あらすじ
日常生活の必需品であり、知性や芸術の源である言語。なぜヒトはことばを持つのか? 子どもはいかにしてことばを覚えるのか? 巨大システムの言語の起源とは?ヒトとAIや動物の違いは? 言語の本質を問うことは、人間とは何かを考えることである。鍵は、オノマトペと、アブダクション(仮説形成)推論という人間特有の学ぶ力だ。認知科学者と言語学者が力を合わせ、言語の誕生と進化の謎を紐解き、ヒトの根源に迫る。
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Posted by ブクログ
本書に言及があったので、ゆる言語学ラジオの「赤ちゃんミステイクアワード」回を見てみた。
著者も出演されていて、言語学的にも興味深いし、エンタメとしても面白かった。
基本、視聴者投稿の子どもエピソードなのでほほ笑ましいが止まらない。
ちょっと堅苦しい本ではあるけど、
「ポケモンは進化すると名前に濁音が増える傾向」とか
いろんな引き出しから論が進められるのでおもしろい。
「言語学的視点からのファイナルファンタジーとドラクエの魔法やモンスターの命名傾向分析」みたいな論文も大学生が書いてそう。
流行った本だけあって後半の記号接地問題とアブダクション推論の話はグッと引き込まれた。
学問のおもしろさ思い出させてくれる。
先に世界の現実があってその流れで言語が成り立っていった、みたいな話がなんか好き。
(1)音
「たたく」「ふく」「すう」という動詞。
「タッタッ」「フー」「スー」という擬音をもとに作られた語で、末尾の「く」は古語では動詞化するための接辞。同様に、なんと「はたらく」も「ハタハタ」というオノマトペを語源に持つとされる。
(2)声
・「カラス」「鶯」「ホトトギス」は鳴き声を写す擬音語「カラ」「ウグヒ」「ホトトギ」に鳥であることを示す接辞「ス」がついてできた。
・「ネコ」という名詞にも、昔は鳴き声を「ネーネー」と写し、それに「コ」という接辞がついたのが由来という説がある。
(3)発話しやすさ
主食を表す単語が「パ」や「マ」で始まることが多いのは(中略)赤ちゃんことばがもとになっている可能性があり、<食事>を表す赤ちゃんことばは、日本語の「まんまmama」、トルコ語の「ママ mama」、スペイン語の「パパpapa」のように、必ずと言っていいほどmaやpaで始まる。食事を求めることが赤ちゃんにとって死活問題であり、かつこれらの音が赤ちゃんにとって発音しやすいため
(4)口内空間の大きさがイメージの大きさに対応
・「あ」が大きいイメージ
英語の「ラーヂlarge」、フランス語の「グラン grand」、ハンガリー語の「ナーヂ nagy」
・「い」が小さいイメージ
英語の「ティーニー teeny」、フランス語の「プティpetit」、ハンガリ語の「キツィkicsi」
Posted by ブクログ
我々人間がなぜ言語という高度なシステムを操っているのかをオノマトペから読み解く名著。人間にできて、AIにできないことを読み解くヒントになりました。
Posted by ブクログ
オノマトペを基点として、アイコンによる補助理解がシンボルグラウンディング問題のもつ身体性に紐付き、人間の知識拡張:ブートストラッピング・サイクルは推論様式のアブダクション推論によると結ぶ。これを人間の言語の本質として落としこんだ名著。記号接地せずに記号間を漂うだけのAIが成立するディープラーニングの可能性も感じた。読んでよかった。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ読みやすい。専門用語もまあまあ出てくるが、巧みな例えを使いながら意味を分かりやすく説明してくれるので、最後まで詰まらずに読めた。
