【感想・ネタバレ】ことば、身体、学び 「できるようになる」とはどういうことかのレビュー

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Posted by ブクログ 2024年02月22日

為末さんは言わずと知れた元陸上選手。
今井さんは言語心理学専門の教授。
この2人の対談を元にした本。

この本を読んだあとだと自分の言語化能力、具体化能力の低さにがっかりするのですが、とても面白かったです。
もともと、具体と抽象の行き来には興味があったのですが、それに加えて為末さんが体の動きを言語化...続きを読むしてくれるのがずっとスポーツ(バレーボール、テニス、ランニング、今はフィットネス系キックボクシング)をやってきた私には体感的に腑に落ちる表現がたくさんありました。

教える時に情報量の多い映像を見せると処理しきれないけれど、熱いフライパンの上を走るように、というとできるようになる、とか、すごくわかる!と思っていました。

今井さんのお話は'ケーキの切れない非行少年たち(でしたっけ?)'の本にも通じるところがあります。
わかるとはなんなのか?相手と同じ世界を見られているのか?私も仕事で専門知識の深い上司との会話で悩むことが多いです。
怒られてもわからないものはわからない。

スポーツは無意識にできるまでまずは練習が必要、それから工夫していく、というのも、スポーツだけでなく、仕事でも当てはまる部分はあるわけで。
バスケの3ポイントシュートはあの枠外から打つよりもいろんなところからシュートを打ったほうが入る確率が上がる、とかは、スラムダンクの三井さんをイメージしながら、確かにここって時に決めてくれるあの頼もしさ、相手のファールを誘いながら、決めてしまう所なんて、あの一瞬にいろんな技術が込められてるに違いない、一本として同じ姿勢や環境でうっているシュートなんてないだろうな、でも、自分の身体をどう動かしたら、リングに入るのか調整力がすごいんだろうな、と。

ちなみに、無意識にできるまでの練習では、スラムダンクの主人公花道がバスケ素人ながら、特訓をして、庶民シュートや左手は添えるだけ、と呟きながら、基本のシュート決められるようになったことを思い出す。
並外れた運動能力をバスケで活かすために、どう調整していくのか、安西先生や仲間の助けを借りながら、感覚を掴んでいく。
やられたプレーを素人なのにやり返すセンスみたいなものはすごいのだと思う。
(すみません.大好きなスラムダンク、つい熱くなる)

コーチの役目も考えさせられたし、またスラムダンクで申し訳ないけれど、試合前のイレギュラーな緊張した状況で、一人ひとりにあった声かけをしていく安西先生みたいな人のやり方はわかりやすいし、フィジカルから攻める人と動きから攻める人、そのバランスというところも面白かったし、何よりコーチをつけずに、自分をメタ認知して1人でやっていた為末さんがすごいなと思います。

スポーツやってきた人なら、何かしら表現されていることを体感していることあるんじゃないでしょうか?
移動中の飛行機の中で一気に読んで、一気に感想を書いてみました。
あー面白かった。
この中で紹介されている本も読んでみようと思います。

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Posted by ブクログ 2024年02月10日

分けて分けて、統合
ことばことば、からだ
からだことばからだ
からだからだ
ことばからだ
鶏と玉子

面白くって一気読み

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Posted by ブクログ 2023年12月09日

本書を読んで、言葉の力を改めて実感することができました。言語になっていることで、思考や行動に変化を生み出せることや、言葉の使い方次第で体の挙動を理想の形に近づけることができることがすごく良く分かります。
このお二人の会話は、とても興味深く、私はいつまでも聞いていたい。
為末さんは、みなさんご存知の陸...続きを読む上ハードル競技で日本の代表選手として活躍した方です。アスリートの多くは専属のコーチをつけて、自らの技をより高みに押し上げるスタイルをとってますが、為末さんはコーチをつけずにセルフコーチングで自らの体を鍛錬してきた人です。言葉の選び方、使い方を意識して活用することの大切さを語ってくれています。運動のできない私にもとてもわかりやすく語ってくれています。とても面白く、小説で得られるような高揚感も不思議と感じた一冊です。

