あらすじ
第三次大戦後、放射能灰に汚された地球では生きた動物を持っているかどうかが地位の象徴になっていた。人工の電気羊しか飼えないリックは、かくて火星から逃亡した〈奴隷〉アンドロイド八人の首にかかった賞金を狙って、決死の狩りを始めた! 現代SFの旗手が斬新な着想と華麗な筆致で描く悪夢の未来世界!
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
1.アンドロイド
途中からだれがアンドロイドか(というより、リックがアンドロイドか)にハラハラした。アンドロイドにも人間味があってあたかも人間のよう。「人間とはなにか」というSFっぽい問いがストレートに表現されていてよかった。人間とアンドロイドの差がエンパシーに存在するのだろうか。それは反応で計量可能なのか。
2.設定
映話、電気動物、情調オルガンとかの設定面白かった。マーサー教はよくわからないまま読んでしまった。
3.ヒキガエル
最後の最後にヒキガエルを見つけて喜んでいるリックはまさに人間っぽさがあった。前半は仕事人でアンドロイドのようだとすら感じたのに。
Posted by ブクログ
SF小説というと、独特の世界観を理解するのに
苦労するんだけど、
これはブレードランナーを映像で見て
あらすじが頭に入ってるからなのか
すっと本の中身に入っていけた。
想像したよりも読みやすくて、面白い。
GPT 4は寄り添った会話をしてくれたが
GPT 5は冷たい、なんていう会話がなされる
生成AIが登場した現代の目線で読むと
共感・感情移入が人間特有のものという主張について
考えさせられる。
Posted by ブクログ
もし唐突に自分がアンドロイドだと告げられた時、またはアンドロイドだと気づいてしまった時自分はどういう反応をするだろうか。或いはこの命題は自分が人間だから行えるもので、アンドロイドはこんな思索も行わない機械に過ぎないのか。
人間らしい人間。人間らしいアンドロイド。アンドロイドらしい人間。アンドロイドらしいアンドロイド。
リックデッカードははじめ、人間とアンドロイドは相容れない物として、簡単に引金を引ける存在だと断言していた。しかし、物語が進むにつれて、考えに確信がもたなくなっていった。死ぬ前に、ムンクの画集を買いたいと言った者、彼が一夜を共にした者、色んなアンドロイドがいた。人間でも、人間らしいアンドロイドに対して簡単に引き金を引ける者だっている。現代でも、自立アンドロイドがいなくても、かなり共感できるテーマ。
読み終わった時の喪失感が忘れられなくて、その感覚に囚われたまま感想を打ってる。デッカードが人間とアンドロイドの差異を見て、残りの賞金首を捕まえに行った時の苦しみは測りきれないだろう。今や、単なる廃棄処理では無く、殺人と変わりなかったと思う。
最後のデッカードが持って帰ってきた電気蛙を大切にしようとするらイーランの描写がとても印象的だった。今までの電気動物に対する感情を見てきたからこそ、この夫婦が共にアンドロイドへの認識を改めるシーンのカタルシスが凄かった。
この本が傑作だと言われていることがわかった。
本当に面白かった。
Posted by ブクログ
面白い。
古いSFですが作者の主題は「人間」そのものです。
人類としての生存と命の存続を描くSFではなく、
アンドロイドを、「精神的に孤立する人」として描き、
同じ種族なのに「共感」がわからないという特徴があります。
排除される理由はそれだけ。
灰が降る惑星となった地球で人類は生き永らえようとするも、少しずつ種全体が衰えてきます。選択したのは「火星への移住」。多くの人間がそうであるように移住には不安がつきまとう。政府が用意したのは『アンドロイドを一体プレゼント』という破格の条件。大勢の人類が移住を決めた。
物語は、移住が叶わず残された人類が住む地球。「マーサー教」を信仰し生活を続ける。マーサーは岩山を登り続ける老人である。
