。
・農業の勝利
農業民は、採集民をどんどん追い払うようになった。そしてこれが世界中の至る所で起きて、採集民はほとんどいなくなってしまった。
第2章 しまった、こんなはずじゃなかったのに
・骸骨が語った物語
ふつうは採集民の骸骨のほうが背が高く、残った歯が多く、飢えたり病気をしたりした跡が少ない。農耕民の骸骨のほうが背が低く、残った歯が少なく、飢えたり病気をしたりした跡が多い。そしてたいていは、背骨が曲がり、膝の骨がすり減り、首の骨がいたんでいる。
・ものが多くなるほど、争いも多くなる
古代の採集民の間におきた戦争の痕跡は多くはない。ところが、農業の形跡の見える場所では、戦争の痕跡をたくさん見つけることが多い。
乱暴なほうが勝つか、穏やかなほうが戦いを覚えるか、どちらかだ。そうやって、穏やかな人たちも乱暴になった。こうして時がたつにつれて、どこでも農耕民は乱暴になっていった。
こうした悪いことのすべてはー農業革命の「意図せざる結果」だった。望んだ者も、計画した者も一人もいなかった。人々はただ、そうなることを知らなかっただけ。
人々の体も、人々の心も変えていった。
採集民はいつでも、ときには計画を立てたけれども、いまこの時起きていることに焦点をあわせていた。木の実や魚を自分たちの思いどおりにすることはできなかったからだ。だからあまり計画を立てなかったし、「計画を立てすぎてはいけない」と、採集民は子どもたちによく言い聞かせていたのではないだろうか。「今このときに起きていることに注目し、あとで何が起きるかを、あまり心配しすぎないように」
採集民は、じっさいは少しもあくせくしなかった。今という瞬間に起きていることが原因に不安になることは、めったにない。たいていは、未来に起きていることを考えて不安になる。今このときに起きていることだけに焦点をあわせれば、あまり不安を感じることはなくなるだろう。
それに対して、農耕民はいつも来月のこと、そして来年のことを心配していた。
・農業のはじまり・10の不運
干ばつ 洪水 動物の病気 人間の病気 かたよった食べもの 重労働 害虫や小動物 植物の病気 戦争 奴隷制
世界を征服した植物
第3章 おとながこわがるもの
・幽霊より悪いもの
・所有する権利と、納める義務
・骸骨はめったに嘘をつかない
・墓地の中の骸骨が私たちにほんとうのことを語ってくれる
第4章 死んだ人々の夢
・どうすれば人はルールを信じるようになるのだろうか?その答えは物語だ
すぐれた物語を持つ人類の集団は、世界で最も大きな力を持った
さまざまな王国の聖職者たちは、あらゆる種類の大きな物語を思いついた
影のない物語はない
けれどもその人々には、また別の物語があった
たくさんの不公平なルールを正しく見せてしまう物語を信じてしまった。
体のそれぞれの部分にはそれぞれ異なる仕事があるように、異なる種類の人々も生きるうえで異なる仕事をもっている。➖️ルールは公平で、従うべきものだと信じた。
・魔法のにおい
大きな物語の中には、不公平なルールを正しく見せるだけではすまないものもあったーそれは、人間の「むかむかする」感情を引き起こすものだ。
だれが「清くて」誰が「けがれている」のは、偉大なる神々自身がそう考えているからだと、恐ろしい物語が他にも数多く残されている。
こうした物語はどれも本当のことではなかった。 神にはわかって、人間にはわからない魔法の匂いなどあるはずがない。でも効き目はあったんだ。それを聞いたたくさんの人々が、ただルールに従おうと思うしさえすればよかったからね。
物語を1回だけ話しても、それはただの物語にすぎない。でも同じ物語を1000回繰り返して話せば、人々はそれを本当のことに違いないと思う。
大人たちが物語をいつも信じていたのはそれを何度も聞いていたからだ。
・儀式は私たちが地域社会をまとめていくための大きな物語を信じるのにひと役買い、それは古代と同じように現代でもなお重要なものだ。
ほとんどの人には、ごく個人的な儀式もある。
・3種類のもの
古代エジプト、近代国家も物語だ。信じている物語。
・世界には3種類のものがある。
