アンソニー・ホロヴィッツのレビュー一覧

  • カササギ殺人事件 下

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    作中作のミステリとその作者にまつわるミステリのどちらも驚きがあり、お互いに及ぼす影響も含め全てが計算された傑作です。
    散りばめられた謎が綺麗に回収されるのも気持ちよかった。古き良き作中作の探偵像と現代ミステリの探偵像との対比も楽しめました。贅沢なミステリ体験でした。

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    2025年03月03日
  • 死はすぐそばに

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     10作程続く予定の5作目。
    作家のホロヴィッツと探偵のホーソーンのコンビの関係性も深くなるのかと思いきや、相変わらずのよそよそしい態度のホーソーンとホーソーンのことを知りたいがために裏で嗅ぎ回るホロヴィッツ。一向に縮まらない二人の距離であるが、その緊張感が良い。

     解説で述べられているように、
    「『半・作中作』とでもいうべき構造を備えた作品」で、随所に趣向を凝らしてある。ホロヴィッツ本人が作中のホロヴィッツとして登場するため、少々、混乱するといった具合である。(5作目となるとさすがに慣れてきたが。)

     ホロヴィッツが自身の小説のために事件を深掘りしていくのだが、小説家の割には観察力も洞察

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    2025年02月24日
  • カササギ殺人事件 下

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    ネタバレ

     スーザン・ライランドを視点人物とした現実軸がメインの下巻。読み始めた時は「あれ、さっきの続きはどこ!?」となったけど、あの感覚こそがスーザン視点を綺麗に追体験できているということなので、気がつけば気持ち良い。
     終盤にようやく作中作の続きを読んで、犯人にゾッとした。一体何がこんなに狂気に満ちた人間を作り上げたのかと恐ろしくなる。弟とジョイが可哀想すぎる……。
     アラン・コンウェイの性格にかなり難があったので犯人の動機には同情したけど、追い詰められた犯人の行動はクズすぎてびっくりした。一度殺人を犯した人間は、タガが外れてどんな非道な真似もできてしまうのかも。
     アランは現実と作品を絡めるのが大

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    2025年02月18日
  • カササギ殺人事件 上

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    ネタバレ

     どこかに「名探偵アティカス・ピュント」シリーズが存在することを願わずにはいられない。というか読んでいる最中は、既刊8作が書店に並んでいると錯覚するほどだった!
     スーザン編はわずかな導入のみで、ほぼ作中作であるピュント編のみの上巻。小さな村に住む各人の人生が田舎らしく面倒に絡み合う様が丁寧に描かれていて読みやすかった。登場人物をインプットするのに多少時間がかかったけど、ピュントとジェイムズ・フレイザーの2人の調査に同行できたようで楽しい調査パートだった。魅力的な世界観で、たしかにクリスティを思わせる。これで1作としても惜しくない作中作。パディントン発の列車で乗客の死に気付かないジェイムズ・フ

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    2025年02月18日
  • ヨルガオ殺人事件 下

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    ネタバレ

     上巻から続いて、ピュント編「愚行の代償」で始まる下巻。2度殺される話(1度目の殺人が失敗している話)自体は割とあるけど、そこから復讐に繋がる展開が見事だった。狂気じみた人間が犯人だと面白い。不穏な世界観のなかでも、ピュントの温かみのある人柄にはほっとした。
     スーザン編は、1番怪しそうな奴は犯人じゃないのかと思いきや、やっぱり犯人だったという展開。ピュント編と比較すると生々しさが増していて、「いや浮気しすぎやろ」「カスばっかり!」と言いたくなるけど、そんな泥沼人間模様も楽しい。
     ピュントもそうだけど、スーザンも推理においてその人の些細な言動から情報を拾い上げることが多くて、かなり洞察力が優

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    2025年02月18日
  • ヨルガオ殺人事件 上

