今井むつみのレビュー一覧
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ネタバレ4月に新聞の文化欄で紹介されていました。
AI時代と呼ばれるような時代になりつつあるからこそ、「人間にしかできないこと」に関連する心理学を学べたらいいなと思い読みました。
人間独自の思考スタイルとしての「アブダクション推論」はたしかに、人間ならではのことだなと感じました(2026年秋時点の感想として)
知識面としても読んで役に立つ+AIに圧倒されて落ち込むのではなく、人間だからこそ持てる「好き」という感情だったりを肯定・励ましてもらえる本だ!と感じました。
「人間としての強み」を伸ばし続けていきたいと思いました。おすすめです! -
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ある程度前知識がある中で読んだので、非常に理解できたということもあるが、とても面白かった。よく耳にする人は生まれた状態は白紙であり、その中に何を書いていくかで変わっていくということがあるが、まさに言語におけるものだと思う。生後1年未満の幼児においては言語における思考に対する関与があまり見られないため、異言語間の違いは生まれず、言語を多少なりとも理解し始めるようになればその違いが生まれるということであった。様々なことにおける性善説や性悪説にも繋がりそうな有意義な1冊であると思われる。言語学に興味ある方はもちろん、高校生や大人には是非一読していただきたい1冊です。
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本書からの学びは非常に多かった。
その中から2つだけ残す。
・私たちの思考には、意識されずに使われる「枠組み(=スキーマ)」がある p30
・「失敗・分析・修正」をセットでできる人だけが、「失敗は貴重な経験だ」と言うことができる p256
一つ目は、コミュニケーションをする上で忘れてしまいがちなこと。人は誰しも同じ経験をしていない。その多様性を大切にしようとしている。しかし、思考の多様性は仕事をする上では無視されがちなのではないか。その違い(多様性)を理解することで、感情に流されず、的確な判断を下せるようになるのではないかと思う。
二つ目は、新人や初めての業務に携わる際にとても重要だと思う。私は失敗をしてもけろっとしていることが多いため、その失敗を思考する時間が少ない。反省の時間を十分に確保して、次失敗しないためにどうすればよかったのかを考え、考えるだけでなく行動することが必要だと改めて認識した。
長く付き合いがある人からは「仕事をする能力はなさそう」と思われ、自分でもそう思っていた。
それは周りと少しずれており、説明が下手だからだと思っていた。
本書を通じて、「相手の枠組み」を理解しようとせずにコミュニケーションをとっていたためだと理解した。
反省ばかりの人生だが、まだまだ成長の余地があり、それに気づけたことに嬉しさすら覚える。 -
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ネタバレ言語の本質にオノマトペから迫る非常に面白い一冊。
オノマトペのもつ「アイコン性」が言語獲得に大きな役割を果たしているという論が印象的だったが、果たしてそれは世界の言語にどれほど当てはまるのだろうか。オノマトペに馴染みの深い日本人からするとなんだか誇らしく感じる一方、オノマトペが発達していない他の言語——例えば英語——では何がオノマトペの役割を補完するのだろうと疑問に思った。
まさか言語獲得にも多様性があるのか!?そんな妄想が膨らむ興奮やまない貴重な読書体験だった。
言葉や言語に少しでも興味のある人全員にオススメしたい!!
