感情タグBEST3
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潜入麻薬捜査の胸糞さも良いが、ヤク中のとりとめのない会話や更生施設の様子が良かった。
ドナがコカコーラのトラック撃つところがサイコーだけどマイクと打ち合わせしてるときは普通にドナがコーラ飲んでて、掴み所ないなと思った。
ディック自身の経験が多いに生かされているので巻末に軽く触れてくれているのがありがたかった。
映画は未視聴。どうなんだろう…。
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ディックの中で一番好きな話です。今回新装版になっていたので再購入。
これはディックが友達への思いを込めて書いているのだと思います。
悲劇的、アンハッピーエンドとされることが多いようですが
あくまで私個人としては、ディック作品の中でも特に切なくも優しい話だと思います。
しかし、スクランブルスーツが象徴するように世の中が、自分自身が、どんどん
不確かで根拠のないものになる過程は自分の感じることと重なる部分があって
全体には優しさを感じつつ、その部分がドットとして浮き上がってきます。
訳は山形さんの方がヤレ感(すみません、うまく言えないです)があって好きです。
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自身やその仲間がドラッグ中毒だったことの思いも込めてるだけあって、重い。
あとがきを読むにつけて思うのは、一度内臓がボコボコになったらダメなのかなーという感想。
最初のほうはちょっと読みすすめ辛かったかも。
「死者はわれわれのカメラなんだ」
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かりそめの、だが確かに存在したわずかばかりの幸福と、ひとりの人間が背負うには重すぎる不幸、その両方を懐かしんで、いとおしんで、書き残して、ぼろぼろになって、貧乏なまんま死んでしまったディックへ。おっさんが伝えたくって仕方なかった思いはたくさんの人に届いてる。クスリなんて肉眼で拝んだこともない私たちが読んでる。でも多分、あんたがこの本を読ませたかった人間はSFなんか読まない。あたしは何より、そのことが悲しい。
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SFの巨匠Philip K. Dick最期の作品。。。
彼らしく灰色が似合うフィルムノワール的世界が漂う。
スクランブル・スーツを纏ったあの麻薬おとり捜査官は、
彼らの冷笑によって殺されてしまったんだ。
腐敗、欺瞞、猜疑心、頽廃、堕落、
そしてわずかに残された使い捨ての希望と未来。
ニヒルも効いてるけれど、 きっと愛も在る。
その「きっと」感がとても切なく苦しかった。
いちばん危険な種類の人間は、自分の影にも怯える人間だぜ
〜アークター〜
自分が誰だか分からなくなってしまって、
それでも、、彼は抜け殻になった今も、
ドナを求めてる。。。
その「きっと」感..。
それがPhilipなりのハッピーエンド!
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薬物依存症を実際に体験したF・K・ディックの著書。
本書は彼が薬を使わずにして書き上げた初めての作品です。
自分の体験から物質Dという架空の薬物に呑まれた
囮捜査官のロバートとその周りを取り巻く人々の物語を描きました。
SFに分類されるのでしょうが、現代的でもあります。
薬物を責める内容ではありませんが、薬物を使用した者たちの
生涯を見て恐怖と哀愁を感じずにはいられません。
どんな薬物防止ポスターよりも効きます。
映画にもなっていますので、
厚い本が苦手な方はそちらから入るのもオススメです。
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創元SF文庫から山形浩生さんの訳、「暗闇のスキャナー」の邦題で出ていた"The Scanner Darkly"を、浅倉久志さんが新訳したのがこのスキャナー・ダークリー。
内容に関しては、ディック後期の傑作ということもあり、色々なところに書かれているので、僕は翻訳の違いに関して感じた事を。