1番目は、だれでも見て、聞いて、さわれるもの。王国と国家はここには入らない。
2番目は、自分だけが感じられるもの
3番目は、共通の夢。国家はたくさんの人々が一緒に見ている夢。
例えばお金の物語は世界中で一番大切な物語の一つに数えられる。
・とっても長い夢
私たちはみんな、死んだ人々の夢の中で暮らしているともいえるだろう。
歴史上の多くの戦争は、物語をめぐる争いだった。ほとんどの人々はただ言われたことを信じ
・魔法を解く
人々がとても長い間信じてきた物語でも、ほんの数年で変えることができる。
物語は人類が生み出した最も偉大な作品だ。 私たちは物語のおかげで世界を統治できている。だが物語は私たちの最大の敵にもなる。 もしも自分で物語を作り出したことを忘れれば自らにとらわれてしまうだろう。 何百万人もの人々が悪い物語を信じるとき、悪夢で身動きが取れないように逃れられなくなる。だから人類は大きな問題を抱えている。もし私たちが耳にした物語を何も考えずに信じるなら、恐ろしい行動をとりはじめることになる。一方、もし私たちがすべての物語を信じるのをやめたら、世界は完璧なものになるのではなく無秩序な混乱に陥る。
この問題に簡単な答えはない。
大人になる過程のとても大切な部分は、どの物語を残し、どの物語を変え、どの物語を捨てるかを学ぶことだ。
物語によってたくさんの苦しみが生まれるなら その物語には気をつけてほしい。その物語のせいで苦しんでいる人に話しかけ、その人自身の物語を聞かせてほしいと頼むのが何よりの方法だ。自分の心を開き、耳を傾け・・・よく聞こう。
感謝のことば
この本について
歴史の世界地図 -
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人間が「想像力」を駆使することで他の動物たちを支配し、環境を激変させるようになったことを描いた前作に続き、今回は「格差」がなぜ生まれてきたのかを解説しています。
それは、人間の「スーパーパワー」である想像力と、それによって作り出された「物語」を共同体のメンバーが信じてきたこと、その物語に基づいて農耕を始めたことで「意図せざる結果」が生まれそれによって格差が広がっていったことなど、人類の歴史の根本的な流れが平易な文章で書かれています。
現代社会で、多くの人々が信じている「共通の物語」がどのように広まったのか、その点についての解説は「別の物語」とのことで、次巻も期待したいと思います。 -
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私たちが歴史を学ぶ意味を改めて考えさせてくれる一冊です。1人では大した力を持っていない(野生動物と一対一で向かい合えば、たいていの場合は勝つことができないくらいひ弱な)「人間」という生物が、地球を文字通り「支配」し、多くの動物を絶滅に追いやり、地球環境を破壊するほどのパワーを持つことができたのはなぜなのか。
人間だけがもつ、そのパワーの正体と、それがどのように他の生物を圧倒して地球環境を激変させてきたのか、人類の「発展」の歴史(と、それによってもたらされた悲劇)を、小学生高学年くらいから中学生の子どもでも分かるように丁寧に説かれています。
考古学の発見から想像できること、たぶん「確かだろう」とかんがえられること、あり得るけれども本当のところは「わからない」こと、これらをきちんと書きわけているところも、筆者の誠実さを感じます。
筆者を有名にした『サイエンス全史』はまだ読んでいませんが、本書を読んで是非読んでみたいと思うようになりました。 -
Posted by ブクログ
ホモサピエンス全史が多くの人の心を打つのが分かる。児童図書のこの作品で十分なくらい楽しい。
Audibleで拝聴後、子どもに読み語りしたくて即ポチ。
しかし、届いてみて絶望。
人間がちょっとやそっとで音読できる量ではない。そりゃそうだ。Audibleでも5時間分。2時間弱だと思っていたのは3.3倍速で聞いてるから。(プチ承認欲求)