前半は、オノマトペと普通の言語、それ以外の事象とを比較しながら、オノマトペの持つ性質や、子供の言語習得にもたらす影響について迫っていく。
後半は、アブダクション推論にテーマをおいて、子供の言語習得を促す足掛かりを考えていった。
基礎知識や既存の研究を提示し、新たな問いを立てていく流れがスムーズで、言語学に触れたことがなくても面白かった。
Posted by ブクログ
2024年の新書大賞作でもある本書は、慶應義塾大学環境情報学部教授と名古屋大学大学院人文学研究科准教授による共著であり、言語はどのように進化してきたのか、人間はいかように言語を理解するのか、について書かれています。
共著といっても、章ごとに別分担で書かれたのではなく、全章共同執筆されているのもおもしろいです。
テーマを解き明かす鍵は、帯に書かれているとおりですが「オノマトペ」と「アブダクション推論」。
鈴木孝夫『ことばと文化』においても「ことばによることばの「定義」は、教える人の経験と、教わる人の経験の差、および「定義」をする目的などの条件で千差万別の形をとり得」、やもすると循環論法になりかねないと述べられていましたが、これと同様の内容を指すのが記号接地問題。言語という記号体系が意味を持つためには、基本的な一群のことばの意味はどこかで感覚と接地していなければならないとされています。
この基本的な一群のことばの意味を担うのがオノマトペ。
絵文字や顔文字のような視覚的アイコンと、形容詞などの語の中間に位置し、意味のコアを掴む手助けとなるとされています。
そこから仮説形成を行い、言語を全て丸暗記するまで話し始めることができないのではなく、既存知識から新たなる知識を生み出していくのがアブダクション推論。
赤ちゃんや動物を対象に行った実験も豊富に引用されており、おもしろくも読み応えのある一冊です。
Posted by ブクログ
息子が小さいころ、「行く」と「来る」の使い分けがごっちゃになってたのを思い出した。自分が友だちの家に向かうときに「ぼくが来るね」など。
どちらも移動するシーンを動詞で表したものだから曖昧に感じたんだ!となんだかスッキリ。
Posted by ブクログ
オノマトペと言語習得の過程を通して、記号接地問題に迫り、言語の本質を垣間見る。言語関係の研究に触れると、意識や認知、AIなど、様々なジャンルで深い洞察が得られる。特に、人間の脳のメカニズムとAIというのは、基本的にはすでに同じプログラムになっており、ただ、そのベースとなる部分が、人間の脳は進化の過程において積み上げられたルールに支配されている、ということではないかという考えを、本書を読んでより強くした。
Posted by ブクログ
オノマトペへの好奇心が言語自体の変化や習得に関する研究への入り口になったという点が面白かった。記号接地問題がその中心にあり、AI研究へと繋がっているので、予想外に広範囲な学びとなった。
Posted by ブクログ
記号接地問題 記号(単語)がどうやって現実の意味と結びつくか、という未解決問題。身体的経験や感覚との対応(接地)が必要ゆえに人工知能は記号同士のつながりは扱えるが、身体を持たないため「本当に理解しているのか?」は答えが出ていない。
子供やオノマトペから抽象的な言語を身体の一部にしていく「ブートストラッピング・サイクル」知識が知識を生み雪だるま式に知識を成長させていく仕組み
アブストラクション推論 仮説を出して答えを予測
ヒト 対称性推論(A→BならB→Aであると思考)を言葉のわからない赤ちゃんの時からやってる
→チンパンジーはしないが1匹だけするやつがいた
「人間はあることを知ると、その知識を過剰に一般化する。」
陰謀論とか、そこまでいかなくても最近周りの人が私にとっては嘘と思えることを、本当のことのように断言してくるのこれだよな、、と思っちゃった。
