貴志祐介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
防犯探偵榎本シリーズ4冊目。
今回は何かあれらしいですね、文庫本になった時?に分冊されてて2冊になってるんだとか。
4冊目はこっちーみたいに書いてあったので「何でわざわざ分冊するんだよ、1冊に纏めてくれよ」なんて思いながら読み始めたんですが。
うん、これ分冊して正解だわ。
何かもうね、「ミステリークロック」の話が色んな意味で凄すぎて息切れしちゃうんですよね読みながら。一緒に収録されてる「ゆるやかな自殺」は寧ろちょっとトリックとかも簡単でサクサク読める感じだったので「おっ、私も榎本シリーズ読みながら少しは賢くなったか?」なんて思ったりしてたんですけど「ミステリークロック」の前に粉々に自信が粉砕されました。
でも「ゆるやかな自殺」、「ミステリークロック」の前にはどうしても霞んでしまうんですけど私は好きでした。登場人物が全員悪いやつっていうのもなかなか読まないタイプの話だったし。
ていうかね、そもそも榎本シリーズは「こんなトリック思いつくかい!!!」パターンがめちゃくちゃ多いと個人的には思っているのですが(単に私が理系科目が苦手ということもあるけど)、遂に今回の「ミステリークロック」のトリックは理解出来なすぎて匙を投げたんですよ、「なるほど、よく分からんが犯人が観念してるし正解なんだろうな」くらいの認識しかないよもはや。
いやだってこれもう、もうさ、トリックを文章で説明するの限界の域に達してない?余程豊かな想像力がないと頭の中にあれを思い浮かべることって出来なくない?映像を、映像を見せてくれ……!って何回読みながら脳内で叫んだことか。
というか榎本が賢すぎるんだよ……私はもう純子と同レベルでいいよ……あんなトンチキな推理を得意気に披露したりはしないけどもさ……。
あと余談ですがミステリークロックって本当にあるのか?と思って検索してみたら実際に書かれていたものと同じものの画像が見つかったんですが、確かにあれはどう動いてるのかパッと見分からないしめちゃくちゃ綺麗な時計でした。
そして結局値段の正解は何だったのだろうか……。 -
Posted by ブクログ
ダ、ダメだ……どんなに「今回の話面白いな!」と思っても最後に控えているあの劇団のめちゃくちゃ加減が全てを奪っていく……!
今回もまんまとアイツらのドタバタ劇と馬鹿馬鹿しすぎる真相にゲラゲラ笑ってしまった……!
という訳で防犯探偵榎本(というシリーズ名らしい)も早いもので3冊目ですね。
毎度毎度「よくもまぁこんだけ密室が思いつくなぁ」なんて思いながら読んでいるんですが、それを全て解決してしまう榎本の思考もどうなってるんですかね?
やっぱあれなの?どちらかと言うと榎本もあっち系だから思考回路が似てるとかそういうあれなの???
それにしてもこのシリーズに出てくる人物……というか犯人、揃いも揃って怖すぎない?
こんな凶悪犯が蔓延っている榎本の住んでる街はどうなってるのよ?と思うくらい怖いんですけど……今回の話だと「佇む男」と「鍵のかかった部屋」の犯人は怖かった、もはやあれはミステリーじゃなくてホラーに片足突っ込んでるって。
よく考えなくてもこれ悪の教典とかもっと怖いんでしょ?無理無理読めないこの段階で震え上がってるのに。
でもだからこそ最後の劇団の馬鹿さ加減がいい中和剤の役割を果たしてくれてるのかもしれません。
もうずっと気分重かったんだけどあれだけ笑って読み終わったら何か心軽くなってるもん、そしてまた次の話が読みたくなってるもん。
もしかしたらそこまで計算し尽くされてるのかもしれない……そうだったらそれはそれで恐ろしいな。
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Posted by ブクログ
凄い。
色んな話を読んだはずなのに最後の話に全部もって行かれて何も覚えてない。
それくらい最後の話のインパクトが強すぎる。
もはや何も勝てない。
強い、強すぎる。
馬鹿馬鹿しさもクセの強さも全てにおいて最強すぎる。
あんなにゲラゲラ笑いながら読んだ推理小説は初めてだった。
いや、他の話もそれぞれ特徴はあったんです。
狐火の家は和風ホラー感あって怖かったし、黒い牙はアイツが嫌いな人はこの上ない恐怖を味わえるだろうし、盤端の迷宮は犯人と榎本とのやり取りが面白かったし。
でも犬のみぞ知るにはもうね、何も勝てない。
もはや榎本が本職を隠そうとしなくなったことすらも霞んでしまうほどに何も勝てない。
硝子のハンマーの時のあの人がまた出てくるんだけど、君の人生を賭けた場所がまさかここなんて……という驚きもありつつ何か馴染んでる時点でやっぱ普通の人じゃなかったのかなぁなんて思ったり。
でもこの新しい登場人物達みんな個性が大爆発しすぎてるのでまた会いたい気もします。怖いもの見たさかもしれませんが。
ていうかこんなにめちゃくちゃな人達をよく纏めてたなヘクター釜千代……。 -
Posted by ブクログ
いや凄いなこの話。
さすがにこんなトリック見破れないって。無理だって。
全部の真相が解明した時唸ってしまってました。
ミステリー小説としてはかなりの有名作品になるであろう硝子のハンマーですが何故かここまで読む機会がなかったもので今回が初読みでした。ついでに貴志祐介さんの作品としても初読みですね。
黒い家とか新世界よりとか悪の教典とか……とにかく有名な作品を沢山書いてる方っていうのは知ってるんですけど、なかなか手が伸びなかった作家さんでもあります。純粋にめちゃくちゃホラー小説が怖そうだったからなんですけど。悪の教典とか絶対怖いだろうし。えぇ、ホラー苦手なもので。
なのでミステリー要素強めのこの作品を初読みに選んだ訳なのですが、作品の構成に驚きました。
前半と後半でそれぞれ違う人物が物語の主軸になって話が進むんですね。後半の方は何かもうメンタルに来るシーンが多くて何回か本を置いてしまったんですけど何とか読破出来ました。
色んなミステリー小説を読んできたけどこんなに犯人に同情してしまったのは初めてかもしれません。
いや勿論やった事を許せるのかと言われると当然許せないし結構な凶悪犯の部類に入ると思うんですけど、バックボーンを知ってしまうと人間って情が湧いてしまうんだなぁとしみじみと実感。
少し社会問題なんかも取り入れられていて今もあんまり変わった雰囲気ないなぁ、なんて思ったりしてました。
そして地味に青砥先生と榎本の関係も気になるところ。
これ絶対両思いのはずなんだよなぁ。
職業さえ、職業さえちゃんとすればワンチャンあるぞ榎本!
