今井むつみのレビュー一覧
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娘が生まれたので、赤ちゃんはどのように言葉をおぼえていくのかな、というところが気になって手にとりました。
具体的な実験方法からその考察まで書かれており、そういった意味では結構学術研究的な内容ですが、興味深い実験も多く、個人的には面白く読めました。
名詞の基礎カテゴリーを即時マッピングしていくという能力にすごい!と感心したり、一方で、動詞や形容詞の意味をいろいろなヒントを得ながら学習していくのにもすごい!と感心したり。
自分もどのように日本語を学習してきたのかもちろん覚えていませんし、今まさに学習している子どもたち自身もその仕組みはもちろん分からないわけで、それを明らかにしようとさまざまな実 -
Posted by ブクログ
はじめに
第1章 アラミルクガホシイノネ――単語の発見
第2章 ヘレン・ケラーのwater事件――ことばの世界の扉を開ける
第3章 歯で唇をフム――動詞の意味の推測
第4章 血圧がヤスイ――モノの性質、色、位置関係の名前の学習
第5章 ことばの発達の謎を解く――発見、創造、修正
第6章 言語が思考をつくる
終 章 読者のみなさんへのメッセージ
2章で名詞→3章で動詞→4章で形容詞。
んでその前後でシステムという観念の獲得と修正。
目新しい話ではないが、きれいに整理されている。
ちょうど2歳終盤の子供を見ていて、思い当る節が大有りで、そのへんも面白い。 -
Posted by ブクログ
使っている言葉(言語)が思考にどのような影響を与えるか、についての本。
非常に面白かった。人は意識している以上に言葉に縛られている。言葉として使われない物は、認識の対象にすら上らない(あるいは上りにくい)というのは、言葉について改めて考えさせられる。
それは意識下ではなく、無意識のレベルにまで作用しているというのは、なかなか怖いところだ。文化圏によって言葉が定義され、その言葉によって文化が強化されていく、というサイクルがあるのかもしれない。
言葉と言葉の相違は、もしかしたら最後まで人類の相互理解を妨げる、ということになるのかもしれない。
しかしながら、複数そんざいする言語でも共通性と呼 -
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Posted by ブクログ
赤ちゃんが言葉を覚えるとき、効率よく学習するため、生まれ持ったバイアスを適用して、語が表すことの可能性を絞る。単語の種類によってかけるバイアスが異なる。
名詞の場合、同じような形をしたものは同じ名前を汎用して適用する。
しかしこれだと粘土などの物質名の学習が妨げられるので、柔らかそうなものには形バイアスは使わないなど、うまく適用している。
初めてあれはコップだと聞いた時に、コップのことなのか、ガラス製のもののことなのか、そのものの固有名詞なのかは区別できないが、うまくバイアスを使って驚くほど正確に一度で覚えられる。
動詞の場合、AがBを持つ等、関係する後の数が多いので安易には汎用せず、多く -
Posted by ブクログ
ネタバレなんというか、いろいろとショックでした。
先ずもって、『話せばわかる』は幻想、と、私の思い込みを一刀両断(泣)。
氏によると、(完全なる不可知論とまではいいませんが)人間は違った「スキーマ」(思考システムのようなもの)を持っており、そもそもが話をしても伝わっているのかどうは分からない、と。違う色メガネをそれぞれかけて同じものについて語るようなイメージでしょうか。
例えば、外国語というのはまさに全く異なったスキーマであり、当然日本人は外国人と素では会話はできない。あるいは世代間ギャップなんて言いますが、同じ日本人でも話がかみ合わない。あるいは男子と女子でも話がかみ合わないことがある。これら