梶よう子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ202112/実際にあった松平外記による『千代田の刃傷事件』を素材にしたフィクション。序盤の仲睦まじく幸せそうな若夫婦の描写が、却ってこの先の辛い展開を感じさせた。作者の妥協することない筆力で、城内でのパワハラ・いじめ(と言うには余りにも酷すぎる…)が容赦なく綴られるので、読んでいてとてもとても苦しかった。でも結末知りたさと物語・人物描写の巧みさでページ捲る手は止められなかった。外記が我が子の為に作ったふくろうの根付に込められた想いが切ない。妻や他の息子娘らの悲しみ苦しみも思うと胸がいたむ。娯楽時代モノ好きにはおすすめしにくいけど良作だった。
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Posted by ブクログ
作者さん初の書き下ろし作品。
廻り髪結いの裏で番付屋をしている新次郎。
得意先の娘で近頃〈小町番付〉の小結に選ばれた娘が襲われ顔を傷つけられるという痛ましい事件が発生。
新次郎は番付屋の仲間たちと事件を探るのだが、別の事件との関わりが見えてきて…。
瓦版屋にスポットを当てる作品はあるが、番付屋とは新鮮。様々な番付屋が乱立する中、根拠も何もない、単なる持ち上げ番付や逆に貶める番付もある。だが新次郎たちがやっている番付は裏稼業ではあるものの、孝行番付や特産品番付など至って真っ当なものだ。通常は。
ただし、事件解決の際には番付を使ってその真相を明らかにする。ここがちょっと悪乗りしてるかとも思えるが、放っておけば揉み消される類いの事件なのだから、新次郎たちのやり方は痛快だ。
娘ながら男姿で敏捷に動き回る彫師の美美や、剣の使い手でもある筆耕の訳あり浪人の宝木など、仲間たちも個性的。主人公の新次郎は何と、人気役者にそっくりなほどの男前で、今回はそのことも事件解明に一役買っている。
一方で新次郎が番付屋を始めるきっかけとなった、薬種問屋を営んでいた実家が番付により崩壊した過去は辛い。その真相が明かされる日は来るのか。
また宝木が何者かに度々命を狙われるその理由も分からない。宝木を助けてくれた謎のご隠居も気になる。宝木の正体や抱える事情は続編で、ということか。
新次郎と仲の良い、昼行灯こと同心・佐竹がなかなか良い味を出している。のらりくらりしているようで、抜け目がなさそうで、手柄を敢えて仲間に譲っているのも何か深い訳があるのか。
テンポ良く読めるが、様々な事件や要素を頑張って詰め込んだ感があって、終盤はそれらが上手く繋がり過ぎる印象もある。だが設定は面白いし、これからのシリーズとしての物語も気になる。
続編が出るだろうから、今後が楽しみ。