あらすじ
第三次大戦後、放射能灰に汚された地球では生きた動物を持っているかどうかが地位の象徴になっていた。人工の電気羊しか飼えないリックは、かくて火星から逃亡した〈奴隷〉アンドロイド八人の首にかかった賞金を狙って、決死の狩りを始めた! 現代SFの旗手が斬新な着想と華麗な筆致で描く悪夢の未来世界!
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Posted by ブクログ
SF小説というと、独特の世界観を理解するのに
苦労するんだけど、
これはブレードランナーを映像で見て
あらすじが頭に入ってるからなのか
すっと本の中身に入っていけた。
想像したよりも読みやすくて、面白い。
GPT 4は寄り添った会話をしてくれたが
GPT 5は冷たい、なんていう会話がなされる
生成AIが登場した現代の目線で読むと
共感・感情移入が人間特有のものという主張について
考えさせられる。
Posted by ブクログ
もし唐突に自分がアンドロイドだと告げられた時、またはアンドロイドだと気づいてしまった時自分はどういう反応をするだろうか。或いはこの命題は自分が人間だから行えるもので、アンドロイドはこんな思索も行わない機械に過ぎないのか。
人間らしい人間。人間らしいアンドロイド。アンドロイドらしい人間。アンドロイドらしいアンドロイド。
リックデッカードははじめ、人間とアンドロイドは相容れない物として、簡単に引金を引ける存在だと断言していた。しかし、物語が進むにつれて、考えに確信がもたなくなっていった。死ぬ前に、ムンクの画集を買いたいと言った者、彼が一夜を共にした者、色んなアンドロイドがいた。人間でも、人間らしいアンドロイドに対して簡単に引き金を引ける者だっている。現代でも、自立アンドロイドがいなくても、かなり共感できるテーマ。
読み終わった時の喪失感が忘れられなくて、その感覚に囚われたまま感想を打ってる。デッカードが人間とアンドロイドの差異を見て、残りの賞金首を捕まえに行った時の苦しみは測りきれないだろう。今や、単なる廃棄処理では無く、殺人と変わりなかったと思う。
最後のデッカードが持って帰ってきた電気蛙を大切にしようとするらイーランの描写がとても印象的だった。今までの電気動物に対する感情を見てきたからこそ、この夫婦が共にアンドロイドへの認識を改めるシーンのカタルシスが凄かった。
この本が傑作だと言われていることがわかった。
本当に面白かった。
Posted by ブクログ
面白い。
古いSFですが作者の主題は「人間」そのものです。
人類としての生存と命の存続を描くSFではなく、
アンドロイドを、「精神的に孤立する人」として描き、
同じ種族なのに「共感」がわからないという特徴があります。
排除される理由はそれだけ。
灰が降る惑星となった地球で人類は生き永らえようとするも、少しずつ種全体が衰えてきます。選択したのは「火星への移住」。多くの人間がそうであるように移住には不安がつきまとう。政府が用意したのは『アンドロイドを一体プレゼント』という破格の条件。大勢の人類が移住を決めた。
物語は、移住が叶わず残された人類が住む地球。「マーサー教」を信仰し生活を続ける。マーサーは岩山を登り続ける老人である。
人々は共感機械を通して、皆がその老人の中に入ることができる。そして老人の中で、人類は感情を共有することができる。
人類は「他人と共感することができる」のである。
そしてアンドロイドは言う。
我々は共感ができないという壁がある。
だから火星では何も与えられない。
だから、地球へ向かう。
どんでん返しではないですが、二転三転する展開に緊張感は最後まで続きます。
自分がアンドロイドなのかと疑う警官は、やがて疲れ果てる。
がそれでも歩みを止められない。
Posted by ブクログ
とても面白かったです。
登場人物が人間なのか、アンドロイドなのか、度々ぐらつきます。生き物なのか、そうでないのか。
読んでいて、アンドロイドにも、優しさを期待したくなっていました。けど、その期待は裏切られる一方で、人間にも裏切られることはあるなぁと思って、読んでいて色々とぐらつきます。
