NHKスペシャル取材班のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
・書名:新・古代史 グローバルヒストリーで迫る邪馬台国、ヤマト王権
・著者:NHKスペシャル取材班
・出版社:NHK出版
・内容:
考古学・文献史学・自然科学(年代測定やDNA分析)などの成果を横断し、日本列島の古代史を「東アジアの一部」として再配置する一冊。邪馬台国論争やヤマト王権の形成を、国内事情だけでなく、朝鮮半島・中国との交流史の中で読み直す。
邪馬台国やヤマト王権というテーマは、つい「日本史の内輪話」になりがちですが、本書はその癖を丁寧に外してきます。グローバルヒストリーという枠組みを掲げ、資料の読み替えや最新研究を紹介しながら、列島史を東アジア史の連続線上に置く。その視点自体が、まず新鮮でした。
とりわけ印象に残ったのは、前方後円墳の扱いです。日本に固有だと思い込んでいた前方後円墳が、実は朝鮮半島(とくに韓国南部)にも相当数確認されている、という事実。日本だけの文化ではなく、当時の政治的・人的ネットワークの広がりの中で理解すべきだと示され驚きました。
※この点は、日韓双方の考古学調査報告に基づく分布データの提示が根拠として挙げられています。
一方で、批判的に感じた点もあります。研究成果を分かりやすく編み直す力は高い反面、個々の学説の対立点がやや平板に整理されている印象も受けました。たとえば、邪馬台国の比定地をめぐる議論では、主要説の要点は押さえられているものの、反証の強弱や学界内での評価の差異までは十分に掘り下げられていません。新書という制約上やむを得ないとはいえ、踏み込みを期待する読者には物足りなさが残るでしょう。
※この評価は、各説の紹介が要約中心で、一次資料批判や方法論の詳細が省略されている点に基づきます。
総じて、本書は「結論を断言する本」ではなく、「前提を組み替える本」だと感じました。邪馬台国がどこにあったのか、という一点勝負から距離を取り、当時の東アジア世界の動きの中で列島社会がどう変容したのかを考える。その視野の広さが、読後に静かな余韻を残します。歴史の謎解きというより、地図を広げ直す作業に近い読書体験でした。 -
Posted by ブクログ
進学や就職で躓いてしまい、それがきっかけで引きこもり、脱する機会を掴めないままずるずる日々を過ごすうちにいつしか十年、二十年という歳月が過ぎてしまった…それが本書に登場する引きこもりのパターン。
家族も最初のうちは口を出すが、次第に引きこもりが常態化すると家族関係が「安定化」するケースもあり、そうなると変化を怖れて家族が外部からの働きかけを拒むようにもなるという。
本書でたびたび指摘されるが現代日本では引きこもりは家族内の問題とされている。引きこもりの子を「恥」と親が考えていれば他人に対して口を閉ざす。すると周囲は引きこもりの子がいるとは思わず、親に介護支援が必要になったり、あるいは亡くなってしまったとき初めてその存在が発見される。そうやって身内によって隠され、存在を消されてしまうことがこの問題のデリケートな点だと思う。 -
Posted by ブクログ
地域で活動していると、必ず登場するのが議員である。都道府県議会議員と市町村議会議員、国会議員と合わせるとその三層構造で約3万2000人もの政治家がいるのだ。とくに目立つのは、不祥事や事件を起こす議員個人だったり、野次や乱闘などで荒れる議会といった、悪いイメージだ。だから、果たして地方議員は必要なのか?という議論が巻き起こることになる。
大多数の議員は、地域住民の元に何度も足を運んで意見を取り上げ、それを議会質問として首長や行政執行部に繋げる役割を担っている。そのため、議員のなり手は行政職員経験者や地区の顔役といった主に男性がなることが多い。とくに過疎地域に行くと、地方議員は高齢男性が何十年も続けているケースがほとんどで、選挙すら成立するかどうかのギリギリなところも多い。