人々は共感機械を通して、皆がその老人の中に入ることができる。そして老人の中で、人類は感情を共有することができる。
人類は「他人と共感することができる」のである。
そしてアンドロイドは言う。
我々は共感ができないという壁がある。
だから火星では何も与えられない。
だから、地球へ向かう。
どんでん返しではないですが、二転三転する展開に緊張感は最後まで続きます。
自分がアンドロイドなのかと疑う警官は、やがて疲れ果てる。
がそれでも歩みを止められない。
Posted by ブクログ
とても面白かったです。
登場人物が人間なのか、アンドロイドなのか、度々ぐらつきます。生き物なのか、そうでないのか。
読んでいて、アンドロイドにも、優しさを期待したくなっていました。けど、その期待は裏切られる一方で、人間にも裏切られることはあるなぁと思って、読んでいて色々とぐらつきます。
本作品は、SF特有の世界を表現するための説明描写は少なく感じました。この作品の面白さは、トリックどうのこうのという話ではなく、人間とアンドロイドの違いは何なのか?物語を通じて常に問われる緊張感というか、不安にあると思います。
人にもアンドロイドにも優しくしちゃうし、ブレブレで、その狭間で苦しんでしまうのが、人間らしく好きですね。それで良いんだと思います。
Posted by ブクログ
かなり面白い。不法なアンドロイドを処理する仕事をしている主人公が、処理すべきアンドロイドに惹かれたり、逆に、嫌悪感を抱いた人間をアンドロイドだと疑ってかかったりする様子には、何か考えさせられるものがある。
仮に完璧なアンドロイドが存在したら、人間との違いはなんだろうか?それを見分けることはできるのか?この本を読んで色々思案してみるのも楽しいと思う。
Posted by ブクログ
何度も挫折してしまったがついに読み終えたので達成感を感じている。アンドロイドは人とは違ったものだと思っていたが、ほとんど人と変わらない感情移入の差異だけのアンドロイドは果たして人間と何が違うのだろうか。非常に考えさせられる物語だった。
人間とは
独特な世界観で語られ始める本作。
慣れてきたと思い始めた矢先に怒涛の展開が待ち受けていて最後まで飽きさせない。
アンドロイドと人間の境界が曖昧になっていく中で、人間足りうるものが何なのか。
私は『慈しむ心』ではないかと感じた。
だからあの終わり方なのだと。
訳者あとがきでは、この難解な作品を紐解くための手助けをしてもらえているようだった。
作者の意図の多くを汲み取れなかったであろう私でも、その一端に触れることができて助かりました。
Posted by ブクログ
ブレードランナーの原作 人間とは、という単純な定義を未来のアンドロイドと人間が共存する世界で定義し悩む。感情移入というキーワードが人間たる所以であることに違和感はなく、アンドロイドに感情移入するのが当然であると感じた。
単純なSFではなく、ある意味人間味の強い作品だった。
映画ブレードランナーの原作と知らずに読んでおり、映画はどのような作品になっているのかぜひ読んで見ようと思った。
Posted by ブクログ
第三次世界大戦後の荒廃した世界。多くの人類は火星に移住しており、地球はわずかな人々と荒廃した都市が残されている。火星で労働力として雇われていたアンドロイドは人類に反抗、脱走し地球に逃亡してきている。主人公はこの感情や倫理観が欠落しているアンドロイドを狩るバウンティハンターとして生計を立てており、最新鋭のネクサス6型と呼ばれるアンドロイドを4体狩るように依頼されるところから物語が始まる。
アンドロイドとは何か、そして人間とは何かをテーマにしたSF小説。地球は放射線に汚染されており、動植物の多くは絶滅しており、生きた動物は富の象徴であると同時に人間らしさや倫理の証明とされており、動物、そしてアンドロイドに共感できるのか、アンドロイドに共感する自分は本当に人間なのか、複雑な葛藤を描く作品。1968年の作品ながらAI最盛の今読んでも考えられる名著。
