NHKスペシャル取材班のレビュー一覧
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世界的な交通網の発達や、医療の進歩で人類の寿命が伸びたことで、人類の脅威として常に注目を浴びるウイルス感染症。ここに焦点をあてたNHKの番組の書籍版です。
当初番組ではジカ熱に焦点を当てようとしていたとのことですが、取材を進めるにつれより重大な脅威として浮かび上がってきたのはインフルエンザウイルスであり、それを柱に据えた一冊になっています。
病原性の高さなど、インフルエンザウイルスが注目される理由はいくつかありますが、その最大の理由として「インフルエンザが最大の人獣共通感染症」であるという点があげられています。インフルエンザウイルスは、よく知られているヒト、鳥、豚だけではなく、犬、猫、馬、虎、アザラシ、クジラなどにも感染するのです。
こうなってくると、仮に人類の間でインフルエンザウイルスを撲滅させても意味はなく、あらゆる動物のなかでそのウイルスは生き残り、進化し、また人類を宿主とすることを繰り返すことになります。
つまり、ウイルスは撲滅するのではなく、どう付き合っていくかを考える必要があるということです。
これを本書では「ウイルスとわれわれヒトは仲間であり、敵でもある。その関係は、哺乳類誕生に遡るほど古く、だからこそウイルスと、その対策のイタチごっこが果てしなく続くことを、私たちは覚悟しなければならない。」と表現しています。
ここまで読んだとき、最相葉月がその著書「未来への周遊券」で仰っていた次の言葉を思い出しました。
「ウイルスは三十億年前に誕生し、過去に動植物を絶滅させた例はない。動植物の絶滅はウイルス自身の絶滅をも意味するからだ。未来は、ウイルスと共存してきた歴史の知恵を必要としている。」
そう、対策ではなく共存のための知恵が求められているのが現代だと改めて気づかせてくれた一冊です。 -
Posted by ブクログ
都道府県別で、3歳の平均寿命の差が出ている。
これは、結構、衝撃的な数字ではないだろうか。
日本では、地域・個人レベルでの「健康格差」が広がっている。
WHOは健康格差が生まれる要因を、所得、地域、雇用形態、家族構成と指摘している。
ぶしつけに言えば、所得が低く、地域GDPも平均より低く、雇用形態も非正規・無職、
家族もいないならば、短命になるということだ。
最終章は、「健康格差」は、「自己責任か」というテーマで、
一般人や俳優、専門家の意見交換がある。
いまだに、健康は、自己責任によるものだと意識が強いと感じた。
健康格差が広がると、社会保障費が増えるということは、
想像がつく。これは財政問題として国が解決しなければいけない。
なぜなら、今でも社会保障費は、膨れ上がっているからだ。
ただ、「今あなたの状態は、全てあなたの責任です」という、
冷酷な意識が日本を支配している。
税金を投入しての健康格差対策は、国民の支持を得られるのは、
かなり難しいだろうと思う。
この本では東京都の足立区の例があるが、
これから、地域の財政は間違いなくひっ迫する。
特に東京は、この20年で140万人高齢者が増加する。
その中で、「地域の健康」にどれくらい優先順位があるのか、
指導者達は、よくよく考えてもらいたい。
なぜなら、現在の健康格差は、ある面では、国が作り出したからだ。
経済格差が広がっている現在の日本は、
健康の格差も、急速に進んでいる。 -
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生活保護受給者以下の年金生活者の実態を描いており、未婚化・独身化が進んだ日本では、このノンフィクションが他人事と言い切れる人は少ないはずであり、全世帯が読むべきと言っても言い過ぎでない。
このノンフィクションが、過去の話にならなければ日本に未来はない。
この論点へスポットを当てた、NHK、本当に素晴らしい。
生活保護保護以下の必要最低限の年金で、食費も事欠く貧困に落ちてしまった人達の、迷惑をかけたくないなどの自責の本音は、心に刺さり、そして、自己防衛を真剣に考えるきっかけとなった。
運用しましょう!貯金しましょう!保険入りましょう!というオチの巷に溢れたファイナンシャルプランナー兼、評論家の著作よりも役に立ちます、この作品は。
投機ではない貯金や生活拠点たる自宅所有は認めない生活保護の申請要件は、即刻見直しをすべきです。 -
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NHKスペシャルのために取材した内容をまとめたもの。
最新の調査や研究成果を踏まえて、ストレスの正体に迫り、対処法を示しています。
現代社会では情報が多すぎて、ストレスが増えているのは、誰しも心当たりのあるところ。
ストレスとは、危機に対応するために心身を緊張させたことが始まり。
原始時代には、襲われたときに逃げるか、闘うという必要があったから。言われてみれば納得です。
今は問題が起きている真っ最中でなくとも、過去にあった辛いことを思い出し続けているか、未来に悪いことが起きると予想していると、今もストレスがかかってしまう。
ストレスは、気分の問題では済まない。
脳や体にも、はっきり影響を与えているのだそうです。
ストレスを軽くする方法を100個書き出しておく、というのがコーピング(対処法)というやり方。
うんと小さなことも含むわけですね~。
けっこう笑えて、参考になりますね。
笑いも良いストレス対策になります!