地方議員は年間50日以下の議会のみが拘束されるため、報酬は政令指定都市を除くと年額2−300万円程度であり、専業で働くには厳しいところが大半だ。とくに子育てしているような現役世代には敬遠され、議会とは別の冠婚葬祭といった地域のイベントには顔を出す必要があるので、正直コスパは悪い。
地方においては、首長の権限は絶大である。役所というシンクタンク機能を人事によって掌握し、幹部職員を中心に地域内外の情報を吸い上げて判断する立場のため、議会としては別の論点で存在価値を見出す必要がある。それが地域住民と直接コミュニケーションを取り、ある程度の票と利害を共有する状態をつくりながら地区単位での意見を中央集権化する自治体の執行部に伝える、地方議員としての生き残り策と言える。 -
Posted by ブクログ
日本の中流層の危機として「給与所得の目減り」(40歳代家族4人の可処分所得)が1990年で576万円だったものが2020年で463万円、2割も減ったのは社会保障や税金が増額された為とある。(大和総研での数値は2012年で639万円、2024年で626万円とあり額的にー12.2%という目減りを示している)デフレと景気低迷、低賃金での悪環境は継続しており、その要因は日本の雇用システム(新卒一括採用、年功序列、終身雇用)、また企業はコスト削減での収益確保、「派遣法改正」で非正規雇用の拡大で、継続的に賃金低迷となっている。更なる要因は新たな産業を起こす為のリスキングが乏しく、引導するイノベーションが無いことだ。また日本式スキルアップ、オールラウンド式配置転換などの繰り返しと、学歴重視がネックとなっている、とも言う。
日本はこれか先、若者によって「夢を追う」国になれるだろうか。現状、今の政治政策では知恵足らずで余計で無駄な経費を他に多く課していることでは逆に「若者の国外移住」が始まっても不思議ではない。本書にある若者への地ごとの価値観に関してのアンケートで20代、30代は「所得に拘らず、負担の軽い仕事を選び続け、なるべく働かず、投資などの不労所得で生活していく」がそれぞれ34%も達していることだ。 -
Posted by ブクログ
前半は正規職員なのにクルマが持てない、持ち家に住めないという今の日本人のいわゆる中流家庭の取材があります。失われた30年による出口の見えない日本の貧困化がみえます。見ていてとても悲しいです。なぜこのような社会構造になってしまったのか、非正規雇用についても歴史が紹介されます。
後半はドイツや広島県でのリスキリング、非正規雇用でも同一賃金のオランダから見えてくるものを紹介していますがミクロな視点です。あくまで個人の話にとどまり日本全体がリスキリングだけで良くなるとは到底考えられません。
問題点についてはよくわかりましたが、日本社会の明るい未来は見えてきませんでした。もっとマクロの視点で海外への進出や新しいアイディアによる会社などが出てこないと社会そのものを豊かにすることはできないと思います。 -
Posted by ブクログ
実戦あるのみ 10年ほど前に友人のフルマラソン完走に感化され始めたマラソン。我流でサブ4(完走タイム4時間を切ること)を目指して未だ格闘中ですが、5時間の方が近くなって来たので、少し勉強を兼ねて手に取りました。スポーツは心技体揃って初めて記録や記憶に残るようなプレーができると思います。書籍から学べることもありますが、実際に体を動かさないと身につかないのもスポーツの醍醐味。この本を読んで学んだことを実践したいと思います。
東アフリカ勢の生まれ育った環境や遺伝子の問題に関しては日本人に反映することは難しいですが、東アフリカ勢の多くがつま先着地であることは事実として受け止めたいです。そのためには生まれ持ってのふくらはぎの柔らかさや長さが必要なのかもしれませんが、頭から否定していたつま先着地を試してみても良いのかもしれません。また、前傾姿勢が良いというのも神話ごとく言われていますが、まっすぐの良い姿勢での体への負担の少なさは私も実感していますので、無理に前傾姿勢にならなくてもよいのかもしれません。今後年齢を重ねていく中でタイムを短くすることは容易ではありませんが、挑戦はいつまでも続けたいと考えています。