NHKスペシャル取材班のレビュー一覧
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がんの治療は、外科手術、抗がん剤、放射線治療の3つが代表的だった。
その中で、プレシジションメディスン(精密医療)が注目されている。
本書は、そのことに注目して取材をしている。
それは、がんの個性を重視した医療への転換である。
がんを起こしている遺伝子によって、がんを分類する時代に入った。
個々のがん細胞の遺伝子変異に対応した新薬の登場。
がんに個性があるように、がんと闘う患者にも個性がある。
がんの最先端とは?
遺伝子解析によるがんの診断。
人工知能とプレシジションメディカル。
人の体は 37兆個の細胞からできている。
人の遺伝子は、2万数千個ある。
がんの遺伝子は、数百個あるとされている。
そのうち 100以上の遺伝子について調べる検査が保険で認められるところまで来ている。
小細胞がん。非小細胞がん。
がんとは、正常な細胞の遺伝子に傷がついて変異を起こし、異常な細胞になることで発生し、その異常な細胞が無制限に増えてしまう病気である。
245の病院と16の製薬会社が参加して、がん治療を行なっている。
スクラムジャパンが対象としているのは、肺がん、大腸がん、胃がん、食道がん、膵がん、肝細胞がん、胆道がんである。
治療効果の期待できる薬が存在する遺伝子変異の数はおよそ二十数個。
がんが 分子標的薬に対して、免疫を持ち始めた。
分子標的薬とは、がん細胞が持つ分子を標的にして、がんを攻撃する。標的とする分子は、主にがん細胞の異常増殖を促している異常なタンパク質。いわば、がん細胞を増殖する。分子標的薬は、その異常なタンパク質と結合して働きを抑え込み、がん細胞の増殖を抑え込む。
現在 保険適用になっている分子標的薬は50種類。海外も含めると80種類となっている。
殺細胞性の抗がん剤、細胞障害性の抗がん剤。
治るためならば、つらい副作用は我慢すると考えがあった。
「がんは治らないが寿命がのびる」
「寿命は延びないけれども、がんが小さくなり、体が楽になる可能性がある」
免疫細胞は、自分と自分以外のものを区別して、自分以外のものを攻撃して排除する働きをする。
免疫細胞は、敵への攻撃を止めるブレーキボタンを持っている。
これは、免疫細胞が暴走したり、自分の体を攻撃したりしないようにするためだと考えている。
免疫チェックポイント阻害剤は、がん細胞が免疫細胞のブレーキボタンを押すことができなくなり、ガン細胞に対する免疫細胞の攻撃力が復活する。
オブジーボ、ヤーボイ、キイトルーダの3種類。
免疫チェックポイント阻害剤の特徴は、効き目が長く持続する。
また、今日朝れた、免疫細胞が、暴走して副作用が起こる。
分子標的薬は、がんが耐性を獲得して、早ければ半年、長くて数年で効かなくなる。
免疫チェックポイント阻害剤は、遺伝子変異の数が多いがんに対して効きやすい。
がん治療が、臓器別から、遺伝子変異別へと変わりつつある。
日本の医療制度は、保険診療と自由診療を同時に行う混合医療ができない仕組みなっている。
日本では、認可されていなければ、自由診療となる。
アメリカでは、医師が規定の書類に記入して届け出れば、薬の適応外使用ができる。 -
Posted by ブクログ
世界的な交通網の発達や、医療の進歩で人類の寿命が伸びたことで、人類の脅威として常に注目を浴びるウイルス感染症。ここに焦点をあてたNHKの番組の書籍版です。
当初番組ではジカ熱に焦点を当てようとしていたとのことですが、取材を進めるにつれより重大な脅威として浮かび上がってきたのはインフルエンザウイルスであり、それを柱に据えた一冊になっています。
病原性の高さなど、インフルエンザウイルスが注目される理由はいくつかありますが、その最大の理由として「インフルエンザが最大の人獣共通感染症」であるという点があげられています。インフルエンザウイルスは、よく知られているヒト、鳥、豚だけではなく、犬、猫、馬、虎、アザラシ、クジラなどにも感染するのです。
こうなってくると、仮に人類の間でインフルエンザウイルスを撲滅させても意味はなく、あらゆる動物のなかでそのウイルスは生き残り、進化し、また人類を宿主とすることを繰り返すことになります。
つまり、ウイルスは撲滅するのではなく、どう付き合っていくかを考える必要があるということです。
これを本書では「ウイルスとわれわれヒトは仲間であり、敵でもある。その関係は、哺乳類誕生に遡るほど古く、だからこそウイルスと、その対策のイタチごっこが果てしなく続くことを、私たちは覚悟しなければならない。」と表現しています。
