今井むつみのレビュー一覧
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娘の語彙から、ひとがどうやって言葉や概念を獲得していくのか……みたいなことが気になって、前にも読んだことのある今井むつみさんの本を手に取ってみました。
これがめちゃくちゃ面白かった!赤ちゃんが言語を獲得していく過程や、母語と外国語が同じように習得できない理由、語彙と心的辞書のシステムの話から、概念の獲得、思考の道具に至るまで、ぜんぶ興味深いし、心のへぇボタン押しすぎて壊れたぐらい。
ヘレン・ケラーの「Water」のエピソード、あれによって彼女が何を得たか、という話もめちゃ面白かった。ことばは単なるラベリングではない、とあって、なんかすごく嬉しかったしうかうかしてられないとも思う。
心的辞書(レキシコン)が気になるので関連書籍を読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
他言語に習熟しようと数ヶ月続けている英会話に、やや停滞期を感じる原因を探っていたとき、この本に出会う。
「言語を学ぶことの大半は、その言語の話者グループの考え方とか文化を学ぶこと」と考えていて、まさにそれが難しい日々が続いていたが、まさにそんな考え方を述べた本だった。
私が期待していたのはどちらかというと社会・文化的要素と言語のつながりだったが、「心理・認知」という視点から言葉を分解するもので、当初の期待を超えて、とても面白かった。
実験の内容の説明もわかりやすくかった。
言語による世界の切り分け方は非常に多用で、魅力的だと思った。また、多様性の中にも、何らかの秩序とか、ヒトが母語に染まる前に示す反応に見られる普遍性も神秘的に感じられた。
言葉が世界を広める一方で、思考を狭めてしまっているのではという気持ちにもなった。日本語は外国語に劣るというような考えはよく無いけど、外国語にしかない概念を知ってたら世の中もっと色鮮やかに楽しく見えたんじゃ無いだろうかとも思ったりする。(うまく組み合わせて学べたらいいのにね)
最後の章の、他言語を学ぶことの意味=「母語を通した認識だけが唯一の認識ではなく、同じもの、同じ事象を複数の枠組みから捉えることが可能であるという認識を持てる」という点に後押しを受け、また英語の勉強に戻る日々です。 -
Posted by ブクログ
言語はどのように思考に寄与するのか、「言語が異なれば、認識する世界は異なる」とするウォーフ仮説に対して、現代の知識を用いて再検証と疑問提起を行った本。
為末大のTwitterで紹介されていて手に取ったが、これまたいい本だった。
言語による世界の切り分け方、認識の違い、言語間を超えた普遍性、それらを踏まえた上でヒトは言語を介してどのように発達するかを書いていくのだけど、一連を通して言語がヒトの認識にもたらすものを示唆する内容になっている。
ヒトが生物の中で支配者になりえたのは、言語による記録を開発することで一世代間での擬似的な進化を獲得したことによるという認識は持っていたけども、この本を読んで言語を用いて表現される関係性を抽象化し応用することが出来るからだなという認識を新たに得た。
結論としてはウォーフ仮説を概ね認める内容なのだけど、現代人はそれを認識した上で他言語を習得することで、あらたな視点を獲得することが出来る。それを応用させることで急速に発展したのではないか、と考えた。
研究で他分野の人の質問を受けて、視界が開けるような感覚に近いのではないか。
そしてやはり、ヒトは言語を基礎として思考を積んでいき、さらには応用することが出来る生物である。
普段から一言一句のディテールに気を払い、対面する相手に伝えようと言葉を紡ぐことは、実は自己像を構築する行為なのだという認識が強まった。
外に出すことで内を知れるのは面白い。
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子育てをするようになり、何が子どもにとって好いことで何が悪影響を与えるのかというのも気になるようになったが、自分の幼少時代とは全く異なるこの先の世界において、この子が迷ったり辛い思いをしたりすることが少しでも無くなるようにするには、どのように子供と向き合っていけばいいのだろうか、と考えるようになった。
そんな中で出会った本書。著者は「深く考え、自ら創造し、行動する人になるために必要なスキル」として、Content(読み書き計算)、Collaboration(仲間とアイデアを出し合う)、Communication(発見をまとめる)、Critical Thinking(冷静な見極め)、Creativity(新しいアイデアの創造)、Confidence(困難を乗り切る自信)の6Csが必要になると主張している。
この中で、従来の学校教育で評価されるのはContentのみ。この先、頭にどんなに事実を詰め込んでも、ウェブ上で検索すれば簡単に答えに辿り着けるため、成功には結びつかない。大事なのは大量の情報を仕分けし、優先順位をつけ、活用していくことである、と。そのために必要なのが6Csである、という論。
1章から4章までは「成功」の定義や現在の学校教育の迷走、子どもの潜在能力等についての話。5章から10章までは6Csが一つずつ扱われている。ここでは各Cの熟達の程度が4段階にレベル分けされており、今、自分や自分の子どもがどのレベルにあるのかをチェックできるようになっている。11章はまとめ。
6Csの詳しい説明は省くが、面白いのは子どもの成功への道が、大人にとっても成功する道であり、この6Csは大人が成長していくためにも子どもと同じように適用することができる、という点。例えばCritical Thinkingは、「見かけをそのまま信じる(Level1)⇒私の考えを絶対に正しいと信じる(Level2)⇒どんな意見も正解である(Level3)⇒根拠づけて上手に疑う(Level4)と発展していき、これは大人の情報処理能力にも当然通じる。
