柚木麻子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「デートクレンジング」を改題して文庫化
既婚者と独身者の女性同士の関係性についてのお話
女性に対するあらゆる呪いへの、柚木麻子さんのガチ殴りに思える
既婚者と独身は仲良くできない、姑と嫁はわかりあえない、男に評価されなければ無価値というありがちなものに代表される、女性同士の友情や女性に対する偏った価値観
『デートクレンズ』の意味は「一定期間、異性とデートをしない」こと
のべつまくなしにデートを重ねるのではなく、デートとデートの間を空けて、気持ちをリセットする行為
アメリカ発祥の概念らしい
ってか、内館牧子も前にこんな事を言ってたなぁ
次から次へと恋愛をし続けると、その気持を感知するアンテナが鈍くなると
なので、恋を休む期間も必要だという趣旨だった気がする
作中に登場するアイドルグループ「デートクレンジング」のキャッチコピーは「デートの呪いをぶっつぶせ!」
ぶっつぶすのは「デート」ではなく「デートの呪い」というのがポイントですね
デートの呪いは女性に対してだけではなく、男性側にもかけられているんですけどね
まぁ、以前に比べればその呪いは軽減されているような気もするけど
むしろ、デートそのものの機会が減っているのが現状でしょうね
作中の婚活女性が想定する「安住の地」
実際はそんなものなんてない
結婚したらしたで色々と揺らぐし、それこそ子供なんて出来た日にゃぁ向こう10年は安息の日常なんてものは存在しなくなるよ?
下手したら一生つきまとうものですしね
そんなわけで、それぞれお互いにないものねだりしてる関係なのに、隣の芝生は青く見えるだけなんですよね
柚木麻子さん作品で女性同士の友情ものといえば、あまからカルテットが好き
例え離れていた期間やそれぞれの立場や環境が変わっても、変わったなりに柔軟な友情関係を築く事ができるという物語はいいよなー
あと、孤独死問題
これは独身を貫いた人だけの問題でもないんだよね
結婚しても子供がいないとか、子供がいても離れて暮らしているとか、配偶者に先立たれたとかであれば、同じように独居老人になるんだしね
超高齢化社会になっている日本では、今後こうした人達の終末に関しては何らかの対策は必要でしょうね
とりあえず、誰かが一日に一回は生存確認をする仕組みはいるんじゃないかと思う
それにしても、柚木麻子さんのアイドル像が、普段のつぶやきから垣間見える姿も含めて面白いなぁ
「デートクレンジング」というグループの存在を本当に求めているんじゃなかろうか?
旧来の精神の性的なクリーンさを前提にしたものではなく、ファンと疑似恋愛的な要素ではない関係性を築くアイドルという存在
まぁ、作中でも言及されているけど、同世代にウケないのでメジャーにはなれないかもしれないけどね
あと、バスツアーの描写が色々と商業主義的なものを感じさせるけど
まだまだお行儀の良い方のアイドルバスツアーだと思うよ
ネットで有名な某元有名アイドルのバスツアーは悲惨なものだったようですしねぇ…… -
Posted by ブクログ
玲奈の、
「たった一人でくるくる回って人生を回転させていけるのはね、意固地なわけでも、魅力がないわけでもなくて、心豊かに生きているあかしなんだよ。あたしはね、あんたの溢れるような豊かさに惚れたんだと思う。あんたくらい惜しみなく人に与える人間はいない。あまりにも豊かだから、いくら人に与えても、あなた自身は一ミリもすり減らないの」
という台詞がとても、とても心に響いた。
いつもは“ あんた” 呼ばわりなのに、最後では“ あなた” と言っているところにグッときた。
1人でも楽しめる素質が人一倍ある宝子の魅力がよく分かる言葉だなぁと思った。
西島も宝子も、自分の世界を保ちつつ人生をメリーゴーランドのように回していけたらいいな。 -
Posted by ブクログ
