ユヴァル・ノア・ハラリのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この本を、すでに世を去った人々、今を生きている人々、そしてこれから生まれてくる人々、すべてに捧げる。
私たちの祖先が、今ある世界を作りあげてきた。未来の世界がどんなものになるかを決めることができるのは私たちだ。
もくじ
時間のながれ
献辞
はじめに そんなの不公平だ
そしてそれは、ほんとうにあった物語だ
第1章 すべてを支配する
・世界を変えた植物、穀類、コムギ
・かわいそうな動物の金メダル、銀メダル、銅メダルを決めるを分け合うのは、ウシ、ブタ、ニワトリではないだろうか。
・農耕民は動物を、人間の役に立つ間だけ生かしておく。何年かは長生きさせてもらえる。でもそのために動物たちが払う代償は大き -
Posted by ブクログ
人間が「想像力」を駆使することで他の動物たちを支配し、環境を激変させるようになったことを描いた前作に続き、今回は「格差」がなぜ生まれてきたのかを解説しています。
それは、人間の「スーパーパワー」である想像力と、それによって作り出された「物語」を共同体のメンバーが信じてきたこと、その物語に基づいて農耕を始めたことで「意図せざる結果」が生まれそれによって格差が広がっていったことなど、人類の歴史の根本的な流れが平易な文章で書かれています。
現代社会で、多くの人々が信じている「共通の物語」がどのように広まったのか、その点についての解説は「別の物語」とのことで、次巻も期待したいと思います。 -
Posted by ブクログ
私たちが歴史を学ぶ意味を改めて考えさせてくれる一冊です。1人では大した力を持っていない(野生動物と一対一で向かい合えば、たいていの場合は勝つことができないくらいひ弱な)「人間」という生物が、地球を文字通り「支配」し、多くの動物を絶滅に追いやり、地球環境を破壊するほどのパワーを持つことができたのはなぜなのか。
人間だけがもつ、そのパワーの正体と、それがどのように他の生物を圧倒して地球環境を激変させてきたのか、人類の「発展」の歴史(と、それによってもたらされた悲劇)を、小学生高学年くらいから中学生の子どもでも分かるように丁寧に説かれています。
考古学の発見から想像できること、たぶん「確かだろう」 -
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ホモサピエンス全史が多くの人の心を打つのが分かる。児童図書のこの作品で十分なくらい楽しい。
Audibleで拝聴後、子どもに読み語りしたくて即ポチ。
しかし、届いてみて絶望。
人間がちょっとやそっとで音読できる量ではない。そりゃそうだ。Audibleでも5時間分。2時間弱だと思っていたのは3.3倍速で聞いてるから。(プチ承認欲求)
ガチで読んでも向こう3ヶ月はかかるぞ。毎日くちびるをカサカサにしながらだ。唯一の利点は、読んでる最中に子どもが全員撃沈することくらい(笑)
人類を地球の支配者たらしめたスーパーパワーとは一体何だったのか。私からしたら、その絶滅の量産にどんな悪意があったのかと思 -
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単行本が出版された時に読んだのだが、途中で放り出したままになっていたのだが、サピエンス全史が文庫本化されたのを契機に、サピエンス全史、ホモデウス、21Lessonsと全て文庫で読み直しました。
21Lessonsはあまりにも取り扱う分野が広くてどれだけ理解したのかわからないのですが、サピエンス全史から通読したのでやっと征服した感を得ることができました。この21Lessonsの中で最後のLessonは「瞑想」なのですが、ユヴァル・ノア・ハラリは2000年にヴィパッサナー瞑想のレッスンを受けて、それ以降まいにち2時間の瞑想と毎年1か月から2か月の瞑想修行を続けているそうです。この瞑想の実践が提供 -
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文庫本が出たので再読しました。サピエンス全史に比べると、妙に説明が長くわかり辛いと思っていたのですが、考えてみれば過去の歴史の場合の説明とまだ起こっていない未来についての説明ではその困難さが大きく違うのは当たり前です。未来のことは誰もわからないので、未来予測はほとんど当たることはありません。
