梶よう子のレビュー一覧

  • いろあわせ 摺師安次郎人情暦

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    梶さんの初期の頃の作品。
    摺師が主人公で寡黙な職人。「いろあわせ」と言うタイトル通り、各章は摺りの技法がサブタイトルとなっている。かけあわせ、ぼかしずり、まききらら、、、。技法の説明は各章の冒頭に説明されているが、絵や写真が無いと分かりづらい。また、このサブタイトルに沿った人情物の内容だが、技法が分かりづらいので、なぜにそのような結末か、も考え込んでしまう。
    出てくる登場人物は、みんなキャラがしっかりしていて生き生きしている。おっちょこちょいの弟弟子、うるさいが面倒を見てくれる長屋のお婆さん、凄腕だが人の良い長屋の浪人とか。とくに幼馴染の出戻り娘との続きを読みたいと思う。(書いた後に念のためと

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    2022年08月22日
  • 立身いたしたく候

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    瀬戸物屋の五男坊が貧乏御家人の家に婿入りし、出世を目指す。
    婿入り先の養父は家督を継いで28年経つが、無役の上に常に病気持ち。10才の娘がいるが、当初は妹で将来は嫁の予定だが、オマセで恋愛が芽生えてきて微笑ましい。
    幼馴染で手跡指南所からの付き合いの次男坊が脳天気で良い味を出している。この幼馴染からの情報もあり、徒歩組を始めに、様々な職にトライする。
    当時の幕府の仕事や、御家人、商家の生活が詳しく書かれている。付録の短編も古文書学者が書いたもので、当時の状況を解説したもの。
    江戸時代の歴史参考書的な小説だった。

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    2022年08月05日
  • 噂を売る男 藤岡屋由蔵

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    古本屋の傍ら『噂』を必要な人間に売っている由蔵が、あのシーボルト事件に巻き込まれていく。

    由蔵の父は養蚕家だったが詐欺にあって病の蚕卵を買い、自身だけでなく集落の蚕まで死なせるという大変な事態を招く。そのせいで父は自害、母は心労死、由蔵は周囲の子どもたちから『うそっこき由蔵』と非難される。
    長じても父親のしたことは消えず、江戸に来れば『うそっこき』ではなくなると心機一転働くが、そこでもまた大奥の『嘘』で大切な人が追い込まれ死に至る経験をする。

    『噂に惑わされ踊らされ、果ては大勢が信じ込み噂が嘘でなくなっていく』
    『嘘で固められた「真実」など、あっちゃいけねえんだ』

    力も後ろ楯もない由蔵が

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    2022年07月02日
  • 噂を売る男 藤岡屋由蔵

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    最初の方は面白かった。噂の種を売るというのもいいし、おきちやほかの登場人物も良いキャラクターで続きが読みたい。ただ、学者の嫉妬とかが出てきてからはなんかスッキリしないままで終わってしまった。次作は読後感の良い作品をお願いしたい。

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    2022年01月23日
  • お茶壺道中

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    ネタバレ

    202112/タイトルのお茶壺道中とは、幕府が将軍御用の宇治茶を茶壺に入れて江戸まで運ぶ行事とのこと。宇治茶を誇りに思いお茶壺道中が大好きで、お茶を淹れるのも上手な主人公・仁吉が、宇治から江戸の茶葉屋で奉公にあがり成長していく物語。梶よう子の史実(今回は生麦事件、和宮降嫁など)を物語に絡める手法が今回も効果的で、緊迫した空気と時勢の転換に戸惑う主人公の描写にいかされてる。主人公の人脈や商才で危機を乗りきっていく所、特に阿部様周りの出来事はラッキー要素多めな印象はあるけど面白かった。幕末の動乱や外国と交易している横浜の描写、お店のお内儀・本店の主人を始めとする商人達のしたたかさや、人間の多面性が

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    2021年12月13日
  • 一朝の夢

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    ネタバレ

    202112/これがデビュー作とは!消極的でパッとしないタイプだけど、朝顔のことなら周囲がドン引きする程饒舌かつ一方的にマシンガントークしちゃう朝顔オタクな北町奉行同心・中根興三郎が主人公。尊王攘夷、安政の大獄など史実をベースに、政情に係わってしまう主人公、朝顔をうまいこと絡めつつ物語が進んでいく。個性豊かな登場人物達も魅力的で、特に主人公の下男で還暦間近の藤吉が良い。この物語での井伊直弼の描写も面白い。多数の人物や出来事が盛り込まれてるけど読みやすく、混乱することなくページを進められた。同作者の『いろあわせ』の主人公・摺師の安次郎がちらっと登場しててニヤリ。ラストの描写もグッときた。梶よう子

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    2021年12月12日
  • ふくろう

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    ネタバレ

    202112/実際にあった松平外記による『千代田の刃傷事件』を素材にしたフィクション。序盤の仲睦まじく幸せそうな若夫婦の描写が、却ってこの先の辛い展開を感じさせた。作者の妥協することない筆力で、城内でのパワハラ・いじめ(と言うには余りにも酷すぎる…)が容赦なく綴られるので、読んでいてとてもとても苦しかった。でも結末知りたさと物語・人物描写の巧みさでページ捲る手は止められなかった。外記が我が子の為に作ったふくろうの根付に込められた想いが切ない。妻や他の息子娘らの悲しみ苦しみも思うと胸がいたむ。娯楽時代モノ好きにはおすすめしにくいけど良作だった。

