今井むつみのレビュー一覧
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他の言語を学ぶほど、そういえば自分はどうやって日本語を覚えたんだろうと不思議に思っていた。この本はその問いに正面から答えてくれる。
オノマトペが最初の足がかりになり、そこから推論で知識を育てていくサイクルの中で、間違いこそが学習の起点だと思った。wentと言えていた子が学ぶにつれてgoedと言い出す。これは退化ではなく、規則を自力で見つけた証拠なのだという。確かに、間違いを正されて納得できたときにめちゃくちゃ記憶に残る。
もう一つは記号接地。身体や経験につながらない記号は、いくら積み上げても学習にならない。だとすれば大人も同じで、仕事なら現場に立つこと、遊びなら生で見に行くというのが大事なのだと思った。
言語の本だけども、自分には学習方法のように読めた。 -
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認知心理学者・今井むつみ氏による一冊。『算数文章題が解けない子どもたち』で紹介された広島での調査や実践は主に小学生を対象としていたが、本書では中学生まで対象を広げ、学力低下の背景を認知科学の視点から分析している。
言語習得を専門とする著者らしく、言語や数式などの「記号」と、それらが表す「概念」とを結び付ける学習の重要性を指摘する。こうした基盤が十分に形成されないままでは、文章読解や計算といった記号操作が理解ではなく直感に頼ったものになってしまうという説明は非常に説得力があった。
その解決策として提示されるのが「記号接地(symbol grounding)」である。記号を実際の経験や身体感覚と結び付けることで意味を獲得させるという考え方であり、その実践として「プレイフル・ラーニング」の具体例も紹介されている。教育現場で取り入れられそうなヒントも多く、実践的な内容になっている。
認知科学の視点から教育を論じているため、専門用語も少なくなく、一読で理解するのは簡単ではないかもしれない。しかし、本書の価値は、学力低下を表面的な現象ではなく、その背後にある認知の仕組みから分析しようとする姿勢にある。教育学や言語学を学ぶ学生はもちろん、教職を目指す学生にもぜひ読んでほしい一冊である。 -
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学力「崩壊」ではなく、「喪失」。
ここに筆者の立場が明確にあると思う。
子どもたちには学ぶ力はあるのに、学校教育のどこかでそれを失ってしまうのだ、と。
前半は今井さんが開発にあたった「考えるたつじん」テストの結果が紹介される。
数の概念の理解、語彙を理解して文脈を推論すること、視点の変換やパーツの結合、セルフモニタリングの力に代表される認知的な力などの点で問題が見られるということだ。
事例に即した説明となっているため、これまでの著書と比べても具体的で読みやすい。
後半は、では子どもたちを自律的な学習者にしていくにはどうしたらいいかについての提言。
そこで提案されるのは「プレイフル・ラーニング」だ。
獲得されてしまった誤ったスキーマは、大人だってなかなか修正できない(自分の体験でも、これはそうだ!と思える)。
子どもに「それは間違いだよ」と言っても、その場で表面的に直して、根本的には修正されず、ただ「できない、だめなんだ」という気持ちだけが残っていく。
子どもたちが安心して間違え、その間違いからアブダクション推論を働かせていくのがよい、とのこと。
それには遊びのように学習を進めるのがよい、というのが大雑把であるけれども、この本の主張のようだ。
一読した感想は、すてきな方法だと思う。
誰一人取り残さない教育の一つのやりかたのようにも思う。
ただ時間差で、いろいろ疑問も浮かんでくる。
私が小学校の教員だったらどうできるだろうか、とその立場で考えてみると、だ。
今井さん自身もおっしゃるように、全ての学習内容にプレイフル・ラーニングが有効とは限らない。
どこで使うか、どれくらい時間をこれに使えるのか…などちょっと考えたら、いろいろ出てくる。
これから実証結果を見てみたいと思う。 -
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\\ 言語はロマン✧ //
人間の文化である言語はどこから始まったのか。
カタチのない旅の始まり。
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【タイトル】人はなぜ言葉を話すのか?「言語の起源」をめぐる人類の物語
【 著者 】スヴェルケル・ヨハンソン/監訳者:今井むつみ/訳者:大久保彩
【 出版社 】SB クリエイティブ
◇◇◇◇◇◇
言語は、
「他の人間とコミュニケーションをとりたい」
という人類に共通の欲求が背後にある。
⇨人間が一般的な認知能力を社会的相互作用に応用するなかで自然に生じたもの
◇◇◇
☆人間の喉で発音できる、あるいは人間の手を使った手話で表現できるものでなければならない。
☆人間の脳で扱えるものでなければならない。
☆人間の子どもがそれなりの期間内に習得できるものでなければならない。
だとも。
ほぉ。
言語は『人間』がキーワードになっているのですね!