本作品は、SF特有の世界を表現するための説明描写は少なく感じました。この作品の面白さは、トリックどうのこうのという話ではなく、人間とアンドロイドの違いは何なのか?物語を通じて常に問われる緊張感というか、不安にあると思います。
人にもアンドロイドにも優しくしちゃうし、ブレブレで、その狭間で苦しんでしまうのが、人間らしく好きですね。それで良いんだと思います。
Posted by ブクログ
かなり面白い。不法なアンドロイドを処理する仕事をしている主人公が、処理すべきアンドロイドに惹かれたり、逆に、嫌悪感を抱いた人間をアンドロイドだと疑ってかかったりする様子には、何か考えさせられるものがある。
仮に完璧なアンドロイドが存在したら、人間との違いはなんだろうか?それを見分けることはできるのか?この本を読んで色々思案してみるのも楽しいと思う。
Posted by ブクログ
何度も挫折してしまったがついに読み終えたので達成感を感じている。アンドロイドは人とは違ったものだと思っていたが、ほとんど人と変わらない感情移入の差異だけのアンドロイドは果たして人間と何が違うのだろうか。非常に考えさせられる物語だった。
Posted by ブクログ
50年くらい前のSF作品にもかかわらず、細部の設定から物語の枠組みまでが古びておらず現代においても問題なく楽しめることが驚愕です。アクションに重点があるかと思いきや、主人公を通して描かれる人間性に対する深い考察や心理描写、生命への愛が読みどころでした。
Posted by ブクログ
初めてSFを読んだ。誰でも親切心(人間性)と残酷さ(アンドロイド性)を持っている。親切心こそが人間を人間たらしめる。人間性を養うためには、感情移入する力が必要だ。そのために、今後も読書などを通して自分の感性を磨いていこうと思う。
Posted by ブクログ
AIが身近になった今、年を経ることで得られるものが増える名作中の名作。最序盤を越せば驚くほどすらすらと読める。
AIと人との違いは何か?我々人間が手放してはいけないものは何か?
「AIの方が頭がいい」と考える全ての人に贈りたい。
Posted by ブクログ
ここまで真摯に「人間性とは何か」を追求した作品は他にあるのかと思うほど引き込まれた。
アンドロイドはただの機械ではなく、むしろ“心を閉ざした人間”の比喩として描かれているようにも感じる。
人間らしさとは、他者への共感や思いやりを持つことなのだと改めて突きつけられた。
AIが広まりつつある今だからこそ、この作品はよりリアルに響いてくる。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白かった
何が人間たらしめるか、生命を考えること
重苦しい描写がすごく伝わってきてそこにいるみたいだった
何回でも読み直すと思う、教科書みたいに
Posted by ブクログ
人間とアンドロイドの境界はなにか?を非常に考えさせられる面白い作品だった。
これに対して本作では、他の生き物に対する共感性と定義している。
しかし主人公リックは動物を買うために、賞金のかかった人間そっくりのアンドロイドを冷酷に感じながらも殺していく。
この矛盾に対して自分がアンドロイドじゃないのかと自身に疑いをかける場面が印象的だった。
人間とアンドロイド、双方が人間性、アンドロイド性が混在しており、何が人間を人間と決定づけるのかを考えさせられた。
タイトルもこの作品にピッタリだと思った。
人間とは
独特な世界観で語られ始める本作。
慣れてきたと思い始めた矢先に怒涛の展開が待ち受けていて最後まで飽きさせない。
アンドロイドと人間の境界が曖昧になっていく中で、人間足りうるものが何なのか。
私は『慈しむ心』ではないかと感じた。
だからあの終わり方なのだと。
訳者あとがきでは、この難解な作品を紐解くための手助けをしてもらえているようだった。
作者の意図の多くを汲み取れなかったであろう私でも、その一端に触れることができて助かりました。
Posted by ブクログ
まだまだ洋書?の初心者なので中々登場人物の相関図を理解するのに慣れなかった、、カタカナの名前はまだ馴染みがない、、
しかし非常に面白かった。