運動の効果、栄養のとり方、なども具体的に。
もう一つの有効な取り組みは、マインドフルネス。いわゆる瞑想を、わかりやすくしたもの。
背筋を伸ばして静かに座って自然に息を吐き、あるがままに呼吸を感じて、雑念を遠ざける。
こういったことで、傷ついた脳が回復していくというのが驚き。
ひと通り知っておいて、損はないでしょう。
興味深く読みました☆ -
Posted by ブクログ
超高齢化社会
増えた人間が年をとって、 出生率が低いから人口が減り、増えた人間用のインフラが不要になりました。
さて困った。今は政府からバラまかれでいるお金で、なんとかなってるけど、将来はまずいですと。
まあ、もう地方へのバラまきやめよう。そこにずっと住みたいって気持ちもわかるけど、あきらめましょうと。いや、別に住みたいなら住んでくださってもいいんですけど、これ以上は自分たちのお金でやっていってください。
冷たい?いやあなたたちの世代が、自分たちで決めて作ってきた社会でしょう。これからの若者たちにあなたたち世代の負の遺産をもたせるのは必要最低限に、まずはできる限り自分たちのケツは自分で拭いてくださいと。
今の年金の問題とかも高齢者たちでまずは落とし前をつけてください。今の若者に全てを負わせるのは間違っている。仕組み変えましょかね、金持ちにやる年金はより少なく、むしろ溜め込んでいる人には特別税を課す。相続税もたくさんもらいます。んで、できる限り何歳になっても、どんな仕事でも働いてもらいます。まあできれば健康的に面白くってのはサポートしますが。
これからの世代はそんな社会を大きく変えないといかん。
過疎化?じゃ、みんなで都市で効率よく暮らしましょう。無駄が省けます。
年金問題?自分で、必要な分だけ、ちゃんと備えちゃえばいいじゃん。誰かに任せようなんてそんな美味しい話ないすよ。
少子化?人口の維持、増加狙うなら社会の仕組みと意識をかえないとね。本気で結婚しないと、子供がいないと損!みたいな税制度とか、有給制度とか。やっちゃえばすぐ意識なんて変わるよ。 -
Posted by ブクログ
本の出版は、2017-10 。このタイミングで起きている人工知能の研究、というより、実際に使われている状況を取材してまとめている。
将棋、タクシー、株、犯罪再犯対策、裁判、運転技術の向上、人材派遣における離職対策、政治家、汎用人工知能への取り組みなど。
ソノマの裁判所では、2009年から使われてたり…フロリダでも2010年に再犯リスクをだしていたが、この頃のリスク算定は、ブラックボックスという批判にあっていたそうな。なるほど、2015,6年にブレークしたIBM Watsonの売り文句に、なぜその判断をしたのかが提示されるというものがあったが、こういう批判に耐えられるようにしていたのか。
人工知能が現場で使われることが顕在化したのが、2015年中頃からという指摘もあったが、個人的にも、これまで人が判断していた処理を機械にやらせることが、この辺りから日本で数多く出てきたと思う。
この本を読む前に、中野信子氏の『サイコパス』を読んでいたので、アメリカの再犯の疑いをかけられた人が、「書類に書かれていることと、実際の自分は違う」と主張して、保釈を勝ち取った経験があったという件に、サイコパスってプレゼンが上手くて人を騙せるんだよな… と、ちとうがった見方をしてしまった。NHK取材班には、数年後に彼を追いかけて欲しい。
面白かったワーディングとしては、ベン・ゲーツェル博士の「弱い人工知能」と「強い人工知能」、将棋に勝ったり自動運転などを弱い人工知能、汎用人工知能を強い人工知能いう位置付けで使ってた。そして、このベン・ゲーツェル博士と、彼が作ったソフィアが一緒写った写真も印象的。「人類を破滅させる」って言ったのソフィアでしょ…
博士とソフィアのツーショットは、不気味の谷ど真ん中って感じ、歴史に残る写真と思う…
本の全体は、人工知能は人をサポートするテクノロジーという仕立てになっているし、読みやすかった。五年のくらいに読むと、どれだけ世の中が進歩したのか分かるんじゃないかな。
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Posted by ブクログ
ネタバレ日本は人口が減少に転じて大変なことになるという。高齢化で経済が縮小してインフラ整備がままならなくなって限界集落は消滅してしまうだけでなく、東京など大都市でも社会保障費の増大で自治体が持たなくなるという予想がなされていた。
内容はショッキングで興味深く、記述が簡潔で読みやすかった。それにしても寂しく悲しくなり、なにも希望が抱けず困ってしまう。特にうちには赤ちゃんと幼児がいるので、彼らに悲惨な未来しかないのは困る。
しかし、こうして難しい本を読むことで社会への関心を抱こうとしているのだが、どうにも他人事のような気分がぬぐえない。自分が全く危機に面していないからか、それに気づいていないのか、目を逸らそうとしているのか、そもそも関心が薄い。ニュースすらあまり興味がなくなってしまった。他に興味があるとかやることがたくさんあって興味を持つ余裕がないとか理由は考えられるし、それで外れてはいないのだけど、それ以上に、どうでもよくなってしまっている。考えたところでどうにかできるわけではなく、面倒くさい。これこそ「茹でガエル」ではないかと少し不安になる。 -