Posted by ブクログ
主人公のリックがバウンティ・ハンターを職としている設定から華氏451度に近い物を感じる。
ただ世界観が丸で違う...著者が哲学を体現するために用意したような世界。
一番の違和感は最後に三人のアンディーを処理する場面かな。リックやイジドアの心理を描写する場面が長いのに対して、クライマックスに当たるであろう箇所が異常に短い。
恐らくアンディーに対してリックが抱く感情はそこまで、深堀りたくなかったんじゃないかなと思う。やっぱりアンディーが論理的に動いているだけだ。というのを徹底している。それがまたゲームの『デトロイト・ビカムヒューマン』や映画の『アイロボット』と珍しい不気味さを感じる。イジドアの利口すぎるっていうセリフが適切。
結局マーサはなんだったのか。人間性や生命に関するテーマが強いから、それと関連する宗教を取り入れたかったのか。
共感ボックスの存在が複雑で疑問が募る。
Posted by ブクログ
映画版はもっと大都会の中のハードボイルドな映画でしたが、原作はもっと荒廃した空気の中、こうるさい奥さんを持った「本物の生き物」が欲しい、どこか小物感ただようデッカードで、かなり印象が違いました。
作品通してアンドロイド(もの)と人間の境界をひっくり返そうといろいろ思考していたような印象でしたがディック作品は全体的にそういうテーマなんでしょうか?
映画版ではばっさり無くなってたマーサー教とバスター・フレンドリーショーについてもどう考えればいいのか。気になるところ
Posted by ブクログ
以前から読もう読もうとして先延ばしになっていた本作。正月休みを利用して読みました。ちなみに、この本が原作となった映画「ブレードランナー」も録画はしてるけどまだ観ていないので、逆先入観なく読みました。
結論、予想以上に“よかった”です。おろしれーっ!っていうより、いや、よかったこれ、なんか得した気分、なほうの“よかった”です。
独特な雰囲気に最初は雰囲気先行ちりばめ乱発うやむや逃げ切り型かと危惧しましたが、しっかり情緒的エンディングまで持ってってくれました。他の作品も散発的に読んでみたくなりました(あ、トータルリコールも、そうなんだ)が、まずは録りためた映画(確かディレクターズカット版)から観て追体験してみようと思います。
Posted by ブクログ
やっと読み終ったー!!!
最初は難しいかな?と思ってたけど2体目のアンドロイド殺しからずっとワクワクしっぱなしだった。この話をこの時代に書いてるの、どうやって!??SF特有の謎アイテムとか想像できなかったけど、だんだん世界観に没入してた。
名作と言われるだけあるなとしみじみ。
Posted by ブクログ
人間とアンドロイドの違いは何か考えさせられる本だった。親切であれば人間とアンドロイドの形式上の区別に関わらず全て本物なのか?親切は演技できるしプログラムできる。社会的に要求もされる。だから親切=人間性とは言えないと感じる。
Posted by ブクログ
ぼくは何者なのか。
他人を、あれこれ推し計る手っ取り早い取っ掛かりの一例として年齢があるだろう。ぼくはこの年齢について訊かれることが大嫌い。経験上、ぼくの年齢を訊きだした後のセリフは「若いですね」もう毎度毎度…。若く見えるなら、それでいいじゃない。そのままの印象で。実年齢と比較して、それ自体、尋ねたあなたの主観、先入観での反応に過ぎないのだから。ぼくの…ひとの本質は年齢では計れない。そもそも、さしてぼくのこと、興味なんてないくせに。
他人に興味を持つって、どんな心理なのだろうか。そんなとき、ぼくはきっとそのひとのこと、好意を持った瞬間だろう。だとしても、手掛かりとしての年齢は、むしろずっと後になってから、だと思う。できれば訊かずに、いずれ何かの折に知る程度がちょうどいい。先にも書いた通り、具体的な情報としての年齢は、先入観を生む。端から決めてかかるようで、おもしろくないと思うのだ。