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Posted by ブクログ
ネタバレSF要素の強い作品のため物語の世界観をイメージするのに一苦労でしたが、登場するキャラクターにはどこか他人事とは思えない人間味を感じました。
その人間味とは、何か見えないものにすがることで負の感情を一時的に忘れるという脳の錯覚です。それに「依存」することで現実から目を逸らしている無様なところには身に覚えがありすぎました。
何かに「依存」しているときは、それを盲目的に「信じる」ことで意図的に思考を止めている状態ですので、この行為がまさに宗教的な何かの発端になるのだと思いました。
それから本書の末巻にある解説のラスト、「圧倒的な困難を前にしても思考を止めないこと。そして恐怖に耐え、未来の可能性への想像力を働かせること。それを希望というのだろう」という言葉には非常に胸を打たれました。
恐怖や不安を前にした時に、その後の行動がいかなるものであっても、その恐怖に耐えて思考をし続けるべきであるということ。これは何かに「依存」したり盲目的に「信じる」ことなく、自分で考えて自分で歩いて自分の人生を作るという、そんな理想に近づく一歩になるのだと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレデビュー作以前の作品『夜の記憶』、SF作品『呪文』と『赤い雨』、そして本作のタイトルで唯一のミステリー『罪人の選択』、以上4つの短編が本作に収録されている。なかでも本作の目玉である『罪人の選択』は1940年代と1960年代ふたつの時間軸で話が交互に進んでいく構成となっている。各年代ともに、これまでの罪の償うという名目で、酒か缶詰のどちらか一つを直接食さなければならない状況であった。それぞれの主人公は二者択一を迫られて、結局一方を選ぶこととなるが、どちらも助からなかった。たしかにどちらもその当時は毒入りではなかった。しかし十八年前の恨みとあるように、時が経つにつれて毒そのものの性質は変化する。この点がこの話においてきわめて重要である。
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購入済み
冷静な怒りの炎
この作品は男子高校生が完全犯罪を考えていくというなんともやり切れない物語だ。
世の中には本当にどうしようもない程のクズみたいな人間はいるであろう。
でも殺人はよくないよ、と言うことはただの第三者からの意見であると私は思う。
当事者にとってはそれが唯一の方法であって、他に助けを呼べない、呼んでも助けてくれない状況なのだから。
少年が冷静に殺人の計画を練る姿は、悪の教典を思い出す程の寒気を感じるものであった。
だが、冷静な反面、心は怖がっていた。
そんな葛藤を描くシーンもあり、色々な感情が揺さぶられた。
嘘は嘘を呼ぶしかなくなる。
犯罪は新たな犯罪へと繋げてしまう。
怒りは新たな怒りを生み出す。
自分を諌めることとして覚えておきたい。 -
Posted by ブクログ
貴志さんの小説は、様々なテーマがあり毎回ワクワクさせられる。同時にあらゆる観点と切り口から「人間を人間たらしめるものとは何か」を問いかけられているような気がする。
今回は入口が【前世】で、貴志さんの新しいアプローチにやはりワクワクさせられた。
蓋を開けると前世に加えて、記憶・意識・個と全、そういった切り口で問いかけられている。
私はこの類のテーマが好きなのでなおさら惹き込まれたし、ラストは自然と涙が溢れた。まるで自分も記憶や意識を共に辿ったかのようなちょっとした追体験のような。
今回の着地はきっと賛否別れるんだろうと思う。
でもそれこそが私たちを私たちたらしめている証ともいえるのでは? -
ネタバレ 購入済み
非常に面白い
読みながらこちらも緊張してしまうような情景描写の優れた作品。
『善意で踏み固められた道も、地獄へ通じていることがある、、、』とても好きな言葉です。 -
購入済み
犯罪の手法とその操作の多様さに目を見張る作品でした。トリックの可能性を検証している前半はややまどろっこしいですが、後半にかけてどんどん面白くなります。犯人、正直逃げおおせてほしかったな…
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ネタバレ
中盤の対局はボードゲームの認識の裏をかくような(生き埋め作戦とか)でアクロバティックさを出しつつ、最終的にグリッドを進むゲームの原則に則り敵を倒すのが裏技と正攻法の両方楽しめてかなりよかった。軍艦島そのものの地理がちゃんとわかってないと文章だけでマップの特性を想像するのが大変ではある。地図欲しかった。
最後はリサールタッチと玉の相打ちだったわけですが、将棋と同じ頭の使い方でいいんかなとちょっと思ったが面白かったのでok
対局と断章が交互に出て最終的にエンドレス修羅モードに入る流れは勢いがあってよかった。
将棋や囲碁、チェスなどのおもしろさがわかる人向けに書かれており、割と人を選ぶ気はする。でも刺さる人にはめっちゃ刺さる