梶よう子のレビュー一覧
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変化アサガオのブームは、第1次が江戸時代の文化文政(1804-1830)。その時期に浮世絵や歌舞伎が始まる。第2次が江戸時代末期(嘉永安政期:1850頃)で、交配の技術を持っていた。第3次が明治中期と言われる。
本書は、第2次ブームの時で、主人公は北町奉行所・同心の中根興三郎。興三郎は6尺あまりの長身であるが武術はほとんどダメで、3男坊。学問の道に行くように言われて、アサガオに興味を持っていた。ところが、2人の兄が死んでしまい、やむなく同心になった。うだつのあがらない仕事をしていたが、アサガオの話になると夢中になる。幼馴染の里美が飯屋で働いているのを見たことで話が展開して行く。里恵が不幸な人生 -
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天才絵師葛飾北斎を中心に、娘のお栄(応為)、美人画絵師渓斎英泉、そして本作の主人公である高井三九郎(後の高井鴻山)ら浮世絵師たちの人間関係を仏教絵画の曼荼羅のように描いた作品。
絵師としては北斎を光とすると影のような存在のお栄は奔放極まりなく、ムードメーカーの英泉との絡みが話を盛り上げる。三九郎はちょっと頼りなげな地方の豪商の惣領息子で、京での絵の修行を終え北斎の門下となるべく北斎のもとを尋ねるがまともに相手にされない。そんな中でジワジワと出てくるのが北斎の贋作話が出てくる。中々のストーリー展開。
昨年から、北斎と応為をテーマにした小説や美術書、漫画に積極的に触れてきているが、これまでとは一味 -
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御薬園同心・水草様と千歳様の物語
ずっと続きが気になってはいたのですが
ようやく完結編を読みました!
今回も連作短編集になっていて
園丁頭の娘さんの
結婚話に関わる問題を解決したり
急に不仲になった嫁姑の謎を突き止めたり
千歳様や蘭方医の河島先生らと共に
大小さまざまな出来事があります。
中でも『接骨木(にわとこ)』は
診療所に発生した疫病の話で
やはりハラハラしました。
水草様には紀州に医学の勉強へ行くという
近い将来の目標があって
それまでに身を固めさせようと
ご母堂から見合い話ラッシュ(笑)
一方、蘭学を目の敵にする役人が
水草様と河島先生を陥れるべく
虎視眈々と狙っている。
この -
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御薬園同心という役職にある青年
水上草介を主人公にした連作短編集。
時代小説だけど、剣劇はほとんどなし!
こういうのが好きだなぁ。
幕府直轄の薬草園「御薬園」を管理する
優しい心根の「水草さま」は
その薬を求める患者たちや
そこで働く周囲の人々の
ちょっとした問題を解決して
心と体の病を治すのです。
草介の上役の娘で、男勝りの千歳が
ちょいちょい顔を出しては
問題を持ち込んだり、引っ掻き回したり。
でも、これが何だか可愛いのよね〜。
小石川養生所の蘭学医師との交流から
薬草を中心とした和漢の医療と
西洋医学の違いを知り
どちらも患者を救うためには
大切と考える草介に
長崎留学を勧める男が