フィリップ・K・ディックのレビュー一覧
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“父親は壺なおし(ポット・ヒーラー)だった。そして彼も、壺なおしを仕事にしている。”と、印象的な書き出しではじまる原題もそのままズバリ『Galactic Pot-Healer』。
映画スターウォーズ顔負けの多種多様な宇宙人がでてくる、彼独特の虚構世界を描いたSF小説でしたが、タイトル同様にディック特有の笑える箇所も多くて読みやすい作品。ディック好きなら読んで損はないと思います。
あらすじ:
腕利きの陶器修復職人であるジョー・ファーンライトは、荒廃した管理社会と化した地球で7か月も仕事の依頼がない失業状態にありました。陶器はプラスチック製に取って代わられ、父から受け継いだ職人技を振うこともでき -
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フィリップ・K・ディックの1955年に発表された第一長篇。世界観や用語の説明不足などは、最初の作品からだったのかと納得。という訳で、誰にもおすすめできませんが、個人的にはとても面白い作品だと思いました。
世界を統べる権力者が、公共偶然発生装置(ボトル) による無作為な攣動(トイッチ)によって決められる世界。それは、ランダムに抜擢し、あるいは蹴おとし、ランダムな間隔でランダムに権力者を選び出す。人は、権力を独占できず、安泰した地位など存在しない。誰も独裁者になろうとしてもなれない世界。
そのような社会機構である、九惑星連邦の最高権力者(クイズマスター)であったヴェリックがこれにより退位(クワ -
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抜群のスピード感と心理戦 世界が放射能で包まれ、虫や動物を含む人間以外のほとかの生物が死滅した未来。生きた動物は非常に高価であり、生き物を飼うことはステータスのひとつであった。
警察組織のひとつで賞金稼ぎのリック・デッカードは本物の動物を手に入れる為、高額な懸賞金がかけられたアンドロイドを破壊する。映画「ブレードランナー」原作。
サイバーパンクSFの元祖。濡れたアスファルトにネオンが反射する荒廃した街は妖しく、美しい。
スピード感があり、心理戦がゾクゾクする。なぜアンドロイドを破壊しなければいけないのか、自分自身もアンドロイドではないのか。そんな想いが交錯する。
「どこへ行こうと -
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ネタバレ小さな黒い箱
「アンドロイドは…」に出てくるエンパシーボックスが宗教として駆け出しの頃の話。まだ信者も少なく、小さなカルトでしか無いが、「アンドロイドは…」では太陽系全域に信者を持つ大宗教になっている(キリスト教かよ)。
「アンドロイドは…」では謎の老人は売れない役者だと暴かれていたが(メディアの嘘かもしれんが)、それよりも着目すべきは箱を送りつけてる組織だろう。
共感中の怪我まで「共感」できる道具を家庭用品から作れるとあるが、これはどんな宗教への入信も自分の家からできますよって感じのメタファーかな?
輪廻の車
やったんだろ?17歳の子と。やらせてもらったんだろ?抗生物質だけじゃなくて、やら -
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最愛の人に去られたディックの自伝的小説という趣の強いこの作品は、自己の同一性や認識している世界の崩壊というディックの作品に通底している恐怖をベースにしつつ、もう一つのテーマとして愛を割と純粋に語っている作品でもある。愛は自己保存の本能を凌駕し他者への献身、執着をもたらす。
作中で様々な人物が自分なりの愛を見出そうとしているが、その中で主人公であるジェイスン・タヴァナーだけは愛を理解しない。それは彼がスイックスだからかそれとも生来のものなのか。
現実の分裂は観測者だけのものではない。観測されるものもそれに巻き込まれる。
また絶望の底に落ちてからの再生を匂わせて終わるところもらしい部分である。
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本を読んだ時の印象はその時の自分の置かれている状況や精神状態で変わるから面白い。
組織に所属していて人間関係に悩んでいれば、信じられる人は誰なのか?といったことが常に気に掛かっているかと思えば、自然の中で働いていたり遊んだリしているときはその迫力に圧倒されて人間関係の悩みなんかは小さなものに思えてしまう。
今は自然の中で働いているから、自然の迫力に圧倒されていてフィクションが作りもの染みて見えて魅力半減となるタイミングだ。そんな時にディックを読んでしまったから、かなり偏った感想にもなる。さすがのディックの問題提起も心に響きにくかったけれど、これは本の感想というより自己診断テストの結果だな。これ