〜以下、ネタバレ〜
オノマトペは、それが表すものとその表し方に類似性があるという「アイコン性」(例えばニャーニャーはそれ自体猫の鳴き声に極めて近い)のほか、切り離して述部として利用したり、組み合わせて新たなオノマトペを生産したりできる性質を有している。
これらの特質のために、オノマトペは子供が身体との連関を通じて一部の言葉を理解し、言語の文法的構造を把握していくきっかけとなる—つまり、オノマトペが言語という高度に抽象的な記号システムをインストールするのに貢献している、と言えそうだ。
一方で、言語システムを獲得するにはオノマトペのもつアイコン性を知覚するだけでは不十分で、そこではアブダクション推論と「ブートストラッピング・サイクル」が重要な役割を果たしているとのこと。結果から原因や仮説を考察するアブダクションによって、子供は言語という記号の内包と外延を絶えず更新しながらその意味を理解していくが、そこで得た知識がそれまでの知識を踏まえて別の新たな知識をうみ、雪だるま式に知識が自己生成的に増幅していくことで、言語を自然に扱えるようになっていく。
興味深いのはこのアブダクション推論がヒト以外の動物でほとんど見られないということ。ここから、ヒトだけが言語を扱えるのは、このアブダクション推論という認知バイアスに拠るのではないかという大胆な仮説が提示されている。もしそうだとしたら、進化の過程でいずれ言語を操る動物も現れるのだろうか?そんな浪漫と若干の恐怖も感じてしまう。 -
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なるほど認知科学の研究者から見れば、外国語の習得はこのように見えるのだ。スキーマ(schema),つまり意識することなく行なわれる言語情報の処理のしくみが英語は日本語とは異なるから,それを理解した学習法が必要なのだ。つまり日本語をそのまま英語にすると,奇妙な英語になってしまう。違和感のない英語のためには、自分で英語のスキーマを構築しなければならない、と著者はいう。学生のころ、「英語を書くときは英語で考えろ」と言われたことを思い出した。
英語のスキーマの構築には,語彙力ーーたくさんの単語を知っているということではなく、使われる構文、共起する語,頻度,使われる文脈,意味の広がり、更には概念のネットワークなどがわかる多面的な力ーーを鍛えることが必要という。語彙力の涵養にはライティングが重要で、コーパス(言語データベース)を活用して語彙力を高める方法が提示されているーーそうか,コーパスとはこうやって使うのか。これだけでも,ためになった。
最近のAIの進歩は目覚ましく、自動翻訳も実用の段階にはいってきた。それでもこの本に書かれているスキーマの違いを意識した学習法は,色褪せないと思う。
いつも思うことだが、この著者の文章は整理されていて読むそばからスーと頭に入ってきて,読みやすい。 -
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今井むつみ先生の本を何冊か読んできて、ゆる言語学ラジオでのお話も何度も拝見してきて、今井むつみ先生の知見を「ビジネス書」という形態で伝わりやすいよう心を尽くして書かれた本だと感じた。
教育の側面、ビジネスに関わらない人と人とのコミュニケーションについての方が書きやすいのに、ビジネス書の形にしないといけないから大変そうだなぁと思いながら読んだ。
買ったときには親子のコミニュケーション云々の表紙が上にかけられていた状態だったので、やはりビジネス書というよりは…という訴求の仕方が合っているのかも。
だから、ビジネス書を読んできた人とか、そういう内容を求めている人には、もしかしたら物足りなかったりコレジャナイ感があるのかもしれない。
私はそうじゃないので、とても納得したし、読めば読むほど会話でのコミュニケーションに自信が持てなくなっていった笑
今までなんで会話でわかり合ってきたと思っていたのだろう?わかりあえないのは「言い方」のせいだと思ってきたのだろう?と思ったほど。
考えてみれば、会話の際には相手の言葉を聞いてこういうことか、じゃあこう返さなくてはとぎゅんぎゅん頭を回転させていたし、相手の言葉を頭の中で具現化したとき、そのイメージはぜんぜんはっきりしてなくてぼやけた解像度だったのにわかったつもりでいた。
その中で阿吽の呼吸でわかった経験というのは会話の技術じゃなくて、その内容を分かり合える似たスキーマを持つほどの関係性だっただけだ。
基本的に分かり合えないということを悲観的でなく、単なる事実として納得することができた。 -
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帰納法推論、アブダクション推論ができることが言語獲得には重要な要素である。
アブダクション推論とは「道が濡れている。雨が降ったのだろう」と仮説を立てる推論のことである。
この仮説を立てる能力なしには帰納法は成立しない。
なぜなら、仮説なしにどういったデータを抽出すればよいのかが成立しないからだ。
そして、これは正しい論理とはいえない。
(道が濡れているからといって、必ず雨が降ったとはいえない)
そのためなのか、この推論手法を用いるのはヒトだけである。
そして、この帰納法、アブダクション推論が言語を獲得するために必要なこととなる。
未知の語彙「チモっている」に出合ったとき、それが動きを表す動詞だと仮説をたてることで、語彙を習得していくからだ。
そして、本書は、「言語は最初、自然を写し取ったオノマトペ(擬態語)から始まったのではないか」という仮説のもと論説が進められていく。
これも、まさしくアブダクションなしには成し得ない考察! アブダクションってすごい!