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Posted by ブクログ 2023年11月16日

動きを描写する方法でいちばんいいのはことばなのです。

気になるのは、以下です。

■ことば
・同じことばでも、学習者のレベルによって有効である場合と、ない場合があります。
・コーチングのうまい人は、学習者のレベルによってどのようなことばが的確かを直観的に判断し、巧みにことばを使う人が多い。
・映像...続きを読むでは情報量が多く正確すぎ、人間の処理できる能力を超えてしまっている。ことばは、いちばん大事なところをスポットライトを当てることができるので、表現方法としては、いちばん適しているのではないか。
・人間の認識や認知にはくせがあり、同じものを見たり、同じアドバイスを受けても、受け取り方が人によって異なると感じるようになりました。
・受け取る人の認識を想像しながらことばを選ばないと、同じ動きを引き出せない。
・ブレイクスルーは、体験によって、このことか!と分かった瞬間に起きます。

■ことばと身体
・リズムは身体の動きに不可欠です。なぜなら、動きは、身体の部位が連動していくことだからです。
・スポーツの世界では、身体の連動のイメージには音声のほうが向いていて、方向性や軌道のような視覚的イメージはことばのほうがふさわしい
・システムを自分で考えて構築していくという過程があるからこそ、仮に実体がない概念的なことばを聞いても、実体のあることばとの関係の中で理解することができるのです。
・そのように理解したことばこそ、自分の知識の一部となり、身体の一部になります。
・ことばには余白があるから、伝えやすい。余白がたんさんある。つまり聞き手が自分で考え、解釈する余地がたくさんあるということです。自分で考え、解釈した情報は知識となり、身体の一部となりやすいのです。

■言語能力
・言語化するというのは、見たものそのままを言語で表現することではなさそうです。
・相手に、自分が見たものとまったく同じものを思いうかべてもらうことを目的としているとしても、実際には見たものそのままをことばで表現しているとは限りません。
・そもそもことばというのは2つの種類がある
 1つは、認知的な意味合いで情報を伝える役割をもったもの
 もう1つは、感情を伝えることば
・ことばというのは、おもしろくて、抽象度の階層があるわけです。
・あることを細かい粒度でいうこともできるし、それよりももっと粒度を粗くして、抽象的にいうこともできる。
・言語能力とは、「どのように伝えれば相手がこちらの意図を理解できるか」を推論する力だと思います。
・おなじことばを話していても、コモングラウンドが違うと伝わらない
・コモングラウンドとは、ある単語を行ったり、聞いたりしたときに、同じ対象、同じ意味を思いうかべることができたり、同じ文を行ったり聞いたりした時に同じシチュエーションをイメージできるかという認識の共通の枠組です。
・文章を読んでわかる、理解するということは、結局、このメンタルモデルをつくるということでそれができない子どもが非常に多い。メンタルモデルとは、状況を心の中で組み立てたイメージのこと

■熟達
・客観的に動きを眺めるということは、連続する動きの中で、ある点を捕らえて言語化するというプロセスが必要となるのですが、それができるには別の能力が必要となります。
・身体はすべて関係しあっているので、起こしたい動きを間接的に狙ったほうがうまくいくこともある
・毎回異なる状況に対して、同じ結果を出せる。つまり状況への対応能力、調整力が高いということが、熟達したということではないでしょうか。
・ことばはきっかけづくりとして使用されますが、技術習得の過程への影響はあまり大きくはありません。
・コーチの役割は4つ
 教える
 そのまま伝える
 揺さぶる
 気づかせる
・できるようになるとは、同じ事が繰り返してできるようになるということではなく、違う条件に対応できるということです

■学びの過程
・学びの過程
①最初は反復しかありません
②無意識にできるようになる
③無意識にしまい込んでいた身体の動きを改めて引き出し、意識的に改善する 
⇒細かい動きを意識しすぎると、過剰に動きを意識してしまいへたになってしまいます
⇒意識するとギクシャクし、意識しなければ、動きが改善されない
④意識的に練習するときと、無意識に練習するときに、分けていた
⇒局部だけに集中すると全体が見えない
⑤局所で技術を改善すると、それによって変化した全体のバランスを取り直す

