今井むつみのレビュー一覧
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2021年に始まったpodcast「ゆる言語学ラジオ」を昨年2024年秋から聴き始めた。
今やっと2024年に入ったところ。
楽しい回とそうでもない回があるが、
特に楽しかったのはこの新書の著者今井むつみ教授が出演した回。
今井教授はタイトル通り「認知心理学」の権威。
その人が「ゆる言語学ラジオ」で、
赤ちゃん・こどもがどうやって言葉を獲得していくかをわかりやすく説明してくれた。
この新書にも随所にゆる言語学ラジオが登場する。たのし。
アブダクション推論の重要さを語っている。
人間独自の思考スタイル。
動物やAIにはないもの。
帰納法・演繹法の演繹推論とは違う。
演繹推論は、論理的で、正解 -
Posted by ブクログ
日常でよくある“伝わらなさ問題”を、認知科学の視点から驚くほどクリアに解説してくれる一冊です。
この本のおもしろさは、単なる「伝え方テクニック本」ではなく、“なぜ人はそもそも理解し合えないのか”という根本原因に切り込んでいる点にあります。
著者は、私たちの頭の中にはそれぞれ固有の“概念の地図(認知地図)”があり、同じ言葉を使っていても、その地図の違いによって認識がズレる、と説明します。
つまり「伝わらない」のは能力不足ではなく、脳がそういう仕組みになっているから起こる現象だということ。
さらに面白いのは、「説明」と「学び」が最初から噛み合わない理由を、言語習得研究や子どもの学習過程の事例を -
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2024年の新書大賞作でもある本書は、慶應義塾大学環境情報学部教授と名古屋大学大学院人文学研究科准教授による共著であり、言語はどのように進化してきたのか、人間はいかように言語を理解するのか、について書かれています。
共著といっても、章ごとに別分担で書かれたのではなく、全章共同執筆されているのもおもしろいです。
テーマを解き明かす鍵は、帯に書かれているとおりですが「オノマトペ」と「アブダクション推論」。
鈴木孝夫『ことばと文化』においても「ことばによることばの「定義」は、教える人の経験と、教わる人の経験の差、および「定義」をする目的などの条件で千差万別の形をとり得」、やもすると循環論法にな -
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複雑な現代を理解するためのライトを渡してくれる一冊。
”スキルよりもファンダメンタル(基礎)が大事でなのではないか”
“では、「ビジネスにおけるファンダメンタル」とは何か。 そう考えたとき、本書でテーマにしている「コミュニケーション」こそが、まさに、「ファンダメンタル」なのではないかと思いました。”
「うっすらと感じていたこと」が、的確に言語化されている。おそらく読書という行為はメタ認知やスキーマを強化する行為であり、作品をきちんと「鑑賞」することはファンダメンタルの強化につながるのだろう。三宅香帆さんとの読書論とも響き合っていた。
今井先生のあとがきがめちゃくちゃ沁みた。現代を自分 -
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私がこの本を手に取ったのは、言語によって単語の語順が違ったり、日本語はしばし主語が省略されるが英語はされないなどと知り、それって思考にも影響するのかな?と疑問に思ったからです。
この本の中には、色の名前、物の名前、動作、方向などの「語」の言語感の普遍性や違いが述べられており、私が想像してた「文」の違いが思考に及ぼす影響というのは出てきませんでした。
そもそも語レベルの違いってそんなにないでしょうと当初思っておりましたがこんなにもあるのか、、!と驚き、新たな学びが得られました。
思考との関係性についても様々な研究を例に説得力のある説明がなされており、言語と思考の結びつきを(私なりに少しは)理解で -
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オーディブルで
とても興味深く読んだ。
ぜひ、教育関係の方達、現場の方にも、教育行政に携わる方達にも知っていただきたいと思う内容だった。
算数文章題が解けないのは、国語力、読解力が弱いせいと思っていたが、それだけではなかった。
そもそも、数学にまつわる基本的な概念(例えば、分数であったり、1、0、マイナスなどの数の概念など)が記号接地(この言葉も今回初めて知った)できていないことにも原因がある。
ただ、闇雲に学力テストをやって、点数を出しても仕方がない。間違った問題の何が理解できていないのか、そこを明らかにしてアプローチしていかなければ根本的な解決には至らない。
そして、学習のための -
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ぶらりと本屋に行った際にランキング入りしていて読みました。
内容は、慶応大学で行った『AI時代を楽しく生き抜くための「認知心理学」』の授業をもとにかからています。
認知心理学とは、何か知らない人で分かるように専門用語は、少なく事例を多く紹介されています。
また、各章ごとにおさらいがあり頭の中の整理もとてもしやすかったです。
人間の感覚の不完全さを改めて認識し、しかし不完全があるから成長をしていく。
一つ一つの知識(点)を面の知識に拡張していくことで知識となる。
この点が多いほどより面の知識の精度が上がる。
この本を読んで私は、この面の知識の精度を上げ、本能的な判断能力、論理的な判断能力能 -
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今井先生の一般向け書籍はどれも言葉が平易で理解しやすいです。
これも、子どもの言語発達を研究してこられた長年の経験に裏打ちされたものであろうと感じました。
慶應SFCでの最終講義を書籍化したもので、近年出版され、ベストセラーになった書籍たちの内容をダイジェスト版です。従って、先にそれらを読み終わっている人には新しいことはそれほどないと思います。
最後の章で、今井先生が研究者の道に入った頃の話をされていますが、これはこれからどう生きていこうか途方に暮れている若者はもちろん、今までの自分に後悔したり、嘆いたりしているわたしのような中年の人にとっても、響くものがあるように思います。
この本を読んで -
Posted by ブクログ
感想を主観的に書くよりも、アンカーになりそうなポイントをAIとの対話で掘り下げた方がより深く理解できると思い、小説以外はこの型式でまとめる
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### 1. 記号接地の理解と実感
- 鬱の経験を通して、知識が「知っている」から「身体を通して納得できる」に変化した実感。
- それは記号接地の典型例で、知識が身体的経験と結びついて“使える概念”に変わった瞬間。
### 2. 攻殻機動隊との接点
- 「義体が人型を離れると自我が崩壊する」は、**外界との接地を失うこと=自我の崩壊**という寓話。
- 当時の“肉体を持たない生命体”という理想は、現代では**接地の喪失**として再 -
Posted by ブクログ
とても読みやすい。そして、例えがわかりやすい。
認知科学に興味が湧いた。
相手に何かを伝えたい時、受け取る側の枠組み(スキーマ)が違うから同じように説明しても受け取り方はそれぞれ。
枠組み(スキーマ)は学びや経験、育ってきた環境、興味関心で変わる。
それを踏まえた上で、相手を知り相手の心に耳を傾けて、相手の思考に辿り着いた上で、伝える努力が必要だと感じた。
なかなか難しいですね。でも頭の片隅に置いて意識はしていこうと思う。
あと、人の記憶は曖昧だと。頭に残っている記憶が「事実」とは限らないと。本人ですら気づかず記憶がすり替わることはあるということ。
ここで突然ですが、私の気になる子どもの