ユヴァル・ノア・ハラリのレビュー一覧
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コンピュータは人をつなぐ管ではなく、ネットワークの成員になった。意識は持たないのに知能だけを持ち、目標を追い続ける。危ないのは人間に似ているからではなく、まったく違う仕方で動けるからだ。
AIの出力は読みやすい。読みやすいから疑わなくなる。出典が付いていること自体が安心の記号になって、中身まで確かめていない自分がいる。気をつけないとなぁ。
AIは手段を自己修正できるが、何を正しいとするかは修正できない。より良い人間とは何かを話し合う仕事は、人間が手放してはいけないのだと思う。
効率とは誰にとっての効率なのか。自己修正の仕組みはどれも非効率で、だから真っ先に削られる。他者を理解するには時間がかかる。余裕を持って事に当たりたい。 -
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情報は真実を運ぶものではなく、人をつなげるものだという。言われてみれば、真実は複雑でコストが高く、虚構のほうが安くて強い。真実が負けるのは不公平だからではなく、そもそも競技が違うからだった。
いちばん怖かったのは魔女狩りの章。存在しないものが、印刷と自白によって自分を裏づける証拠を生産していく。今のエコーチャンバーとまったく同じ構造に見えた。
読み終えて思うのは、自己修正は心構えではなく仕組みの問題だということ。気をつけようという意志は疲れた日に折れる。疑う手間を下げる設計のほうが確実だ。
真実と秩序の両立した例は、最後まで出てこない。それは達成される状態ではなく、続ける作業として書かれているからだと思う。 -
Posted by ブクログ
情報が増えれば真実や知恵が増えるわけではなく、情報ネットワークは真実だけでなく虚構や誤りによっても秩序を形成する。ゆえに、人類がAI時代の強力な情報ネットワークを生き延びるには、自らの可謬性を認め、強力な自己修正メカニズムを備えた制度を構築し続けなければならない。以上が主要な主張。
ただ、コンピュータや情報ネットワークに、認識論的な意味での『可謬性』を帰属させられるのか?の疑問がずっと残る本でもあった。例えばFacebookの推薦アルゴリズムが「エンゲージメント最大化」を目的としていて、ロヒンギャへのヘイトを大量に推薦したとして、アルゴリズムは間違えたのか?とは言えない。
目的関数に対しては、むしろ正しく動いた可能性がある。「その結果は人類にとって望ましくない」と判断しているのは人間だ。著者は絶対的な価値判断を情報ネットワークにも用いている。そこはもやもやする。 -
Posted by ブクログ
今年の初めにこの1年間に読破すると決めた3つの本のうちの1つ。やっと読み終わった。上巻を読んでからもだいぶ経ってしまった。
上巻もだけどすごい読み応えがある。
点と点が線になっていくような、俯瞰的に人類の歩んできた道を知ることができて、とにかくめちゃめちゃ面白い。
これはホモ•サピエンスとして必読の書でしょう。
ホモ•サピエンスの推測される未来について「未来のテクノロジーの持つ真の可能性は、感情や欲望も含めて、ホモ•サピエンスそのものを変える」と警鐘されている。
AIの台頭によって、ホモ・サピエンスの最大の特徴でもあった物語を作り出す力さえ、AIに乗っ取られてしまう可能性がある。
ホモ•サピエンスはこれまで発展を繰り返してきたが、果たして人類や個人はそれで幸福になっているのかという、最後に著者からの鋭いメッセージ。
ここでブッダの教え(そもそも幸福とは外部の条件によって決まるものでも、内なる感情とも無関係であると。感情はすべて束の間のものであり、感情の追求をやめることで、心の緊張が解け、未来や過去ではなく今この瞬間を生きることができる)が引用されている。自分とは何者であるのかを知ることが幸せのカギであると。
ホモ•サピエンスの存続が危ぶまれる今こそ、この本を通してホモ•サピエンスとは何であるのかを学びつつ、我々は何を希望しているのかという著者からの問いに一人一人考えていく必要があると感じた。