本質を見誤ることは、想像以上に軽くない。誤解や齟齬を生み、危機を招きかねない。先入観がやっかいなところで、経験が裏目に出てしまう。
客観的な判断基準も、その精度次第では無意味だ。最後は直感…その答えが、許されるものであるならば。ここまでくると神経戦。
難しく考えることは、いくらでもできるものだ。
つねに選択を求められる。何を信じてよいのやら。あきれて匙を投げるも、また結構なこと。
いのち賭けなら、なおのこと。
アンドロイドが、あまりにも不憫でした。
生きたい、自由になりたい。
望むものは、人間と変わらないのに。
たった数年の寿命なら、高度な知性など不要でしたね。処分する側からみても、その先の人生の長さを思うと、やりきれなかった。互いに本質を見誤り、それでもなお、生きるという意味。アンドロイドと人間の別なく、生への希求こそ、命の本質なのでしょう。
Posted by ブクログ
タイトルだけ知っていてずっと読んでみたかった本
何度か冒頭部分から読み進めていたけどいつも途中で飽きてしまいなかなか読めなかった
年末年始で読み切ろう!と気合を入れて何とか1/3くらいまで読むとどんどん物語の世界にハマっていってそのあとは一気読みできた
なんでかな〜と考えたときに自分のなかでヒューマノイドってどんなものなのか想像できなかったからだと思った 物語が進むにつれてヒューマノイドと人間の境が曖昧になってきたときやっと(人間として)少し理解できた気がした
何が生物を生物らしくしているのか
限りなく生物に寄せて造られた機械と何が違うのか、違わないのか...
元旦からいっぱい考えさせられた(笑)
Posted by ブクログ
まだまだ洋書?の初心者なので中々登場人物の相関図を理解するのに慣れなかった、、カタカナの名前はまだ馴染みがない、、
しかし非常に面白かった。
最初はアンドロイドを処理するために狩をするリック。しかし次第にアンドロイドの感性、人間の感性に触れ合っていく内に人間とアンドロイドの違いは何なのか、どうしたらよいのか悩みながらもたどり着いた先に得たリックの思い。
それぞれの国の時代背景なんかも知っているとより面白く感じれるのかなぁ、、
Posted by ブクログ
ディストピアSF小説の金字塔
映画『ブレードランナー』の原作。
有名すぎて読んでないという類のやつ。
映画はめっちゃ好きで何度見たっていい。2049の方も何度見てもいい。
翻訳なので読むのに苦労するかと思ったが、特別そういうことはなかった。
認識をずっと問われている。
人間とはなにか。コーヒーを飲むから人間なのか。酒に酔うのがそうか。動物を愛する心があるのがか。それとも金銭的価値を見出すのが人間か。
最序盤、妻との生活が陰鬱な雰囲気から始まる。
妻が人間なのかも疑う。彼女は宗教にハマり、閉じこもりがちだった。
それがずっと通底に流れてる。
いろんなことが同時進行に起きる。
動物病院で働く「マル特」のイジドア。
テレビのショー番組。
警察の動向。
逃げ出したアンドロイドの行方。
アンドロイドに銃で撃たれたというバウンディーハンターの同僚は入院中。
AI勃興の今こそ読むべしとか書く人もいるだろうけど、普通に小説として、完成されたものなので、今とかでもなく、しばらくずっと読み継がれていくものなのだろうな、と思った。
Posted by ブクログ
人間とアンドロイドとの違いは感情移入するかどうか、というのは面白い。でも、感情移入するようにプログラムされたら、区別つかなくなるのだろうか。最近生成AIを使う機会が増えたけど、「それは大変でしたね」とか人に相談した時より、優しく答えてくれるんだよなぁ。ずいぶん前に書かれた本作だが、現代でも充分面白い。公衆映話だけは、「そんな風には発達しなかったよー」とツッコミたくなった。
Posted by ブクログ
