今井むつみのレビュー一覧
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ネタバレ記号接地の大切さは分かった。
ってか分かってました。
それを記号接地ということは、初めて知った。
勘のいい先生なら何となく分かると思う。
言葉は車輪のようなものなんだろう。
地面についていないと進まない。
空中で回っているようじゃだめなんだ。
使えて初めて役に立つ。
スキーマの間違いは、経験の豊富な先生なら意識して授業していることだろう。それを正そうと工夫して話しているだろう。
「繰り返しやれば、できるようになる」は間違い、には心から賛同。繰り返しやらせる無意味さは経験すれば分かる。
でもなー、
そのために遊ぶのか…。
んー、むずい。
たぶん何でもかんでも遊べばよいのではないに違いない -
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素晴らしかった!一気読みした新書。
筆者の慶應SFCの最終講義。
人間の認知力がいかに危ういか、一方で人間の認識方法がいかに優れているかを教えてくれる名著。
人間は2つのシステム(①直感的な思考(間違いが多い)と②熟慮による思考(判断が遅い))で思考しており、デフォルトは①だと言う。間違いが多い①の精度を鍛えるには、②の熟考で振り返る訓練をすることだ。「瞬時に無意識に行動できるまで、訓練を続けて身体に落とし込むこと。それが、システム①の直観を磨きます」との筆者の言葉には強く頷く。
最後にコロナ禍で活躍された尾見さんが残した言葉、「得手に帆を揚げろ」が紹介されている。どこに行っても生きている -
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記号接地問題 記号(単語)がどうやって現実の意味と結びつくか、という未解決問題。身体的経験や感覚との対応(接地)が必要ゆえに人工知能は記号同士のつながりは扱えるが、身体を持たないため「本当に理解しているのか?」は答えが出ていない。
子供やオノマトペから抽象的な言語を身体の一部にしていく「ブートストラッピング・サイクル」知識が知識を生み雪だるま式に知識を成長させていく仕組み
アブストラクション推論 仮説を出して答えを予測
ヒト 対称性推論(A→BならB→Aであると思考)を言葉のわからない赤ちゃんの時からやってる
→チンパンジーはしないが1匹だけするやつがいた
「人間はあることを知ると、その知 -
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「話せばわかる」とはどういうことか?
そもそも「話せばわかる」というとき、私たちは何をもって「わかった」としているのでしょう。
「相手の話がわかる」ということを、段階を踏んで表現すると、
①相手の考えていることが
②言語によってあなたに伝えられ
③あなたが理解をすること
といえます。
ここで問題となるのは、それぞれの頭の中をそっくりそのまま見せ合ったり、共有したりすることはできない、ということです。
それは単に「言葉によってすべての情報をもれなく伝えることはできない」というだけではありません。
言葉を発している人と、受け取っている人とでは、「知識の枠組み」も違えば「思考の枠組み」も異 -
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最後の章の「得手に帆を上げろ」というフレーズほんとに良かったAI時代に人生という大きな問いと向き合うためにAIと人間の思考方法を述べてこの本の集大成という感じがした
本書の中ではバイアス、ヒューリスティック、記号設置、システム1,2などの用語が丁寧に解説されていて、人間とAIの思考の違いはアブダクションにあるという主張だった。
確かに考えてみると、大規模言語モデルのAIは大量の言語データを学習して、特定の言語の次には何が来るかというのを確率や統計的に出力しているだけで、それは人間の思考方法でいうところの帰納的推論に他ならない。
言語というのは世界の情報を圧縮して削ぎ落とした記号だという話も面白 -
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人間に抱いていた一切の甘えや期待を捨てることができる本。結果、コミュニケーションのもどかしさは激減した。人間の脳みそって適当なんだ。みんな適当なんだ。細かいとこにネチネチこだわるのはやめよう。1GBに私のことを保存していてくれてありがとうの気持ちでいよう。
似たような経験を積んできた人と関わるのはとても楽だし安心する。ただ、「何となくみんな伝わってるし、分からない少数派が合わせにくればいい」という考え方でやっていると自分の成長も止まるし相手も組織も確実に腐っていく気がした。
“空気を読む”以前に、考えを伝える力というか責任のようなものを教わって世に出ていかないといけない気がした。受け取る脳み -
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初年次教育に携わるようになり、「学力とは何か」「なぜ分からないのか」に直面する機会が増えた。
本書はその疑問に認知科学の視点から丁寧に応えてくれる一冊。
具体的には「どうしてわからないのか?」という問いへの解像度が上がる。
『言語の本質』でも印象的だった「記号接地」という概念が、学習における「わかる」の本質を考える手がかりとして本書でも中心に扱われている。
また、生成AIの限界やハルシネーションの話も、人間の学びと対比する形で明快に解説されており、非常に興味深かった。
「時間」の概念につまずく娘のサポートにも役立つヒントがあり、教員としても親としても気づきをもらえた点がありがたい。
アク -
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言語の本質は何か。人間だけが言語を操るのはどうしてか。このような問いにわかりやすい仮説を提示してくれる。ひとつが、音声で外界の様子を模写していたものがだんだん言語に発展した「オノマトペ言語起源説」。知覚経験から知識を創造し、その知識を使ってさらに知識を成長させ知識の体系を自己生成性的に成長させていく「ブーストラッピング・サイクル」の能力。そしてこの「ブーストラッピング・サイクル」駆動させる、知識を想像力によって拡張したり、もっともらしい説明を与えようとする「アブダクション推論」をする能力。これらの組み合わせにより人類は言語を発展させてきたと著者は説明する。
この仮説は、何故人間だけが言語を持っ -
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認知科学に関する見慣れない語句が頻出.しかし、人間が言葉を覚えて駆使する過程が綿密に描写されており非常に楽しめた.記号接地という語句も児童が分数を理解できていない文脈で登場したが、面白い概念だと感じた.人工知能との関連も興味深い内容だった.「たつじんテスト」「時間どりじゃんけん」「時計カルタ」「分数のたつじんトランプ」など工夫された教材の紹介も良かった.p298にある‘’子どもが基本概念に自分で接地をし、アブダクションによって知識を拡張していくことができるなら、何から何まで直接教えてもらわなくても、自分で新たな知識を、それも「生きた知識」をつくっていける‘’が核心だと思った.