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ネタバレ子供を産むという一大プロジェクトにおいて、「自分でコントロールできない未来との折り合いをつける」ということはとても重要なプロセスだと思います。
(ネガティブな意味ではなく)
この「コントロールできない未来」には色々な要素がありますが、そのひとつが子供の先天的な障害であり、その一部の可能性を事前に把握するのが出生前診断です。
本書は、さすがNHKスペシャル取材班だけあり、出生前診断を通して胎児と向き合ったさまざまな家族のドキュメンタリーがとても心に刺さるものでした。
流産・死産・人工死産が特別なことではなく、非常に身近なことだということに、気付くとともに、出産ということを生々しくリアルに理解するために、とても大切な一冊だと思いました。
「あなたが決めていい」
「子供への期待を手放すのが子育て」
という言葉が、印象に残りました。 -
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一部になるが、「恐怖」と「美意識」と「人工知能」を紐づけていたところが面白かった。
ここに打つとまずいと人間が思うところに、ソフトは打ってくるところから、「人工知能には恐怖心がない」と言う。人間は、思考の死角や盲点など、防衛本能や「生存本能」に由来しているように思えるから、人間との共存においては、恐怖という感覚が必要であろうと。
別の観点では、「美意識」を軸に、これが、「安心」や「安定」のような感覚と近しいものであるとし、棋士が手を絞り込むとき、「美しい」と感じられるのが基本の形に近い見慣れたものだからであり、人間の長い歴史のなかで獲得して来た本能として、危険察知(恐怖)の延長線上にあるのではないかと。
ただ、人間の思考が全て正しいという立場ではなく、人間が知らない領域を人工知能が拡張してくれる可能性にも言及していたりする。
ディープマインド社のデミス・ハサビスとの対談で、人間が優れているポイントとして「柔軟性」と「汎用性」という点に触れてられていて、取り敢えず、直近の焦点はこういうの所の実現に向かうのだろうという潮流も書かれている。
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羽生さんと人工知能、なんの関係があるんだろうと思った。
将棋ソフトだった。
昔、父親が夜中に勝つまで必死にやっていたのを思い出した。
洞察の深さは将棋だけでなく、人工知能への知識にも転用されている。
技術者よりも意味合いを正確に掴み、芯を捉えているように感じる。
それでいて一般的な言葉で話してもらえたり、
また棋士としての経験や意見を交えて話してもらえることで、
人工知能というものがどういうものなのかを感覚的に掴みやすいようになっていると感じた。
さすがは羽生さんで、さすがはNHKなのかもしれない。
(以下抜粋)
○さて、そのアルファ碁はどのようにしてあれほどまでにつよくなったのでしょうか。
ハサビスさんに尋ねたところ、その直接的な要因の一つは、
アルファ碁同士でとてつもない数の対局をこなしたからだということでした。(P.19)
○将棋ソフトに面白い事例があります。
それは、ソフトの探索部分に、
「Stockfish」というチェスの公開プログラムを使っているものが多い、という事実です。
(P.33)
○彼の印象は、「努力に裏打ちされた自信家」だ。
なにしろ毎晩夜中の十二時から朝四時までを、
世界中の論文を読む時間にあてているという。(P.53)
○棋士が次に指す手を選ぶ行為は、
ほとんど「美意識」を磨く行為とイコールであるとさえ考えています。
筋の良い手に美しさを感じられるかどうかは、
将棋の才能を見抜く重要なポイントなのです。(P.75-76)
○「音楽というのは数学的な処理がしやすい分野であり、
そこがバッハ風、モーツァルト風などの作曲ソフトを作りやすい理由ではないか」(P.139)
○しかし、私は、「美意識」には、「時間が」大きくかかわっているように思うのです。
(P.142)
○実は、自然界では、むしろ生物の個体それぞれが遺伝的に多様性を持つことが、
進化のカギとなっています。
とするならば、全員が同じ選択をすることは、
むしろ全体から見ると、多様性が失われていて、
かえって進化が止まってしまう気もするのです。(P.206)
○形成判断のような勝負の感を鍛えるためにと、
目先を変えてラクビーやテニスなどスポーツの試合を観戦したりもしています。(P.209)
○羽生さんの負けが続くと、
「いよいよ衰えたか」「世代交代か」という文字があちこちで踊るが、
私は少し違った見方をしていた。
失敗してでもつかみたい何かがあるのではないかーー。(P.227)