あらすじ
私たちは不健康・不摂生な人々に対して安易に「自己責任論」を振りかざしてしまいがちですが、現在ひそかに進行しているのは、所得や家庭環境などにより自らの健康を維持する最低限の条件すら蝕まれつつあるという異常事態です。まさに《命の格差》とも言うべき「健康格差」の危機的な実態に、NHKスペシャル取材班が総力を挙げて迫ります。
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格差があるのは仕方ないとしても、格差の拡大を放置していいといえるのだろうか。
社会全体が健康になることは、ひいては中上流層にも好影響。本の中では、税金や保険料の負担の話題が上がっていた。ほかにはきっと、心身の不調による休業者の減少とか、余裕のない人が減ることでサービスの質の向上が期待できるとか、社会が豊かになるように影響するのだろう。
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自己責任をどこまで、という話がここでも出てくる。もしかすると日本人の心性は3000万人くらいでちょうどいいようにいろいろできているのかもしれない。貧困と自己責任の近世史を思い出しながら読んだ。
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健康の格差が非正規雇用や貧困など諸問題とつながっているらしい。なるほど。生活習慣に気を配れずに病気になるのは自己責任、と少なからず私も思っていたが、個人の意志の力のみで気をつけるのは到底無理らしい。社会レベルでのアプローチが必要とのこと。少し安心した。ポピュレーション・アプローチの発想に納得。前職で「検診・健診の啓発に取り組み、受診率を高めます」という文言を目にするたび、ハガキ送ったり呼びかけたりするぐらいじゃ行かないだろうに、と冷めた気分になっていたので。
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健康格差は自己責任か…、いろんな立場でいろんな意見があって当然の題材。自己責任という側面もある。自分の健康は自分で守るしかないし、食生活や日々の生活で気をつけて、不調な時には受診するなどの健康に資する行動をとるのはもちろん自己責任の部分。しかし、生活をしていくために低い賃金で長時間働かないといけない人では、それらに割く時間が無いのが現実で、結果として働けないほど悪化してから助けを求めることになる。根本的な部分の解決をしないことには、より一層の格差拡大につながるのだろうなと考えさせられた一冊。
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・健康と所得の格差には相関がある。所得の低い人は傾向として、安価にカロリーを摂取することを考える為、カロリーのコストパフォーマンスが悪い野菜や魚などを購入しない傾向がある。
・食生活、特に塩分摂取量によって食道がんのリスクは異なる。塩を主な保存手段にしてきた日本食では、塩分摂取量が極端に多く、それらが日本の食道がんリスクを押し上げている。
・イギリスでは、国家的なアプローチにより、パンの製造メーカーと結託し、パンの塩分量をサイレントで減少することに成功。これにより、イギリス人の塩分摂取量を年間平均で1g減少させ、心臓疾患の患者を4割減少することに成功した。
・日本も健康問題を、今後の社会保険制度における一大事と捉え、ポピュレーションアプローチにより食品メーカーと一体となったかじ取りが必要である。
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日本の健康格差について、データに基づいて現状を把握した上で解決策になりうるものを提案するところまで書いている。特にポピュレーション・アプローチの考え方は健康格差の是正に限らず大事な考え方だと感じた。
ただ、繰り返し同じことが書かれている印象も受けたため、星4つで。
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第5章、第6章が深く考えさせられる。健康格差を考えると、自己責任論に行き着く。しかし、自己責任論は生活習慣病についてなみ論じられるべきだろう。努力しなければ得られない社会になりつつあるが、努力しても病気になり得る。
144頁、行動経済学の「ナッジ効果」に興味を持った。
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健康格差は自己責任か?社会の問題か? 努力して健康を保っている側からすれば不摂生による不健康は自己責任に見える。しかし、自助努力ではどうにもならないケースがありだれもが困る側になる可能性があるとするとセーフティネットは必要。不況が続く中他人を思いやる余裕がなくなっているなあと感じる。
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都道府県別で、3歳の平均寿命の差が出ている。
これは、結構、衝撃的な数字ではないだろうか。
日本では、地域・個人レベルでの「健康格差」が広がっている。
WHOは健康格差が生まれる要因を、所得、地域、雇用形態、家族構成と指摘している。
ぶしつけに言えば、所得が低く、地域GDPも平均より低く、雇用形態も非正規・無職、
家族もいないならば、短命になるということだ。
最終章は、「健康格差」は、「自己責任か」というテーマで、
一般人や俳優、専門家の意見交換がある。
いまだに、健康は、自己責任によるものだと意識が強いと感じた。
健康格差が広がると、社会保障費が増えるということは、
想像がつく。これは財政問題として国が解決しなければいけない。
なぜなら、今でも社会保障費は、膨れ上がっているからだ。
ただ、「今あなたの状態は、全てあなたの責任です」という、
冷酷な意識が日本を支配している。
税金を投入しての健康格差対策は、国民の支持を得られるのは、
かなり難しいだろうと思う。
この本では東京都の足立区の例があるが、
これから、地域の財政は間違いなくひっ迫する。
特に東京は、この20年で140万人高齢者が増加する。
その中で、「地域の健康」にどれくらい優先順位があるのか、
指導者達は、よくよく考えてもらいたい。
なぜなら、現在の健康格差は、ある面では、国が作り出したからだ。
経済格差が広がっている現在の日本は、
健康の格差も、急速に進んでいる。
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健康どころか命にまで、格差が存在するということは、紛れもない事実。非常に重い内容だけど、番組を作る上で知り得たことをもとに書かれていて、読みやすく、分かりやすかった。
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ヘルスリテラシーは、個人の問題なのか、それとも。。。ちょっと考えさせられた。
健康に最も遠くの人たちへのアプローチは???少しヒントになるかなあ?
Posted by ブクログ
NHK取材班による日本における健康格差について取材をして報道番組をおこなったものを書籍にまとめたもの。
WHOによると4つの健康格差をうみだす要因として「所得」「地域」「雇用形態」「家族構成」があげられている。そのなかで、日本の特徴としては、世界に類を見ない速度で高齢化社会が進んでいること、また、「失われた20年」によって雇用形態が急激に変わってしまったことにある。
地域によってうけられる医療などが異なることは知っていたが、非正規雇用などの問題が健康問題に直結しているとはまったく知識がなかった。1993~2004年は就職氷河期といわれるが(本書でいう「失われた20年」もこれにかかわる事柄だが)、単に所得が少ないというだけではなく、単に貧困というだけではなく、健康問題にも直結しており、それが将来的な医療費や社会保障費の問題となって跳ね返ってきてている。読んでいて、健康格差で苦しんでいる所得が少ないひとたちにも、そして、国の行く末としても、背筋か凍るような思いを読んでいて感じた。
Posted by ブクログ
疾病や寿命の格差を調べると、所得・地域・雇用形態・家族構成に相関がある。個人の意識や努力だけに頼るのではなく、社会として底上げできるような仕組みの構築が必要だ。
昔はよかった・なかった問題ではなくて、それが問題として見えるほどに社会が進んだといえるのだろうけど。
Posted by ブクログ
数年前のNHKスペシャルを思い返して読んでみた。どうしても所得格差で健康格差が生じるのは仕方がないと思うが、ある程度までは国が介入して格差を縮小させて欲しいとは思う。(教育も含めて)