今井むつみのレビュー一覧
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なんとなく親子関係、夫婦関係でもやもやとしているところで手に取った本
バイアスの説明は今井氏の別の著作を読んでおおよそ学んだが、 とても分かりやすい。認知バイアスを学ぶには個の先生の本を読むことをお勧めしたい。事例の紹介も素敵な内容だ。小さい子供の認知の例などはほっこりした気分させられる。端折って概要を言えば、人はどうやって他者と協力しながら問題可決をしていくのがいいのか、その問いを一緒に考えるガイドをしてくれる本だ、といえるだろう。ちょっとタイトルが仰々しく見えるかもだけど。
特に新たに知った概念で得るものを感じたのは2つある。一つはアブダクション、もう一つは記号接地、という概念。アブダクションの質、専門性の経験を使った予測精度の高さがプロのレベルに関わる(熟達化に影響する)というのは、とても納得できる話だった。もう一つの記号接地では、「まったく意味の分からない記号の意味を、他の、やはり全くわからない意味の記号を使って理解することはできない」という記号接地問題の訳を紹介している。記号の一例を文字としてとらえると、日本人や中国人が使う漢字とロシア人が使うキルト文字で意味がわかっていなければ、その文字(記号、シンボル)は何を意味しているか分かることはできないということと解釈できるだろう。こう言ってしまうとかなり横暴に端的なメタファかもしれないがとらえやすいかも。2つの知見に共通するのは、外部の形式知(言語化可能な知)に対して自己内部の実経験感覚が伴う、感得があることで制度の高い専門能力を獲得しているというところがポイントなのだろう。そこがAIでできないこと(人工知能の限界)なののかもしれない。プロフェッショナルとして専門性をどう磨くか意識として持っておきたい。
認知心理学という学問領域を知ったのは20年前くらい。かなり研究発展しているのだろうと思うし、大きく貢献された先生だと思うが、最後まできっちり価値提供につなげるあたり研究者として見習うべき姿勢だな。バイアスの説明は、今井先生の別の著作でもおおよそ学んだ。バイアスの説明がとてもわかりやすい。どうやって人が騙されたり勘違いしたりしてしまうのか、その点がとてもよくわかる。この本は、最終講義とあって事例理解はとてもコンパクトな説明なので忘れたころに見返して復習したい。 今後新たな研究結果を拝読する機会はないのかもしれないが、新たな認知心理学の知見を意思決定の場面でうまく活用できればと思う。 -
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多くの英語に触れていこう!ということ
非常に理屈っぽいが、つまるところ帰納的に意味や使い方を検証、体得しようということ。英語のスキーマが無いと、いくら多読多聴しても頭に入ってこないと主張しつつ、スキーマを獲得するにはアウトプットが必要だとするあたりは違和感を禁じ得ない。鶏が先か、卵が先か。また、アウトプットとしてライティングを勧めているが、その具体策までは及ばない雰囲気。
一方で、生成AIを活用する方法としては筋が良いと思った。ただ、それならもっと作り込んだプロンプトを多数例示して欲しかった。知らない単語に出会った際、「水面下の知識」で列挙した項目を一撃で出力させるプロンプトなどを紹介してはどうか? 「記号接地」の理解が深まると思う。 -
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ネタバレ色々な観点からオノマトペ、言語について考察してあり面白かった。ただ、一回読んだだけでは人に説明できるレベルまで落とし込めなかったので、何度か読み返したい。
・記号接地問題。言葉を理解するには感情や経験が重要。AIは接地せずに大量の知識を蓄えられるが、人間にとっては難しい。
・人間が言語を持てるのは、対称性推論をし、間違いを犯しながら学んでいけるから。
・各言語でオノマトペが違うのはなぜか。他言語のオノマトペを聴いてもそのイメージがしづらいもの、しやすいものが存在する不思議について。
・オノマトペは赤ちゃんでも使えるくらい伝わりやすいのに、言語においてはオノマトペ以外の方が多いのはなぜか。
・多言語を聴いた時、意味は分からずとも、口の動かし方や発音の仕方の比較でなんとなく意味を推測できることがある。 -
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人とのコミュニケーションで、
少しでも「なんかスレ違ってる」と感じるなら、この本はオススメ。
本の内容からして、読みやすく分かりやすく記載されている。
本人も言っているように、「抽象と具体」を行き来しながらの説明は分かりやすい。
各章の目的もハッキリしていて、
「話しても伝わらない事例」
「話しても伝わらない事の原因」
「どうやったら、伝わらない・理解されていない を減少できるか」
「コミュニケーションが上手な人はどうしているのか」
と、段階的に読み進めることができる。
人間の脳の仕組みの一端を、自分の体験と照らし合わせて知ることもできて面白い書だった。
★:3.4くらい -
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認知心理学のものの見方・考え方が、複雑で、正解のない世界と対峙し、判断していくための手がかりとなる。世界的な認知科学者が贈る知恵とエール!
