今井むつみのレビュー一覧
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新書ならば、子どもがいようが仕事があろうが、すき間時間で読めるはず(。ノωノ)
そうして朝のトイレ、寝る直前、ぶつ切りされながらも「小説よりは読める!」ことを発見しました笑
要はほけ~っとしながらでも面白く読めるということ。さすが新書大賞!
エモいものを求めがちな夏、正直小説の方に惹かれたが、自分の知識をアップデートするため、ちょっと心頭滅却して過去5年間の興味がある新書大賞をチョイスしました。
さまざまな科学的視点から言語が語られることが新鮮でした。文系読み物ではなく理系読み物で、理系の人にも「おもろいやん」と言ってもらえそうな本です!
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ネタバレ我が家の子どもたちにも、タケテ⇔マルマの比較や、今井教授の考案された実験をしてみましたが、同じ結果が出ました。すごい!
著者の今井教授は発達心理学、秋田准教授は言語学の観点から執筆されており、二分野が渾然一体と混ざった他にない視点の本となっているように思いました。だいたい共著というと二者で各章それぞれを担当するものだけど、本書はどうやって執筆したのだろう。意見の相違とか、文体の不一致とかなかったのかなあなんて考えてしまった。
それは置いておいて、人間が言葉を獲得したのは論理的に正しくないアブダクション推論のためというのは非常に面白かった。言語を持たない動物はアブダクション推論ができない、と -
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ネタバレ教育の本質を改めて問い直す一冊でした。認知心理学の知見をもとに、「学力とは何か」「学びとはどうあるべきか」という根源的な問いに対して、明快かつ実践的な視点を提示しています。
本書の中で特に印象的だったのは、「すべての子どもに同じように効く普遍的な方法は存在しないし、存在するべきでもない」という言葉です。教育現場では、特定の実践方法に頼りがちですが、それらはあくまで手段の一つに過ぎません。教師には、目の前の子どもに合わせて方法を柔軟に調整する力が求められます。どんな教育技術であっても、誰かの言葉を鵜呑みにするのではなく、自分自身の判断でチューニングして活用することが大切だと感じました。
ま -
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運動能力と頭の良さは関係がないと思っていた考えを覆された。ある程度の筋力的な強さは頭を使わずに手に入れられるとしても、その先のアスリートの世界には構成主義的な学びが不可欠である。得た情報を反映させて試行錯誤を繰り返しながら自分の身体に新しい動きを取り入れていく試みは、学びそのものだと感じた。オノマトペや例えなど、言葉を使いながらイメージをつけることは、より直感的に理解することを促進する。
また、早く多く学ぶことが最適ではない、という内容が印象に残った。いまは図解した本やYouTubeで視覚的に表現した動画がたくさん出ているが、本来自分でやらなくてはいけないactive, constructi -
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ネタバレ学力とは何なのか。
とても考えさせられる話だったし、実例もとても興味深く、そして恐怖すら感じる内容だった。
子どもたちがなぜ躓いてしまうのか。
いろいろな条件がいるわけだが、言葉の意味が分かっていないということが一つに挙げられていた。
しかもその“言葉”というのが、意外な言葉で。
どこで躓いているかは、もちろん人それぞれだから、一般論としての話ではあるが、教育業界の端くれとしてとても勉強になった。
そして管理職として。
部下で、いわゆる“できない”社員がいるわけだが、なぜできないのか、なぜ躓いているのか、といったことを考えるヒントにもなった。
言葉の意味が分かっていない。何のためのものか -
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タイトルは学力の低下を嘆くような形になっているが、どちらかと言うとその原因を突き止め、解決策を実践を通して考えていく建設的な内容となっている。また子どもたちだけではなく、大人にとっても「学ぶとは何か?」を考えさせる一冊だ。
大人の我々は殆どが「1/2と1/3のどちらが大きいか?」「5時間10分は何分なのか?」といった問題に対して短い時間で答えられるだろう。しかし分数や時間の概念が与えられていない子供はどうだろうか?すぐに理解できる者はごく少数であろう。これらの概念を掴めないうちに勉強が嫌いになってしまうことは大きな損失ではないだろうか?こういった概念を子供達に思考させながら学ばせることはとても -
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期待通りのクオリティで、さすが今井むつみ先生。
巷にあふれる聞くだけでとか、100フレーズだけでとか魅力的な喧伝に一家言モノ申してくれております。英語学習に対する幻想を打ち破って現実に引き戻される、それはそれでちょっと残念だが真理だからしょうがない。
「スキーマ」というキーワード。英語母語話者のスキーマを身体的に落とし込むという作業が、英語を本当の意味で使いこなすには必要である。
英語=日本語訳の一対一対応を暗記するのではなく、構文や共起表現まで自分で探索すること、それこそが本当の意味で語彙力を養うということだ。
SKELLコーパスで検索しながら読み進めたけど、似ている意味の単語が異なる -
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外国語を学ぶのがそもそも好きな私にとってはスッと入ってきやすい内容だった。けれども抽象的なことばを語彙として増やしていくことで「思考力」も伸びていくというところが、子ども向けの本ながらも大人にも響く部分だった。
ことばを理解するときに点じゃなくて面で理解していくこと、似た言葉をセットで調べる、覚えることでさらに理解が深まるというのは外国語学習なら当たり前にできるのに、日本語だと途端にやっていないのはなぜだ?
アブダクション推論:仮説を立てたり違う分野の知識を組み合わせたりして目には見えない現象を推論すること(仮説だからもちろん答えは一つではなく、間違うことだってある)
ex)・Aではないか -
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日本語教師の試験に合格後、子どもを妊娠中に実習を受けたとき、先生に「子どもが話すようになったらメモをとっておくといいですよ」と言われました。実践してみたものの、初めての育児はあまり余裕もなく、メモもいつの間にかなくなってしまいました。それでも「アイスクリーム」を「アスミック」、「エレベーター」を「エベレーター」と言っていたことは覚えていて、確かにそれをいちいち直していたわけではないのにいつの間にか直っていたなあということも思い出しました。
「ことばの意味の範囲」についてもなるほど、と。
英語を学んだとき、単語一つにつき日本語訳一つで覚えてしまっていた(当時の単語テストのせいだと言いたいですが -
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日本語と英語のスキーマのずれ、これに尽きるという話。そもそも世界の捉え方を日本語的に考えていることそれ自体を、英語的に変化させる必要がある。
これは全くその通りで、頭の中で日本語→英語の変換をついやってしまうが、これでは話せない。なぜならそのまま変換できないからだ。頭の中で世界をイメージして、それを英語で表現するというのが正しそうである。
そして、ただ英会話の練習をしても英語は上達しないということ。なぜなら英語のスキーマをもって、語彙や英語のシステムを頭の中に取り入れられていないから。
過去に2か月英語留学に行ったが、そこで感じたのはまさにこれだった。とりあえず喋ればいいということに違和感を -
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ネタバレはじめに
学校の勉強はムダではありません
「考える力」つまり「思考力」を身につけること
「すべての科目で使うもの」はそれは「国語力」です
「ことばの力」と「思考力」で、問題を解決する
第1章あなたはことばを、どう覚えてきたか
・「自分で発見して考えて学ぶ」
第2章問題解決に必要な「推論の力」
・「ことばの力」は「考える力=思考力」と関わり合う
・知識を素早く取り出す力ー「情報処理能力」
・思考をコントロールする能力ー実行機能
・詰め込んだ知識も、取り出さなければ意味がない
・「考える力」というのは「知識を使って、推論し、問題を解決する力」
第3章学校で必要になる「ことばの力」
第4章A