言語面白い!ってより深淵、ちょっと怖い って感じだったかも よく降りて行ってるなぁと筆者さんたちに感じました。私は視覚優位タイプだから言葉で降りていくのも苦手なところある、この本は言葉で掘っていくやつ
Posted by ブクログ
対称性推論の実験。赤ちゃんとチンパンジーの違い、さらにチンパンジーの天才の話が面白い。
アブダクション推論は論理的には正しくないが、新しい知識を創造する。
Posted by ブクログ
例がたくさん出てくるので、関心を持って最後まで読めたが、そこそこ難しい話も多かった印象。
ポケモンの名前について、進化を重ねると濁音が増えると言う話や、ぱおんの真面目な分析などは普通に面白かった。
途中で異国の言語を見せられ、意味を推測するクイズがあったのだが、正答率8割くらいを出してしまって震えた。
Posted by ブクログ
ことばは、どのようにう生まれたのかと言われてピンとこなくて気になり読みました。
内容は、オノマトペを柱として世界との比較、動物の比較などを用い言語の本質に近づいていきます。
読み物としては、大学で扱うような内容に近く、考えながら読んで、ちょっと戻りを繰り返し読みました。
オノマトペって凄いと思う1冊だと思います。
Posted by ブクログ
オノマトペとアブダクション推論、記号接地問題、ブートストラッピングサイクル をキーワードに言語の本質、人間の思考の本質への思索に至る大作?新書。
なぜ人類だけが言語を獲得できたのか、学習したことを逆方向の結びつきに過剰一般化するバイアスが鍵という。対称性推論も相互排他性推論も論理的には正しくないし、だまし絵や錯視を勝手に補正して非論理的に見せている人間の脳の働きこそが言語体系の獲得というエベレスト山頂にまで到達する。
人間とはかような非論理的で過ちを犯すからこそ、なおさら論理学という教養が重要視されるのだろう。
AIのことは少ししか出てこなかったけど、こういった人間の思考回路がより正確に理解できるようになれば、より人間に近い精密な知能ができるようになるだろう。
オノマトペを巡る言語間の違いもこれから外国語を勉強するにあたり面白かった。
Posted by ブクログ
いかにして現実感覚と接地しているオノマトペから、抽象的な記号に見える言語に至るのかを考察した本書。議論が丁寧なので、序盤は退屈するかもしれないが、まぁそうだよねー的な妥当な結論に至っており、文字通り言語の本質を感じ取れた。
Posted by ブクログ
子どもがどのように言語獲得をするのか関心があり、読んでみた。
非常に明快で読み応えがあった。
対称性推論の有無がヒトとそれ以外をわけている、ヒトは対象性推論が先天的にできる、というところが面白かった。
Posted by ブクログ
学びを深めるために読んだ。
普段当たり前に使っている言葉、そしてオノマトペ。オノマトペは言語か否かという問いから、まさかの言語はオノマトペから始まったという考察に至る。言われてみればと思いつつ、全く考えに至らなかったことだなと思った。
多様な実験結果をもとに言語の本質に迫る本書を見て、かなりの学びがあった。さらに学びを深めたい。
Posted by ブクログ
AI隆盛の時代だからこそ、記号設置問題に向き合う意義は大きく、オノマトペを起点に非常に分かりやすく言語の本質(の仮説)をあぶり出していく良書。
最後、人間だけが対称性推論バイアスを保持している理由のところだけはやや雑な仮説かなぁと思ったので、文化人類学からの回答が欲しいなぁと思った。
Posted by ブクログ
2023/6/12 読み終わった
ゆる言語学ラジオで紹介されていたので。
オノマトペの話はまあそうかなって感じでそこまでピンとこなかった。
その後が視点だった。人間は偏見があるから、思い込みをするから言語を発達させたのだ!