そしてこのアブダクション(対称性バイアス)は、先天的にヒトに備わっているという。
であれば、この能力をどのようにしてヒトが獲得するに至ったのか?
ある日突然変異的に? いや、もしかしてやっぱり宇宙人? それとも・・・?
あくまでも数多の言語起源論の一つにすぎないという本書の内容であるが、しかし、これはかなり良い仮説なのではないかと思える。
以下は、私の考察。
おそらく言葉とは、ヒトが情報を共有するときに必要となったものだ。
だけど情報を共有するだけなら、動物の鳴き声だけでも事足りただろうと思う。
その鳴き声、みたいな状態がヒトではオノマトペだったのかもと考える。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ難しいテーマを取り扱っているけど、よく考えられた文章の構成と文章の上手さで、大筋は捉えられながら読むことができた。
言語学の面白いところは、誰にとっても身近な現状から思考を深めていくところだと思うので、「オノマトペ」という日本人にとって身近な現象から言語の本質を考えるという本書のストーリーは、言語学の魅力が詰まっている。
言語学は文系科目で、AIは理系の科目。全く関係ないように思われるけど、本書でも触れられているようにとても関係性が深い。AIが人間のように思考できるようになるには、人間のことを理解しなければならない。そのために言語学とは切っても切れない関係になるのだと思う。 -
Posted by ブクログ
ラジオ、メディア系のPODCASTをメインで聴く私だが、
独立系?で聴くのは、コテンラジオと、ゆる言語ラジオ。
そのゆる言語ラジオのパーソナリティのひとり、水野 太貴さんの本。
ゆる言語ラジオ、楽しい回とそうでもない回があるが、
こどものいいまちがいは間違いなく楽しい回。
間違った言葉そのものの楽しさもあるが、
それ以上に、そのいいまちがいが言語学上に持つ意味の深さに
驚かされることしばし。
その意味で、それを開設する水野さんや、
頻繁に参加してくれる今井むつみ教授の解説は楽しい。
むしろ言い間違いをすることもの発言のほうが言語学的には正しく、
それを違う形で運用する我々大人が実は間違っている!的な。
あそびにくるね 「くる」と「いく」はむずかしい!
ボールぽーい、でごみ箱に捨てる。。。オノマトペが複数の意味を持つ。
等々、、
ちなみにゴリラを植えた、、はパンジーを植えた→チンパンジーを植えた→ゴリラを植えた
子供も考えてしゃべってるのだ。
我が3歳の孫も、ちょっと前まで階段を上る時も「おりよー」といってたっけ。
こういう言い間違いを集めれば、学術データになるそうな。
言葉は深い。面白い。
ゆる言語ラジオ、過去の分から全部聞き続けやっと5月まで来た。
もうすぐ追いつく。と言っても年内いっぱいかかるかな。ほかもたくさん聴くので、、、
1歳~(「ボールぽーい」;(車を指して)「これは?」「ぶーぶー」(スマホを指して)「これは?」「ぺいぺい」)
2歳~(「ハッピバースデー♪」;「おすしのさんぽ」 ほか)
3歳~(「ともだちのうちにあそびにくるね」;「ペレペレポッパー!!!」 ほか)
4歳~(「くびしまり」;「おぼえてるよ。あかちゃんのおへやにおいてきた」 ほか)
5歳~(「ブドウ買いに行ってくる」「Tシャツでぶとう会にいくの!?」;「ぜんしゅうちゅう、虫のいき!」 ほか)
6歳~(「区切って言えばいいよ」「きょうはくぎぼくはくぎこうえんで…」;「たいらな歌うたって」(歌を聞いて)「ちょっとくにゃくにゃな歌だね」 ほか)
7歳~(「5年生だったら小5ぜんそくなのかな」;「これ、カモメ?」 ほか)
「パパ、いらなかったよ!」
「おかあさんとコラボしたいよぉ!」
「で、りょこうってどこなの?」