著者は6Csを「何度も同じプロセスを経て洗練され」、「あるスキルがほかのスキルの成長を助け」、「お互いに関わり合いながら発達し」、「学ぶことで常に伸ばし続けることができ」、「教師や親ではなく学習者に焦点が置かれた」、「学校外の様々な文脈で活用できる」スキルとしている。この点で、生涯学習であると言える。
子供がどんな環境に置かれても成功できるようにしてあげるのは素晴らしいじゃないか、その学びのプロセスに関わることで自分たち大人もせいちょうできるなんてさらに素晴らしいじゃないか、ということを著者は言いたいのだろう。
障害をかけて学ぶこと。学校教育とはまた別に、人とかかわり続けるためにスキルを磨くこと。
そういう点で、「子育て」をしていない人にとっても学びの多い本である。 -
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読み応えがありました。子供が言葉を覚えていく仕組みを研究する。2歳、3歳、5歳などの幼児を使っての実験で単語を切り取る方法、名詞、動詞、形容詞、助数詞などを覚える方法を調べる。言語による差異もあるので、日本語児、中国語児、英語児、韓国語児、等々での実験も行っている。基本文法を人間は生得的に持っているという学説もあるが、この研究で分かるのは、人間は、発話された言葉の切れ目を把握して単語を切り出し、まずは名詞と想定して知っているカテゴリーに当てはめ、使っていく内に修正して、語と語の関係や上位のカテゴリーや下位のカテゴリーなどを埋めていき、大きな語彙のネットワークを作っていくようだ。名詞と違って動作の関係を表す動詞を覚えるのは難しく、また形容詞も覚えるのが名詞の後になってしまようだ。英語のように語順が重要で文法的規則で動詞を判定しやすい言語と、主語や目的語が省略される日本語や、動詞の語形変化が無い中国語などでは、覚えて適切に使える時期が遅くなるようだ。
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最近、連続5つ星が続いているが、この本も本当に面白い。
子どもがどのように「ことば」を覚えていくのか、論理的・科学的に説明されていた。
生まれたばかりの赤ちゃんはまず名詞から覚える。
名刺と言ってもコップや机などの形のあるものが一番覚えやすいそうだ。
水や空気などの不可算名詞や目に見えないもの、固有名詞などはその後になる。
そして、ある程度名詞を覚えだすと、動詞や形容詞に進んでいく。
このように簡単に言うけれど、一つ一つのことばを覚えるのはめちゃくちゃ難しい。
例えば「赤」といっても、薄いピンクよりの赤〜濃い茶色よりの赤まで様々でグラデーションんがあるし、「コップ」といってもガラス製や陶器製、取手のついているものやついていないもの様々あるもの全てがコップだ。
そんな曖昧な世界をある一つの「ことば」で切り取る作業が言語の習得なのだ。
ある具体的事象のことばを覚えたとしても、それが他の場合に使えるかはわからない。だから、覚えた言葉を実際に使ってみて、合っているか間違っているか試していく。そして試しながら修正していくのだ。
そういったアナロジーを試しては正解を探していく。トライアンドエラーの精神に似た作業を赤ちゃんのときからひたすら繰り替えてしているのだそうだ。
この言語習得の過程は科学の探究に似ていると著者は書いていたが、僕自身もまさにその通りだと感じた。
言葉や概念がない世界に言葉という武器をもって意識できるように変えていく。
この行為をわれわれ人間は小さい頃からずっと繰り返してきたはずだから、自らの思い込みで自分には科学が向いていないだとか思わずに、どんどん新しく思いついたことを試して失敗すればいいのだろう。
まだまだ、書きたらないことが多いので続きはnoteに書くことにする。 -
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ネタバレ
ひとつ記号接地できれば、そこから発展して抽象的な言葉も理解できるようになる。
オノマトペはアイコン性がある(口の形や息のかかり方で感覚的に単語の意味が分かる)ので赤ちゃんの言語の記号接地に大きく役立つ
ニカラグア手話
言葉を知らないろう者を集めた学校にて、新しい言語を生み出す過程が観察された。
カヴァーイ問題
ある民族が飛び跳ねるうさぎを指差して「カヴァーイ」と教えてくれたが、それだけだと何を示したいのか分からないという問題。
動作?うさぎ?動物全般?食料?
赤ちゃんがこの世には、モノや動きに「名前」がついているんだ!と気づくタイミングはいつか。
「ヘレンケラーは、Waterという綴りが名前だと気づいたとき、すべてのモノには名前があるのだという閃きを得た。」 -
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ネタバレ学力が低い学生は、ことばと数の記号接地ができていない。
特に顕著なのは分数で、「1個のモノ」でない量を状況や文脈に応じて「イチ」としてみなすということができない。
小学校で根本的な数の概念が掴めなかった子供は中学校に上がっても躓いたままである。(数にして1/3以上)
日常生活で主に使われる、素早いが直感的(非論理的)な思考法を「システム1の思考」、
誤ったスキーマを修正するのに必要な、メタ認知を働かせ吟味批判しながら論理的に考える思考法を「システム2の思考」と呼ぶ。2を伸ばす必要がある。
記号接地は自分でやるしかない。大人はあくまでサポート。(プレイフルラーニングの実施など)
「問題が解けた!」ではなく「意味がわかった!」を目指すべき。
記号接地できると、知識を組み合わせ拡張させることで、新たな知識を自分で創れるようになる。