今井むつみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
子どもの言い間違いって、ただ可愛いだけじゃなくてこんなに言語学的示唆に富んだものだったんだ。
どうしてそういう言い間違いをしたのか。そこには、その子なりのロジックがちゃんとあって、「こういう場合はきっとこう言うのだろう」という推測(言語学用語では『アブダクション』と言うらしい)に基づいて発話されてるんだ。その仕組みが分かると、言い間違いの解像度が上がる。つまり面白さの質が上がる、それも格段に。
確かにその理屈は正しい、むしろ日本語がそうあるべきじゃん!と思わされる「言い間違い」もチラホラ。
言葉って本当に奥が深いな。そして子どもって本当に賢いな。
4歳の娘は最近、うちわで扇ぐことを「よそぐ」と言っていた。
「風がそよぐ」からのアブダクション(プラスsとyの子音転換)だ。
この本を読んでから子どもの言い間違いを聞くのがこれまで以上に楽しい。 -
Posted by ブクログ
想像していたよりも読みやすかった。高校生でも読めるんじゃないか。
オノマトペの特徴といわゆる普通の言葉との違いから入って、そもそも言語とはなんだろうかについて考察を与えてくれる。記号接地問題は、今まで考えたこと良い角度で面白かった。人間がここまで言語を発達させられたのはアブダクション推論ができたから。確かに今自分が使う言葉全てが体験したもの、ことではないけれど連想ゲーム的に辿ればどこかでは接地している。それができるからメモリ不足にならないというのは面白かった。
チンパンジーの実験では、言語からものへの認証は作れても、多くの個体は逆向きは認識できない、ただし一部ではできる、というのは言語を作ってきた過程を示唆しているようで面白かった。 -
Posted by ブクログ
キーワード
アブダクション、記号接地、得手に帆を揚げる
学生向けの講義をまとめた内容であるので分かりやすく読みやすい、ただ内容は深い。この本はあくまで入口であり、さらに理解するために挙げられていた本を読みたいなと思わせる。全く畑違いの仕事をすることになり、日本語なのに理解できないという状況が続いていたが、スキームがないからだったんだなと腑に落ちた。そして、全く違う分野であるからこそ、それを身につけることでアブダクションし、あらたな知識の創造につながると思うと、少し気分も上向く。卒業して何年も経つが励まされた気になった。最後の尾身先生の講義内容を引用したまとめが特に心に残る。得手に帆を揚げる、得手がわからなければとりあえず目の前のことを一生懸命やってみる。その心意気で取り組んでいこう。 -
Posted by ブクログ
「言語の本質」が面白く、ちょうどTOEICを受ける時期だったので前著「英語独習法」と併読した。あまり意識していなかったが、結果としてこの順番で読んだのは正解だった。
「英語独習法」はコーパスを使って自分で用例を探っていく方法を勧めるが、そもそもコーパスで書かれる短い例文ですら読めない自分のレベルにはこの勉強法は早く、読みながらレベルを間違えたなぁという居心地の悪さがあった。
本書はその手前の層に向けて、AIを使って同じ効果を得るための本になっている。読んでいて置いていかれる感覚がなかった。
終盤の実践編で、see/hear/knowといった基本動詞の使い分けをAIと遺書に考える手順を実際に手を動かしてたどるので、読み終わった後も自力で続けられる状態になる。
英語に限らず学習全般に効くサイクルを学べたと思うので、他の学びにも活かしたい。 -
Posted by ブクログ
TOEICを受けたことがない英語初心者。何から勉強すべきかわからないので本書を手に取った。
本書は全くの英語初心者向けの独習法というわけではなく、読み進めると簡単な映画なら字幕なしである程度聞き取れるとか、調べたい単語にまつわる短い例文であればなんとか読めるレベルの方向けであった。完全にレベルを間違えた本を読んでしまった。
ただ、語彙が大事であるということとその理由がわかったし、学習のヒントにはなった。読んで損はなかった。
でも、もうちょっと英語ができるようになってからの方が読む気になれていいかも。自分の英語レベルがあがったら再読したい。 -
Posted by ブクログ
とてもとても興味深い。しかし、内容がみっちりなので、171ページで一旦休憩中。積ん読ともいえる。
