ユヴァル・ノア・ハラリのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
情報は真実を運ぶものではなく、人をつなげるものだという。言われてみれば、真実は複雑でコストが高く、虚構のほうが安くて強い。真実が負けるのは不公平だからではなく、そもそも競技が違うからだった。
いちばん怖かったのは魔女狩りの章。存在しないものが、印刷と自白によって自分を裏づける証拠を生産していく。今のエコーチャンバーとまったく同じ構造に見えた。
読み終えて思うのは、自己修正は心構えではなく仕組みの問題だということ。気をつけようという意志は疲れた日に折れる。疑う手間を下げる設計のほうが確実だ。
真実と秩序の両立した例は、最後まで出てこない。それは達成される状態ではなく、続ける作業として書かれている -
Posted by ブクログ
情報が増えれば真実や知恵が増えるわけではなく、情報ネットワークは真実だけでなく虚構や誤りによっても秩序を形成する。ゆえに、人類がAI時代の強力な情報ネットワークを生き延びるには、自らの可謬性を認め、強力な自己修正メカニズムを備えた制度を構築し続けなければならない。以上が主要な主張。
ただ、コンピュータや情報ネットワークに、認識論的な意味での『可謬性』を帰属させられるのか?の疑問がずっと残る本でもあった。例えばFacebookの推薦アルゴリズムが「エンゲージメント最大化」を目的としていて、ロヒンギャへのヘイトを大量に推薦したとして、アルゴリズムは間違えたのか?とは言えない。
目的関数に対しては -
Posted by ブクログ
今年の初めにこの1年間に読破すると決めた3つの本のうちの1つ。やっと読み終わった。上巻を読んでからもだいぶ経ってしまった。
上巻もだけどすごい読み応えがある。
点と点が線になっていくような、俯瞰的に人類の歩んできた道を知ることができて、とにかくめちゃめちゃ面白い。
これはホモ•サピエンスとして必読の書でしょう。
ホモ•サピエンスの推測される未来について「未来のテクノロジーの持つ真の可能性は、感情や欲望も含めて、ホモ•サピエンスそのものを変える」と警鐘されている。
AIの台頭によって、ホモ・サピエンスの最大の特徴でもあった物語を作り出す力さえ、AIに乗っ取られてしまう可能性がある。
ホモ• -
Posted by ブクログ
まぁ面白かった。今までの価値観が一掃された。こんな本は読んだことがなかった。
科学革命から幸福についての話に入ってからがかなり興味深かった。取るに足らない存在だったサピエンスがここまでー神に近い存在まで文明を発展させたが、それは幸福に繋がっているのか。その視点が全ての人類史において不足している、というのは至言
神話も文化も企業も国家もジェンダーも宗教も現代の幸福の基準も全ては虚構だということ点を知れて、かなり気が楽になった。
予測不可能で変化が早い現代においては今考えていることや悩んでいることも全て無意味になるようなシンギュラリティが訪れうる、という点は目からウロコもの
著者頭良すぎる、N -
Posted by ブクログ
人類が、どのように進化し、どのように社会や国を構成してきたのか、その背景がよく分かった。
地球史や生物学史的に見れば、サピエンスが社会や国を構成し始めたのはほんの最近のことで、生物学的な進化がそれに追いついていないという話はとても興味深い。
それは、生物学的な追いつきもそうだが、近年の社会の急激な変容に対して思考が追いつかない(多様性の尊重、パワハラ、セクハラなど)のも似たようなことが起こっているように感じた。
農耕革命の文脈では、それまでの狩猟採集生活から、労働の負担や階級の創出、疫病のリスクが生まれたという観点はとても面白い。
生活を豊かに、食糧を楽に安定的に確保するために畑を耕し作物 -
Posted by ブクログ