Posted by ブクログ
言語の発達の話に興味があって読み始めたが、最初はオノマトペの話で、なんとなく肩透かしにあったような気がした。しかし、読み進めていくうちに、オノマトペがとても重要であることが分かってきて、どんどん興味が湧いてきた。確かに、言語と言語でないものとの中間に当たるものという印象はあるが、単なる口まねとどこが違うのかを見ていくうちに、確かに言語とは何かの本質に迫っていく感覚があって面白かった。
言語とか認識の研究というのは、どちらかと言えば観察や事例研究をメインとする学問のような気がしていた。しかし本書を読んでみると、思った以上に実験の話が多くて興味深かった。言葉をまだ使えない赤ん坊の認知を知る方法など、妙に客観的でむしろ驚いてしまった。こういう学問の進め方もあるのだということ自体が新鮮であったし、こういうふうに真理に迫っていく学者の姿勢がすてきだと思った。
最終的には、人類の認知と思考(といっていいのか正直自信がないが)の特性のようなものにまとまっていくのだが、最後の方は少しわかりにくい感じがした。帰納法や演繹法をどのように使っているかの話などは、読者であるこちら側がそれなりに頭を整理して考えないと入ってきにくく、前半のオノマトペのような直感的にうなずけるものとは少し違う。もう少し時間をかけて、自分の中で消化したいと思う。
Posted by ブクログ
身近なオノマトペから言語習得の過程が述べられていて分かりやすかった。
後半は初めて聞く単語も度々出てきて、分かりやすいだけでなく読み応えがあってよかった。
育児経験のある方は読んだらもっと面白いんじゃないかと思う。
Posted by ブクログ
オノマトペって偉大だよね。
日常にありふれすぎてて気づかないけど、英語の音便変化を面白いと感じるように、言語に性がある感覚を身につけたいと思うように、日本のオノマトペも知的好奇心の対象だよ。
Posted by ブクログ
なかなか興味深い本であった。なぜ人は言語を有するのか。オノマトペを起点に展開される話が面白い。オノマトペについて書かれた書籍を初めて読んだが、それだけで十分に学問になる世界であることを改めて気付かされた。とくに音との関係にはなるほど確かにと感じさせられる。読みながらふと思ったことは人が持つ二つの思考の体系。第一、第二システムの話。オノマトペは第一システムで受け取られてるから成立するのではと考えていた。関係あるかないかは??
Posted by ブクログ
私には少し難しい本だった。
AIはリンゴという言葉(記号)を知っていても、リンゴの味や香りを知らない。私が長年感じていたAIに対するこのような違和感に「記号接地問題」という名前があることに驚いた。
AIだけでなく人間も、頭だけで理解している時と感覚だけで理解しているときがある。
頭で理解しているだけでは何か物足りず、感覚で理解しているだけでは、言葉で相手に伝えることはできない。この頃、頭と感覚の両方で理解したいと思うことが増えたので、この本には共感させられる部分が多かった。
AIは頭では理解している(頭でも理解していないかもしれない)が、感覚では理解していない。
だからAIでは人の心を動かすものは作れないだろうと、改めて思った。
Posted by ブクログ
私の勘違いでヒトとAIの違いや、記号接地問題に深く切り込んでいく話かと思いこんでいたがそうではなかった。
アブダクション推論の能力が言語習得につながっているという考えは興味深かった。ヒトのみが対称性推論を行う動物(厳密には例外がいる)という研究も面白い切り口だった。
Posted by ブクログ
読書メーター登録800冊目。しばらつ積ん読状態だったが,学力崩壊からの流れで読む。記号接地問題,ブートストラッピング・サイクル,アブダクション推論,オノマトペ,などがキーワード。言語獲得における認知的制約やルールの過適用などは初めて知ったときは嬉しく感じたものだ。誰かに得意気に話したい気持ちだった気がする。誤った推論とその結果に基づく学習により知識体系を洗練化する。人間はとかく誤った推論をしている。大学生に8割以上の出席が単位取得の必要条件と伝えると,8割以上の出席で単位取得と考える例はあるあるの事例。
Posted by ブクログ
オーディブルで聴いた
オマノトペを起点に、言葉の本質を考える。
本書の主張はクリアで、さらに最後にまとめがあったり、分かりやすく、興味深かった。
Posted by ブクログ
「言葉を覚え、使うために、果たして身体経験は必要なのか?」
記号設置問題とコンピュータの関係性から、「分かる」とはどういうことか今一度見直される。
AIは「まるで人間のように」疑問に対して答えを述べてくれるが、それは私たちの思う「分かる」とは何か異なっているように感じる。
本書ではさらにオノマトペの言語性を掘り下げていく。
擬態語、擬音語としての役割を持つオノマトペだが、言語と同様に他国のオノマトペに理解できないものがある。
また、オノマトペを含め、子ども(赤子)が言語を習得することには、どのような過程を辿っているのか。
物には名前がついているという一般性に気付いたヘレンケラーの例を挙げ、アブダクション推論へと繋げていく内容は面白い。