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    2021年12月09日
  • 迷子石

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    202111/血が苦手で引っ込み思案で人も苦手な見習い医師が主人公。医師としてはパッとしないので、引きこもりながら富山の薬のおまけ絵を描いたり、近所の子供達と絵を描いて暮らす日々。主人公のキャラや舞台設定的にほのぼの系かと思ったら、藩の御家騒動にまつわる陰謀や不審な事件が起こり、全体的にずっと曇天のような重苦しいトーンで進んでいくので、ちょっと期待とは違い好みではなかった。とはいえ、覚悟決めた主人公の言動や、真相を追う謎解きや奇策、目付とのハラハラやりとりなど、読みごたえあった。

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    2021年12月07日
  • 立身いたしたく候

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    202111/貧乏御家人の婿養子となった主人公駿平が、お役につけるよう幼馴染み智次郎とともにお役めぐりをし、各々の職務や人間関係、内実の事情等を知り成長していく8編からなる連作短編集。各章タイトルが役名(小普請組・同朋衆・徒組・御膳所御台所・長崎奉行・勘定所吟味・奥右筆・旗奉行槍奉行)になっている。のんびりタイプの駿平と、駿平を振り回す直情的で義に厚い智次郎が良いコンビで、物語をかき回して進む展開も面白かった。各お役がストーリーに馴染んで詳しく語られるのも作者の筆の巧いところ。

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    2021年12月07日
  • はしからはしまで―みとや・お瑛仕入帖―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    202110/長太郎とお瑛の兄妹二人で営む「みとや」シリーズ第三弾。ここに来て長太郎がまさかの…。これからも兄妹で続いていくと思ってたのでこの展開はショックだし悲しい。周囲の人達に助けられながら懸命に前を向いて進もうとするお瑛、猪牙舟を操り進んでいく描写がよりいきる今作だった。

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    2021年11月24日
  • 葵の月

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    ネタバレ

    将軍の世継ぎ・家基の死の真相を巡る話。史実は動かず、すっきりとした結末には当然ならない。真相を暴いて解決とならないのが政治かと思うと情けない。

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    2021年05月18日
  • 番付屋新次郎世直し綴り

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    作者さん初の書き下ろし作品。

    廻り髪結いの裏で番付屋をしている新次郎。
    得意先の娘で近頃〈小町番付〉の小結に選ばれた娘が襲われ顔を傷つけられるという痛ましい事件が発生。
    新次郎は番付屋の仲間たちと事件を探るのだが、別の事件との関わりが見えてきて…。

    瓦版屋にスポットを当てる作品はあるが、番付屋とは新鮮。様々な番付屋が乱立する中、根拠も何もない、単なる持ち上げ番付や逆に貶める番付もある。だが新次郎たちがやっている番付は裏稼業ではあるものの、孝行番付や特産品番付など至って真っ当なものだ。通常は。

    ただし、事件解決の際には番付を使ってその真相を明らかにする。ここがちょっと悪乗りしてるかとも思え

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    2020年07月01日
  • 北斎まんだら

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    北斎の娘 お栄を案内役に、北斎が絵を画くことに執着する姿が描かれる。

    描かれるお栄と北斎の親子というだけでなく、師匠と弟子でもない、北斎の絵を画くことを中心にした濃密な関係が描かれ、面白い。

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    2019年09月07日
  • 柿のへた 御薬園同心 水上草介

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    小石川御薬園で働く、“御薬園同心”の水上草介が主人公の連作短編。

    植物オタクの草介にとって、御薬園同心はまさに天職。植物の知識を活かして様々な問題を解決していきます。
    薬草等の種類や効能についてもわかりやすく書かれていて、興味深く読ませて頂きました。

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    2019年07月03日
  • 池波正太郎と七人の作家 蘇える鬼平犯科帳

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    土橋章宏の「隠し味」は泣けた。
    諸田玲子の「最後の女」は、平蔵が女と情を交わすのが納得いかなかった。
    逢坂剛はまるで漫画の鬼平しか読んでないようなキャラ作りで好きではなかった。
    あとは概ね良しかな。

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    2018年10月22日
  • ヨイ豊

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    幕末。絵師歌川一門の清太郎、そして師匠、弟子たち。
    幕末の動乱から新政府の元、江戸から東京へ変わる世の中、必死に『江戸』を守り抜こうとする町人の姿は正直初めて知る維新の姿だった。

    登場人物の名前がややこしくて読みにくかったが、次第にそれぞれの個性に惹かれるほど夢中になれた。
    広くて深い浮世絵の文化に興味が湧いた。

    『ヨイ豊』とはなんと切ないタイトルだろう…

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    2018年08月06日
  • ご破算で願いましては―みとや・お瑛仕入帖―(新潮文庫)

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    両親を亡くしたお瑛が兄と立ち上げた店は
    商品が全て38文均一だから「みとや(3・10・8)」。

    兄が仕入れるいわくつきの品物とそれをめぐる人間模様描く。

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    2018年04月29日
  • ご破算で願いましては―みとや・お瑛仕入帖―(新潮文庫)

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    曰く付きの品ばかり仕入れるとあるので、妖怪とか霊がらみと思ったら、そういう物騒なことではなかった。三十八文均一で採算とれてなさそうだけど、表紙の絵を見ると楽しそうなお店。

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    2017年11月19日
  • ご破算で願いましては―みとや・お瑛仕入帖―(新潮文庫)

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    201709/今でいう百均を営む兄妹の物語。面白く読めた。車の運転ならぬ舟をこぐと性格が強くなる妹もかわいい。シリーズ化されるそうなのでちょっと追ってみる。

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    2017年09月17日
  • お伊勢ものがたり 親子三代道中記

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    東海道を歩いてみたくなった。今では新幹線のぞみで東京〜名古屋は2時間足らず。あっという間です。毎日20〜30キロを20日あまり、山を越え川を渡り、体力的には現代人の私たちには厳しいかもしれませんが、そんな本来の「旅」をあじわってみたいです。

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    2016年07月30日