これは必ず再読しよう。 -
Posted by ブクログ
まぁ面白かった。今までの価値観が一掃された。こんな本は読んだことがなかった。
科学革命から幸福についての話に入ってからがかなり興味深かった。取るに足らない存在だったサピエンスがここまでー神に近い存在まで文明を発展させたが、それは幸福に繋がっているのか。その視点が全ての人類史において不足している、というのは至言
神話も文化も企業も国家もジェンダーも宗教も現代の幸福の基準も全ては虚構だということ点を知れて、かなり気が楽になった。
予測不可能で変化が早い現代においては今考えていることや悩んでいることも全て無意味になるようなシンギュラリティが訪れうる、という点は目からウロコもの
著者頭良すぎる、NEXUSも読もうかな。
抽象的な話多すぎて読むのまじで時間かかった。内容が凝縮されすぎている。
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Posted by ブクログ
人類が、どのように進化し、どのように社会や国を構成してきたのか、その背景がよく分かった。
地球史や生物学史的に見れば、サピエンスが社会や国を構成し始めたのはほんの最近のことで、生物学的な進化がそれに追いついていないという話はとても興味深い。
それは、生物学的な追いつきもそうだが、近年の社会の急激な変容に対して思考が追いつかない(多様性の尊重、パワハラ、セクハラなど)のも似たようなことが起こっているように感じた。
農耕革命の文脈では、それまでの狩猟採集生活から、労働の負担や階級の創出、疫病のリスクが生まれたという観点はとても面白い。
生活を豊かに、食糧を楽に安定的に確保するために畑を耕し作物を栽培する。結果として人類は日々働かなければいけなくなり、労働者と支配者の階級が生まれ、特定の土地での疫病や不作のリスクも負うことになった。
これは現代社会のあらゆる技術進展においても同じことが起きていると思う。コンピュータが発明され、電子メールが使えるようになると、今まで手紙でのやりとでは不要だったメッセージの返信も必要になる。AIについても同じようなことが言えるんだと思う。AIに学習をさせたり、プログラミングが必要だったり、ファクトチェックが必要だったり。
本当に便利になっているのかという再検討は行われない。それを仕事や生活に取り入れて生活していくしかない。
人類の進化において「虚構」を共通認識できたことが大きく影響しているという点については確かにと思った。国や、社会、会社、貨幣など、抽象的で実体はないものを認識で共有化できたからこそ人類はここまで発展できた。
また、帝国主義は批判的に語られることが多いが、人類の歴史上、征服と被征服の歴史は繰り返されており、本の「純正」とされる文化もどこが別の民族を征服して成り立ってきているという観点はなるほどと思った。 -
Posted by ブクログ
人類は情報を必ずしも真実として扱うのではなく、秩序を立てる、あるいは維持するために活用してきた。例えば、貨幣、国家、宗教など。これらについて著者は「共同主観的現実」と呼び、水は水素分子と酸素分子からできているといった事実と区別している。そしてこの共同主観的現実を形作る能力がホモ・サピエンスを地球上で優位な種となる原動力となったと指摘している。著者は、この「共同主観的現実」が人間ではなく AIが形作るという、今まで人類が経験したことのない時代がいまや今やすぐそこに来ているという。
ここで著者は、自己修正メカニズムという考えを提示する。例えば、聖書や共産主義、全体主義などは自己修正メカニズムがない(乏しい)、科学や民主主義は自己修正メカニズムが機能する、という具合だ。
自己修正メカニズムがない(乏しい)共同主観的現実を形作ると、人類は往々にして惨禍をもたらした。十字軍、魔女狩り、ナチスの台頭、スターリン下のソ連など。もし、人間でなくAIが共同主主観的現実を形作るようになったら、人類はいったいどうなるのか?