最初はアンドロイドを処理するために狩をするリック。しかし次第にアンドロイドの感性、人間の感性に触れ合っていく内に人間とアンドロイドの違いは何なのか、どうしたらよいのか悩みながらもたどり着いた先に得たリックの思い。
それぞれの国の時代背景なんかも知っているとより面白く感じれるのかなぁ、、
Posted by ブクログ
ディストピアSF小説の金字塔
映画『ブレードランナー』の原作。
有名すぎて読んでないという類のやつ。
映画はめっちゃ好きで何度見たっていい。2049の方も何度見てもいい。
翻訳なので読むのに苦労するかと思ったが、特別そういうことはなかった。
認識をずっと問われている。
人間とはなにか。コーヒーを飲むから人間なのか。酒に酔うのがそうか。動物を愛する心があるのがか。それとも金銭的価値を見出すのが人間か。
最序盤、妻との生活が陰鬱な雰囲気から始まる。
妻が人間なのかも疑う。彼女は宗教にハマり、閉じこもりがちだった。
それがずっと通底に流れてる。
いろんなことが同時進行に起きる。
動物病院で働く「マル特」のイジドア。
テレビのショー番組。
警察の動向。
逃げ出したアンドロイドの行方。
アンドロイドに銃で撃たれたというバウンディーハンターの同僚は入院中。
AI勃興の今こそ読むべしとか書く人もいるだろうけど、普通に小説として、完成されたものなので、今とかでもなく、しばらくずっと読み継がれていくものなのだろうな、と思った。
Posted by ブクログ
人間とアンドロイドとの違いは感情移入するかどうか、というのは面白い。でも、感情移入するようにプログラムされたら、区別つかなくなるのだろうか。最近生成AIを使う機会が増えたけど、「それは大変でしたね」とか人に相談した時より、優しく答えてくれるんだよなぁ。ずいぶん前に書かれた本作だが、現代でも充分面白い。公衆映話だけは、「そんな風には発達しなかったよー」とツッコミたくなった。
Posted by ブクログ
読み終えて、改めてタイトルがいいなと思った。人間とアンドロイドの境界線は何なのか?これから加速していくAI社会にも通ずる哲学的問いがあったように思う。
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【個人メモ・感想】
SFが苦手な理由として、設定が独特過ぎて世界観に入っていけないというのがある。この作品も最初そうだったが、登場人物などの固有名詞をメモすることで徐々に世界観が分かってきて読み進めることができた。次に読み進めにくい本に出会ったときは、このメモしまくり方式でいこう。
例えばアンドロイドが次のアンドロイドを生み出すという流れが確立され、次第にアンドロイドが増殖されてゆけば、外形的にはそれはもう生命なのではないか?と思った。アンドロイドが生存・増殖のために、資源の確保やテクノロジーの進化をオートマティックに行えるとしたら。太陽系外に知的生命体から見たら、きっと立派な生き物だと思うだろう。
イジドア君の献身がただ辛い。また、クモの足の描写は顔をしかめながら読んだ。
荒廃した世界の孤独とはどんなものなのか。
科学技術の進んだ設定だけど、『交換手』や『ホバーカーの窓を"巻き上げる"』という表現が発行時の時代感が出ててよかった。
この物語すべてが1日の出来事。デッカード夫婦は、蓄積された抑鬱や不安を生命体ではない一匹の電気ヒキガエルに救われた。
本を読んでいくことの事の恐怖。
本を読む前はその文章の中に、得体のしれない世界やこの世の真理や神秘のようなものが隠れているのではないかと、宇宙空間に放り出されたり深海に溺れていくような体験をするのではないかと恐れのようなものを感じることが多い。しかし読み終わってみると(自分が文章の多くを正しく理解できているとは思わないが)、全体像が見えてそれが自分が想像していた果てしないものではなく、少なくとも自分の理解が追いつく物理法則の元の物語だったのだとそれに残念とまで言わないが少し拍子抜けの感覚を覚えることがある。たくさん本を読んでいる人は、世界が自分の手に届く半径に収まってしまう事を怖く思ったりいないのだろうか。
人間の想像力の可能性。理解が出来るということは、人間の想像力から生み出される神秘を超えることは出来ないのではないか。
p30.
