梶よう子のレビュー一覧
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大政奉還後の桑名藩士が主人公。
この時期の桑名藩の難しい事情を軸に、藩士の兄と、商家に養子に出た弟の話。
この時期の桑名藩は、会津藩と共に、苦難に満ちている。幕末に京都守護職を務めた会津藩松平容保、京都所司代の桑名藩松平定敬。この兄弟が大政奉還後に、薩長側の標的にされたといっていい。徳川慶喜は完全に恭順の姿勢であったために、振り上げた拳の下ろし先として格好であったからだろう。
舞台は江戸。この頃の江戸は、無頼の浪士が暴れている。のちに江戸市中取締を務める庄内藩他による薩摩藩邸焼き討ちに繋がる一連の挑発行為。
主人公兄弟とともに、登場する実在の人物も印象深い。桑名藩家老酒井孫八郎は、闊達な上司と -
Posted by ブクログ
シリーズ3作目。
のんきで憎めない兄としっかりものの妹との二人三脚でやってきた「みとや」だったのに・・。二親に続いてなので、本当に寂しくなる。
それでも周囲の助けでなんとか店を続けるお瑛。仕入もお瑛が行うことになり、仕入帖を元に兄の足跡を追うことになるが、本のタイトル「みとや・お瑛仕入帖」がこういう事に繋がっていたんですね。近所の惣菜屋の女将と知り合いの武家との結婚話しや、叔父夫婦との久方ぶりの邂逅があったものの、ご隠居や赤児の死などもあり暗くなる。将来はお瑛と結婚かと思っていた船頭の辰吉との関係は笑ってしまう。続編を見たいが、今のところ無さそうで寂しい。