フィリップ・K・ディックのレビュー一覧
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〈ヴァリス〉三部作の第二弾。
難解な神学談義が続いた前作に比べ、まずSFとしてストーリーを楽しめたのが大きい。辺境惑星、冷凍生命停止、巨大人工知能システム、飛行タクシー、スマホ(のような端末)などが存在する未来世界の中での、『覚醒』をめぐる宗教的・スピリチャル的な物語。難しそうに思えるテーマだが、文章も読みやすく、筋運びそのものが素直に面白かったといえる。その上で、聖書の世界観を通じて語られる「世界」「神」「人」などについての論議は学ぶことが多く、たくさんのメモを取りながら読むことになった。自分はやはり知識が追いつかないところもあったが、聖書に興味がわき読みたくなったことがかえって嬉しい。
さ -
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「地図にない町」を含むファンタジー色の少し強い短編集。ファンタジー色が強いとは言っても、日常に感じた違和感に対して自分が狂っているのでは?と疑問を抱かせる描き方はディックそのものです。足元から揺らいでしまう不安感がたまらないです。
風変わりなところでは「妖精の王」、「欠陥ビーバー」(冴えないビーバーが主人公の寓話なのです!)。印象的なのは「宇宙の死者」急速冷凍された遺体が半生者となっているという設定など「ユービック』に通じる不気味なものがあります。子供の教育を扱ったものや、人工妊娠中絶を扱って炎上した表題作など、作品に現代が追いついてきた感がある作品集です。コロナで隔絶された日常をディックが -
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Posted by ブクログ
ネタバレめちゃくちゃ難解なカルト小説だった。チャットのグループの読書会で皆で考察し合えたのが楽しかった。自分の考察を書いておきます(正しいか間違えてるかは置いといて)。登場人物皆狂ってますが色んな解釈ができて楽しめる作品です。読むのキツいですけど。
ヴァリスとは生きた情報システムであり、時間の概念を持たず色んな時代、空間を行き来できるものだと思っています。時間だけでなく空間も存在しないとは、色んな場所を行き来できるということだと解釈しました。
個人的に思うことだけどファットによる世界の考察は割と始めに集約されていると思う。
この世界全体は非理性で構成されており、理性的なものはヴァリスだけ。多分我々 -
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2023/10/3再読
読み返してみて今回印象深いのは「聖なる争い」。
大統領の役割は情報分析し判断するコンピューターシステムが代替している。どうしてそのような判断が下されたかは人間側はわからない。敵が攻めてきているとの判断がくだされ一気に戦争状態になってしまうのを止めようとするFBI とコンピューターエンジニア。まるで現代の生成AIによる問題を予言しているかのようではないですか。この短編集にはある物をとんでもない物に代替させその存在価値を突き詰めて考えさせる作品が多く集められています。でもよく考えると今所属している社会にとっての価値であって、その社会そのものが正しいものかはわからないし保証も -
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火星や金星に殖民するため、国連によって地球を追われ、過酷な環境下に強制移住させられた人々にとって、ドラッグ・キャンDは必需品であった。キャンDは目の前の模型セットに精神を投影させ、あたかも地球に居るかのごとくトリップすることができるのだ。P・P・レイアウト社の社長レオ・ビュレロは、流行予測コンサルタントとして働く優秀な予知能力者(プレコグ)バーニイ・メイヤスンらとともに順調にキャンDを売りさばいていたが、懸念すべきニュースが舞い込む。遥かプロキシマ星系から、謎の星間実業家パーマー・エルドリッチが新種のドラッグ・チューZを携えて太陽系に帰還したのだ!レオはパーマー・エルドリッチに対抗すべくバーニ
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ネタバレ新聞の懸賞クイズ「火星人はどこに?」に2年連続で勝ち続け、クイズの賞金で生計を立てているレイグル・ガム。片田舎の小さいのどかな町で、妹夫婦と共に穏やかな日々を送っているガムは、しばしば自分を取り囲む現実が「現実ではない」という感覚に囚われていた。ある日、甥っ子が遺棄された空き地から拾ってきた古びた電話帳と古雑誌。電話帳に掲載された電話番号はどこにも繋がらず、雑誌のグラビアでは見知らぬ女優について報道されていた。疑惑を確信に変えたガムは、クイズを始めてから一度も出たことの無い町を出て真相を確認しようとする。彼の動きを監視するかのように振る舞う隣家の夫婦、何かを知っているらしい市民活動家の老婦人・
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ディックの諸作品はどれも印象的なタイトルだ。「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」や「ユービック」など、どれもインパクトのあるタイトル。そんな中で「火星のタイムスリップ」というある意味ベタなタイトルのこの作品。黒の背景にスタイリッシュなデザインを施した新装版ラインナップにもなかなか入ってこず、どうなのかと思ってました。
が、陳腐なタイトルにだまされてはいけない。傑作!
なんだ、この不安でいっぱいの居心地の悪さにもかかわらず、どうしても読んでしまうこの感覚。まるで本にとり憑かれてしまうようです。
ヤク中の変なおっさんなんて思っててごめん。ディック恐るべし!
この秋はディック祭りだな。 -
購入済み
壮大な悪夢
こんな未来には住みたくない!と思わされるような陰鬱な惑星植民地にもたらされる違法ドラッグ!という感じの、とても40年以上前の作品とは思えない面白さ!とはいえディック濃度200%なので、『ブレードランナー』くらいのつもりで読むと面食らうかも。
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ネタバレ人類の植民が進みつつある火星。圧倒的な水不足を背景に絶大な権力を持つ水利組合の長アーニイ・コットは、火星の開発計画に伴う利権争いに出遅れ、地球の資産家達に先を越されてしまう。損失を取り返さんと憤怒に燃えるアーニイが目を付けたのは、常人と異なる時間感覚を有しているらしい自閉症の少年マンフレッドだった。マンフレッドの能力を利用して過去の改変を図るアーニイ、他者とコミュニケーションを取ることが全く出来ないマンフレッド、マンフレッドと意思疎通するための機械の開発をアーニイに命じられる技師のジャック、三者の異なる思惑が、火星の運命を思いがけぬ方向へと導いていくことになるが・・・。
うひゃー、やられた。 -
Posted by ブクログ
ディックの中で一番好きな話です。今回新装版になっていたので再購入。
これはディックが友達への思いを込めて書いているのだと思います。
悲劇的、アンハッピーエンドとされることが多いようですが
あくまで私個人としては、ディック作品の中でも特に切なくも優しい話だと思います。
しかし、スクランブルスーツが象徴するように世の中が、自分自身が、どんどん
不確かで根拠のないものになる過程は自分の感じることと重なる部分があって
全体には優しさを感じつつ、その部分がドットとして浮き上がってきます。
訳は山形さんの方がヤレ感(すみません、うまく言えないです)があって好きです。 -
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