ここまで読んだとき、最相葉月がその著書「未来への周遊券」で仰っていた次の言葉を思い出しました。
「ウイルスは三十億年前に誕生し、過去に動植物を絶滅させた例はない。動植物の絶滅はウイルス自身の絶滅をも意味するからだ。未来は、ウイルスと共存してきた歴史の知恵を必要としている。」
そう、対策ではなく共存のための知恵が求められているのが現代だと改めて気づかせてくれた一冊です。 -
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生活保護受給者以下の年金生活者の実態を描いており、未婚化・独身化が進んだ日本では、このノンフィクションが他人事と言い切れる人は少ないはずであり、全世帯が読むべきと言っても言い過ぎでない。
このノンフィクションが、過去の話にならなければ日本に未来はない。
この論点へスポットを当てた、NHK、本当に素晴らしい。
生活保護保護以下の必要最低限の年金で、食費も事欠く貧困に落ちてしまった人達の、迷惑をかけたくないなどの自責の本音は、心に刺さり、そして、自己防衛を真剣に考えるきっかけとなった。
運用しましょう!貯金しましょう!保険入りましょう!というオチの巷に溢れたファイナンシャルプランナー兼、評論家の著作よりも役に立ちます、この作品は。
投機ではない貯金や生活拠点たる自宅所有は認めない生活保護の申請要件は、即刻見直しをすべきです。 -
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NHKスペシャルのために取材した内容をまとめたもの。
最新の調査や研究成果を踏まえて、ストレスの正体に迫り、対処法を示しています。
現代社会では情報が多すぎて、ストレスが増えているのは、誰しも心当たりのあるところ。
ストレスとは、危機に対応するために心身を緊張させたことが始まり。
原始時代には、襲われたときに逃げるか、闘うという必要があったから。言われてみれば納得です。
今は問題が起きている真っ最中でなくとも、過去にあった辛いことを思い出し続けているか、未来に悪いことが起きると予想していると、今もストレスがかかってしまう。
ストレスは、気分の問題では済まない。
脳や体にも、はっきり影響を与えているのだそうです。
ストレスを軽くする方法を100個書き出しておく、というのがコーピング(対処法)というやり方。
うんと小さなことも含むわけですね~。
けっこう笑えて、参考になりますね。
笑いも良いストレス対策になります!
運動の効果、栄養のとり方、なども具体的に。
もう一つの有効な取り組みは、マインドフルネス。いわゆる瞑想を、わかりやすくしたもの。
背筋を伸ばして静かに座って自然に息を吐き、あるがままに呼吸を感じて、雑念を遠ざける。
こういったことで、傷ついた脳が回復していくというのが驚き。
ひと通り知っておいて、損はないでしょう。
興味深く読みました☆ -
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本の出版は、2017-10 。このタイミングで起きている人工知能の研究、というより、実際に使われている状況を取材してまとめている。
将棋、タクシー、株、犯罪再犯対策、裁判、運転技術の向上、人材派遣における離職対策、政治家、汎用人工知能への取り組みなど。
ソノマの裁判所では、2009年から使われてたり…フロリダでも2010年に再犯リスクをだしていたが、この頃のリスク算定は、ブラックボックスという批判にあっていたそうな。なるほど、2015,6年にブレークしたIBM Watsonの売り文句に、なぜその判断をしたのかが提示されるというものがあったが、こういう批判に耐えられるようにしていたのか。
人工知能が現場で使われることが顕在化したのが、2015年中頃からという指摘もあったが、個人的にも、これまで人が判断していた処理を機械にやらせることが、この辺りから日本で数多く出てきたと思う。
この本を読む前に、中野信子氏の『サイコパス』を読んでいたので、アメリカの再犯の疑いをかけられた人が、「書類に書かれていることと、実際の自分は違う」と主張して、保釈を勝ち取った経験があったという件に、サイコパスってプレゼンが上手くて人を騙せるんだよな… と、ちとうがった見方をしてしまった。NHK取材班には、数年後に彼を追いかけて欲しい。
面白かったワーディングとしては、ベン・ゲーツェル博士の「弱い人工知能」と「強い人工知能」、将棋に勝ったり自動運転などを弱い人工知能、汎用人工知能を強い人工知能いう位置付けで使ってた。そして、このベン・ゲーツェル博士と、彼が作ったソフィアが一緒写った写真も印象的。「人類を破滅させる」って言ったのソフィアでしょ…
