あらすじ
お江戸日本橋で、元盛岡藩士が切腹した。そこには長年にわたって確執のある弘前藩を弾劾する高札が掲げてあった!
直参旗本ながら無役の神木家嫡男、光一郎と、剣の達人である村越重吾は、元鳥取藩主・松平冠山の依頼で、蝦夷地に関係する事件を調べるうちに、弘前藩と盛岡藩の争いに巻き込まれてしまう。その争いの中心には、かつて光一郎と重吾と厚い親交を結んだ盛岡藩士・相馬大作の姿があった。
主君の恥辱をそそぐべく弘前藩主の命を狙う大作。主君への忠、武士としての義が生んだ結末とは。
「みちのく忠臣蔵」と呼ばれた史実をもとに、ミステリータッチで描かれた壮大なドラマ。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
本作は、“騒動”の当事者以外を創作して主要視点人物に据えてみたことで、何か「現代の色々な出来事と、当事者以外の圧倒的多数の人々が考える、または考えるべきこと」というような“拡がり”を得ているのかもしれない。
全般的な内容も、何か考えさせられるのだが、本作に関しては「活写される1810年代」というモノが興味深く、愉しい。旗本は随意に旅行が出来るでもない立場であったことから、旅への憧れを募らせている光一郎は、その時代に出回り始めている“地誌”的な書物の愛読者である設定で、蝦夷地を巡る情勢に関して綴られたモノにも触れる場面が出て来る。そういうのも面白い。更に言ってしまえば、「鳥取の松平家が蝦夷地との商売に挟まって収益を上げようとしていたところ…」という、1810年代辺りにはそれなりに拡がり、深まっていた“交易”が物語の背景に入っているのが興味深かった…
Posted by ブクログ
相馬大作、名前だけは知っていた人の話。
主役は旗本の子息だが、語り部であって、事件の主体は相馬大作。
津軽と南部の確執からの、事件を扱っている。
前半のテンポがいまいちだったが、半ば過ぎからは一気読み。