今井むつみのレビュー一覧
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【背景】
①なぜ読むか
「人」がどんなミスに陥りがちかを知りたいから。
②何を得たいか
陥りがちなミスを把握し、それを避けるための知見を
③読後の目標
バイアスや認知の歪みに、時々でよいから気付けるようになりたい。
【著者】今井むつみ(慶応義塾大学名誉教授)
【出版社】日経プレミアシリーズ
【感想】
まず自覚すべきは、人の認知は曖昧で、予測や期待を含んでいるということ。そして、文脈にも大きな影響を受けているという点である。
また、私自身、本書に出てくるカードを裏返す問題は何度やっても引っかかってしまう。ここでは、論理的な思考がそもそも苦手なように脳が設計されていることが示される。
世間一般から -
Posted by ブクログ
AI活用が日常になってきた昨今、わたしたち人間だからこそできる価値って?と考えることが多い。
著者は認知心理学の研究者でありながら、人工知能の研究にも携わってきた方。本書には、人間の思考はスキーマやバイアスによって、偏りがちだし、間違うことが多い、と書いてある。しかし、「記号接地」(経験により知識を理解し、新たな知識を創り出すこと)は、人間にしかできないという。
人間の思考には、システム1とシステム2がある。システム1は、直感・直情的で早いが、間違いやすい。システム2は、熟考型で間違いにくいが、遅い。人間のデフォルトはシステム1だそう。どちらが良いということではなく、システム2でシステム1 -
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乳幼児期の子供の言い間違いをイラストと共に解説している。
期待していたより解説の量が少なく、あくまで言い間違いの事例集であることに留意したい。
しかし、人間がどう言語を習得していくのか、その過程が垣間見ることができた。
特にあとがきで触れられている「言語の経済性」についてはなるほどと思わずにはいられなかった。
なぜ同じ言葉に複数の意味があるのか。それぞれの事象を表すのに新しい単語を作っていては単語を覚える量が無限に増えてしまう。そこで多義語にすることで脳への負担を減らし、経済性を高めているのである。
子供の言い間違いは時に大人の発想を超えるものがある。言い間違いを正すのではなく、ときに子供の柔 -
Posted by ブクログ
いかに人間が思い込みで物事を判断しているかが理解できる内容でした。
慶應大学で行われた講義をベースに書籍化されたものなので時々難しく思う内容もあるのですが、所々図解を載せてくれているので、言わんとすることは何となく分かります。
人間とAIの決定的な違いも丁寧に説明してくれており、ますます人間であることの面白みを感じ取ることが出来ました。
実は、こちらの本を読んだ後に文芸小説を読んでみました。
すると、これまでとは違った視点で物語を俯瞰して読むことが出来たのです。登場人物たちのスキーマに基づいた言動を客観的に見ることが出来たというか。
こちらの本は、私の読書の幅を広げてくれる内容でした。