あらすじ
偽物?ご禁制?値段が高すぎる!
物の値上がりを取り締まる
商い同心・澤本神人が
算盤と人情の謎解きで
江戸の暮らしを守り抜く!
名手の傑作時代小説!
浅草に現れた評判の女易者を「いんちき」と断ずる男の言い分は?(「女易者」)。
高価なはずの薬用人参が安値で売られている。本物か、重罪となる偽薬なのか…(「御種人参」)。
北町奉行所で市中の物の値が適正かどうかを調べ、
無許可の出版物等の差し止めを行う諸色調掛同心(しょしきしらべがかりどうしん)・
澤本神人(さわもとじんにん)が子分の庄太と江戸の商売の不正と謎を暴く。
次々起こる事件には、なぜか元南町奉行・跡部良弼(あとべよしすけ)の影が…。
【目次】
「女易者」
「母子像」
「御種人参」
「口入れ屋」
「落とし穴」
「五方大損」
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
【万吉】日本橋の上で刃物を振り回した。おやすに恨みがあるらしい。
【おきぬ】万吉の人質になって怖い思いをした瀬戸物屋のお嬢様で庄太が一目ぼれした。
【おやす】よく当たると評判の女易者。
【跡部良弼】とある鏡探しを神人に依頼してきた小姓組番頭。今回の裏の主役。
【佐治】腕のいい鏡師。
【文吉】佐治の十一歳の弟子で魔鏡らしきものを懐に入れた。
【御種人参】薬用の高価な人参で庶民の手には届かない。
【和泉与四郎】北町奉行所の常町廻りで堅物。
【松島屋仁右衛門】大名や旗本の供回りを斡旋している口入屋。善人か悪人か。
【弥七】蔵の一種である穴蔵を造る〈桝屋〉の職人。
【松葉蘭】強盗が質屋〈一六屋〉に押し込み松葉蘭だけ盗んでいき、高価ではあるもののそこまで価値あるものでもない。
【澤本神人】権力にも媚びず民の暮らしのためにできることをする態度がよい。
【庄太】可笑しみ担当やけど雑学の知識が冴える。
■簡単な単語集
【跡部良弼:あとべ・よしすけ】将軍の近侍である小姓組番頭(ばんがしら)。前南町奉行。植物の育成が好きで鍋島直孝とは同好の士。失脚した水野忠邦の実弟。神人に珍しい仕掛け鏡探しを依頼してきた。
【阿部正弘】現在の老中。水野忠邦失脚後政の方針を変えた。絶滅しかけていた芝居小屋などの数も復活してきた。
【和泉与四郎:いずみ・よしろう】北町奉行所の常町廻り。神人のかつての同僚で仲が悪いわけではないが、いいわけでもない。皮肉屋でひねた性格。仕事はきっちりしているし袖の下も嫌うので信頼はできる。妻の美智江は身体が弱く子供の手がかからなくなって気が抜けたのか今は寝たきり。
【遠藤但馬守胤紀:えんどうたじまのかみたねのり】若年寄。近江三上藩藩主。小姓組番頭である跡部良弼はその配下となるが大塩平八郎の乱のとき何もできなかった跡部に対し彼は功をあげたのであまりよく思われてないようだ。
【大塩平八郎の乱】この話ではすでに起こった後。跡部良弼が大阪町奉行だった。彼が求めに応じ大阪も飢えていたのに江戸に米を送ったことが発端かもしれない。
【音吉】勢が女将だったももんじ屋〈湊屋〉の板前だった。
【鏡師】曇った鏡を磨く職人。柘榴の汁をつけた藁で磨くらしい。
【勘兵衛】丸屋勘兵衛。神人が懇意にしている町名主。庄太を紹介した。
【金次】和泉与四郎の小者。神人が常町廻りだった頃使っていた小者。
【くま】澤本家の愛犬。臆病なところがある。
【澤本神人:さわもと・じんにん】→神人
【芝居小屋】老中阿部正弘による政の変更により芝居小屋数が急速に復活し客の争奪戦が激しくなって抽選で高価な景品を出すところも増えてきた。その辺で神人の役目に絡み始めている。
【庄太】神人の使う小者で計算が得意で意外に頼りになるがいつも腹を空かせている。丸顔。勘兵衛が寄越しており雇い主も勘兵衛。雑学に詳しい。