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    ネタバレ

     シリーズの続きがあることに気づいたので仕事帰りウキウキで購入。この作中作の形式で続編を出せるなんて、天才としか言いようがない。
     カササギ殺人事件同様に作中作が丸ごと組み込まれているけれど、導入はスーザン視点で丁寧に描かれていたので前作よりも簡単に読めた。スーザンは相変わらず沢山の悩みを抱えていて、置かれた環境で必死にもがいている姿を見ると応援したくなる。また、前作にいたジェイムズ・テイラーとの再会も嬉しかった。あけすけな性格で、スーザンが好ましく思うのも理解できる(あけすけすぎるけど笑)。
     作中作はピュントシリーズ3作目「愚行の代償」で、元妻のメリッサと同姓同名の女優が殺される展開には笑

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    2025年02月18日
  • ナイフをひねれば

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    面白かった!
    ずっとどこに連れて行かれるのか。
    まさかの展開の予感がちりばめられており、はらはらしっぱなし。

    事件そのものは、冒頭の方に起こる。そこからの調査、探偵パートがメイン。過去に起きたことが1つずつつまびらかになるたびに、まさかまさか、と点と点が繋がる不穏な気持ちよさ!

    ラストに向けた謎ときの爽快感は過去いちかもしれない。

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    2025年02月13日
  • シャーロック・ホームズ 絹の家

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    コナン・ドイル財団が初めて公式作品認定をした八十数年ぶりの、名探偵シャーロック・ホームズ新作(第61作)。

    パロディとかオマージュとかパスティーシュとかいう、ホームズの二次創作的なものは世の中にたくさんありそうだが(詳しくは知らない)、本作はなんと財団によって公式認定された正統な続編だという。自分はあまりホームズを直に読んだことはなく、もっぱらシャーロック・ホームズ プロジェクトという、プロのナレーターの方が自分で翻訳して朗読しているYouTubeチャンネルを聞いていて、いちおう大半の作品は知っている。このKIさんの朗読が秀逸で、この人の声で再生されるホームズ以外は考えられないほどハマってい

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    2025年02月02日
  • 死はすぐそばに

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     五年前に高級住宅地で隣人トラブルの渦中にいた人物がクロスボウで喉に突き立てられて殺された事件を当時のホーソーン達の視点とそれを基に作品を書こうとするホロヴィッツの視点で描かれるミステリーで、これまでとは違う構成で進む話や全員に動機がある容疑者達、ホーソーンの過去の相棒の正体に彼が導き出した真相という魅力的な要素が満載な中で、この作品が迎えた結末は予想だにしないものだった。

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    2025年02月01日
  • 死はすぐそばに

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    面白かった~! 今作はホロヴィッツがホーソーンに同行する形ではなく、二人が出会う前に起きた事件を、ホーソーンから資料をもらってホロヴィッツが執筆するという形。こう色々なパターンを用意してくるのすごいなあ。最後の最後に伏線が回収されて「おお……」という感じだった。シリーズ通してのホーソーンの謎にも、少しずつ近づいている気がする。

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    2025年01月28日
  • カササギ殺人事件 下

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    アンソニーホロヴィッツは初めて
    あれピュント解決編は?作品内作品ってこと? すごい作品だった 作品の中に作品 ミステリの要素がてんこ盛り 途中眠くなるところもあったけど最後は怒涛の展開 アランの手紙の違和感さっぱり気づかなかった ピュントの事件の犯人も全くわからず なんにも当てられずに終わった笑 怪しい人が多すぎるし怪しい要素を足しすぎ!このミステリ小説体験は唯一無二では??

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    2025年01月19日
  • 死はすぐそばに

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    ホーソン&ホロヴィッツ・シリーズ第5弾。
    今作もホーソンの事情を探るホロヴィッツと事件を追うミステリーの部分が交互に書かれ途中訳分からなくなりながら殺人事件を推理しました。結末はそうなるんだ。今回も判らず納得されられて終わりましたが安定の面白さです。5作読むと前作までの内容忘れちゃいそうですが最後の解説で思い出せた!今年1冊目は今作で正解だったな。

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    2025年01月13日
  • 死はすぐそばに

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    これまでのホロヴィツの作品はストーリー的に面白いくて寝不足になっても読むんだけれど、読み終わったら忘れてしまうような印象だった。
    なので新刊を待ち侘びて読むことがなくなったのだか、本著にはそんな浅はかな私をぶっ飛ばすくらいのパワーがあった。読み終わって泣くって。
    ホロヴィツさんに平謝りしたい思いで本を閉じた。

