アンソニー・ホロヴィッツのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ここ最近読んだミステリーの中では、「靴に棲む老婆」以来の満足度である。絹の家とは何なのか、どこにあるのか、何のための場所なのか、という極めてシンプルかつ闇の深い謎に挑む物語となっており、純粋な真相の面白さ以前に設定・雰囲気が個人的にどストライクであった。
海外ミステリー作家の中で正直アンソニー・ホロヴィッツの作品はあまり好みではないのだが、この「絹の家」に関しては非常に面白かったし、何より物語の展開は古き良きミステリーの魅力に溢れていた。やはり多くのミステリーを読めば読むほどホームズ、クイーン、ポー、etcなどの凄さが改めて理解されられる。作風としてのホロヴィッツは好みではないが、やはり期待のハードルの高いホームズ作品でこれほどのものが書けるというのは作者の凄さであろう。 -
Posted by ブクログ
常にウェルメイドな現代本格ミステリで楽しませてくれる、安心・安定・信頼の作家ホロヴィッツのホーソーンシリーズ5作目。
今回は趣向を変えて、過去の事件を扱っている。
高級住宅地の嫌われ者が殺され、住人たち全員に動機があるという設定から、地道なアリバイ崩しが展開されるのかと思いきや、現在と過去を行き来しながら、あまりに早々と明かされる犯人、謎の有能な相棒、怪しい組織など、かなり盛り沢山の内容になっている。
そしてシリーズ随一のトリッキーな真相の後の、今後にも影を落としそうな苦い結末。
素晴らしい作品だが、おそらく次作は更にこれを超えてきそうな予感。 -
Posted by ブクログ
ネタバレホーソーン&ホロヴィッツシリーズの4作目。
相変わらず、文中に隠されているヒントをきちんと組み込めば、犯人も動機もしっかり判明するはずなのに、最後の伏線回収で圧倒される。俺みたいなヒネてないミステリー読者ってコスパ良いわぁ。
ホロヴィッツ作品なので本格ミステリーの醍醐味は言わずもがな。この作品の面白みは、イギリス好みのちょとヒネ(くれ)ったユーモアが満載されていること。ホロヴィッツ(ややこしいけど登場人物の方)のダメっぷり、被害者になる演劇評論家のクソっぷり、コケにされる警察官のイヤみっぷりとやり返されるカタルシス。
シニカルなオモロい描写に引き込まれているうちに、重要な手がかりを読まされているという…ホロヴィッツ(ややこしいけど書いている方って書くと余計ややこしい)はだから油断ならない。 -
Posted by ブクログ
コナン・ドイル財団が初めて公式作品認定をした八十数年ぶりの、名探偵シャーロック・ホームズ新作(第61作)。
パロディとかオマージュとかパスティーシュとかいう、ホームズの二次創作的なものは世の中にたくさんありそうだが(詳しくは知らない)、本作はなんと財団によって公式認定された正統な続編だという。自分はあまりホームズを直に読んだことはなく、もっぱらシャーロック・ホームズ プロジェクトという、プロのナレーターの方が自分で翻訳して朗読しているYouTubeチャンネルを聞いていて、いちおう大半の作品は知っている。このKIさんの朗読が秀逸で、この人の声で再生されるホームズ以外は考えられないほどハマっている。果たして本作を読む際に、KIさんの声でホームズやワトスンのセリフが脳内再生されるだろうか?読む前から楽しみだった。
結果としては申し分ない傑作だった!濃いファンの方々には色々と感想はあるだろうけれど、自分としてはシャーロック・ホームズ作品として違和感がなかった。あまりに醜怪な事件のため、ホームズの死後にワトスンがひっそり執筆し、百年後に開封されるよう指示したというよく考えられた設定ですんなり入っていける。ハドスン夫人からレストレイドやマイクロソフトといったおなじみの人物も登場し、変装やアクション、物語を牽引する謎、驚くべき種明かしまで、すべての要素が入っていて、きっと本家ホームズに引けを取らないのではないだろうか。いっけん関係なさそうな2つの謎と、散りばめられたすべての伏線が一つに収束するラストには驚愕、お見事というほかはない。