◇◇◇◇◇◇
しかしながら書籍の中には、
書籍内には人間以外にも興味深い動物たちがたくさん出てきています。
例えば、
オウムのアレックス。
「Q.3個あるものは何?」⇨「A.緑のボール」
というように、形状や色、数についてなど数種類の質問に答えることができた。
チンパンジーのワショー。
数百種類の手話を習得
ボノボのカンジ
オムレツを作ったり、ロープを切ったり、パックマンをしたり!?
チンパンジーのサンティーノ。
日々来園者を狙撃する準備を整えていた。⇨計画を立てられる動物だと言われたという。
しかしながら、
馬のクレバー・ハンスの回答力については、質問者の体の弛緩を見抜き、それに合わせて即座に叩くのを止めていたということがわかった。
ご褒美が欲しいからそう進化したのか!?
とか。
見極めは難しいが、人間並みに能力が発達していた動物たちも見られているんです。
◇◇◇◇◇◇
では、再びヒトに戻り。
Q.最初の話者こそが最初の言語使用者だったのか??
⇩
A.言語がはっきり声に出されるものとして始まったかどうかはまったく明らかではない。
それはもしかしたら、
①頭の中でだけ使われていた?
②手話言語だった??
とも言われているんですって!へぇー
◇◇◇◇◇◇
ちなみに私が、深く惹かれた部分はやはり子どものことについて記述された部分でした。
⇩
『子どもは学校に通い始める頃には母語で1万語近くを理解できるようになるが、7歳の場合、この時点で言語に触れ始めてから2000日余りしか経過していない。
これはすなわち、1日に新たな単語を5個、毎日毎日、何年も習得し続けてきた。』
子どもは2歳頃になると言語爆発をし、
50語⇨200〜300語に爆発的に増えるんです。
きっと、その頃から始まり、日々新しい語を習得していくんだろうな。
と不思議かつ人と言語の関わりを改めて考えるきっかけになりました。
◇◇◇◇◇◇
など×②
興味深いテーマが、山のように。
そして深海にまで潜っていけます✧
ぜひこの夏、本書を手にして『言語の起原』を知る探索に出かけてみませんか✨ -
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人は如何にして言語を理解し、
活用できるようになるか?
身体感覚に立脚していない言語は理解できないという、「記号接地問題」を、出発点として、
身体と言語の接地点としてのオノマトペを足がかりにして、
類推や仮説を広げていくアブダクション思考を使って
段階的に言語理解と活用範囲を広げるブートストラッピングサイクルを回していくことで、
人は言語を理解して活用していく。
ということかなと読みました。
記号接地問題とオノマトペは、AI時代の私の在り方としてとても重要な示唆があると思いました。
分かるの本質は覚るなのかなとも思いました。
子どもにはたくさんの身体的経験をさせてあげたいと思いました。 -
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ネタバレ人は新しい知識をそのまま受け入れるのではなく、スキーマ(これまでの経験から蓄積された知識)をもとに意味を解釈し理解している。また、読む力は単に文字を音に変換する能力ではない。意味を知っている言葉が蓄積され、それらの処理が自動化されることで認知的負荷が軽減され、内容の理解に認知資源を向けられるようになる力である。そして、学力の差は情報処理の負荷をうまく調整できるかどうかが大きく影響している。子どもは推論そのものができないのではなく、認知負荷が高くなると考え続けることが難しくなってしまう。だからこそ教師は内容をわかりやすく説明するだけで満足せず、子どもがどのように受け止め、どのようなスキーマをもとに理解しているのかまで考える必要がある。知識は暗記を繰り返すだけで身に付くものではなく、既に知っていることとの関連性ができたときに理解が深まることが多いと思っている。一方で、このような学びを支えることは、教える側にとって簡単ではないとも感じる。子ども一人ひとりが持っているスキーマや理解の仕方は異なるため、相手がどのように考え、どこでつまずいているのかを見極めることは非常に難しい。学校教育の場でこのような学びをどこまで実現できるかが課題だと思われる。
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ネタバレ書いてある内容自体はすごく目新しいものではないけれど、ビジネスの現場における「認知科学」の視点を分かりやすく教えてくれていて、改めて自分の行動を振り返るきっかけになった。
自分も仕事をしていて、コミュニケーションが上手くいかないことがあり、「自分の伝え方が悪いのではないか」と頭を悩ませることが多かったが、"「話せばわかる」は無理"、
"自分が意図した通りに伝わっているかどうかは、自分とは関係ないところで決まる"と事実を示してくれて心が軽くなった。