世界が自分以外の適格者(レギュラー)ためにあると気づき、その中で生きることの恐怖。
p79.
アンドロイドの識別法が、今の感覚からすると少しアナログだなと思った。
p115.
『原子力電池』当書発行から半世紀後の今も一般には使われていないな。
p183.
検査の結果、フィル・レッシュが人間と判明したが、そうなるとp165のガーランド警視が3年前から上司だったというレッシュの証言はおかしくないか?
p228.
抑鬱がアンドロイドへの同情心に関係する?
p234.
『(マーサー)老人が言った。「どこへ行こうと、人間は間違ったことをする巡り合わせになる。それがーーおのれの本質にもとる行為をいやいやさせられるのが、人生の基本条件じゃ。」』
p274.
バスター・フレンドリーが、マーサー教についてすっぱ抜きを行ったが、それが撮影されたものだとかマーサーは演者だったとかは人間にとってどうでもいい事では?と思った。同じ感覚を体験(エンパシー?)出来ることや孤独感を拭えることが人間にとって大切な役割なのでは?アンドロイドに理解ができないものだった?
p278.
マーサー教の墓穴世界の描写が、ジブリみたいだと思った。
p317.
『ときには、正しいことよりも間違ったことをするほうがいい場合もある。』
p322.(あとがき)
『合理的な解決のないままに終わる結末』個人的な感覚としては、大体の物語はそうではないか?と思った。自分にとって物語を見る新しい観点。
p327.(あとがき)
この作品(またはフィリップ・K・ディック)は、どれほど親切かという点で人間もアンドロイドも区別はしていないとの事。アンドロイドは電気羊の夢を見るし、不遇から逃れたいと感じる。そういう点が、他のサイバーパンクSFとは一線を画しているそう。
【登場人物など固有名詞のメモ】
リック・デッカード ー主人公、賞金稼ぎ(警察?)
イーラン ーリックの妻
グルーチョ ーリックが飼っていた羊
ペンフィールド発生機 ー気分を操る機械?
バスター・フレンドリー ーテレビやラジオの会社?通販なども。マーサー教を揶揄。
マウンティバンク ーエイジャックス型鉛製股袋の会社
アマンダ・ウェルナー ーバスター・フレンドリーのテレビやラジオに出演する女優
ビル・バーバー ーリックの住むコナプト(高層集合住宅)の住民
ジュディー ーバーバーの馬
フレッド・ウォッシュバーン ーバーバーの弟の勤め先の工場主
シドニー社 ー動物売買。動物の価格表がある。
マーサー教
共感ボックス ーマーサー教の装置?
ウィルバー・マーサー ーマーサー教の教祖?老人。
マーサー夫妻 ーフランクとコーラ。ウィルバー・マーサーの養父母?
デイヴ・ホールデン ーリックと同地区の賞金稼ぎの元主任
ランド・コーポレーション ー国防省(ペンタゴン)の科学的奴隷?
ジョン・イジドア ー特殊者(スペシャル)。ピンボケ?
ヴァン・ネス動物病院 ーイジドアの勤め先
ハンニバル・スロート ーヴァン・ネス動物病院長
ミルト・ボログローヴ ーヴァン・ネス動物病院の従業員?
ハリイ・ブライアント警視 ーリックの上司
アン・マースティン ー秘書
ミス・ワイルド?
ネクサス6型脳ユニット ーローゼン協会製造
T14型脳 ーズーデルマン社製造
フオークト=カンプフ感情移入(エンパシー)度検査 ーソ連のパブロフ研究所で開発。T14型脳はこれで判別出来る。
マクレー医師 ー電気動物の製造者
●マックス・ポロコフ ーネクサス6型脳ユニット搭載のアンドロイド。デイヴ・ホールデンを出し抜いた。ベイ・エリア清掃公社勤務。
○レイチェル・ローゼン ーエルドン・ローゼンの姪。ネクサス6型脳のアンドロイド。
エルドン・ローゼン ーレイチェル・ローゼンの叔父?
