アンソニー・ホロヴィッツのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
10作程続く予定の5作目。
作家のホロヴィッツと探偵のホーソーンのコンビの関係性も深くなるのかと思いきや、相変わらずのよそよそしい態度のホーソーンとホーソーンのことを知りたいがために裏で嗅ぎ回るホロヴィッツ。一向に縮まらない二人の距離であるが、その緊張感が良い。
解説で述べられているように、
「『半・作中作』とでもいうべき構造を備えた作品」で、随所に趣向を凝らしてある。ホロヴィッツ本人が作中のホロヴィッツとして登場するため、少々、混乱するといった具合である。(5作目となるとさすがに慣れてきたが。)
ホロヴィッツが自身の小説のために事件を深掘りしていくのだが、小説家の割には観察力も洞察 -
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ネタバレスーザン・ライランドを視点人物とした現実軸がメインの下巻。読み始めた時は「あれ、さっきの続きはどこ!?」となったけど、あの感覚こそがスーザン視点を綺麗に追体験できているということなので、気がつけば気持ち良い。
終盤にようやく作中作の続きを読んで、犯人にゾッとした。一体何がこんなに狂気に満ちた人間を作り上げたのかと恐ろしくなる。弟とジョイが可哀想すぎる……。
アラン・コンウェイの性格にかなり難があったので犯人の動機には同情したけど、追い詰められた犯人の行動はクズすぎてびっくりした。一度殺人を犯した人間は、タガが外れてどんな非道な真似もできてしまうのかも。
アランは現実と作品を絡めるのが大 -
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ネタバレどこかに「名探偵アティカス・ピュント」シリーズが存在することを願わずにはいられない。というか読んでいる最中は、既刊8作が書店に並んでいると錯覚するほどだった!
スーザン編はわずかな導入のみで、ほぼ作中作であるピュント編のみの上巻。小さな村に住む各人の人生が田舎らしく面倒に絡み合う様が丁寧に描かれていて読みやすかった。登場人物をインプットするのに多少時間がかかったけど、ピュントとジェイムズ・フレイザーの2人の調査に同行できたようで楽しい調査パートだった。魅力的な世界観で、たしかにクリスティを思わせる。これで1作としても惜しくない作中作。パディントン発の列車で乗客の死に気付かないジェイムズ・フ -
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ネタバレ上巻から続いて、ピュント編「愚行の代償」で始まる下巻。2度殺される話(1度目の殺人が失敗している話)自体は割とあるけど、そこから復讐に繋がる展開が見事だった。狂気じみた人間が犯人だと面白い。不穏な世界観のなかでも、ピュントの温かみのある人柄にはほっとした。
スーザン編は、1番怪しそうな奴は犯人じゃないのかと思いきや、やっぱり犯人だったという展開。ピュント編と比較すると生々しさが増していて、「いや浮気しすぎやろ」「カスばっかり!」と言いたくなるけど、そんな泥沼人間模様も楽しい。
ピュントもそうだけど、スーザンも推理においてその人の些細な言動から情報を拾い上げることが多くて、かなり洞察力が優 -
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ネタバレシリーズの続きがあることに気づいたので仕事帰りウキウキで購入。この作中作の形式で続編を出せるなんて、天才としか言いようがない。
カササギ殺人事件同様に作中作が丸ごと組み込まれているけれど、導入はスーザン視点で丁寧に描かれていたので前作よりも簡単に読めた。スーザンは相変わらず沢山の悩みを抱えていて、置かれた環境で必死にもがいている姿を見ると応援したくなる。また、前作にいたジェイムズ・テイラーとの再会も嬉しかった。あけすけな性格で、スーザンが好ましく思うのも理解できる(あけすけすぎるけど笑)。
作中作はピュントシリーズ3作目「愚行の代償」で、元妻のメリッサと同姓同名の女優が殺される展開には笑 -
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コナン・ドイル財団が初めて公式作品認定をした八十数年ぶりの、名探偵シャーロック・ホームズ新作(第61作)。
パロディとかオマージュとかパスティーシュとかいう、ホームズの二次創作的なものは世の中にたくさんありそうだが(詳しくは知らない)、本作はなんと財団によって公式認定された正統な続編だという。自分はあまりホームズを直に読んだことはなく、もっぱらシャーロック・ホームズ プロジェクトという、プロのナレーターの方が自分で翻訳して朗読しているYouTubeチャンネルを聞いていて、いちおう大半の作品は知っている。このKIさんの朗読が秀逸で、この人の声で再生されるホームズ以外は考えられないほどハマってい -
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ホーソーン&ホロヴィッツシリーズの第5弾。とは言え今回は二人で一緒に捜査にあたる訳ではなく、5年前にホーソーンが解決した事件をホロヴィッツが追って記していく形。
あっと驚く真相、という訳ではないものの、事件の舞台となる高級住宅地やその住人がとても丁寧に描かれていて実在する世界を追っているかのようで、その点に感銘を受けながらあっという間に読み終わった。
少し似たような話を以前に読んだことがあり、その時はそう全てがうまく犯人の思惑通りには行かないだろうと思ったものの、本作品ではとても説得力があったのも良かった。
シリーズの次作もまた楽しみに待ちます。 -
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