今井むつみのレビュー一覧
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SFCの教授が最終講義として行った授業。
「人間を知る」が本書のテーマ
前半はすらすら読みやすい。
世界を客観的に見ることができるのか?というテーマで、人間には
・バイアスがあること
・記憶が脆弱なこと
・論理的な思考が苦手なこと
・確率よりも感情で考えてミスすることなどが書かれている
それを踏まえて後半ではAIとの違いを説明。
人間は
・スキーマがあるから、高度な思考が成り立つこと
・アブダクションという人間の特有の推理方法があること
・AIは超一流の達人の再現ができないことを述べている
・自分の見ている世界≠隣の人が見ている世界
・見落とすことはある
・人は期待し、予測しながらものを見ている。
だから文脈により見え方が変わる
・文字列を見ると、人は意味を解釈する。
その解釈した意味しか記憶できない
・必要条件と十分条件の取り違えや因果と相関の混同のような基本的な間違えも頻繁に起こってる
・人間は確率思考が苦手。
ちょっとしたことで、論理性や合理性を失ってしまう。
・バイアス=悪 ではない
世界には情報が多すぎるため、バイアスがいっさいなくなったら、困る
・確証バイアス…都合のいい情報ばかり集める
・スキーマは「思い込み」の塊。
人間はスキーマに基づいて情報収集や論理的思考を行っている。
会話が成り立つのもスキーマに従って行間を埋め、理解し記憶しているから
・スキーマに頼ったアブダクション推理(正解が一義的に決まらない、論理の飛躍を伴う推論)が人間の非常に特徴的な推論のしかた
…論理に飛躍があるためら思い込みな偏見の源にもなりがち
しかし、人間的な推論のしかたである
普段から私たちは
「実はこうなのではないか?」
の考えて、欠けている情報を補い、推論している。
・アブダクションによって、人は知識を拡張し、因果関係を解明し、新たな知識を創造している
・アブダクション推理の精度を上げるには
システム1の直感的な思考は普通に生きていく上で不可欠だが、時に致命的な間違いを犯す
システム2はよりよい判断のために不可欠だが、時間はかかる
システム1の思考をシステム2で振り返り、自分時間の思考の特徴や傾向を知る訓練を通して、よ理質の高いシステム1の思考ができる
・AIはアブダクションをしない
AIが行っているのは確率計算
身体感覚で感じることはできない
・人はアブダクションを通して、自分で外界をサンプリングし、いくつかの点だけで、面の知識を創る
・練習することで、知識が創られる
推論して、さらに新しい知識を創り、さまざまな場で使う練習を重ね、体の一部にする
その過程で自分の知覚能力、認知能力、推論能力もどんどん向上させてきた
・AIは超一流の達人の再現ができない
理由
AIには感情がない
効率のよい学習はできてもら突き詰めることはできない
「好き」という気持ちが超一流の達人になるためには必要
・得手に帆を揚げろ
苦労がない人生は絶対無理
好きなことをやっていても苦労が必ずある。
だなら、迷ったときは、それぞれ自分な得意技や好きなことに目を向ける
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Posted by ブクログ
学力について書かれている本だが、普段の日常にも大きく関わる話だった。
学力を通して他者理解の部分について深く触れているため、自己理解にも繋がっていく。
教育現場以外の職場でも、大いに活用できる話があるように感じた。
わたし自身、教育現場に少し携わっており、
子どもから数学の質問を受けたとき、この質問があるということは根本的な核となる部分の理解ができていないな、、、どう教えたらいいのか、とよく悩んでいた。
その悩みの部分が、明確に記されていたように思う。
自分が子どもたちにできることの幅が、とても広がる本だった。
学力以外の部分にも置き換えられる知識がたくさんあったため、非常に役立つ一冊になった。 -
Posted by ブクログ
とても私にとっておもしろい本でした。
日常生活において、話したことが適切に伝わらないことは多々あり、自分の話し方に難ありなのだろうと思いこの本を手に取りました。
そうか、人は話を聞いている間に考えているのか。そして人それぞれにバイアスがあって、異なるスキーマで聞いているから伝わらないことがあるのかと腑に落ちました。自分の考えていることは、思っている以上に相手に伝わっていないものだとまず考える必要があったんだとわかりました。