プロキシマ ー移住に失敗した星?宇宙船サラマンダー3号で向かっていた?(p.68)
サンドール・カダリイ ー世界警察機構所属(WPO)のソ連の刑事を装ったポロコフ。
●ルーバ・ラフト ーアンドロイドの2体目。女性。オペラ歌手。ドイツ生まれ。
ハンター武器や道具 ーp115
クラムズ巡査 ー巡査を装ったアンドロイド。
●ガーランド警視 ーアンドロイド。
フィル・レッシュ ーアンドロイドに雇われた賞金稼ぎ。
ジョージ・グリースン ーレッシュの同僚の賞金稼ぎ。
●プリス・ストラットン ーイジドアのコナプトに移住してきたアンドロイド。最初レイチェル・ローゼンと名乗る。
○ハスキング ーアンドロイド?
●ロイ・ベイティー ーアンドロイド。火星で薬局を営んでいた。
●アームガード・ベイティー ーアンドロイド。ロイ・ベイティーの妻。
ホルスト・ハートマン ー火星で切手屋を営んでいた。
●アンダーズ ーホールデンに最初に殺されたアンドロイド。
●ギッチェル ーホールデンに最初に殺されたアンドロイド。
Posted by ブクログ
古いSFの名著ということで、気にはなっていた。
小難しかったり、世界観に入れなかったりしたらと思いおっかなびっくり読み始めたが、違和感はそれほどでもなかった。
生命観、倫理観、宗教観、様々な面で考えさせられて色々な読み方ができる、名著と言われるのがわかる良い本でした。
本筋ではないけれどキップルが増殖し、侵食してくるという表現が世界がゆっくり崩壊していく様をよく表していてとても良い。ふと静寂の中で気がつくと何かがゆっくり迫ってくるような感覚に似ている。
「ぼ、ぼくは、マルトクなんかじゃない。仕事だってある。勤務先は
Posted by ブクログ
むかし、中二病真っ盛りだった頃に読もうとしたものの難しくて挫折した一冊。ひとまず読み通すことができ、やり残した宿題を片付けられた気分です。
SFをほとんど通ってきていない(アルジャーノン、harmony、映画『her』くらい)ので、いつもと違って感想もむつかしい。ただ、本書で述べられている”人間とアンドロイドを分かつのは感情移入できるか否か”というのが面白かったですね〜。
もちろんアンドロイドだって、パターンを学習させればそれらしい行動はできるんだと思う。ただ、そこにどうしてもちぐはぐさが生まれてしまう。
人・ものへの親切や思いやり……そうしたものが、今のところは人間を人間たらしめているのでしょうね。
私は古い小説を読むことの方が多いので「これが○○年前の作品だなんて!」と感じることはあまりないのですが、本書が1968年に発表されたというのはさすがに驚きです。
大戦後”死の灰”が降る時代。数多くのゲームや映画で描かれるディストピア世界の原点はきっとここにあったのでしょうね。
対話型生成AIが一般的になったからこそ響く、「人間らしさとは?」の問い。半世紀以上経っても色あせることのない、読み応えのある一冊でした!