ガチで読んでも向こう3ヶ月はかかるぞ。毎日くちびるをカサカサにしながらだ。唯一の利点は、読んでる最中に子どもが全員撃沈することくらい(笑)
人類を地球の支配者たらしめたスーパーパワーとは一体何だったのか。私からしたら、その絶滅の量産にどんな悪意があったのかと思う。なんでみんな消えちゃったの。なんで人類はこんなに強いの。
私一人は、こんなにも弱いのに。
その答えを、親が考えなくて良くなった。良著。 -
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単行本が出版された時に読んだのだが、途中で放り出したままになっていたのだが、サピエンス全史が文庫本化されたのを契機に、サピエンス全史、ホモデウス、21Lessonsと全て文庫で読み直しました。
21Lessonsはあまりにも取り扱う分野が広くてどれだけ理解したのかわからないのですが、サピエンス全史から通読したのでやっと征服した感を得ることができました。この21Lessonsの中で最後のLessonは「瞑想」なのですが、ユヴァル・ノア・ハラリは2000年にヴィパッサナー瞑想のレッスンを受けて、それ以降まいにち2時間の瞑想と毎年1か月から2か月の瞑想修行を続けているそうです。この瞑想の実践が提供してくれる集中力と明晰さがなければ「サピエンス全史」も「ホモ・デウス」も書けなかっただろうと振り返っています。
確かに情報をいくら与えられても、自分が考えていると思っていることの多くが虚構でありそれと現実を区別することがますます困難となっている現在、自分の集中力を研ぎ澄ます訓練なしには何事も明確な発言はできない。ハラリの主張はまさに明確であるのは、ユダヤ人だからではなく、瞑想の訓練をしているからなのだというのは驚きました。
いずれにしてもバイオテクノロジーと情報テクノロジーが進歩するにつれ、私たちの周りに様々なアルゴリズムが私たちをじっと見ているようになり、アルゴリズムが私たち以上に私たちを知るようになるのは時間の問題だと言えます。そのアルゴリズムに支配されずに自分自身を知るためには、努力が必要だということがわかりました。 -
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文庫本が出たので再読しました。サピエンス全史に比べると、妙に説明が長くわかり辛いと思っていたのですが、考えてみれば過去の歴史の場合の説明とまだ起こっていない未来についての説明ではその困難さが大きく違うのは当たり前です。未来のことは誰もわからないので、未来予測はほとんど当たることはありません。
でもこの本の秀逸なところは、サピエンスの行く末についてその根源的な方向性について語っているところです。きっとハラリは、この本を書くために、「サピエンス全史」を書いたんじゃないかと思うのです。
というのも、現在我々は自由主義という経済体制と民主主義という政治体制の下で生活をしていますが、それぞれの体制が予定している個人というのは、森羅万象についてきちんとその意味を理解できて適正な判断ができるという個人です。ところが現代人は森羅万象どころかどんな社会を目指すべきだとか、何が正義であるかはもちろんのこと自分自身についても全く理解できていません。
そして科学的には「生き物はアルゴリズムである」そして「生命はデータ処理である」という前提に立てば、サピエンスより高度な知能を持ち、圧倒的に優れたデータ処理のできるアルゴリズムにその判断を委ねる事になることは当然のことなのだと言えます。
考えてみれば私たちが今後目指すことは、健康、幸福、長生きなのですが、これを実現するために我々は多くのデータをアルゴリズムに供給する事になり、そして誰もそのアルゴリズムを理解できないままそのアルゴリズムの判断を尊重するようになっていくのは当然だと言えます。
その行き着くところは新しい神への従属かもしれません。
現代人はこの事を理解しておく必要があります。 -
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(上下巻まとめて)
