NHKスペシャル取材班のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレNHKスペシャルの取材を、ベースにマラソン世界記録保持者の身体的特徴を科学的に分析するとともに、彼らの育った環境なども含め、多角的に考察した本。
1km3分弱のスピードで42km走り続けられるようなトップランナーは、そもそも一般人とは体の造りが違うとは思っていたが、最大摂取酸素量が大きいとか乳酸がたまりにくい傾向にあるらしい。
とはいえ、マラソンの身体的な過酷さは半端なく、完走後に血尿が出ることも。世界記録保持者たちが、心理面、体の調子を含め"すべてがパーフェクトでなければ勝てない"と言うのも頷ける。
スポーツの記録は技術の進歩もあってどんどん進化していると思っていたが、マラソンにおける東アフリカ勢の強さは、幼少期から高地で素足で歩き回らなければならないような環境ゆえに、体も作られ、その貧困から抜け出すために必死で練習するといった背景もあるとのこと。
やはり、スポーツも経済的な要素が強く絡んでいるからこその進化であることに、ちょっと複雑な気持ちになった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ老後破産
長寿という悪夢
著者 NHKスペシャル取材班
2015年7月10日発行
新潮社
今年は「下流老人」という文字も目についたが、こちらは「老後破産」。2014年9月に放送されたNHKスペシャル「老人漂流社会~“老後破産”の現実~」をベースに、番組で紹介しきれなった高齢者の例を含めてまとめた本。「老後破産」は番組プロデューサーの造語だが、こちらもしばしば見かける言葉になった。
年金収入だけでは生活できず、わずかな蓄えを減らしながら暮らす高齢者。いずれ底つきることは分かっているが、何も出来ない。1日1食しか食べないとか、2束100円のそうめんのようなもので食いつないだりとか、もちろんだが、病気になっても医療費を払うと食費がなくなるので行けない、倒れて入院して回復しても、医療費を払ったので生活費がなくなり不摂生をしてまた病気に、といった負のスパイラル。わずかな年金収入のほとんどが今の住まいの家賃に消えるが、安いところに引っ越したくてもその費用がないので高い家賃を払い続け、食費をけずらざるを得ない、というこちらも負のスパイラル。そうしてやがて破綻し、生活保護を受ける。それが老後破綻。
数年前、ごく普通のサラリーマンやどちらかというと裕福だった男たちがリストラされ、ホームレスに陥った話がはやった時期があった。そんな本には、貧乏で惨めな生活ぶりが紹介され、読者はそれを読んで同情はするが「自分はまだましだ」という慰めにもしてきた。老人モノの“極貧物語”に衆目が移ってきたのかという思いも少し持ちながら読んだが、そういう趣旨の本ではなく、いろいろな問題を提示したなかなかに優れた本であった。
なぜ、貧しい高齢者は生活保護を受けないか?
制度をよく知らない、という点がある。持ち家があるから、わずかだが預金があるから受けられない。年金をもらっているから受けられない。そう思いこんでいる人々は多い。
社会的に生活保護はさけるべき道だという考えを持つ老人。これも多い。
役所がなるべく受けさせないようにする。
年金収入が少なくても、預金があると、それがなくなったらまた相談に来てくださいと言われるらしい。そこで共通に持つのは、底つきた時にもし受けられなければ死ぬしかない、という不安。至極、当然である。いわば生死の境に立たされてからでないと相談に乗ってくれないとは。不安だから預金を減らさないようにする。すると食事は不健康、医者にも行けない、益々負のスパイラルにはまっていく。
ただ、この本を読むと、どうやら一番苦しい線は、年金収入が10万円前後ぐらいのようにも思える。それ以下なら、人が導いてくれたら生活保護を受けるということがありそうだが、10万円前後だとなかなかその気にならない。自分でやりきろうとする。そうすると、病気になっても医療費がもったいないので医者に行かない。結果、大病になる。ところが、全部でなくても少しでも生活保護を受けていれば、医療費は無料になる。
高齢者の極貧問題は、制度上の不備、社会的生活上の問題、個人の考え方など、実にいろいろな要素があって複雑である。では、解決の方法はないのか?そうでもないと思う。例えば、40代、50代の息子がリストラされ職がなく、高齢者の親の年金にパラサイトしているという実態もあり、こちらは将来に向けてさらに深刻だが、お金が一部に集中してしまっている格差社会こそが諸悪の根元であり、「頑張れば報われる社会」にすればいい、などという単純な問題ではないことだけは確かである。 -
Posted by ブクログ
Nスぺで同タイトルにて放送された内容を書籍化したもの。
放送された内容と変わるところはほぼ無い。
終章にオシム、ザッケローニ、リトバルスキー、ファビオ・カペッロのコメントが入ってるところだけ新しい内容だった。
映像だと聞き流してしまうところもあったかもしれない。文字として読みなおすことであらためて選手たちの気持ちがより感じられ、大層感心した。ルカクのインタビューがその典型だった。
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日本とベルギーの違いは何かと聞かれたルカクは、こう答えている。
ルカク 「意思」だと思います。プレミアリーグで2-0というのは、最も危険なスコアです。2-0は、私にとっては0-0です。一つのゴールが入れられてしまえば、すぐにやられてしまいます。今回がそうです。日本は、ベルギーに2-0と先行して、もう本を閉じて、はい、終わりという感じが私にはしました。彼らのプレーを見て、我々が勝つのは分かっていました。1点でも入れば、あとはもう機械的に進みます。そういうことでした。
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2-0は0-0と同じだと言い切る意思の強さとそれを形作ったプレミアリーグでの圧倒的な経験。
ワールドカップに出場するということは、こんな化け物みたいな連中と戦うということなのだ。 -
Posted by ブクログ
失業統計に現れない中高年無業者=「ミッシングワーカー」の実態と支援の取り組みを取材したルポルタージュ。専ら「親の介護」のために就業できなくなった人々に焦点を合わせているが、そのこと自体「正当な理由」がなければ「無業」自体を問題にしにくい現状を反映している。取材過程や伝え方がワイドショーやドキュメント・バラエティのような情緒に訴えるような側面があり、かえって大衆の啓蒙には逆効果な感もある。結局のところ不安定な有期雇用の横行に根本原因がある以上、「労働市場への復帰」をゴールとしている限りは、「みじめさ」を再刻印するだけで問題は何も解決しない。本気でこの問題に取り組むのならば、現在の雇用の二重構造や過度の市場・企業放任を所与のものとするのではなく、増税と公債の増発で公営事業を作り出し、そこにミッシングワーカーを優先的に正規労働者として無条件採用する、無業期間の年金や保険料を国庫で補填するなど、新自由主義そのものにメスを入れる革命的な施策を行う方向性をはっきりと打ち出すべきだ。