Posted by ブクログ
映画:ブレードランナーの原作で有名な作品
ようやく読みました。
やっぱり私の好きなSF感はこの雰囲気ですね〜。
未来的にも関わらず荒廃して暗い世界。
近年AIも発展してきて驚くべき進化を遂げています。なんならAIと話してるほうが親しみやすさを感じる場面もあり、ディック氏が描くこの世界観にも少し近づきつつあるのかなとも感じました。
AIが進化しているのではなく、人間も近年ここで描かれている共感性が欠如してきているのもあるかなと思ってます。(みんな最近冷たいよね)
Posted by ブクログ
ブレードランナーの原作、やっと読めた
ブレードランナーの世界観に惹かれてこの本読んでみたけど、本はaiと人間の違いについて問いかける結構内省的な話だった
1968年でこの概念生み出してんの感服
せっかくなのでブレードランナー再視聴します
Posted by ブクログ
裏表紙のあらすじだけを読むと、第三次大戦や電気羊、アンドロイドなどの単語からしてSFアクションの類の小説かと考えていたが、中盤から終盤にかけて哲学的な人間とアンドロイドの対比が提示される。
途中までは分からなかったこのタイトルの意味が、次第に腑に落ちていったように感じる。
「人間と機械の、その双方における、『人間』性および『アンドロイド』性の対立の構造」というあとがきにある文言で、作者がこの作品で表現したものが多少なりとも掴め、気持ちよく読み終えることができた。
Posted by ブクログ
人類の多くがアンドロイドを連れ添って火星へ逃れた中地球へ残った数少ない人間たち。
そんな地球へ逃げてくるアンドロイドを狩るバウンティハンターの苦悩と8人のアンドロイドの物語。
時にAndroidは人間らしい動作を見せ人はアンドロイドのように生きる。共感性を主題に投げかけられる人とアンドロイドとは。
Posted by ブクログ
環境汚染が進み、灰の雨が舞い生物が生きられなくなってきている地球。動物や虫までもが命を失い、ほとんどが人口物と化しているため命ある動物の希少価値もかなり高くなっている。そんな中、アンドロイド狩りのリックは火星から逃げてきたアンドロイド狩りをおこなうが、アンドロイドの製作技術も発展しており、もはや人間とアンドロイドの区別をつけるのも難しいほど。
最終、アンドロイドと人間の境界線とは何かわからなくなり、リックにとっても何が正しいのかもわからなくなる。。
私はあとがきのフィリップ・K・ディックが「人間とアンドロイドの境界線とは”親切心である”」と語っている言葉がとても好きで、この物語でディックが伝えたかったことはこれに尽きるなと感じた。
匿名
ディストピアの不思議な世界観と、生物に対する哲学的な命題を扱った作品。
人間とアンドロイドの境界はどこにあるのか。
読み終えてから他人の考察や書評が気になるテーマだった。
読後も考えさせられる作品が好きな読者にオススメしたい!
人間とは?
初めは見たことの無い用語に面食らってなかなか読む気が起きなかったけれど、中盤から一気に面白くなり、夢中で読みました。
人間とアンドロイドの境目とは?単に感情あるなし、だけになるのか?
結局マーサー教とは何だったのだろうか。
エンターテイメント性もありつつ考えさせられる小説で、素直に面白かったです!
Posted by ブクログ
再読。前回読んだときは、評判の割にあんまりパッとしないなって印象だったけど、「まだ人間じゃない」が気に入ったから、やっぱディックはちゃんと読んでおかないとってことで再チャレンジ。
<最終世界大戦>のため放射能灰が降り注ぎ、ほとんどの人間が植民星に移住し人口の激減した地球。本物の動物を手に入れるために、逃亡アンドロイド<ネクサス6型>を追跡するバウンティ・ハンター。わかりやすいプロットだけど、そこに本物と偽物という作者お得意のテーマを持ち込むことによって、「遊星からの物体X」的な緊張感と自分自身がアンドロイドかもしれないと悩む主人公っていう魅力的な設定が加わってる。自分がアンドロイドであることを知らなかったレイチェル・ローゼン、そのレイチェルと同じ外観のプリス・ストラットンを殺さなければならない主人公、4年間しか生きられないアンドロイドというのも、いい設定だな。レイチェルを愛してしまい、彼女が死ぬまで一緒に生きようかと考えるところなんておいしいよなあ。なんかこう考えてくると「ゾンビーハンター」なみのSF魂をくすぐる魅力的な設定。ただこの設定から想像するような話ではないし、あっちに比べるとエンタテインメントとしての突っ込みは全体的に弱い。その分こっちはちょっと哲学的ではあるけど。ロイ・ベイティーがあんなにあっさりやられちゃダメでしょ。プリスがクモの足を切り落とし始めたときの不気味さをもっとうまく生かすべきだったよな。