サピエンス全史で、ヒトは物語を創造しこれを基盤に大勢が協力することができたから他の動物の上に君臨できた、という著者の考え方のベースはだいたいつかめていたので、スムーズに読み始めた。
「全史」の上に積み重ねるようにして展開する未来予測。知能と意識を分けて考え、生命はアルゴリズムか?と問う。私たちが普段考えている「感情」が脳の働きから来ることを考え、自由意思はあるのか?と問題提起。欲望や選択という行為は自由だ、と考えたいが、その欲望自体が遺伝子コードを反映していると解釈しないと、ダーウィン流の”自然選択”の出番がなくなる、と説明する。なるほど、だとすれば、生命はアルゴリズムだ、というテーゼに限りなく近づいていく。
人間至上主義からデータ至上主義へ、という流れを合わせて考え、このアルゴリズムの外部化というか、データ共有を重視する主義、世界の分析はなかなか面白かった。自分しか読まない従来の日記に意味はなく、経験は共有されなければ無価値だ、と。旅先で珍しいものを見た時、自分はどう感じるか?と問うのではなく、この経験を大量のデータフローにつなげることが重要。データ至上主義の世界では、データフローを妨げることが最大の罪になる。死とは、情報が流れない状態だ。
ああ、これはすでに我々が住んでいる世界の話だと改めて気づかされ、本書の未来予測がより説得力を持つ。 -
Posted by ブクログ
何万年・何十万年前には、今の人類=ホモ・サピエンス以外にも、ホモ・エレクトス、ホモ・デニソワ、ホモ・フローレシスエンシス、ホモ・ネンデルターレンシスたちが存在して、生息していた。
火の使用は人類と他の動物を隔てる最初の大きな溝になった。
この力はいつどこで使うか選べるから、無数の仕事に利用することができた。
さらに重要なのは、肉体的な限界が関係ないってことだ。
火打ち石があれば、女性1人でも数時間で森を丸ごと焼き払うことだってできる。
火を手なずけたのは先触れだった。これが原子爆弾に到る最初の重要な一歩だったんだ・・・
7万年ぐらい前、サピエンスは急激に世界中に広がっていった。
でもアフリカを出たときには、ユーラシア大陸のいたるところに別種のそれらのヒトたちはどうなったのか。
交配説
ヨーロッパ~中東ではネアンデルタール人と、東アジアではその地域のエレクトスと交配した。
交替説
それらの種はまじりあうことなく、ネアンデルタール人が絶滅した(つまり皆殺しにされた)
交替説が正しければ、人種間の差異がないに等しいことになる。
しかし交配説が正しいとすれば、アフリカ人とヨーロッパ人とアジア人の間には、何十万年も前からの遺伝的な差異が存在する可能性がある。
2010年、ネアンデルタール人の骨からDNAを抽出することに成功。
現代のヨーロッパ人とアジア人のDNAのうち、2%はネアンデルタール人に由来することがわかった。割合としてはかなり低くても、間違いなく混じっている。
さらに現代のメラネシア人と、オーストラリアのアボリジニの場合、最高で6%のDNAがデニソワ人に由来していた。
だから、交替説と交配説のどちらとも言えない。
サピエンスは寛容ではない。現代でも、肌の色が違うとか言葉や宗教が違うというささいな理由で、別の集団を皆殺しにしたりしている。
大昔も寛容だったとは思えない。
サピエンスがネアンデルタール人と遭遇したとき、史上初にして最大規模の民族浄化作戦が始まったのかもしれない。
この3万年間、ホモ・サピエンスはずっとヒトの唯一の主だった。だからそれ以外の可能性は考えることすら難しい。同種の親戚がいないんだから、どうしても自分たち造化の頂点だと考えたくなる。動物界の他の動物たちとの間には、越えがたい断絶があるからね。
でもネアンデルタール人が生き残っていたら、人間は別格だとは考えにくかったんじゃないかな。サピエンスの先祖ネアンデルタール人をなかったことにしたのはそのせいだろう。無視するには似すぎているし、受け入れるには違いすぎたんだ。
フローレス島の小柄なヒトは5万年ほど前に消えた。ホモ・ルゾネシスはルソンから姿を消した。
昔の人類はチンパンジー たちにそっくりだった。
