梶よう子のレビュー一覧
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北町奉行所諸色調係同心・澤本神人(じんにん)シリーズ第二作。
前作を10年以上前に読んだので詳細を忘れていたが、問題なく読めた。
『諸色調係』とは『市中に溢れる品物の値が適正かどうか調べ、あるいは無許可の出版物の差し止めなどを行うお役目』とのこと。
よくある切った張ったの類の事件を扱う『定町廻り同心』とは違った地味な役職ではあるが、物語の方はなかなかシリアスだった。
女易者に騙されたと男が暴れたり、南蛮の仕掛け鏡を巡って危険が迫ったり、偽の薬用人参が流通したり、雇われ中間が行方不明になったり、これは澤本の担当なのか?と思うような調べもあるが、そこは役人、上から頼まれれば嫌とは言えない。
今 -
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浮世絵師歌川広重の人生を描いた作品。
火消同心である安藤重右衛門は絵師歌川広重としての顔も持つ。だが肝心の絵はなかなか売れなかった。そんなままならない日々を送っていた重右衛門はある日絵の版元から東海道五拾三次を描いてみないかと誘われる。北斎の富嶽三十六景に触発された重右衛門はその誘いに乗って描くことにする。
己の絵の才を疑わない姿は鼻持ちならないが、絵に打ち込む様子はやはりすごい。特に北斎の富嶽三十六景で目にした藍色に心を奪われるのはさすが。異国から来たそのベロ藍と呼ばれる色を広重ぶるうとして絵に使うようになるがすぐには売れないのが残念に思われる。
少々長いけれどもそれを感じさせない力作。 -
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現代で言う百円ショップ、何でも三十八文で売る〈みとや〉を営むお瑛の物語第四作。
他の方のレビューにもあるように、お瑛がいつの間にか結婚して息子もいることに驚く。また間違えて一作飛ばしたのかと確認したが、そうではなく前作から八年後という設定らしい。
息子は兄と同じ長太郎という名前で、彼と同じく大らかでちょっと落ち着きがない。だが優しい子のようだ。
そして夫は成次郎、兄と同じく仕入れ担当。兄の友人・寛平の薦めで結婚したらしいが素性は明らかではない。何か訳ありらしい。だがこちらも優しい人であることは同じ。つまり息子・長太郎は父親似なのか。
前作から八年後ということでお瑛の周囲もいろいろ変化がある -
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一途ってのか一本気ってのか、おけいさん、過ぎたるは猶及ばざるが如しと言います。小鳥たちへ愛情を注ぐ、生き物の命を等しく慈しむ、分かります。立派です。でもね、大火災に直面したあの場面で、あなたの周りには高齢者や幼い子、身体の不自由な人がいなくはなかったでしょう。小鳥と心中覚悟もなにも、いくらか弱い女の身であろうとも、お若いあなたは、手を差し伸べるべき「ヒト」がいらしたはずです。現にあなたが敬愛する永瀬さまは我が身を賭して「ヒト」の命を救われた。まして他人を巻き込んで小鳥の命を救うとは。私には理解できません。焼け野の雉も夜の鶴も梁の燕も、守るのは我が子であってほかの種の動物ではないんです。