あらすじ
ホームズの下を相談に訪れた美術商の男。アメリカである事件に巻き込まれて以来、不審な男の影に怯えていると言う。ホームズは、ベイカー街別働隊の少年達に捜査を手伝わせるが、その中の一人が惨殺死体となって発見される。手がかりは、死体の手首に巻き付けられた絹のリボンと、捜査のうちに浮上する「絹の家」という言葉……。ワトスンが残した新たなホームズの活躍と、戦慄の事件の真相とは? 解説・北原尚彦
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ここ最近読んだミステリーの中では、「靴に棲む老婆」以来の満足度である。絹の家とは何なのか、どこにあるのか、何のための場所なのか、という極めてシンプルかつ闇の深い謎に挑む物語となっており、純粋な真相の面白さ以前に設定・雰囲気が個人的にどストライクであった。
海外ミステリー作家の中で正直アンソニー・ホロヴィッツの作品はあまり好みではないのだが、この「絹の家」に関しては非常に面白かったし、何より物語の展開は古き良きミステリーの魅力に溢れていた。やはり多くのミステリーを読めば読むほどホームズ、クイーン、ポー、etcなどの凄さが改めて理解されられる。作風としてのホロヴィッツは好みではないが、やはり期待のハードルの高いホームズ作品でこれほどのものが書けるというのは作者の凄さであろう。
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シャーロック・ホームズのパスティーシュ作品だけれど、展開のスピード感やホームズとワトソンの立ち回りがすごく正典らしく、さすがコナン・ドイル財団公認の作品。
登場人物や過去作品の振り返りなどホームズファンをにやりとさせるサービスが随所に散りばめられていた。何より語りの構造自体がホームズファンの胸を打つ形になってて最高。
内容はもちろん、原作らしい雰囲気をしっかり残してくれた訳にも大満足。
ただ真相のあまりの悍ましさには呆然とした。
匿名
違和感が全くない訳ではありませんでしたが、きちんとシャーロック・ホームズの世界観が表現されていて、正典を読んだかのような読了感を味わえます。特にホームズとワトスン、彼ら独特の距離感が素晴らしかったです。最後の最後まで読み手を油断させないストーリーがとても面白かったです。
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コナン・ドイル財団が正式認定した、アンソニー・ホロブィビッツが書いた61さくめとなる譚
コナン・ドイルをリスペクトした物語をさらにリスペクトした翻訳で素晴らしです
物語自体もコナン・ドイルが書いたのではないかと思える内容で、読み応え充分だ
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アンソニー・ホロヴィッツによるホームズ外典。
本家シャーロック・ホームズでは描かれないようなエグみのある展開(そのために、ワトソンは当初ホームズの事件簿としてこの事件を公表しなかった、という設定でもある)。
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コナン・ドイル財団が初めて公式作品認定をした八十数年ぶりの、名探偵シャーロック・ホームズ新作(第61作)。
パロディとかオマージュとかパスティーシュとかいう、ホームズの二次創作的なものは世の中にたくさんありそうだが(詳しくは知らない)、本作はなんと財団によって公式認定された正統な続編だという。自分はあまりホームズを直に読んだことはなく、もっぱらシャーロック・ホームズ プロジェクトという、プロのナレーターの方が自分で翻訳して朗読しているYouTubeチャンネルを聞いていて、いちおう大半の作品は知っている。このKIさんの朗読が秀逸で、この人の声で再生されるホームズ以外は考えられないほどハマっている。果たして本作を読む際に、KIさんの声でホームズやワトスンのセリフが脳内再生されるだろうか?読む前から楽しみだった。
結果としては申し分ない傑作だった!濃いファンの方々には色々と感想はあるだろうけれど、自分としてはシャーロック・ホームズ作品として違和感がなかった。あまりに醜怪な事件のため、ホームズの死後にワトスンがひっそり執筆し、百年後に開封されるよう指示したというよく考えられた設定ですんなり入っていける。ハドスン夫人からレストレイドやマイクロソフトといったおなじみの人物も登場し、変装やアクション、物語を牽引する謎、驚くべき種明かしまで、すべての要素が入っていて、きっと本家ホームズに引けを取らないのではないだろうか。いっけん関係なさそうな2つの謎と、散りばめられたすべての伏線が一つに収束するラストには驚愕、お見事というほかはない。
