今井むつみのレビュー一覧
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言語学者今井むつみさんによる、子どもが言葉を習得する仕組みと、そのことば力と思考力を高めるためのノウハウがわかりやすーーくまとまっている。言語学に関する知識がない人でもスッと読んで理解できる内容。自分の子どもにあてはめて、あ〜たしかにこういう言葉の使い方してたけど、あれはこういうことが起きてるのか、という自分の中でなんとなく体験した仕組みの言語化をしてくれる感じや、今後子どもの能力を伸ばすための親子の関わり方のヒントがたくさんつまっており、定期的に読み返したい一冊。
子どもの発育は一人一人異なるので
結局極論?その子のその時々の興味関心にあった声かけをすることが、能力を伸ばすことになる
モ -
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「言語」の力とは何か?という問いに対し、この本は様々な実験結果を提示し、言語を取得する事で得られるものを教えてくれる。
我々にはメインで使う言語があり、所謂「第二言語」は後天的に取得する場合がほとんどである。
私は正直言語を取得するのは苦手である。英語はいつまで経っても上達しない。だが、この本で示された、第二言語を話す際は「自身の人格が変わる感覚がある」というバイリンガルのイメージは、重要ポイントであると感じた。
言語は成り立ちやその土地柄に影響し、形成される。もしかしたら、他言語を話す際は、マルチバース的な自分に意識を飛ばし、体と全身をその言語圏にあるイメージにするのが重要であるかも -
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「英語独習法」に続く、今井先生2冊目。
「英語〜」はタイトルの通り、英語と日本語の違いを軸に、言語感覚と認知のつながり、言語の違いによる認知の違いを教えてくれた。
この本はもっと幅広く、英語ドイツ語フランス語ロシア語中国語、更にはイヌイット語、ゴドベリ語(どこよ?)、グーグ・イミディル語(ゆる言語学ラジオで言ってたやつだ!)まで、様々な言語の様々な差異を通して、サピア=ウォーフ仮説を検証する。
イヌイット語では、雪の種類に応じて20以上の独立した単語があるとか。
数の数え方の影響で、一般的にアジア圏のこどもは欧米のこどもより小さいうちに計算ができるようになるとか。
そういうトリビアな雑学だ -
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英語の学習法の本ではあるが、「1週間でペラペラ!」みたいな底の浅い本とは根本的に違う。
作者は認知科学や発達心理学の研究者なので、子供が母語を習得する仕組みをベースに、大人が第二言語を習得するための方法を教えてくれる。
日本人が英語を簡単に習得できないのは、認知心理学用語でいうところの「スキーマ」=知識の枠組みが、英語と日本語で異なるからだという。
例えば、英語話者は1歳半頃までには、名詞の意味よりも先に、名詞の前にaがつくかtheがつくか、複数形か否かという形態の違いに気付き、「可算・不可算」のスキーマを手に入れるらしい。しかし日本語では、名詞にその区別はないから、名詞による可算・不可算 -
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AI翻訳が発達した時代に、語学を学習する意味はあるのか?語学に限らず、なんでもAIがやってくれる時代を前に、自分の脳を使うことの大切さを教えてくれる本。
バイリンガルであることは、様々な良い刺激を脳に与え、認知症の発症を遅らせる可能性さえあるらしい。
使用する言語によって思考が変わるという話は面白かった。母国語は感情と強く結びついているため、第二言語で話したり考えたりする方が理性的な判断ができるとか。
本編を読み終わって言語学習に前向きになっていた私だが、最後の解説には腰を折られた。
解説者にそのつもりはなく、むしろ親切心からの指摘と読めるが、なんだかなぁ。 -
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この書籍は言語学者今井むつみ氏とアスリート為末大氏の心温まる対話を通じて、学びの本質に深く迫っています。為末氏の博学ぶりと今井氏の平易な説明は、まさに心を打ち、教育者やコーチにとっては非常に有益な洞察に満ち溢れていました。特に、「オノマトペ」の話や運動と言葉の関係、そして読書の重要性についての議論は、目を見張るものがあり、教育現場での応用に大いに期待が寄せられます。言葉と身体の相互作用を深く理解し、それを教育や指導に生かすヒントが得られることは、まさに感動的でした。さらに、学びのプロセスを多角的に考察し、知識のアウトプットの重要性を強調する点も、学び手と教え手双方にとって非常に刺激的で、心に残
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「ことば力」と「思考力」を育む大切さとその方法について、幼児期〜小学校中学年の子をもつ保護者向けに解説している本。
小学生以降は、抽象的な言葉を用いて学習していくため、日常会話レベル以上の語彙を理解していなければ学習についていけなくなってしまう。(特に顕著に現れるのが中学年。9歳の壁。)
では、そうした抽象的な言葉を「生きた知識」として自分のものにしていくためには、何が大切なのか。キーワードは、「読書」、「対話」、そして「思考力」。
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1章は、子どもが言葉を獲得していく仕組みについて述べている。子どもは、言葉の範囲の理解を修正したり、推測したり、関係性に気づいたり、別の -
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英語を使いこなすためにはどうしたらいいか。
そのキモは、「スキーマ」の違いを意識し、英語のそれを身につけることにある。
本書の骨子は、きっとこういうこと。
「スキーマ」は、『学びとは何か』にもあったような気がする。
ある事柄について、身体化された知識の枠組みということらしい。
この間読んだ、大西泰斗先生の本の、英語話者の感覚、イメージを理解することが大切という話にも通じるところがある。
特に個別的な議論では似ていると感じたことも多い。
例えば、英語の動詞の意味が文型や前置詞をある程度規定していくというところなど。
が、本書はそうした知識の枠組みを自分でどう発見するかを主題にしていることだ