人類は情報を必ずしも真実として扱うのではなく、秩序を立てる、あるいは維持するために活用してきた。例えば、貨幣、国家、宗教など。これらについて著者は「共同主観的現実」と呼び、水は水素分子と酸素分子からできているといった事実と区別している。そしてこの共同主観的現実を形作る能力がホモ・サピエンスを地球上で優位な種となる原動力となったと指摘している。著者は、この「共同主観的現実」が人間ではなく AIが形作るという、今まで人類が経験したことのない時代がいまや今やすぐそこに来ているという。
ここで著者は、自己修正メカニズムという考えを提示する。例えば、聖書や共産主義、全体主義などは自己修正メカニズムがな -
Posted by ブクログ
上下巻を通読。こんないかにも難しそうな本を読む人はどんな人なのだろうね、と思っていたけど...これは面白い。
まさに人類のハイライトですね。
長い本だけど、泣く泣く削った部分とかあったんだろうなぁ...もっと色々書きたかったんだろうなぁ...と勝手に想像できる。全然違うかもしれないけど。
世界中の見方は正直変わらないのだろうけど、本質のようなモノを抽出して言語化できる著者は見えてる世界が違うのはよく分かった。
難易度みたいなものは特に高くない、普段使いしない漢字をめっちゃ繋げて使用してくるくらい。
ある程度、本を読む人には文句無しに勧められる。
翻訳本は読むの疲れる。
ホモデウスは読む -
Posted by ブクログ
ネタバレすごく面白かった。
一見するととても難しそうなテーマだけれど、読み進めるのにそこまで苦にならないのは、内容を論理的に噛み砕いて説明してあるからかなと。
変に強い思想が入りすぎることなく、自然科学も宗教も全てフラットに評価し解説している点がとても好きでした。
これまでの歴史で判明している事柄や予測される事象、これからの人類に考えられる可能性まで、本当に一貫してひたすらフラットに話しているような印象でした。私が理解しきれていないだけかもしれませんが。
特に宗教や神話について、一般的にそれに対して求められる事を踏まえつつも、ひとつの文化やあくまで物事を捉えるひとつのアプローチとして説明してあるのが個 -
Posted by ブクログ
歴史学者ハラリの描くAI脅威論に関する本書、下巻だけ読みましたが大変面白いです。技術者の感覚的な議論と異なり、歴史に基づく地に足ついた議論とロジックが構築されているので、説得力が全く違いますね。
ハラリはAIを「artificial intelligence(人工知能)」ではなく、「alien intelligence(異質の知能)」と名付けた方が良いと論じていますが、人類が理解できる範疇ではない無機的なアルゴリズムが現れた事によって起こるリスクを諸々論じています。
ただ、タイトルのNexusは「繋がり」という意味。情報によって人類が繋がり、良くも悪くも変化してきた歴史を踏まえつつも、新たなア -
Posted by ブクログ
おもしろい。自分がよく考えている幸せについての答えまでとはいかなくとも最適解を得られた気がした。
歴史を学んでいけるのも面白いが、そこから今の人類は、人が作り上げた物の中から幸せを感じるもの、成功というものを作り上げているのではないかと思う。
社会的真実と自然的真実の違いは自分からしたらとても驚きでこの二つは混ざり合い、人生の幸せとはなにか?という問いの時にこれが混ざってしまうことが多い。そして社会的真実だけを考え人の考えが正しいと思ってしまうことをあると思う。
この本を読むことでそのような考えは人が作り出したものなんだと分かることができる。 -
Posted by ブクログ
現代分析から、近い将来の予測まで。
「人間至上主義」によって、一人ひとりの内面の重要性や平等性が成り立っていること。
知能と意識が切り離され、知能についてはAIが人間を上回ることにより、社会にとって人間が本質的に不要になっていくという流れ。
人間至上主義から「データ至上主義」が台頭してきている。
世界のありとあらゆる情報をインターネットに繋ぐことで、人間には処理しきれない情報をAIが深く解析して何かしらの出力に繋げる。それに誤りが含まれていたとしても、人間より確からしさが上回るのであれば重用される。
自然の各種情報、各人の健康情報や心象をデータとしてAIに渡すことにより、自分自身について