でもこの本の秀逸なところは、サピエンスの行く末についてその根源的な方向性について語っているところです。きっとハラリは、この本を書くために、「サピエンス全史」を書いたんじゃないかと思うのです。
というのも、現在我々は自由主義という経済体制と民主主義という政治体制の下で生活をしていますが、それぞれの体制 -
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(上下巻まとめて)
サピエンス全史で、ヒトは物語を創造しこれを基盤に大勢が協力することができたから他の動物の上に君臨できた、という著者の考え方のベースはだいたいつかめていたので、スムーズに読み始めた。
「全史」の上に積み重ねるようにして展開する未来予測。知能と意識を分けて考え、生命はアルゴリズムか?と問う。私たちが普段考えている「感情」が脳の働きから来ることを考え、自由意思はあるのか?と問題提起。欲望や選択という行為は自由だ、と考えたいが、その欲望自体が遺伝子コードを反映していると解釈しないと、ダーウィン流の”自然選択”の出番がなくなる、と説明する。なるほど、だとすれば、生命はアルゴリズムだ、 -
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何万年・何十万年前には、今の人類=ホモ・サピエンス以外にも、ホモ・エレクトス、ホモ・デニソワ、ホモ・フローレシスエンシス、ホモ・ネンデルターレンシスたちが存在して、生息していた。
火の使用は人類と他の動物を隔てる最初の大きな溝になった。
この力はいつどこで使うか選べるから、無数の仕事に利用することができた。
さらに重要なのは、肉体的な限界が関係ないってことだ。
火打ち石があれば、女性1人でも数時間で森を丸ごと焼き払うことだってできる。
火を手なずけたのは先触れだった。これが原子爆弾に到る最初の重要な一歩だったんだ・・・
7万年ぐらい前、サピエンスは急激に世界中に広がっていった。
でもアフリ -
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Posted by ブクログ
ネタバレいくつかの主題ごとに作者が設定したテーマをもとに考えを述べていく本書。最初に書かれている通り、その後読者がどう考えるのか、を期待して描かれている。
『サピエンス全史』では過去を、『ホモ・デウス』では未来を、本作では現在を描いている。
テクノロジー面の難題。テクノロジーが発展することにより、労働がAIに取って代わられるようになる。これはグローバリゼーションに伴い国際的な問題になりかねない。また、テクノロジーの発展が種の選別に繋がるかも知れず、それのキーワードとなるのは情報である。
労働に当てられていた時間を余暇などに当てられ、生活費などを気にしないで生きていける世の中になって欲しいと思ってし -
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Posted by ブクログ
前著「サピエンス全史」に続き、現代最大の知性によるとてつもない想像力と構想力、思想は圧倒的。
科学革命により人類が強大な力を得た結果、人間至上主義、自由市場資本主義が世界を支配し、人類が神となり人間の中にこそ神聖な価値の源泉があるとされるようになった。そして現在、世界はデータ至上主義に飲み込まれつつある。そこでは最終的に人間は単なるデータチップとなり、人間性の価値は溶けてなくなるという。実際自分もスマホやgoogleに頼り切きった生活を送っているのに気づいて心底ゾッとする。将来、意思のないネットワークシステムに人間が完全に支配、制御されるということは考えにくいけれども、大変気味の悪い未来になる -
Posted by ブクログ
・自由民主主義や自由貿易は完璧な制度ではないが、最善の制度ではあるというのが21世紀の答えになっているが、果たして今後もそうだろうか。データ社会となり、頭のいいAIが理論上最適解を導ける社会が到来したとき、無知の人間に等しく投票させる自由民主主義は好ましいのか。最も納得感のある制度であることは間違いないが、正しい解を導けるかは分からない。
・チャンスを掴む人間というのはチャンスを掴む準備をしていた人間であり、何もしていない人間は、どんなに社会が機械化、AI化したとしても、棚ぼた的な成功はつかめない。今後の世の中というのは、より格差が生じる社会となる。