「ぜんしゅうちゅう、虫のいき!」
「5年生だったら小5ぜんそくなのかな」
「ひいばあちゃーん!しんぱくないー?!」 -
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【内容】
本書は、発達心理学者と言語学者がそれぞれの専門的視点から、人間はいかにして言語を獲得するのかを考察した共著である。
著者らは、オノマトペ(擬音語・擬態語)を、身体性の高いジェスチャーと、恣意的で体系化された言語との橋渡しを担う存在として位置づける。子どもはオノマトペを足掛かりに、身体的な経験と抽象的な言語を結び付けながら言語を習得していく。
その過程では、人間特有のアブダクション(仮説形成)によって既存の知識から新たな知識を生み出し、それを足場として知識体系を自己拡張していく「ブーストラッピング」が重要な役割を果たす。こうした学習を通じて、身体性への依存が比較的低く、高い拡張性を備えた言語体系が形成される。また、恣意的な記号であるはずの言語が、身体的な感覚を伴って理解・使用されるのも、この過程によるものではないかと著者らは考察している。
このような観点から本書は、言語を単なる情報伝達の手段ではなく、身体性と記号性という二つの性質を併せ持ち、それらの相互作用の中で発達・運用されるシステムとして捉えている。
【感想】
「人間はどのようにして言語を習得するのか」という根源的な問いに対し、発達心理学と言語学の知見を統合して一つの説明を提示した良書だった。
専門的な内容でありながら、議論は具体例を交えつつ丁寧に積み上げられており、論理の飛躍を感じることなく読み進められる。また、本書は言語獲得の議論を現代のAIにも接続し、「AIは言葉の意味を本当に理解しているのか」という記号接地問題へと視野を広げている点も興味深い。
オノマトペを単なる言語表現ではなく、身体経験と抽象的な言語をつなぐ重要な役割として捉え直す視点や、言語を受動的に覚えるのではなく、ブーストラッピングを通じて主体的に構築していくという考え方は特に印象に残った。言語習得や子どもの発達への理解を深められるだけでなく、生成AIの可能性や限界を考える上でも多くの示唆を与えてくれる一冊のように思われた。 -
Posted by ブクログ
①言語以前の能力
群れの信頼関係、助け合いの本能
他の個体を模倣する能力
発声器の獲得
音を真似る能力
広める欲求
気づいたことはなんでも共有したい
創意工夫
②プロト言語の発生
先に行動が変わりその後に遺伝的適応が起こる
言語とジェスチャーの混合
100万年前
なんとなくこの辺で音楽が生まれてそうな感じある
ホモエレクトゥスのあたり
③人間の言語への適応と、言語自体のブラッシュアップ
ネアンデルタール人→3万年前絶滅
デニソワ人
20万年前くらいから急速に進む
このへんからホモサピ
社会、文明の発展もこの頃から
コミュニケーション(音声、ジェスチャー、リズム、抑揚)→ 言語、音楽、ダンス、儀式に分化していく
孔雀の羽、ヘラジカのツノ
健康、遺伝的に優秀であることをコストをかけて発信している。通常これらのシグナルはコストがかかる必要がある。コストがかからない分数世代で全ての子孫に広まって、そのシグナルにこだわる個体がいなくなる。
嘘を見抜く適応
他を信頼することが前提で言語が生まれる。
言語が現実を語ることが前提で嘘という概念が成り立つ。
人間は抽象的な問題よりも社会的な問題を解決する方がはるかに得意。
自然な原因を探すよりも、事象に意図(目的)を見出そうとする。
チンパンジーの利き手は50/50
人間の利き手の偏りは明らかに遺伝的。
人の幼年期の異常な長さ
幼年期に人間の成長は一時停止している
6歳で脳の大きさは成人サイズ、体は半人前
10代後半で体は一気に成人に到達する