ただ、事件の真相は現代的な感じはする。映画化すればすごくヒットしそうだけどそういう話はないのだろうか?近年のロバート・ダウニー・Jr主演のシャーロック・ホームズ2作は見たけれど、アレンジが効きすぎて原型がなかった気が。あれはあれで面白かったし好きなので続編を期待していたのだが……。
本作のような完成度で公式続編が続けば嬉しいが、やはり注目すべきはアンソニー・ホロヴィッツという作家そのものなのだろう。恐るべし。
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シャーロック・ホームズの正統な続編が発表されていた事は知っていたが、当時購入する事はなかった。時間が経ち、まさか著者がホロヴィッツだと気がつくまでに少し時間がかかり、気付いてから一気に興味がうまれ購入した次第だ。読むまでに間があったが、気まぐれで「シャーロックホームズの思い出」をながめ、久しぶりにホームズへの熱が高まってきた為、絶好の機会とばかりに読み始めた。
ホームズシリーズ新作ではあるが、ドイル作品では無い為、否定的な意見もある様だが、紛れもなくホームズの探偵録であり、残念ながら作中謎の教授(終盤でモリアーティとあかしているが)が指摘している様に、ワトソンの記録では必要最低限の部分しか記されておらず(実際はドイルの描写方法)、もう少しきめ細やかな表現や描写、接続要素が必要だと思っていたが、まさしくホロヴィッツがそこに切れ込んだ形だ。
たとえば、ドイル作品ではワトソン夫人の会話描写など極力なかった様に思われるが、今作では少しだけ登場し、それでいてワトソンとの関係性が理解できる。ワトソンがとても活き活きとしており、語り手としての年老いた彼と登場人物としての若々しい彼がそれぞれ頭に浮かべる事ができる。
物語は、画商がアメリカで巻き込まれた災難とその復讐による恐怖の部分と、ホームズが命令を下す少年達の一人の惨殺事件、そして「絹の家」を巡る謎。と大ボリュームであり、それぞれ独立していく様な事件がきちんと一本線で繋がっており、最後には大団円をむかえる。
登場人物達も豪華で過去先からも沢山出演しており、マイクロフトはもちろん、レストレイドやトレヴェリアン(偶然、シャーロックホームズの思い出を読んだあとで興奮!!)、そして謎の男としてモリアーティ等更にはそれぞれの人柄も丁寧に描写されており、ホームズに少し人間味が出た様に思った。
様々な事件が同時進行していき、過去のシリーズにおいて最もホームズが危機を迎えたといえる程追い詰められていく。シリーズありきたりな事件から発展し、少年の惨殺事件が発生し、調査の途中、ホームズがアヘンの巣窟にて策略に合い女子殺しの疑いで逮捕される。
絶対絶命の中、どうやって活路をみいだすか。半ばを過ぎると目が離せなくなる。
最初のきっかけとなった事件を最終的に解決させる構成は流石で、絹の家事件でホームズがダメージを受けながら最低な真相に辿り着き事件解決と見せかけ、その上でカーステアーズに関わる謎をまだ残していたわけだが、残念ながらこの部分だけ、ホームズ的では無くホロヴィッツ的に見えてしまった(やり過ぎた印象だ)。モリアーティパートもあり、腹一杯なのに食わされている様に思ってしまった。
もしドイルのホームズシリーズがこの様な形で描かれていれば僕はもっとのめり込んでいただろう。
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コナン・ドイル財団から認定されたホロヴィッツのシャーロック・ホームズ。
さすがホロヴィッツとしか言いようがない、ちゃんとホームズミステリーであり、スケールの大きい現代の社会風刺ミステリーでもある。最後の「あとがき」にまでどんでん返しがあるのには驚かされた。
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ホームズの下宿を相談に訪れた美術商の男。
アメリカである事件に巻き込まれて以来、不審な男の影に怯えていると言う。ホームズはベイカー街別働隊の少年たちに捜査を手伝わせるが、その中の一人が惨殺死体となって発見される。
手がかりは手首に巻き付けられた絹のリボンと、捜査のうちに浮上する「絹の家(ハウス・オブ・シルク)」という言葉…。
ワトスンが残した新たなホームズの活躍と、戦慄の事件の真相とは?