外国語を学ぶのは他の文化を知り、よりよく生きるためだというのが世間一般の英語学習効果だろうけれど、いままで自分自身割とたくさんの言語をかじってきた経験から、この本を読んで『あっ、これ、あるある』と思ったことをいくつか。
①外国語効果 母語以外の言語を使うときのほうが理論的で冷静な判断ができる。外国語を使うときは感情が抑制され、対象との間に心理的な距離を置くことができるからだろう。
②使用する言語によって同一人物でも性格、忍耐力などが変わる。
③ある事柄は、言語Aで学んだことならば、言語Bで質問されたときよりも言語Aで質問されたときのほうが正しく答えやすい。 -
Posted by ブクログ
慶應大学の名誉教授である今井むつみ氏が、自身の専門である認知科学の立場から、AI時代にどのように英語を身につけていくべきかを説いた本。外国語を思い通りに、ネイティブのように操るためには、「スキーマ」と呼ばれる、各言語ごとに存在する膨大な背景知識(文法など言語の仕組み、文化をもとにした言葉の使われ方、少し違うかも)を身につけることが必要。したがって、単語帳を丸暗記して日本語に相当する英語をただ覚える、語彙を増やす方法では本当の意味での英語力は身につかず、特にライティングやスピーキングの能力向上は見込めない。cf. 「手紙をもらってうれしい」を"Getting a letter is happy."と訳してしまう高校生の例。うれしい = happyは語彙として身についているが、スキーマが形成されていない為、使いこなせない。なお、読むとき聞くときの語彙を受容語彙、書くとき話すときの語彙を産出語彙と呼び、後者が少ないのは一般的であるが、日本人の英語ではそれが異常にアンバランス(受容語彙に比べて産出語彙が極端に少ない)らしい。
具体的な方法としては、ChatGPTやGeminiを使って、特定の英単語の例文を大量に吐き出してもらい、頻出する用例について推論を重ねていくというもの。例えば本書で挙げられた動詞を例にとると、類義語のセット(hearとlisten、lookとwatch、seeなど)に関して10ヶずつ例文・和訳を作ってもらい、対象の単語がどう訳されるか、セットで頻繁に使われる目的語や副詞の傾向はどうか、文型はどうなっているか、等を整理し、これらの単語は一般的にどう使われるのか、ルールを推測する。その後、推測に基づく正しい用例の例文(和文・英文のセット:この文脈、用法ならhear、この場合はlisten、など)を考え、これをAIに和訳させ、妥当性を検証する(推測通りの英単語が使われればok、間違っていれば推論に誤りがある)。なお、アウトプットの練習は、ライティングが適切だという。スピーキングが最終目的ではあるが、情報処理の負荷が非常に高く(伝えたいことを考える、英語を組み立てる、文法に注意する、相手にも気を遣う)、上記を意識した丁寧なアウトプットには向いていない為。
非常に時間はかかるが、推論する、自分で考える、間違ったら見直す、というところが、英語を血肉にしていくのに重要なプロセスなのだと理解。自分の子どもが、思いもしないような難しい言葉を使うことがあるが(そしてしばしば間違っていて訂正するが)、これこそが筆者の言うアブダクション推論を繰り返す過程なのだろう。大人が使い分けの分からない類語に遭遇して「この用法を教えて」とAIにインプットする(そして分かった気になって翌日には忘れる)のとは脳への刻まれ方が大違いだと感じた。
筆者は多読には懐疑的で、語彙が十分にある上級者にのみ有効な手法だという。が、物語に没頭する中で自然な英語表現に大量に触れる、時々違和感や疑問があって調べる、というやり方は、後者が「AIに訊いて終わり」でなければ、それこそ英語のスキーマを育てることであり、中級者でも有効なのではないかと思う。読む英文のレベルが適切であることはもちろん重要ではあるが。 -
Posted by ブクログ
ゆる言語学ラジオで本書を知りましたので読みました。
言語学と聞くと堅苦しいですが、子どもの言い間違いを題材にしているので、『こんなこと言っていたなぁ』と思いながら読み進めることができます。
それぞれのフレーズに対して著者は考察をしています。子どもは今ある知識をフル回転させて、言葉をひねり出しているようです。実体のない概念を指した言葉は理解が難しいようです。
例えば、『宇宙にロケットが飛んでいった』と聞いても、宇宙とは何かが分からないので、他の言葉と言い間違えています。机の上のリンゴなら直接触れますから分かりやすいですが、確かに説明は難しいですね。
テンポ良く読み進めることができますので、日本語の難しさをふんわりと感じることができます。