・新しいことを学ぶと、これまでできていたことができなくなる、あるいは混乱する
・達人になれる人というのは、自分が、何をわかって、何をわかっていないかを明確に判断できるということが非常におおきい

・ICAPモデル:情報を深くする
 ① Passive 受動的 聞いているだけ
 ② Active 能動的 メモや付箋をつける
 ③ Constructive 構成的 新しい情報と既存の知識が関係づけられる
 ④ Interractive 双方向的 対話によって複数の人と新しい知識を構築する

学びで大事なことは、学び方の学び

もくじ

はじめに 為末大
1章 ことばは世界をカテゴライズする
2章 ことばと身体
3章 言語能力が高いとは何か
4章 熟達とは
5章 学びの過程は直線ではない
おわりに 今井むつみ

ISBN:9784594095796
出版社:扶桑社
判型:新書
ページ数:240ページ
定価:950円(本体)
発行年月日:2023年09月
発売日:2023年09月01日

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Posted by ブクログ 2023年10月03日

それぞれの『言語の本質』と『熟達論』への読みやすいガイドになっている。為末さんの時々のちょっと間抜け目な返しが効果的でもある。学習とか向上ということに興味がある人はぜひ。

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Posted by ブクログ 2023年10月03日

ことばによって身体は作られる。
身体によってことばは作られる。
深遠な内容で非常に興味深かった。
理論や理屈と身体の感覚が調和していくとものすごく研ぎ澄まされた感覚になるんだろうなと想像できる。
自分は見えない世界が見えているのだろう。

人間の身体とことばは深く深く繋がっていることを感じさせられる...続きを読む一冊。

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Posted by ブクログ 2023年09月21日

「ことば」の持つ力。
「ことば」の使い方。

記号接地問題。その概念は身体に設置しているか。

「ことば」の余白。映像では情報量が多すぎるので、ことばで焦点化すること。大事なところにスポットライトを当てること。

言葉に関するお2人の会話が胸熱!でした。
明確で、具体的で、イメージが浮かびやすかった...続きを読むです。

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Posted by ブクログ 2023年09月20日

人として成長していくために大切なこととは何なのかが述べられている。
情報が錯綜する現代において、学びを得るためにはどういったアプローチが必要であるか、本当に学んでいるとはいったい何なのかを考えさせられた。

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Posted by ブクログ 2023年10月23日

この書籍は言語学者今井むつみ氏とアスリート為末大氏の心温まる対話を通じて、学びの本質に深く迫っています。為末氏の博学ぶりと今井氏の平易な説明は、まさに心を打ち、教育者やコーチにとっては非常に有益な洞察に満ち溢れていました。特に、「オノマトペ」の話や運動と言葉の関係、そして読書の重要性についての議論は...続きを読む、目を見張るものがあり、教育現場での応用に大いに期待が寄せられます。言葉と身体の相互作用を深く理解し、それを教育や指導に生かすヒントが得られることは、まさに感動的でした。さらに、学びのプロセスを多角的に考察し、知識のアウトプットの重要性を強調する点も、学び手と教え手双方にとって非常に刺激的で、心に残る内容でした。

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Posted by ブクログ 2024年01月03日

スポーツでは、実際にデモンストレーションや、映像を見せ、よく見ればわかる、なんて指導が行われているかもしれない。でも映像は人が理解するにはあまりにも情報量が多すぎる。人が理解できるのはせいぜいのその中の一つ。熟練した人ならば自然に見るべきポイントがわかるが、経験の浅い人はそのポイントがわからず、いく...続きを読むら見ても向上しない。
だからこそ、ことばが大切になる。ことばというのは、視覚や聴覚や触覚など、あまたある外界の刺激のある部分をぎゅっと抜き出して表現します。
そして、すぐれたコーチは受け取る人の理解できることばを適切に使える人。
そのためには言語能力を高めること

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