ハヤカワやサンリオの浅倉久志訳でディックの作品に親しんでいた僕は、山形訳の暗闇のスキャナーの翻訳は言葉が少しシャープ過ぎる感じもしていたけれど、今回浅倉訳が出て、改めて読み比べてみると、登場人物のボブ・アークターが壊れてしまった後なんかは、山形さんの訳の方がしっくり来て、アークターが人とは違う何かになってしまった感じがよく伝わってくるように思う。細かな感情表現など、僕らがリアルに感じる言葉で訳している分、感情移入も誘われる。この山形さんの訳に対しては好き嫌いがはっきりでそうな気がするけど、若い子は多分こちらに惹かれると思う。
一方、浅倉訳の方は、文の調子に慣れているせいもあってか、文章が読みやすく、文の繋がり、運びが上手くよどみない感じがした。あまりにもすぐなくなるような現代的で過激な表現は使われてないし、それだけ文が柔らかいので、ディックをはじめて読む人とかには、浅倉さんの訳がお勧めだと思う。
読み比べても楽しめるので、ディック好きなかたは、躊躇せず、両方、出来れば原書も買いましょう。
何度読んでも、アークターが分裂して行くところの描写や、最後の農場での独白は心に迫るものがある。
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なんか話が複雑で追いかけるのがしんどかった。フレッドとアークターが混じっていくとことか、カウンセリングの場面とか、何がおきてるかさっぱりわかんなかった。
後半のどんでん返しはなかなかショッキングでよかった。中盤がだれていて読み続けるのがしんどかったけど、終盤のあたりは展開が早くてテンポがよかった。
ドナの悲しみが深くうかがえるし、上司の気遣いもまた同様に悲しい。
そして、ラストシーンは本当に鮮やかだったなー。青い花、混濁した意識の中でふと思い出したともだち、誰なのか具体的にはもうわからなくなってしまったけど覚えている。フレッドとしてのかりそめの生活が、実は彼にとっては本物だったという。
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フィリップ・K・ディック
人格が2つ、3つと増えていく主人公。
麻薬と仲間、監視。
ディックの小説の特徴だろうか、後半の勢いがすごい!
最初は、少し退屈していたが
半分過ぎたあたりから面白くなっていくから
読書ってのは、途中でやめるのもいいけど、
この作品のようなこともあるから
一応最後まで読んだほうがいいな
って思わせた作品でした。
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著者覚え書きで「この小説には何の教訓もない」とある。確かに教訓は無いかもしれない。ただし、麻薬に対する強烈な批判と恐怖を語っている。教訓は小説から得るものではない。読者がどのような教訓を語れるかが本書を読み解くキーになるのかもしれない。本書は普通に読むと、よくあるドラッグ系の小説だ。麻薬でハイになったやつが大暴れするような。読むべきは最後の方でブルースが置かれる立場だ。私は、麻薬だけが悪いのではなく、麻薬の悪用を存在させる社会の仕組みが存在することが悪なのだと解釈した。もちろん、これはひとつの解釈に過ぎず、読者がそれぞれ感じるものは異なるだろう。描写は鮮明ながら、読者に与えるものは形を変えて届けられる。救いたいけど救えない世界だった。
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浅倉久志訳による新装版「スキャナー・ダークリー」(旧訳「暗闇のスキャナー」)は、著者自身の実体験を踏まえた物語。テーマは、麻薬。
カリフォルニアのオレンジ郡保安官事務所麻薬課の捜査官フレッドは、上司からも自身の姿を隠す「おとり捜査官」である。彼の真の姿は、なんと麻薬中毒者ボブ・アークター。木乃伊取りが木乃伊になるそんな世界で、与えられた新たな任務は「麻薬密売人のボブ・アークターを監視すること」。自分自身を捜査対象にする彼は、麻薬中毒の深刻化も相まってしまい…
「わたしはドラッグの危険性を訴える福音を説こうと誓った」とは、訳者あとがきで引用される著者の言葉。麻薬中毒の経験があり、その目で幾人もの友人(=麻薬中毒者)の死や破壊を目の当たりにした彼だからこそ響く重い言葉ですが、本書で麻薬中毒の恐ろしさを知る…ほど無教養ではなく、麻薬の恐ろしさは既にありとあらゆる媒体を通じて理解しているところ。ただ、だからといって、何にも感じなかったのかというと、もちろんそうではありません。
主人公アークターは、自分自身を監視する過程において、ある時点ではっきりと「おかしく」なってしまいます。正直、この瞬間に「あぁぁ…」と嘆いてしまいました。それ以降は、凋落の一途を辿るばかり。物語は終盤、アークターが廃人として施設に収容されてしまう姿をみると、ただただ空しい感情にとらわれます。そんな感情は、物語に出てくる言葉の節々で感じるところ。