博士とソフィアのツーショットは、不気味の谷ど真ん中って感じ、歴史に残る写真と思う…
本の全体は、人工知能は人をサポートするテクノロジーという仕立てになっているし、読みやすかった。五年のくらいに読むと、どれだけ世の中が進歩したのか分かるんじゃないかな。
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Posted by ブクログ
ネタバレ子供を産むという一大プロジェクトにおいて、「自分でコントロールできない未来との折り合いをつける」ということはとても重要なプロセスだと思います。
(ネガティブな意味ではなく)
この「コントロールできない未来」には色々な要素がありますが、そのひとつが子供の先天的な障害であり、その一部の可能性を事前に把握するのが出生前診断です。
本書は、さすがNHKスペシャル取材班だけあり、出生前診断を通して胎児と向き合ったさまざまな家族のドキュメンタリーがとても心に刺さるものでした。
流産・死産・人工死産が特別なことではなく、非常に身近なことだということに、気付くとともに、出産ということを生々しくリアルに理解するために、とても大切な一冊だと思いました。
「あなたが決めていい」
「子供への期待を手放すのが子育て」
という言葉が、印象に残りました。 -
Posted by ブクログ
一部になるが、「恐怖」と「美意識」と「人工知能」を紐づけていたところが面白かった。
ここに打つとまずいと人間が思うところに、ソフトは打ってくるところから、「人工知能には恐怖心がない」と言う。人間は、思考の死角や盲点など、防衛本能や「生存本能」に由来しているように思えるから、人間との共存においては、恐怖という感覚が必要であろうと。
別の観点では、「美意識」を軸に、これが、「安心」や「安定」のような感覚と近しいものであるとし、棋士が手を絞り込むとき、「美しい」と感じられるのが基本の形に近い見慣れたものだからであり、人間の長い歴史のなかで獲得して来た本能として、危険察知(恐怖)の延長線上にあるのではないかと。
ただ、人間の思考が全て正しいという立場ではなく、人間が知らない領域を人工知能が拡張してくれる可能性にも言及していたりする。
ディープマインド社のデミス・ハサビスとの対談で、人間が優れているポイントとして「柔軟性」と「汎用性」という点に触れてられていて、取り敢えず、直近の焦点はこういうの所の実現に向かうのだろうという潮流も書かれている。
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Posted by ブクログ
羽生さんと人工知能、なんの関係があるんだろうと思った。
将棋ソフトだった。
昔、父親が夜中に勝つまで必死にやっていたのを思い出した。
洞察の深さは将棋だけでなく、人工知能への知識にも転用されている。
技術者よりも意味合いを正確に掴み、芯を捉えているように感じる。
それでいて一般的な言葉で話してもらえたり、
また棋士としての経験や意見を交えて話してもらえることで、
人工知能というものがどういうものなのかを感覚的に掴みやすいようになっていると感じた。
さすがは羽生さんで、さすがはNHKなのかもしれない。
(以下抜粋)
○さて、そのアルファ碁はどのようにしてあれほどまでにつよくなったのでしょうか。
ハサビスさんに尋ねたところ、その直接的な要因の一つは、
アルファ碁同士でとてつもない数の対局をこなしたからだということでした。(P.19)
○将棋ソフトに面白い事例があります。
それは、ソフトの探索部分に、
「Stockfish」というチェスの公開プログラムを使っているものが多い、という事実です。
(P.33)
○彼の印象は、「努力に裏打ちされた自信家」だ。
なにしろ毎晩夜中の十二時から朝四時までを、
世界中の論文を読む時間にあてているという。(P.53)
○棋士が次に指す手を選ぶ行為は、
ほとんど「美意識」を磨く行為とイコールであるとさえ考えています。
筋の良い手に美しさを感じられるかどうかは、
将棋の才能を見抜く重要なポイントなのです。(P.75-76)
○「音楽というのは数学的な処理がしやすい分野であり、
そこがバッハ風、モーツァルト風などの作曲ソフトを作りやすい理由ではないか」(P.139)
○しかし、私は、「美意識」には、「時間が」大きくかかわっているように思うのです。
(P.142)
○実は、自然界では、むしろ生物の個体それぞれが遺伝的に多様性を持つことが、
進化のカギとなっています。
とするならば、全員が同じ選択をすることは、
