あらすじ
わけありの夫・羽吉と離縁し、飼鳥屋を営む女主人のおけい。九官鳥・月丸との暮らしも順調なある日おけいは大火に見舞われる。何とか逃げ延びお救い小屋での生活が始まるが……。江戸に生きる人たちを鮮やかに活写し、幸せとはなにかを問う傑作長編小説。
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Posted by ブクログ
読みやすかった。内容的にも突き詰めたものではなかったので疲れずに読み進めた。鳥の話も多かったけど、火事の話でもあったから避難の状況とか・・・
言葉の出ない子供の話もあったりとか、なんかけっこう盛沢山だったかな ^^
Posted by ブクログ
「ことり屋おけい 探鳥双紙」の続編。
調べてみたら、前作を読んだのは2014年だった。
ボヤッとしか覚えていないが特に支障はなかった。
羽吉と離縁し、羽吉が残した飼鳥屋を一人守ってきたおけい。カナリヤの番(つがい)を買って行った武家らしき老夫婦が、しばらくして何故か番屋を通してカナリヤを返してきた。
不審に思い調べようとしたが、その直後大火事で焼け出されてしまう。
店の鳥たちをなんとか一緒に避難させ、逃げる途中で知り合いの定町廻り同心・永瀬からある理由で口が利けない娘・結衣を託されるが、火が収まっても永瀬の行方は分からないままで…。
ここ最近日本各地で様々な災害が起きている。そういう時に生き物を生業として扱っている方々の苦悩を感じた。
自分の家族すら助けることが出来ず亡くしてしまったり行方知れずになってしまう方がいる中で、もちろん全ての生き物は大切な命なのだけれど、鳥たちすべてを避難させることの難しさ。
周囲の人たちと同じ立場なら、苛立っておけいに敵意を向けてしまうかもしれない。
かと言って焼け死ぬと分かって置いていけというのも酷い。何が正解なのかは分からない。
せめて九官鳥の力丸が周囲の人々を救い和ませてくれて良かった。
元夫の羽吉が現れ、どうなることかとハラハラした。おけいが一緒になったくらいだから良い男なのだろう。だが前作のレビューを読み返してみるに、やはり感情的な男のようだ。
だが一方でおけいも頑ななところがあるので似た者夫婦だったのかも知れない。
隣の籠屋の女将おとせや古着屋の八五郎と息子・長助、医者の沢渡に鳶の左之助、偏屈だが味方の曲亭馬琴などおけいを助けてくれる人たちがたくさんいる中で、茶屋時代の同僚・おしなが見せる厭らしさは、様々な不満や苦しさ切なさの表れのようで辛かった。
終盤は永瀬・結衣親子の抱える事情のその後、おけいを始めそれぞれの再出発、カナリヤを返してきた老夫婦の事情など盛りだくさん。一気に物語が動き出して忙しい。
苦しい話もあればほっとする部分もある。永瀬とおけいのその後は思った通り。まだまだ時間がかかりそう。
馬琴先生は怖いとか偏屈だとか言われているが、今回の作品の馬琴先生は優しかった。
また十年後くらいに続編が出るのかどうか。
Posted by ブクログ
一途ってのか一本気ってのか、おけいさん、過ぎたるは猶及ばざるが如しと言います。小鳥たちへ愛情を注ぐ、生き物の命を等しく慈しむ、分かります。立派です。でもね、大火災に直面したあの場面で、あなたの周りには高齢者や幼い子、身体の不自由な人がいなくはなかったでしょう。小鳥と心中覚悟もなにも、いくらか弱い女の身であろうとも、お若いあなたは、手を差し伸べるべき「ヒト」がいらしたはずです。現にあなたが敬愛する永瀬さまは我が身を賭して「ヒト」の命を救われた。まして他人を巻き込んで小鳥の命を救うとは。私には理解できません。焼け野の雉も夜の鶴も梁の燕も、守るのは我が子であってほかの種の動物ではないんです。