人間のバイアスが多くの場合負のイメージをもって語られがちであるが、それがなかったら我々の生活は非効率的で大変なことになるという点と、AIにない人間の強みについての章が興味深かった。書いてあることにそこまで真新しさはないので、絶賛されるほどかと言われると微妙な気はするが、学生向けに分かりやすいのは事実。分かっちゃいるけど上手く実践できないという人がほとんどであり、大問題というよりは日々の積み重ねに有効活用したい。 -
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・「熟慮」と「直観」の使い分け
人間の思考には、直感的で速い「システム1」と、論理的で遅い「システム2」がある。現代社会では直観による誤認(バイアス)が生じやすいため、重要な局面では意識的に「熟慮」のスイッチを入れる重要性を説く。
・「自分は正しい」という思い込みの打破
人は自分の信念に合う情報ばかりを集める「確証バイアス」に支配されやすい。自分の知識がいかに断片的で不完全であるかを自覚する「知的な謙虚さ」が、正しく判断するための出発点となる。
・スキーマとステレオタイプの功罪
過去の経験に基づく知識構造(スキーマ)は効率的な理解を助ける一方で、偏見や先入観を生む原因にもなる。枠組みに縛られず、目の前の事象を多角的に捉え直す「クリティカル・シンキング」の技法を提示する。
・感情と意思決定の密接な関係
合理性だけで人は動かない。感情は意思決定を邪魔するものではなく、価値判断の指針となる重要な要素である。自分の感情がどこから来ているのかを客観的に観察する「メタ認知」の必要性を強調する。
・学び続ける姿勢と「知の更新」
知識は一度獲得して終わりではなく、常に書き換えられるべきものである。正解のない問いに対し、安易な答えに飛びつかず、矛盾や葛藤を抱えながら考え続ける「ネガティブ・ケイパビリティ」の重要性を説く。
・より良く生きるための認知の技術
認知心理学の知見は、単なる学問的知識ではない。自分や他者の心の動きを客観視する「心の道具」として活用することで、人間関係の摩擦を減らし、人生の岐路でより納得感のある選択ができるようになると結論づけている。 -
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鈴木宏昭先生(故人)の名著であり、私のバイブルでもある『教養としての認知科学』と言う本がある。
今井むつみ先生による本書『人生の大問題と正しく向き合うための認知心理学』は『教養としての認知科学』の内容と、かなり重複しつつも、より平易に読みやすく仕上がっている。
『インビジブル・ゴリラの実験』、『4枚カード問題』、『リンダ問題』など、認知科学を取扱う際には定番の実験や検証が取り上げられていて、いずれも既知の内容なのに、やっぱり面白い(し、自分は思い込みが強いことを何度も思い知る)。
『教養としての認知科学』と異なるのは、現代の本らしく、AIと人の認知能力的な差異をトピックスに取り上げている点。情報処理能力では、もはやAIの足元にも及ばず、まして『思い込み』や『バイアス』という不完全性を持つ人類の存在意義はどこにあるのか。本書の見解には大いに賛同できる為、是非、内容を確認してほしい。
認知科学の世界に馴染みのある人には、基本的すぎて、少しインパクトに欠けるかも知れない。しかひ、そうでない入門者にとっては、入り口となる第一歩に、相応しいレベル感の一冊と思われる。 -
Posted by ブクログ
言語習得のプロセスの説明から入って、人間の推論の仕組みについて解説するという流れであった。わかりやすいが、それよりはもう少し「なにが人間独自で、AIとは異なるのか」ということの議論がなされるとよかったかなと思う。
AIが膨大な情報アーカイブを組み合わせて帰納的に推論しているのに比べて、人間のアブダクション推論や、経験・身体知からくる直観はそれとは異なるのだ、ということだと思うが、今井先生がAIの専門家ではないから、「AIではこう」という部分までは踏み込んでおらず、もう少し深い議論が知りたいなという感じ。きっとこれから世界でたくさんの議論が起こっていく分野であろう。