「黄金時代。そこでは知恵と正義がおなじものだった。すべてが砕けて、鋭い破片になる前のことだ。もう二度と組み合わせることができず、いくら努力しても二度ともとどおりにならない破片の山になる前のことだ。」
「想像してみてよ。意識はあるけど、生きてないってことを。見ることもできるし、知ることもできるけど、生きてない。ただ、外を見てるだけ。認識はしても、生きてない。(中略)もうすでにそれは死んでて、ただいつまでもじっと見てるだけ。見ることをやめられない」
著者は、また、あとがきでこのようにも述べています。
「麻薬乱用は病気ではなく、ひとつの決断だ。(中略)おおぜいの人間がそれをはじめた場合、それはあるひとつの社会的な誤り、あるひとつのライフ・スタイルになる。この特殊なライフ・スタイルのモットーは、『いますぐ幸福をつかめ、明日には死ぬんだから』というものだ。しかし、死の過程はほとんどすぐにはじまり、幸福はただの記憶でしかない。」
引用が多く、長くなりましたが、何を思ったかというと、ただ単に空しい感情が襲ったということだけ。でもこの空しさこそが著者が訴えたいひとつのパーツではないでしょうか。
ちなみに著者特有の陰謀論っぽさは、相変わらず健在です(笑)
Posted by ブクログ
フィリップ・K・ディック、といったらSFと思って本書を取るものなら、拍子抜けするに違いない。まあ、ジャンキーから見た我々の世界は「SF」のようなものだろうし、また逆も然りなのだろうから、ジャンキーを描いたこの作品も「SF」と言えるのかもしれない。
…以上、屁理屈である(笑)
なぜだかわからないが、読めば始終やるせない感じを受けることとなる。結末がああだから、というのもあるだろうが、言い知れぬ恐怖があるからだろうか。
物語としては、若干冗長ではなかったか。
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中盤にだるいとこはあるけど、ディックの中では比較的筋がわかりやすい。あんまりSFぽくはない。アークター=フレッド=ブルースも、ドナも人格がつかめない。
限りなく透明に近いブルーもだけど薬中から脱した人は喧嘩したり奪い合ってばっかりだった友人をやたらとかけがえながるのが今一つ腑に落ちない。
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フィリップ・K・ディックだからなのか,難解なお話だった。
元々が薬物で自己が崩壊して行き,自分と他人の境界線が
あやふやになり・・・と段々理解できなくなって行く感じ。
まぁ,最終的にはどこにでもある,アメリカが過去もこれからも
抱えていく(日本もそうだが),ドラッグの問題という
大きな壁にぶち当たって終わる感じ。
映画版もあるが,観ようとは思わないかも。
Posted by ブクログ
鬼才リチャード・リンクレイターがアニメ映画化した2006年に買ったはいいが、3分の1も読めずにほっぽらかしてあった。(映画も観たかったが、機会を失った)
通読して思ったのは、一字一句理解しようなどと思わずに、酔っぱらいのたわごとを受け流す感覚で読めばよかったのだということ。しょっぱなからして、ドラッグ中毒者の悲惨な幻覚描写。主人公のボブ・アークターだって、おとり捜査官とはいえ、ヤク中だ。同じくヤク中のダチ公どもとの会話ときたら、とことんナンセンス。信用できない語り手という言葉があるけど、ヤク中の語り手ほど信用できないものがあるだろうか?
共感も同情もできないまま、読み進めるのだが、しばらくするとアークターの気持ちがわかってくる。どん底生活において、友情ほどかけがえのないものはないということだ。どうしようもなくいかれた彼らだが、お互いを支え合うという一点において、その生に意味はあるのだ。
終盤はディックらしいあざやかな視点の変換もあり、それなりに満ち足りた読後感ではあるが、ディックのあとがきを読むと悲しい気持ちに襲われる。ヤク中の友人を家に出入りさせるアークターは、ディック自身だったという。有名なSF作家だからとかしこまらず、ストレートに接した若い友人たちをディックは愛し、次々と失った。ディックの沈痛な哀悼の念から書かれた反ドラッグ小説だ。
Posted by ブクログ
導入部は中毒患者の幻影を再現したかのような書きっぷり。自分が自分を追い詰めるというパラドックスをバランスよく破綻しながらは書いている。映像化されたアニメのようなトレース画像はこの小説を上手く表現しよかった。ヒットしなかったけどね。個人的にはサンリオ文庫版の表紙が好きだったのに。。。。