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    2025年01月10日
  • 死はすぐそばに

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    シリーズ5作目も素晴らしいストーリーの構成で、最後まで楽しんで読めました!
    振り返るとしっかりとヒントの記述があったな〜となる具合に巧妙に謎が隠されていて、納得感もありました。
    シリーズも中盤に差し掛かっているようですが、次回作も楽しみです。

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    2025年01月07日
  • 死はすぐそばに

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    ホロビッツ自身が登場するホーソーンシリーズ4作目。今回の話は衝撃的なほどホロビッツの技巧が詰め込まれていると思う。シャーロックホームズやジェームズボンドの公式新作を担当するほどの作家だから、上手くて話が面白いのは当たり前と思うが、ちょっと尋常ではないテクニック。過去の事件を現在語りながら、過去は三人称、現在は一人称、そして現在にも謎が組み込まれていて最後にこれらが一つにまとまる。こんな話をよく考えつくし、形にできるものだ。編集の腕も秀逸なのだろう。素晴らしい。

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    2025年01月07日
  • 死はすぐそばに

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    ホーソーン&ホロヴィッツシリーズの第5弾。とは言え今回は二人で一緒に捜査にあたる訳ではなく、5年前にホーソーンが解決した事件をホロヴィッツが追って記していく形。

    あっと驚く真相、という訳ではないものの、事件の舞台となる高級住宅地やその住人がとても丁寧に描かれていて実在する世界を追っているかのようで、その点に感銘を受けながらあっという間に読み終わった。

    少し似たような話を以前に読んだことがあり、その時はそう全てがうまく犯人の思惑通りには行かないだろうと思ったものの、本作品ではとても説得力があったのも良かった。

    シリーズの次作もまた楽しみに待ちます。

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    2024年12月31日
  • ヨルガオ殺人事件 上

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    読者にフェアなミステリーだったので満足です。

    素人が探偵行為をすることに対しての、事件関係の対応が現実的だなと思いました。
    そう思うと、他のミステリーは素人探偵に対して寛容的過ぎる?
    赤の他人がプライベートのことまで立ち入ってくるのに。

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    2024年12月28日
  • カササギ殺人事件 下

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    これの前に読んでいたワシントン・ポーのシリーズとは打って変わって状況を説明する言葉が多くセリフが少なかったので読み終えるのがとても大変にだった! 物語は快活に進まず多くのものはあやふや、何が物語を進ませるための情報だったのか明確な感情の動きがないまま時間が進んでいく。”待て“をされている気分。物語が物語と絡み、お互いがお互いの伏線となってたどり着く終結には長い物語が終わったという開放感と、評価という言葉にまとわりつく悲壮感が漂っている。

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    2024年12月23日
  • カササギ殺人事件 下

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    圧巻の一言
    「続きが気になりすぎて読む手が止まらない」が上質なミステリーへの賛辞だとしたら、それを遥かに超えて「この世界をずっと楽しみたいから読み進めたくない」とすら感じてしまう最高のミステリー
    上巻が終わった時点での感想は「これ下巻いる?あと50ページぐらいで終わるくない?」
    下巻の1ページを読んだ時点の感想は「なにこれ下巻で足りる?」
    とにかく上巻と下巻の二つの世界の絡まりが絶妙
    間違いなく現世最高のミステリー

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    2024年12月23日
  • カササギ殺人事件 上

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    圧巻の一言
    「続きが気になりすぎて読む手が止まらない」が上質なミステリーへの賛辞だとしたら、それを遥かに超えて「この世界をずっと楽しみたいから読み進めたくない」とすら感じてしまう最高のミステリー
    上巻が終わった時点での感想は「これ下巻いる?あと50ページぐらいで終わるくない?」
    下巻の1ページを読んだ時点の感想は「なにこれ下巻で足りる?」
    とにかく上巻と下巻の二つの世界の絡まりが絶妙
    間違いなく現世最高のミステリー

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    2024年12月23日