話し方は具体的かつ抽象的に。つまり、話の枠組みを話して全体を定義させてから、具体例を言うといいのかなとそう捉えました。
他の方の感想を見て、著者の他の本はおもしろかったと書いてありましたので、著者の別の本も読んでみたいと思います。
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本書を読んで、子どもに読み聞かせをする時間が増えた。理由は、認知科学の知見として「読める」ようになるには、「文字を読めるようになる前に、どれだけ耳から聞いた単語がたくさんあるかが大事」という情報があったから。下の子も2026年12月までには文字を読み始めるだろう。もう時間がない。
算数の文章題が解けない子どもたちの状況は衝撃的。その原因として、教える側の大人に知識に対する誤解があること、子どもたちのスキーマが誤っていることが挙げられている。「知識は「覚えるもの」ではなく「学び手が創り上げていくもの」」という指摘は実感にも沿う。
子どもは、誤った推論を自分で正していく力を身につけなければならない。客観的な誤りであればいいが、人の視点を獲得して自分の考えを修正するというのは特に。自分のできていないことを指摘されているようだった。
AI時代に「知識はAIに任せていればいい。人間は勉強しなくて良くなる。」という考えは、記号接地という視点からは明確に誤りだと分かる。身体化されていない知識は、そこにあっても使えない。論理的であれば必ず理解できるわけではない。嘘だと思うならウィキペディアの数学に関する記事を読んでみたらいい。またはタイ語の書写。本書にも「大人でも接地させて身体化するには時間がかかる。」という指摘がある。 -
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ネタバレ今井むつみ先生の「『何回説明しても伝わらない』はなぜ起こるのか」を読みました。最近、読書メモをさぼっていたので久しぶりです。
大前提は、話し手と聴き手の知識の枠組み、思考の枠組みが異なること。スキーマという言い方をしているけど、特に母国語が違う人と話をするときはこのスキーマが異なることで、同じ認識ができないということが起こりうるという話。あとは、記憶は理解して蓄積されるということ。逆に、理解の仕方によって記憶がゆがめられることもある。そして、人間はまんべんなくものを見たり認識したりすることができないばかりでなく、目に入ったり認識したりしたごく一部の情報が「すべて」だと思い込んでしまう傾向があるらしい。さらにいうと、人間は、「これが好き」という感情が最初にあって、それをもとに意思決定し、あとからその選択でどうかを理性で検証するという癖があるらしい。こういう前提条件があると、昔から言われていることが理にかなっていることも判る。例えば、「技は盗め」という話。教えてもらうと自分で考えないでしまう。教えてくれずに、自分で技を習得したいと思えば、いろいろ試行錯誤して考える、つまり理解が伴っていくので、自然と技が身についてくるという話らしい。「結論を最初に」というのも、話し手の意図が最初に判っていた方が、理解がしやすいということに基づいているらしい。いずれにせよ、相手のスキーマがどうなっているのか、理解することが記憶、認知に強く影響するということがこの本のポイントなのかなと思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ慶應大学今井むつみ先生の最終講義らしい。帯にも書いてあるように、「人はわかっていても間違え、偏った視野をもち、誤解するもの。だからこそ、どう学び、人とつきあい、社会を生き抜いて行くかを考えることが大事」。まさに、その通りと思います。この講義は、その人間の認知の偏りが、AIとは違ったアブダクション推論を可能として、それが「1を聴いて10を知る」と言った人間ならではの認知の仕組みを生み出している一方で、その偏りがとんでもない誤りを生んでしまうこともあるというところが起点。AIは統計処理なので、推論に偏りがない。それと人間は五感を統合して判断するが、AIはマルチモーダルな統計処理は苦手だという。後者は、これから統計的に解決できるような気もするけど、十分なデータが無くてもそれが出来るのが人間の認知の特徴なのだと理解しました。もう少し、整理したい事がたくさん。もっと勉強しなくては