(あらすじより)
コナン・ドイル財団がシャーロック・ホームズの続編と公式に認定した唯一の作家アンソニー・ホロヴィッツの作品です。
これまでカササギ事件やモリアーティ、メインテーマは殺人と3作読んできたけど外れない。
すごい作家だと思います。
伏線の張り方と、ミスリードがすごく上手な人だと思います。
気持ちよく掌の上でコロコロしてくれます。
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シャーロックホームズの公式続編。ここしばらくハマっているアンソニーホロビッツの作品という事ですぐに買ったが、期待を全く裏切らない出来栄え。この作家は本当に凄いと思う。これまでの正典と並んでもほとんど違和感はない。強いて言うなら、犯罪が現代風な気もする。コナンドイルが生きていた時代には考えられなかったような犯罪ではないかと思う。でも充分な出来で、楽しめた。相変わらずの質の高いミステリー。オススメです。
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次々と起こる事件が見えない糸で繋がっている。それが見えるのはホームズだけ。そんな名探偵に降りかかる危機。息を飲む結末にページを進める手が止まらない。
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本当のホームズの続編を読んでいるような気持ちになる。ストーリーの起承転結も見事で、最後の謎解きは実に見事だった。単独のミステリー作品としても十分に読み応えがあった。
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面白かったです。シャーロキアンではないので、ホームズが出てくるサスペンスとして最高に楽しめました。実に入り組んだ展開、素晴らしい読み応えです。ホームズの時代じゃなくて、今のこの時代でも十分おぞましい事件ですよ、ワトソン先生。
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シャーロック協会認定のシャーロックシリーズの公式続編で読んでいてもコナンドイルらしい展開を含みつつオリジナルも加えているので楽しんで読めました。
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シャーロックホームズものらしいスピード感といろいろなにやっとする登場人物そして終盤の胸くそ悪い光景…なかなか面白かった。
2999冊
今年227冊目
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コナン・ドイル財団初の公認シャーロック・ホームズの続編。
あまりにも酷い事件でこれまでワトソンが書いていなかったものの晩年になりその事件も書き記す事にしたところから話が始まる。
最初の事件が中途半端に終わったかと思うとその事件を切欠に別の事件に発展していく。一見どう繋がるか定かではない手掛かりをひとつひとつ追っていくため、ある程度まとまった時間を取れるタイミングで読まないとついていくのが大変かもしれない。
個人的には巨悪としての絹の家に対してモリアーティが不快感を示しており、ワトソンを使ってホームズを助けようとするところにモリアーティなりの犯罪に対するスタンスが見え隠れして良かった。
また最後には最初の事件のところまで戻って全てが繋がっていたところも流石シャーロック・ホームズ作品だったと思う。
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賛否はあると思われるが、やはりシャーロック・ホームズは格別。違和感なく読めました。事件が複雑に絡み合うところは、ホロヴィッツらしい展開でしょうか。ワトソンのホームズに対する愛も感じ、郷愁を感じました。
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明日も仕事なのに夜更かしして読み通しちゃった…。ホームズ初心者の入口としても、シャーロキアンのにやける材料としても。シャーロック・ホームズは苦手だったけど、他の作品にも手が伸びそう。さすがホロヴィッツ。
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ホロヴィッツは、読んで損をしない。本家ドイルと比較してみれば、本作はその性格上、やむなくオールスター陳列という感もあるものの、これだけの長編を、時間軸で無理なくまとめるスゴ技とも見える。
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最後の事件の一年前、ホームズの捜査に協力した少年が惨殺される。正体不明の「絹の家」の謎をめぐり、ホームズとワトソンのコンビが活躍するパスティーシュ。
ホームズ作品をすべて読破したのは、もう数十年も前のこと。熱烈なファンというほどではないものの、コナン・ドイル財団初の公認しかもホロヴィッツの作品となると読んでみたくなる。
なるほど、薄暗いロンドンの阿片と貧困を背景とした闇の事件では、おなじみの面々がドイルの作品さながらに登場して、違和感などまったくなく懐かしさを覚えたほど。おぞましい事件だから、ワトソンが100年後に開封されるように配慮したという設定もおもしろい。
先日、ホームズの若い頃という設定で三谷幸喜が書いた芝居を観てきたのだが、笑いと推理とホームズ兄弟の愛憎にワトソンの屈折した思いも加わって、じつに楽しかった。しかも、ちょうどこの本を借りた頃に本人のエッセイが新聞に掲載されたのだが、参考にこの作品を読んだことが書かれていてびっくり。世界中で愛されているホームズに、またどこかで出会えるといいな。
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ワトソンがホームズの死の1年後に書いたという設定のシャーロックホームズ物。謎解きはちょっと物足りないが、まあ正典も物足りないものが多かったので、そこも正典らしいか?シャーロックホームズ物の定番の登場人物が生き生きと描かれていて、懐かしく感じるほど。シャーロックホームズ物が好きならばぜひ読んでおきたい。シャーロックホームズに馴染みのない人にはどうだろう?ちょっと分からないけど、面白いんじゃないかな…
Posted by ブクログ
あああー。先入観に邪魔されて読まずにいたこの「続編」に値する本を読まなかったなんて!
