梶よう子のレビュー一覧

  • 江戸の空、水面の風―みとや・お瑛仕入帖―(新潮文庫)

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    現代で言う百円ショップ、何でも三十八文で売る〈みとや〉を営むお瑛の物語第四作。
    他の方のレビューにもあるように、お瑛がいつの間にか結婚して息子もいることに驚く。また間違えて一作飛ばしたのかと確認したが、そうではなく前作から八年後という設定らしい。

    息子は兄と同じ長太郎という名前で、彼と同じく大らかでちょっと落ち着きがない。だが優しい子のようだ。
    そして夫は成次郎、兄と同じく仕入れ担当。兄の友人・寛平の薦めで結婚したらしいが素性は明らかではない。何か訳ありらしい。だがこちらも優しい人であることは同じ。つまり息子・長太郎は父親似なのか。

    前作から八年後ということでお瑛の周囲もいろいろ変化がある

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    2024年03月02日
  • 商い同心 人情そろばん御用帖

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    シリーズものだが2作目から読んでしまった。
    あんまり問題なかったが。

    物価を見張る役人、澤本がメイン。
    面白かった。

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    2024年02月24日
  • 広重ぶるう(新潮文庫)

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    絵師として芽が出なかった歌川広重が
    「べろ藍」と出会い、江戸百景を描くまでを駆け抜けるように描いた作品
    本人の苦悩や想いがべらんめえ口調で語られながら進んでいく中で、たくさんの人が手をさしのべてくれることに
    広重の人柄や、描く風景画がどれだけ凄かったのかが伝わってくるようだった
    物語にふさわしいラストを向かえたときには
    青い空を見上げてこの空の色を広重は描きたかったのかもと思いを馳せた

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    2024年02月14日
  • 広重ぶるう(新潮文庫)

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    描きたいんだ、江戸の空を、深くて艶やかなこの「藍色」で――。
    武家に生まれた歌川広重は絵師を志すが、人気を博していたのは葛飾北斎や歌川国貞だった。一方、広重の美人画や役者絵は、色気がない、似ていないと酷評ばかり。絵は売れず、金もなく、鳴かず飛ばずの貧乏暮らし。それでも、絵を描くしかないと切歯扼腕するなかで、広重が出会ったのは、舶来の高価な顔料「ベロ藍」だった……。『東海道五拾三次』や『名所江戸百景』を描き、ゴッホを魅了した〈日本の広重〉になるまでの、意地と涙の人生を描く傑作。新田次郎文学賞受賞作。

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    2024年02月11日
  • ご破算で願いましては―みとや・お瑛仕入帖―(新潮文庫)

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    最後の急展開には引き込まれたけど、それまでがどうにもなかなか読み進まなかった
    面白くないわけではない、かと言って続き気になる!とはならない
    でも最後ちょっと面白かったから続編は読んでみようかな、って感じの話です

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    2024年01月31日
  • 商い同心 人情そろばん御用帖

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    江戸の町の経済を見張る役人の事件簿。
    ハマるまではいかなかったけれど、面白く読んだ。
    時代物はタイムスリップできて、楽しくて好き。

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    2024年01月24日
  • 迷子石

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    富山藩で実際にあった事件を脚色している物語とのこと。全然知らない事件でした。

    主役があまり魅力的で無いのが残念。中盤までは読み進めるのが大変でした。脇役の薬売りの謎めいた雰囲気が気になったので何とか。そして、中盤以降はかなりサクサクと。お話そのものはとても面白いモノだったので、登場人物の魅力だけが残念。最後はなかなか良かったので、最初からこんな感じなら良かったのになぁと。
    タイトルの意味、最後にようやくわかる感じでした。

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    2024年01月20日
  • 商い同心 千客万来事件帖 新装版

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    202312/物の値段を見張り店に指導する役回り諸色調掛同心が主人公。梶ようこの、こういうなかなか書かれない職業のキャラはうまいし面白いしさすが。

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    2023年12月23日
  • 雨露

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    勝美はいかにも著者が描く類の主人公ではある。武家にあって、およそ立身出世の欲はなし。こと武芸は、とんと才能もなければ腕前もない。手に馴染むのは刀剣ではくて絵筆なのだ。武士としては頼りないが、好きなことには秀でており、心優しいキャラに和まされる。朝顔同心だの御薬園同心だのと、いつもならば。ただし、今回の舞台が上野戦争とあっては、そんなゆるキャラは場違いで通用しないではないか。戦争の善し悪しは置いといて、やはり情けないなあ。個として幸せな結びに描かれるも、わずか一日の戦いで流された同朋の血があまりに虚しいよ。

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    2023年12月05日
  • 我、鉄路を拓かん

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    明治時代、日本初の鉄道敷設に挑む人々のお話。見たこともない蒸気機関車を走らせる、しかも海の上に走らせる、現代でも結構大変そうな工事を、人力のみでやってのけるとは…スゴいなぁとしか言いようがない。できれば地図を載せていただければ、もっと実感をもって読めたように思うのですが…いやでも面白かったです。☆3.5

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    2023年10月16日
  • 焼け野の雉

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    一途ってのか一本気ってのか、おけいさん、過ぎたるは猶及ばざるが如しと言います。小鳥たちへ愛情を注ぐ、生き物の命を等しく慈しむ、分かります。立派です。でもね、大火災に直面したあの場面で、あなたの周りには高齢者や幼い子、身体の不自由な人がいなくはなかったでしょう。小鳥と心中覚悟もなにも、いくらか弱い女の身であろうとも、お若いあなたは、手を差し伸べるべき「ヒト」がいらしたはずです。現にあなたが敬愛する永瀬さまは我が身を賭して「ヒト」の命を救われた。まして他人を巻き込んで小鳥の命を救うとは。私には理解できません。焼け野の雉も夜の鶴も梁の燕も、守るのは我が子であってほかの種の動物ではないんです。