【諸色】諸色とはここでは物価の意味ということで物品の価格が適正か調べる同心ということらしい。今で言う公正取引委員会みたいなもんかと。
【神人:じんにん】澤本神人。北町奉行所諸色調掛同心。座右の銘は「なるようにしかならない」。諦念ではなく、楽観。ただし、ただ見ているのというのではなく、なすべきことはなし最善をつくした上でということ。事務仕事は嫌い。常町廻りを務めた後隠密同心を拝命したが鍋島直孝が顔が濃いので向かないと言い現在の役目に就くことになった。二枚目ではあるそうなので、若い頃の阿部寛さんをイメージしながら読みました。
【勢:せい】悪い噂を流されて潰れたももんじ屋の〈湊屋〉の元女将。今は勘兵衛のところで女中をしており、気が利くので重用されている。
【多代:たよ】神人の姪(亡くなった妹初津:はつの娘)。初登場時七歳だがしっかりもの。
【鳥居耀蔵】元南町奉行。水野忠邦とともにすでに失脚している。
【鍋島直孝】現北町奉行。
【ふく】澤本家の飯炊き。
【松島屋仁右衛門:まつしまやにえもん】主に大名や旗本の供回りを斡旋している口入屋。
【水野忠邦】元老中。すでに失脚しており、老中は阿部正弘となっている。
【茂田井憲吉】神人の同役。二十二歳。がっしりした身体で厳つい顔。事務仕事は得意。物事に細かい。元は下馬廻り役。
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浅草に現れた評判の女占い師を「いんちき」と談ずる男の言い分は?
高価なはずの薬用人参が安価で売られている、本物か、重罪となる偽薬か
諸色調べ同心・澤元神人が子分の庄太とと江戸の商売の不正と謎を暴く
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北町奉行所諸色調係同心・澤本神人(じんにん)シリーズ第二作。
前作を10年以上前に読んだので詳細を忘れていたが、問題なく読めた。
『諸色調係』とは『市中に溢れる品物の値が適正かどうか調べ、あるいは無許可の出版物の差し止めなどを行うお役目』とのこと。
よくある切った張ったの類の事件を扱う『定町廻り同心』とは違った地味な役職ではあるが、物語の方はなかなかシリアスだった。
女易者に騙されたと男が暴れたり、南蛮の仕掛け鏡を巡って危険が迫ったり、偽の薬用人参が流通したり、雇われ中間が行方不明になったり、これは澤本の担当なのか?と思うような調べもあるが、そこは役人、上から頼まれれば嫌とは言えない。
今回からは鍋島奉行のところにちょくちょく出入りしている小姓組版頭の跡部という人物がレギュラー入りしている。この跡部からの頼まれごとも多い。
澤本は鍋島奉行から『顔が濃い』という理由で定町廻りから諸色調係へ役替えとなったという経緯の持ち主だが、性格もなかなか。
跡部にやられっぱなしではなくて言い返したりしているし、調べを手伝っている庄太のまぜっかえしには頭を叩いて強気に出ている。
ただ亡き妹が残した娘・多代といい仲になりそうなお勢には柔らかい。
この跡部もアクの濃い人物ではあるが、悪徳役人と言い切れるわけでもないグレーゾーンなところが興味深い。
今後もシリーズが続くとすれば、彼と澤本との関係も気になるところ。
ただ個人的には主人公の澤本よりも庄太の方が魅力的に映った。
日頃は食いしん坊で惚れっぽくてだらしなさそうな男の子だが、計算は得意だし意外と知識が幅広い。
コロコロした体型だがフットワークは良い。ガサツなようできちんと物事を見ているところもある。
彼の存在があるから澤本のキャラでも読めるという感じだった。
シリーズ作品
①「商い同心 先客万来事件帖」レビュー登録なし