電気羊はアンドロイドのメタファーなんだろうか?そう考えるとこの題名はなかなか深い。イジドアが住んでるビルの空虚さは、なんだかディックの晩年の生活の寂しさを暗示しているように感じられるのは気のせいか。適格者(レギュラー)と特殊者(スペシャル)に関しても深読みしようと思えばできるだろうし。これに比べると「ブレードランナー」はやっぱりハリウッド的だったってことか。
情調オルガンとか、無指向性ペンフィールド神経波発信機とか、照準と引き金の回路が別になったレーザー銃とか、チープな小道具がいかにも作者らしい。<共感ボックス>が電脳空間の元ネタであることは間違いなさそうだし。後は<マーサ教>が何を象徴しているかだな。そういえば、イジドアのアパートでデッカードの前に現れたマーサーは何だったんだろう。話の流れからすると実際にいたわけでしょ、どう考えても。アンドロイドたちを廃棄したあとの荒野でのデッカードの体験も意味ありげなんだけど、何を意味しているのかはいまいちわからん。
イジドアがあっさりと時間逆行能力を持ってたりとか、テレビとラジオで1日46時間しゃべり続けるバスター・フレンドリーとか、塵芥をキップルと言ったりとか細かいガジェットがSF魂をくすぐるんだけど。残念。これをおもしろがれないとSF者としてはまだまだなのかな?「闇の左手」のときももそうだったけど、俺ってもっとチープなSFが好きで、文学的なのはダメなのかな。でも、そうかといって「スタータイド・ライジング」や「パーンの竜騎士」みたいなのもダメなんだけどな。
Posted by ブクログ
アンドロイドは電気羊の夢を見ない… よね? でもきっと、黒山羊の夢は見るだろう。人間とその世界の仲間=自分たちアンドロイドとは相容れないモノとして。だから、それらの存在を消して(命を奪って)も何とも思わない。
「100%は解らなかったなぁー」と字幕のない映画を観終わって思うソレ。日本語訳で読んでいるのに、どこか未消化な感じが止まない。また、長編とされるのに、彼らの日常のうち数日を切り取っただけのようなストーリーだからなのか、ほんの少しだけ読んだような後味。
Posted by ブクログ
第三次世界大戦後の荒廃した地球が舞台。
火星から逃げ出し地球に忍び込んだ一見人間とは見分けがつかないアンドロイドを取り締まる警察(賞金稼ぎ)の奮闘を描いたストーリー。
現代の技術の進歩は凄まじくAIによる生成物か人間による生成物かの判断がつかなくなってきている。この小説のように人間そっくりなロボットが発明されるのも遠い未来の話ではないかもしれない。
50年以上前にこの未来を想像していた作者の想像力には驚きだ。
Posted by ブクログ
人間とは一体何か?
この本の著者ディックは、人間とはどれほど親切であるか、だと説いている。つまり、アンドロイドであろうと、親切さを持ち合わせた者は人間であり、人間であろうと、冷酷さを持ち合わせた者はアンドロイドなのだ。
主人公のリックは、妻を愛し生き物の命を慈しむ本物の"人間"だが、アンドロイドの意識を奪うことに容赦はせず、その上にあろうことかアンドロイドと性行為にまで及ぶ描写もある。一体、人間とはなんなのか?
無駄のないシンプルな語り口が特徴的だが、それがまた何十年も前に描かれたとは思えないほどの鮮やかな近未来描写を映えさせていた。
映画も観てみたい。
Posted by ブクログ
アンドロイドと人間との差は
なんだろう
そんな問いかけをしているSF
作者は
人間にとっては感情移入が
最も大切な機能と考えていると
言っている
どんなに人間にそっくりにできていても
感情においては差が生じる
主人公はそこを狙って
移民先の人間を殺して逃げてきた
アンドロイドを探して処分する
いわゆる殺し屋
殺しを実行しながらも
アンドロイドへのなんとも言えない
感情が芽生えてしまう
そして恋までしてしまう
立派な動物を飼いたい
そんな願いを叶えるために
頑張って頑張って
アンドロイドを殺して
やっとヤギを買ったのだけれど‥
ここに出てくる人間は
人間らしく、人間くさく、
なんだかマヌケ
映画「ブレードランナー」の原作
でも映画は見てないけど‥
Posted by ブクログ
難しくてあまり入り込めなかった。
1968年でこれを生み出したのは素直に感服する。
あとがきが解説のようになっているので、分からなかった人も深く理解できるはず。