ただ、事件の真相は現代的な感じはする。映画化すればすごくヒットしそうだけどそういう話はないのだろうか?近年のロバート・ダウニー・Jr主演のシャーロック・ホームズ2作は見たけれど、アレンジが効きすぎて原型がなかった気が。あれはあれで面白かったし好きなので続編を期待していたのだが……。
本作のような完成度で公式続編が続けば嬉しいが、やはり注目すべきはアンソニー・ホロヴィッツという作家そのものなのだろう。恐るべし。 -
匿名
購入済み良い…好き…
大好きなホーソーンシリーズ5作目。
これまでに比べて緊迫感のあるシーンや、ホロヴィッツがドジを踏むシーンはあまり無かったものの(特に「ナイフをひねれば」はあまりに面白すぎた!)、
今作は趣向が異なっていて、これはこれで楽しめました。
ホーソーンとホロヴィッツのやりとりが少なくて、これを一番の楽しみにしていたから、
正直途中までは、う〜んと思ってしまうこともありました。
が!それ以上にエモいシーンがあったので、結果満足ですw
とあるキャラがすごく良かった。好きだ…。
ますますホーソーンを好きになりました。
彼に振り回されるホロヴィッツも可愛いw
ホーソーンについての掘り下げや、ホーソーンとホロヴィッツの関係性などに触れるので、
過去作品を読んでいないと、若干分かりづらい部分があります。
このシリーズを未読の方は、是非是非1作目から順に読むことをオススメします。
面白いので! -
Posted by ブクログ
ネタバレシャーロック・ホームズの正統な続編が発表されていた事は知っていたが、当時購入する事はなかった。時間が経ち、まさか著者がホロヴィッツだと気がつくまでに少し時間がかかり、気付いてから一気に興味がうまれ購入した次第だ。読むまでに間があったが、気まぐれで「シャーロックホームズの思い出」をながめ、久しぶりにホームズへの熱が高まってきた為、絶好の機会とばかりに読み始めた。
ホームズシリーズ新作ではあるが、ドイル作品では無い為、否定的な意見もある様だが、紛れもなくホームズの探偵録であり、残念ながら作中謎の教授(終盤でモリアーティとあかしているが)が指摘している様に、ワトソンの記録では必要最低限の部分しか記されておらず(実際はドイルの描写方法)、もう少しきめ細やかな表現や描写、接続要素が必要だと思っていたが、まさしくホロヴィッツがそこに切れ込んだ形だ。
たとえば、ドイル作品ではワトソン夫人の会話描写など極力なかった様に思われるが、今作では少しだけ登場し、それでいてワトソンとの関係性が理解できる。ワトソンがとても活き活きとしており、語り手としての年老いた彼と登場人物としての若々しい彼がそれぞれ頭に浮かべる事ができる。
物語は、画商がアメリカで巻き込まれた災難とその復讐による恐怖の部分と、ホームズが命令を下す少年達の一人の惨殺事件、そして「絹の家」を巡る謎。と大ボリュームであり、それぞれ独立していく様な事件がきちんと一本線で繋がっており、最後には大団円をむかえる。
登場人物達も豪華で過去先からも沢山出演しており、マイクロフトはもちろん、レストレイドやトレヴェリアン(偶然、シャーロックホームズの思い出を読んだあとで興奮!!)、そして謎の男としてモリアーティ等更にはそれぞれの人柄も丁寧に描写されており、ホームズに少し人間味が出た様に思った。
様々な事件が同時進行していき、過去のシリーズにおいて最もホームズが危機を迎えたといえる程追い詰められていく。シリーズありきたりな事件から発展し、少年の惨殺事件が発生し、調査の途中、ホームズがアヘンの巣窟にて策略に合い女子殺しの疑いで逮捕される。
絶対絶命の中、どうやって活路をみいだすか。半ばを過ぎると目が離せなくなる。
最初のきっかけとなった事件を最終的に解決させる構成は流石で、絹の家事件でホームズがダメージを受けながら最低な真相に辿り着き事件解決と見せかけ、その上でカーステアーズに関わる謎をまだ残していたわけだが、残念ながらこの部分だけ、ホームズ的では無くホロヴィッツ的に見えてしまった(やり過ぎた印象だ)。モリアーティパートもあり、腹一杯なのに食わされている様に思ってしまった。
もしドイルのホームズシリーズがこの様な形で描かれていれば僕はもっとのめり込んでいただろう。