むしろ全体から見ると、多様性が失われていて、
かえって進化が止まってしまう気もするのです。(P.206)
○形成判断のような勝負の感を鍛えるためにと、
目先を変えてラクビーやテニスなどスポーツの試合を観戦したりもしています。(P.209)
○羽生さんの負けが続くと、
「いよいよ衰えたか」「世代交代か」という文字があちこちで踊るが、
私は少し違った見方をしていた。
失敗してでもつかみたい何かがあるのではないかーー。(P.227) -
Posted by ブクログ
2016年5月に放送されたNHKスペシャル「天使か悪魔か 羽生善治 人工知能を探る」の取材をもとに、羽生さん自身が、その後に重ねた思索等を織り込んだ著書。
羽生さんは、1996年に複数のプロ棋士へ行われた「コンピュータがプロ棋士を負かす日は?」というアンケートで、米長邦雄氏、加藤一二三氏、村山聖氏らが真っ向から否定する中、その日を「2015年」と答えていたのだそうだ。そして、人工知能の進化を肌身で感じ、それでいて、その進化を、人間を脅かすものと否定的に捉えるのではなく、人間の新たな可能性を切り拓くものと肯定的に考える人であるがゆえに、NHKは番組のレポーター役を依頼したのだという。
「現在、電王戦を中心としたコンピュータ将棋と人間の棋士との間で起きている様々な事象が、今後、人工知能が社会で応用されていくときに想定される事態を先取りしているように思える」と語る羽生さんは、棋士がコンピュータ将棋を相手にするときに直面する大きな違和感は、「人工知能の思考がブラックボックスになっていること」と「人工知能には恐怖心がないということ」であり、人工知能が今後さらに大きな進化を遂げ、社会的な位置付けが高まったときに、それらは大きな問題となる可能性があると指摘している。
また、目的を限定した専門人工知能の進歩は順調に進みつつある一方、何でもできる汎用人工知能の開発の道のりは緒に就いたばかりである点について、汎用人工知能とは、人間の脳はどのように知性を成立させているのか、に密接に結びついたものであり、脳の解明と汎用人工知能の実現は「タマゴが先か、ニワトリが先か」のように、いずれかが進めばもう一方も前進する関係にあるのではないかと語っている。
そして、我々の今後の人工知能との付き合い方として、人工知能の判断はプロセスがブラックボックスであり、かつ決して100%正確なものではないことを、しっかり認識する必要があること、人間と人工知能が共存していくプロセスにおいて、いかに人間らしい価値観や倫理による判断を人工知能に備え付けさせるかが大きなテーマとなること、を挙げている。
そして最後に、将来高度に発展した人工知能が登場して、人間の知性と比較されるようになってきたときには、人間の知性の特徴が浮き彫りになり、更に、人間も人工知能も包括するような「知性」とは何かが解明されていくのではないか、と結んでいる。
人工知能の専門家が、その仕組みや産業への影響などを解説したものとは趣が異なり、最強棋士・羽生さんらしい切り口での、人工知能についての考察、人工知能との付き合い方が語り尽くされた、ユニークな一冊である。
(2017年11月了) -
Posted by ブクログ
NHKの番組が話題になっていたので新書で読んでみた。新書だけどすごく読みやすかった。医学的な研究から、対応策まで書かれていて、分かりやすかった。悶々するのはマインドワンダリングという状態で、人間的にはおかしくない状態なんだということがわかったし、コーピングという良さそうな対応方法も見つかった。さっそく試してみようと思う。
----- 以下メモ
・マインド・ワンダリング(心の迷走)
過去や未来についてあれこれ考えを巡らせてしまう状態のこと。人間に備わっている「記憶力」や「想像力」によって、ストレスに晒された状態を思い出したり、同じようなことが起こったりしないだろうかと想像したりする。
NPYの差は、遺伝によるもの。ストレスに弱いか強いかは生まれつきある程度決まっている。
生活習慣と運動が大事。運動すると脳が変化してストレスに負けにくくなる。食生活を規則正しくするのも重要(魚がいいらしい)
ストレスには「頑張るストレス」と「我慢するストレス」がある。この2種類に意識的にコーピング、マインドフルネスなどで対応していくのが必要。
・コーピング
認知行動療法から生まれた方法。自分のストレスを観察し、見合った対策をしていく。気晴らしのリストを100個くらいメモって印刷して持っておくとよい。「旅行に行く」とかはすぐにはできないけど、何かを想像する系のだけでもよい。
・マインドフルネス
マインドワンダリングを回避した状態。