環境汚染が進み、灰の雨が舞い生物が生きられなくなってきている地球。動物や虫までもが命を失い、ほとんどが人口物と化しているため命ある動物の希少価値もかなり高くなっている。そんな中、アンドロイド狩りのリックは火星から逃げてきたアンドロイド狩りをおこなうが、アンドロイドの製作技術も発展しており、もはや人間とアンドロイドの区別をつけるのも難しいほど。
最終、アンドロイドと人間の境界線とは何かわからなくなり、リックにとっても何が正しいのかもわからなくなる。。
私はあとがきのフィリップ・K・ディックが「人間とアンドロイドの境界線とは”親切心である”」と語っている言葉がとても好きで、この物語でディックが伝えたかったことはこれに尽きるなと感じた。
Posted by ブクログ
抜群のスピード感と心理戦 世界が放射能で包まれ、虫や動物を含む人間以外のほとかの生物が死滅した未来。生きた動物は非常に高価であり、生き物を飼うことはステータスのひとつであった。
警察組織のひとつで賞金稼ぎのリック・デッカードは本物の動物を手に入れる為、高額な懸賞金がかけられたアンドロイドを破壊する。映画「ブレードランナー」原作。
サイバーパンクSFの元祖。濡れたアスファルトにネオンが反射する荒廃した街は妖しく、美しい。
スピード感があり、心理戦がゾクゾクする。なぜアンドロイドを破壊しなければいけないのか、自分自身もアンドロイドではないのか。そんな想いが交錯する。
「どこへ行こうと、人間はまちがったことをするめぐり合わせになる。それが…おのれの本質にもとる行為をいやいやさせられるのが人生の基本条件じゃ」 ーp234
カッコいい文章ですね。
Posted by ブクログ
今まで人間だった存在がアンドロイドと分かった途端に、「彼」から「それ」へと表現が変わるのが興味深いです‼︎原書で読んでみたくなりますね〜! アンドロイドと人間を識別する尺度として、物事への感情移入度が使われているのも面白いと思いました! この作品に登場するアンドロイド達はとても人間っぽく描かれているので、感情移入度検査で彼らがアンドロイドだと判明する度に驚き、同時に人間とは…?とどんどん疑心暗鬼な気持ちになっていきます笑 昔に書かれた小説ながら、現代でも十分通用すると思いました!
匿名
ディストピアの不思議な世界観と、生物に対する哲学的な命題を扱った作品。
人間とアンドロイドの境界はどこにあるのか。
読み終えてから他人の考察や書評が気になるテーマだった。
読後も考えさせられる作品が好きな読者にオススメしたい!
人間とは?
初めは見たことの無い用語に面食らってなかなか読む気が起きなかったけれど、中盤から一気に面白くなり、夢中で読みました。
人間とアンドロイドの境目とは?単に感情あるなし、だけになるのか?
結局マーサー教とは何だったのだろうか。
エンターテイメント性もありつつ考えさせられる小説で、素直に面白かったです!
Posted by ブクログ
再読。
学生時代に読んで、SFに対して苦手意識を持った数冊のうちの一冊。
SFに慣れてきたのでそろそろ読めるだろうと思っていた。
なんとなく覚えている部分と、全く覚えていない部分とまちまちあったが、序盤は楽しく読めた。
しかし、中盤から終盤にかけてのマーサー教のあたりから、やはり苦しくなってきた。
でも、学生時代に比べれば割と読めたと思う。
ある程度の想像力と比喩の具現化みたいな力を持っていたらもっと面白く読めたかも。
ブレードランナー見てからの方が面白く読めたのかな。
Posted by ブクログ
タイトルは知っていたのでずっと気になっていた小説。
翻訳ものもSFも苦手で少しハードルが高いような気がしていたけど、読んでみると出だしから引き込まれた。SF的世界観の解像度が好きだった。奇抜な発想が、物語の世界では当たり前のこととして土台となっている。
これが50年以上前に書かれたのか……。
同調オルガンのくだりが好きだ。レイチェルにフォークト=カンプフ検査をするところが面白かった。80ページくらいまでが特に好きな文が多くて、読んでいて楽しかった。