自分も「伝え方」を工夫しようとしてしまっていたが、「相手を理解すること」にこれからはフォーカスしようと思う。
また、相手の性格の問題だと思っていることが認知の問題の可能性もあるというのは目から鱗だった。「どうやっても伝わらないから仕方がない」「こういう性格の人だから仕方がない」と思うのではなく、相手の目線に立って、もう少し寄り添ったコミュニケーションができるようになりたい。 -
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ネタバレ特に相対主義の罠について興味深かった。例えば現代では、イランとアメリカが戦争をしている。相対主義の立場に立てば、「イランにはイランの正義がある」「アメリカにはアメリカの正義がある」「どちらにも理由があるのだから外部は判断できない」という結論になる。しかし実際には、この態度は判断を保留しているのではなく、判断することそのものを放棄していることになる。侵略にも虐殺にも独裁にも、当事者の側から見れば必ず理由があるが、理由があるから仕方ないということにはならない。事情があるで終わらず、その結果、誰が死に、誰が利益を得て、地域の安定にどう影響し、国際法や人権の観点からどう評価できるのかを検討しなければならない。それぞれに正しさがあるからと戦争の理由を結論づけて、戦争がもたらす結果を考えないような思考停止する人にはなりたくないと考えさせられた。
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子どもがつまずく原因として、思考力そのものより思考の制御の問題が大きいことを知っておくべきだ。
自分で埋めた知識が間違っているので結論も間違いになる。自分の常識(スキーマ)から離れ、現実では観察できない過程を受け入れたうえで、思考を進めなければならないことがあるということ。
抽象的な概念を生活で経験できる具体的な事例に結びつけ、そこから学習者が自分で抽象化をしていく必要がある。子どもたちに必要なのは、頭でなんとなく分かりかけた、接地しかけている概念を何度も使い、身体の一部にすることだ。
スキーマを広げ、時に言葉や概念を間違えながらも開拓していく作業は、答えを一筋縄では教えない教師側の工夫も必要だ。
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人間が持っている最強のコミニュケーションツールである言語とは何かを知りたくて本書を読んだ。
まず第一に研究者の探究心に圧倒された。オノマトペをきっかけにした知への渇望が最終的に言語の本質までに辿り着く過程は圧巻だった。
言語学×認知科学で片方の学問だけでは解き明かせない問題がたくさん紐解かれていき、やはり横断した学びの重要性を感じた。
普段何気なく使っている言語。時代によって変化したり、文化に依存する部分があったり、あるいは変わらない共通の感覚があったりと色々な発見があって面白かった。
改めて知識がある人の話は面白いなあと感じたし、学びの良さを感じた。
これから何気なく使う言葉やオノマトペも今までとは違う見方になりそうな気がして楽しみ。 -
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ネタバレ私たちにいくら論理的思考や確率的思考ができる能力があるとしても、ちょっとしたことでその思考を無視し、「自分のスキーマに合うか」という一点で何かを判断してしまうことが起こりうる。
スキーマ…経験を自分で抽象化して、無意識の知識にしたもの。
アブダクション推論…正解が一義的に決まらない、論理の跳躍を伴う非論理推論。
アブダクションの本領…知識を拡張する
AIが行っていることは、帰納推論を大規模なデータで行う統計的な帰納。 ある種のパターンを導出し、そこから未来、まだ起きていないことを予測する。
答えが一つに定まらない非論理的な推論という点はアダプション推論と共通。しかし、帰納は新しい知識は創らない。 -
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ゆる言語学ラジオから今井むつみ先生を知り、友人との縁もあり数年ぶりの読書にチャレンジ。5日程度で読み終わり、音象徴、ガヴァガーイ問題、アブダクション推論など動画で何となく聞きなれているもののあまり理解していなかった言葉たちをより深く理解できた気がする。内容は非常に難解という訳ではなくむしろ面白い実験や事例紹介があり読みやすい本だとは思った。しかし自分の職業柄、発達心理に関心があるため子どもの推論や言語習得の話ではスラスラと読み進め内容も頭に入ってきたが、文法、言語の条件、アイコン性...といった言語学の話になると途端にペースダウンし一文を繰り返し読むこともしばしば...久しぶりの読書というのもあり読むのに手こずったという感想。これは私が言語学に疎い(もとい興味関心が薄い)からなのか、他の人も同じような印象を受けるのかが気になるところ。