今井むつみのレビュー一覧
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ネタバレ「学習においてなぜ身体性がなぜ大切なのか」という問いのヒントになるかと思い本書を手に取った。読み終えて振り返ると、答えは大きく2つに整理できると思われる。
ひとつは記号接地。抽象的な概念を生活や経験と結びつけ、実感を伴って理解することで、初めてその概念を自由に操作できるようになるという視点である。
もうひとつは熟達のあり方。熟達とは多様な状況にほぼ無意識に対応できる力であり、熟達するためには、言語的な学びだけでなく、身体化していく必要があるからだろう。
どちらも結局は「身体で学ぶこと」が、学びを柔軟に応用できる土台になる、という話なのかもしれない。
今井むつみさんの著作はこれまでも読んでき -
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子供が算数などの義務教育についていけないメカニズムを、認知科学の視点で興味深く解説してくれる本です。一方で、大人になっても物事を理解できずに仕事で困るケースはあるもので、子供の話だけではないな、と感じる面もありました。社会に出て仕事を始めると、いろんな業界用語を使ってかかれた文章を目にすることになります。それらを「記号接地」せずになんとなく使って、なんとなく議論に入ることもできてしまいます。その結果どこかで行き詰まって、最終的に失敗するということが少なくありません。子供の教育の話ですが、大人としても考えさせられる部分が多かったです。
AIが記号接地できていないこと、算数の問題が解けない子供 -
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人間の思考の偏りについてフラットに説明している前半と、それを踏まえた人間の思考の弱み強み、AIに勝る人間ならではの点、故に生きていく上で大切にすべき点を丁寧に記した後半の2パートから成る。
経験知から成る人により異なるスキーマ(物事を認知する指針的なもの)から事象を捉えること、すなわちアブダクション推論により、人間は膨大な情報を限られた言語のもと認識、コミュニケーションしている。このアブダクション推論をより良いものにするには、AIにはない、物事を正確に多面的に理解する(記号接地する)膨大な過程が重要となる。一方で、瞬発的な判断(これもアブダクション推論の質次第で良し悪しが変わる)のもと、目の -
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言語を学ぶ、複数の言語を操れるとはどういうことか、いろいろ興味深い考察があった。
p19
「高齢者の場合、マルチリンガルであることは、アルツハイマー病やその他の認知症の発症を4年から6年遅らせ「認知予備能」(脳が認知症の状態になっていても、症状が出にくい状態のこと)を強化する」
p27
「全世界に暮らす人の過半数がバイリンガルかマルチンガルだ。(略)
ヨーロッパ、アジア、アフリカ、南アメリカの多くの国では、生まれたときから複数の言語に触れながら育ち、さらに学校で、あるいは大人になってからも新しい言語を習う。ルクセンブルク、ノルウェー、エストニアでは、人口の90%以上がバイリンガルかマルチリ -
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ネタバレ今井むつみ著『学力喪失―認知科学による回復への道筋』は、子どもたちの学力低下問題を認知科学の視点から深く掘り下げ、その原因と回復の方法を示した重要な教育書です。本書の核心は、単なる知識不足や暗記の問題にとどまらず、「記号接地」と呼ばれる言葉や数式と実際の経験や身体感覚が結びついていないことが、学びの本質的な低迷につながっているという点にあります。
まず、算数や数学の学習は単純な暗記や計算だけでなく、前の学びが積み重なってできている体系的な構造です。一部分でつまずくと、そのあとに続く学習全体が理解できなくなります。さらに、文章題の理解には文章を正しく読み解く語彙力や時間・空間の理解、論理的な推 -
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AIの時代に何を学ぶべきか、それは「思考力」である。
思考力を鍛えるためにどの科目を学ぶべきか、それは「国語」である。
なぜなら、国語はすべての科目を学ぶのに必要となるからであり、ことばを知っていると、思考が楽になるからである。
そのことを、私たちがどのようにして母国語を学んできたか、子どもたちの「アブダクション」を見てゆくことで明らかにしてくれる。
いわゆる『ヤングアダルト』と呼ばれるジャンルであり、新書に比べるとかなり易しく書かれており、正直物足りない。
しかし、このような本を読むと、今井先生ほどの知性が、中高生に対してどのように語るか、言い換えれば、中高生の知性をどのレベルに設定して -
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ネタバレゆる言語学ラジオの水野さん著、今井むつみ先生監修の子どもの言い間違いが集められている本。ほっこりしながらも、解説により日本語の面白さを感じさせてくれる。
自分の知っている数少ない言葉の活用を適用している間違いも多くて、改めて子どもの言語習得能力の高さと、この時期にしか得られない可愛さを大事にしたいと感じた。
▼なるほどと思った言い間違い
・パパ、いらなかったよ
居るを使いたいところ、要ると同じ活用をしてしまった
ゐゐゐるゐるゐれゐよ と らりりるれれの違い…懐かしい
・しんぱくない?
寒い、眠いのような形容詞の否定「〜くない」を適用した
・64の前は65
“前”を過去、ひとつ小さい数