著者の別作「カササギ殺人事件」を読んでこちらに流れ着いて、よかった。。。。
ホームズ好きも、楽しめると思う。
著者の本がまだ読むことができることに喜ばずにいられない。楽しめると思う。
注: ラストは衝撃な残酷に満ちている。安全でいたいのであればお勧めはできない。
Posted by ブクログ
ホームズパスティーシュ長編。
好きなシーンは
・「この人が僕の話を書いたおじさんだよ」とワトスンを紹介するホームズ
・レストレイド警部の大活躍(SSR)
・診療所で銃弾を装填する物騒なワトスン
です。
部分的にホームズに関して「彼がそんなことするかな?」と思うシーンがあったのですが、大筋のストーリーは面白く、おなじみの人々もたくさん登場するので贅沢な仕上がりになっていると思います。
余談ですが、同作者による第2弾のパスティーシュ「MORIARTY」は記憶から抹消されています。内容は全然覚えてないのですが、解釈違いだったんだろうな。
Posted by ブクログ
欧米ではこういう趣向が好まれるんだね。
コナンドイル財団公認の、61篇目のホームズ作品なんだそうな。ま、パスティーシュなんだけどよくできてる。
人気作品を永遠に愉しんでいくための手法としてのパスティーシュなのでしょうね。007シリーズもそうだし、スターウォーズだってそうだ。
自分はよく知らないけど、日本の作品でも楽しみたいね。
Posted by ブクログ
『モリアーティ』に先行するホロヴィッツ版ホームズ譚も、ほぼ一気読み。ちょっとファンサービスを盛り過ぎの感があり。余りにスキャンダラスな真相だった為に百年の後まで封印されていた、という設定はそれなりに納得だが、この真相を普通に受け入れられるくらい、現代が堕落しているということなのかも知れない。
Posted by ブクログ
約80年ぶり61話目のホームズ
ホロビッツやるなぁ。ドイルが生き返ったかのよう。ワトソンとホームズがまさに眼前によみがえる。古き英国の香りを残しながら、ストーリーは現代の味だ。
面白かった。良かった。再度、ホームズ正典60を読みたくなったぞ。
Posted by ブクログ
たぶん「ホームズとワトスン」の原作イメージを超えるのは大変なんだろうな。
最近の○○jr主演映画でも「ワトスン、違うだろ!」ってツッコミ、ちょっと前のTVドラマでも「ニューヨークじゃあね〜」とつぶやく……。
この物語でも、余計なことを思ってしまった。
「シャーロック・ホームズ」の物語はもちろん本格的推理小説の名作であることは疑いようもないが、冒険小説でもあり子供向けも多く出版されている。
だから、「絹の家」の正体が残念でならない。
せっかくシャーロック物語に没入していたが、突然の違和感に囚われてしまった。
ホームズの事件でなかったら、ホロヴィッツ自身が生み出したキャラクターだったら軽快な社会派ドラマとして、どんなに良かったか……。
「アーア、面白いんだけどな〜」って感じ。