終わりの展開がもうちょっと欲しかったなあと思った。最後にドカンとあるんじゃないかと期待しすぎたかな。
イジドアパートもあんまり活かされていなかったように感じる。絶対もっと面白くできたでしょー!!とちょっと悔しい。
映画『ブレードランナー』原作、と裏のあらすじにも書かれているが、全然別物らしい。いつか見てみます。
Posted by ブクログ
再読。前回読んだときは、評判の割にあんまりパッとしないなって印象だったけど、「まだ人間じゃない」が気に入ったから、やっぱディックはちゃんと読んでおかないとってことで再チャレンジ。
<最終世界大戦>のため放射能灰が降り注ぎ、ほとんどの人間が植民星に移住し人口の激減した地球。本物の動物を手に入れるために、逃亡アンドロイド<ネクサス6型>を追跡するバウンティ・ハンター。わかりやすいプロットだけど、そこに本物と偽物という作者お得意のテーマを持ち込むことによって、「遊星からの物体X」的な緊張感と自分自身がアンドロイドかもしれないと悩む主人公っていう魅力的な設定が加わってる。自分がアンドロイドであることを知らなかったレイチェル・ローゼン、そのレイチェルと同じ外観のプリス・ストラットンを殺さなければならない主人公、4年間しか生きられないアンドロイドというのも、いい設定だな。レイチェルを愛してしまい、彼女が死ぬまで一緒に生きようかと考えるところなんておいしいよなあ。なんかこう考えてくると「ゾンビーハンター」なみのSF魂をくすぐる魅力的な設定。ただこの設定から想像するような話ではないし、あっちに比べるとエンタテインメントとしての突っ込みは全体的に弱い。その分こっちはちょっと哲学的ではあるけど。ロイ・ベイティーがあんなにあっさりやられちゃダメでしょ。プリスがクモの足を切り落とし始めたときの不気味さをもっとうまく生かすべきだったよな。
電気羊はアンドロイドのメタファーなんだろうか?そう考えるとこの題名はなかなか深い。イジドアが住んでるビルの空虚さは、なんだかディックの晩年の生活の寂しさを暗示しているように感じられるのは気のせいか。適格者(レギュラー)と特殊者(スペシャル)に関しても深読みしようと思えばできるだろうし。これに比べると「ブレードランナー」はやっぱりハリウッド的だったってことか。
情調オルガンとか、無指向性ペンフィールド神経波発信機とか、照準と引き金の回路が別になったレーザー銃とか、チープな小道具がいかにも作者らしい。<共感ボックス>が電脳空間の元ネタであることは間違いなさそうだし。後は<マーサ教>が何を象徴しているかだな。そういえば、イジドアのアパートでデッカードの前に現れたマーサーは何だったんだろう。話の流れからすると実際にいたわけでしょ、どう考えても。アンドロイドたちを廃棄したあとの荒野でのデッカードの体験も意味ありげなんだけど、何を意味しているのかはいまいちわからん。
イジドアがあっさりと時間逆行能力を持ってたりとか、テレビとラジオで1日46時間しゃべり続けるバスター・フレンドリーとか、塵芥をキップルと言ったりとか細かいガジェットがSF魂をくすぐるんだけど。残念。これをおもしろがれないとSF者としてはまだまだなのかな?「闇の左手」のときももそうだったけど、俺ってもっとチープなSFが好きで、文学的なのはダメなのかな。でも、そうかといって「スタータイド・ライジング」や「パーンの竜騎士」みたいなのもダメなんだけどな。
Posted by ブクログ
アンドロイドは電気羊の夢を見ない… よね? でもきっと、黒山羊の夢は見るだろう。人間とその世界の仲間=自分たちアンドロイドとは相容れないモノとして。だから、それらの存在を消して(命を奪って)も何とも思わない。
「100%は解らなかったなぁー」と字幕のない映画を観終わって思うソレ。日本語訳で読んでいるのに、どこか未消化な感じが止まない。また、長編とされるのに、彼らの日常のうち数日を切り取っただけのようなストーリーだからなのか、ほんの少しだけ読んだような後味。