残念ながら今の人類も残念なぐらいチンパンジー たちに似ている。個人でも家族でも。
本当に違うのは大勢で協力できるって言うところ。
身体的な面では サピエンスの道具作りの能力は3万年前から大して変わってない。
だけど、大勢の他者と協力する能力は、劇的に向上してる。
7万年くらい前に 獲得した言語能力のコミュニケーション能力のおかげだ。
社会的に協力し合うことが生存と繁栄の鍵。
陰口をきくのは良くないことだし、意地悪な行動だけど、実は大人数で協力するのには必要不可欠。
言語能力を獲得したサピエンスは何時間も噂話ができるようになった。誰が信用できるかという確かな情報があれば、群れの規模を拡大できる。それでサピエンスはより緊密で高度な協力関係を築けるようになった。
現在でも人間のコミュニケーションのほとんどは 噂話。
人はごく自然に噂話を始めるからね。言語はそもそもそのために発達してきたんじゃないかと思うぐらい。
悪いことをすると人に噂されるから、噂は社会規範を強化したり、集団の結束を保つのに役立つんだ。
150人以上の相手と本当に親しく付き合うことはできない。150人はマジックナンバー、限界点。
サピエンスが世界を支配してるのは、自分で生み出した虚構を信じるなんて、そんな動物が他にいないから。みんなが同じ虚構を信じていれば同じ規則に従うことができる。
みんながその話を信じればみんなが同じ法や規則に従うから、全然知らない相手でも協力し合える。サピエンスだけが何百万人もの協力ができる。
法体系の根っこにあるのは法律にまつわる共通の神話。弁護士は見ず知らず 同士 協力しあって 赤の他人を弁護するまる。これは法や政治や人権やついでに報酬としてもらう現金の価値を信じているから。
未開部族はありもしない政令を信じることで社会秩序を保ってるって聞くと人はすぐに納得する。なのに、現在の社会体制もまったく同じだってことに気づかない。
現在の企業は昔の部族とそんなに違わない。起業家や法律家はいわば強力な呪術師。
7万年ほど前に登場した認知能力。これは認知革命。
言葉を紡いで想像上の現実を生み出す能力のおかげで人間は大勢の他人と協力してやっていける。
200万年前遺伝的変異によってホモエレクトという新種の人が生まれた。と同時に新しい石器が登場して今ではそれがこの種のエレクトスの目印になっている。
それ以上の遺伝的変異が起こらないうちは 接近 もほとんど変化がなかった…なんと200万年近く も!
認知革命以後のサピエンスは行動をパッと切り替えることができて、遺伝子や環境の変化がなくても次の世代に行動を伝えることができた。
サピエンスは数十人の集団で狩りをすることを学んだ。複数の集団がまとまって数百人になることもある。
認知革命以前 サピエンスは動物の一種でしかなかった。世界に属していたから、政治学の理論で理解することはできる。
しかし、認知革命以後のサピエンスは架空の物語 を次々に発明していき、奇妙な行動様式をいくつも生み出して今でいう「文化」を築きはじめた。
狩猟採集民は定住していませんでした。毎月どころか毎日移動することもあります。所持品は全て 担いで運んでいたわけです。引っ越し業者や荷車はもちろん駄獣すら存在しませんから。ですから 必要最低限でやっていくしかなかったんです。
つまり、宗教的情緒的社会的な活動にはほとんど 道具を使っていなかったと結論してよいのでしょうか。
現在は生きるのに必要な知識の大半を人は無自覚に他人に頼ってる。でもその他人の方だって自分の狭い専門分野のことしか知らない。集合的に見れば現代社会の知識量は石器時代の共同体を大きく凌駕しています。でも個人のレベルで言ったら歴史上一番知識や技能が豊かなのは昔の狩猟採集民なんです。
正直に言って、20世紀は史上最悪の戦争と民族条項から行われた時代だが、その20世紀ですら人間の暴力によって殺された人間はたった5%。
動物界が産んだ歴史上最悪の殺人犯。
猫が車が走ってくるのを見るとよく突っ立ったまま動かなくなる。あれはバカだからではなく車 という危険に適応する時間がなかったから。