AIは、我々炭素ベースのニューロンやシナプスの働きの結果表出される共同主観的現実とは異なり、全く異なる仕組み、それも人間には到底理解できない仕組みで共同主観的現実を形作ると著者は警鐘を鳴らしている。一例として、SNSよる偏向した投稿や動画が自動再生されるなどして拡散し、ミャンマーでのロヒンギャ族の弾圧やブラジルで泡沫候補が大統領に当選するなどの事態が現実に起きている。
人間には及びもつかない考えや決定を行うAIが社会参加すると、国家、社会、市場、軍隊などの形態が必ず変化する。人類が経験したことのない、極めて重要な局面にあると著者は主張する。
では、いったい我々はこれからAIとどのように向き合っていけばいいのか?それは当然に一言で答えの出るものではないだろう。まず第一に我々人類全員が人類史上類のない重大な局面にいることを自覚すること、また特にSNSをはじめとした情報の洪水に翻弄されず、多様な情報を整理しながら熟議をはかることなどが、個人レベルから国家レベルまで重要になるのだろう。言うは易し、行うは難し、であるが・・。
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Posted by ブクログ
上下巻を通読。こんないかにも難しそうな本を読む人はどんな人なのだろうね、と思っていたけど...これは面白い。
まさに人類のハイライトですね。
長い本だけど、泣く泣く削った部分とかあったんだろうなぁ...もっと色々書きたかったんだろうなぁ...と勝手に想像できる。全然違うかもしれないけど。
世界中の見方は正直変わらないのだろうけど、本質のようなモノを抽出して言語化できる著者は見えてる世界が違うのはよく分かった。
難易度みたいなものは特に高くない、普段使いしない漢字をめっちゃ繋げて使用してくるくらい。
ある程度、本を読む人には文句無しに勧められる。
翻訳本は読むの疲れる。
ホモデウスは読むか分からない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレすごく面白かった。
一見するととても難しそうなテーマだけれど、読み進めるのにそこまで苦にならないのは、内容を論理的に噛み砕いて説明してあるからかなと。
変に強い思想が入りすぎることなく、自然科学も宗教も全てフラットに評価し解説している点がとても好きでした。
これまでの歴史で判明している事柄や予測される事象、これからの人類に考えられる可能性まで、本当に一貫してひたすらフラットに話しているような印象でした。私が理解しきれていないだけかもしれませんが。
特に宗教や神話について、一般的にそれに対して求められる事を踏まえつつも、ひとつの文化やあくまで物事を捉えるひとつのアプローチとして説明してあるのが個人的には好きでした。私は特定の宗教に傾倒はしませんが、文化として宗教を学ぶことに非常に興味があるので、人類という大きな共同体において宗教の位置づけがとても俯瞰的に解説されていて面白かったです。 -
Posted by ブクログ
歴史学者ハラリの描くAI脅威論に関する本書、下巻だけ読みましたが大変面白いです。技術者の感覚的な議論と異なり、歴史に基づく地に足ついた議論とロジックが構築されているので、説得力が全く違いますね。
ハラリはAIを「artificial intelligence(人工知能)」ではなく、「alien intelligence(異質の知能)」と名付けた方が良いと論じていますが、人類が理解できる範疇ではない無機的なアルゴリズムが現れた事によって起こるリスクを諸々論じています。
ただ、タイトルのNexusは「繋がり」という意味。情報によって人類が繋がり、良くも悪くも変化してきた歴史を踏まえつつも、新たなアルゴリズムの台頭に備えて人類が分断を超えて対話するべきというメッセージも包含されています。
めちゃくちゃ名著です。 -
Posted by ブクログ
おもしろい。自分がよく考えている幸せについての答えまでとはいかなくとも最適解を得られた気がした。
歴史を学んでいけるのも面白いが、そこから今の人類は、人が作り上げた物の中から幸せを感じるもの、成功というものを作り上げているのではないかと思う。
社会的真実と自然的真実の違いは自分からしたらとても驚きでこの二つは混ざり合い、人生の幸せとはなにか?という問いの時にこれが混ざってしまうことが多い。そして社会的真実だけを考え人の考えが正しいと思ってしまうことをあると思う。
この本を読むことでそのような考えは人が作り出したものなんだと分かることができる。