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    2023年10月08日
  • 焼け野の雉

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    続編~!
    大火事で焼け出される飼鳥屋のおけい。なんとか無事には逃げ出すが・・・。

    話を聞かないおけいに若干いらっとするんだが、面白かったです。

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    2023年08月11日
  • 我、鉄路を拓かん

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    ネタバレ

    日本で初めて鉄道を拓いた人たちの情熱と苦労の物語。
    外国人技師エドモンドモレルさんの人柄と能力の助けなしでは完成しなかったこと、完成を見ずに亡くなったことなど、この小説ではサイドストーリーでしょうが一番心に残りました。

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    2023年01月24日
  • とむらい屋颯太 漣のゆくえ

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    とむらい屋颯太シリーズ二弾。
    相変わらず周りに不浄呼ばわりされながらもとむらいの仕事を続ける颯太と仲間たち。そんな中、新しくとむらい屋の一員となるお吉の登場や、おちえの母の死に関わる人物が判明したりと様々な出来事が起きる。 
    とむらうとは死者の為ではなく生者のためにする事という颯太の思いがこの作品でもたびたび描かれる。

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    2023年01月01日
  • 番付屋新次郎世直し綴り

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    ミステリー要素を持った時代小説。小町番付に載った娘が顔を傷付けられる。犯人は意外な相手。
    隠蔽する与力が酷過ぎるが、昼行灯の同心が陰で助けてくれるのでホッとする。
    主人公・新次郎も番付で被害を受けた過去があり、同じように被害を受けた理吉を番付屋に誘うが拒否される。犯人に近づくための番付屋なのだろうが、正解なのだろうか?
    続編へ導く終わり方だが、今のところ続編の情報は無いようなので残念。

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    2022年09月24日
  • いろあわせ 摺師安次郎人情暦

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    梶さんの初期の頃の作品。
    摺師が主人公で寡黙な職人。「いろあわせ」と言うタイトル通り、各章は摺りの技法がサブタイトルとなっている。かけあわせ、ぼかしずり、まききらら、、、。技法の説明は各章の冒頭に説明されているが、絵や写真が無いと分かりづらい。また、このサブタイトルに沿った人情物の内容だが、技法が分かりづらいので、なぜにそのような結末か、も考え込んでしまう。
    出てくる登場人物は、みんなキャラがしっかりしていて生き生きしている。おっちょこちょいの弟弟子、うるさいが面倒を見てくれる長屋のお婆さん、凄腕だが人の良い長屋の浪人とか。とくに幼馴染の出戻り娘との続きを読みたいと思う。(書いた後に念のためと

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    2022年08月22日
  • 立身いたしたく候

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    瀬戸物屋の五男坊が貧乏御家人の家に婿入りし、出世を目指す。
    婿入り先の養父は家督を継いで28年経つが、無役の上に常に病気持ち。10才の娘がいるが、当初は妹で将来は嫁の予定だが、オマセで恋愛が芽生えてきて微笑ましい。
    幼馴染で手跡指南所からの付き合いの次男坊が脳天気で良い味を出している。この幼馴染からの情報もあり、徒歩組を始めに、様々な職にトライする。
    当時の幕府の仕事や、御家人、商家の生活が詳しく書かれている。付録の短編も古文書学者が書いたもので、当時の状況を解説したもの。
    江戸時代の歴史参考書的な小説だった。

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    2022年08月05日
  • 噂を売る男 藤岡屋由蔵

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    古本屋の傍ら『噂』を必要な人間に売っている由蔵が、あのシーボルト事件に巻き込まれていく。

    由蔵の父は養蚕家だったが詐欺にあって病の蚕卵を買い、自身だけでなく集落の蚕まで死なせるという大変な事態を招く。そのせいで父は自害、母は心労死、由蔵は周囲の子どもたちから『うそっこき由蔵』と非難される。
    長じても父親のしたことは消えず、江戸に来れば『うそっこき』ではなくなると心機一転働くが、そこでもまた大奥の『嘘』で大切な人が追い込まれ死に至る経験をする。

    『噂に惑わされ踊らされ、果ては大勢が信じ込み噂が嘘でなくなっていく』
    『嘘で固められた「真実」など、あっちゃいけねえんだ』

    力も後ろ楯もない由蔵が

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    2022年07月02日
  • 噂を売る男 藤岡屋由蔵

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    ネタバレ

    最初の方は面白かった。噂の種を売るというのもいいし、おきちやほかの登場人物も良いキャラクターで続きが読みたい。ただ、学者の嫉妬とかが出てきてからはなんかスッキリしないままで終わってしまった。次作は読後感の良い作品をお願いしたい。

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    2022年01月23日
  • お茶壺道中

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    ネタバレ

    202112/タイトルのお茶壺道中とは、幕府が将軍御用の宇治茶を茶壺に入れて江戸まで運ぶ行事とのこと。宇治茶を誇りに思いお茶壺道中が大好きで、お茶を淹れるのも上手な主人公・仁吉が、宇治から江戸の茶葉屋で奉公にあがり成長していく物語。梶よう子の史実(今回は生麦事件、和宮降嫁など)を物語に絡める手法が今回も効果的で、緊迫した空気と時勢の転換に戸惑う主人公の描写にいかされてる。主人公の人脈や商才で危機を乗りきっていく所、特に阿部様周りの出来事はラッキー要素多めな印象はあるけど面白かった。幕末の動乱や外国と交易している横浜の描写、お店のお内儀・本店の主人を始めとする商人達のしたたかさや、人間の多面性が

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    2021年12月13日