リベンジポルノ問題を取り扱った物語
タイトルや冒頭の恋の予感を感じさせる始まりから想像するさわやかさとは反対に、気持ちが結構重くなるものが描かれている
コーヒーチェーン店会社の広告部署で働く30歳手前の菫は、自分の裸の写真がネットにアップされているサイトを偶然発見する
元彼に乞われて撮られた事はあるが、その場で消してもらったはずの写真
彼との馴れ初めは、大学の飲み会で渋谷から暗渠を辿って自宅まで同行したことから
当時の回想と今起こっている事への対応が交互に描かれる中で明らかになる二人の関係性の変遷と事件の真相
そして菫がとった行動……
主な登場人物は少ない
元彼の光晴
母の亜希子、父の井手さん、弟の幹夫
高校の美術部からの親友で、芸大を経て高校の美術教師の百合
自分の裸が知らない人たちの間で評価され共有されている事を嫌悪し戸惑う菫
元彼を疑いたくない気持ちと共に、もう会いたくないという感情
自らが普通ではない状況にいることを自覚しながら、いつも通りに振る舞おうと取り繕う
温かい家庭でまっすぐに育って常に自然体でいられる菫に対し、義母との複雑な家庭環境で屈折して育った光晴が対比されている
自称複雑な家庭で育った光晴に多少の同情は感じるが、身勝手な自己弁護や浅はかさ、酒との付き合い方には嫌悪感を覚える
結局は原因を他人になすりつけてきた人生の責任をとってないだけに思っていまう
マンガ「彼氏彼女の事情」を思い浮かべてしまった
あっちでも暖かな家庭で育った雪乃と複雑な生い立ちの有馬という組み合わせだし、有馬は違った意味で拗らせた感情を持っていたけれども、結末はまったく違うものですね
このケースは厳密にはリベンジポルノではないかもしれないけど、独善的な所有欲というのはあるでしょうね
そもそもの問題は、彼氏のそんな提案を断れない関係性であって、そんな関係性を築いてしまった事やそんな人間と付き合ってしまったという過失もあるのではなかろうか
ま、そこに原因はあっても責任はないですけどね
そして先輩社員の坂咲
被害者への追い打ちというか、二次被害ですよね……
同性に限らず、自己責任論をかざす輩はいるでしょうねぇ……
そんな人達にとっては、菫のとった選択も意味がわからないというか、「やっぱりそんな人なんじゃん」と思ってしまいそう
だけど、その選択が文学っぽく思う
拡散してしまったものは完全に消すことはできない
だから「自分の体を取り戻す」というのが回復の方法なのですね
最近何かと話題のAVに関する法改正について
同意して自らの意思で行っている人もいて、そこに自信をもっているというのが矛盾しない状況もありえるわけで
全面的に一律で禁止という案に一石投じてるのだろうか?
造り手の視点、見る人の視点によって対象の意義が変わるというのも表しているのかね?
義母が光晴の視線を嗜める行為と両者の認識の相違、ポルノサイトの画像と百合の作品の違い
明確な基準は決められないでしょうけど、多数に受け入れられる基準は決めなければいけないのでしょうねぇ -
ネタバレ 購入済み
おもしろかった
まさかまさかのお父さん
逆にリアルでそうきたかーって感じ。
主人公の二人のお互い感じているギャップ
二人の成長、大変面白かった
本当に二人ともいい子で純粋で、若くて
とっても応援したくなった
ティアラの過去をもう少し知りたかったなぁ
実家とのやり取りとか
でも私もティアラみたいに、
どんな辛い過去も、
切ない過去にも、
しんどい今にも負けないで、
いつでも明るく、娘を愛して応援できる、お母さんになりたい -
Posted by ブクログ
5年もの片想いをこじらせている敏腕おもちゃプランナーの顛末記
大手玩具メーカー「ローレライ」に勤務する富田宝子はフリーのグラフィックデザイナーの西島裕也に5年間も片想いをしていた
西島の幸せのため、自分の想いのため行動する宝子の奮闘劇
とにかく、宝子のバイタリティがすごい
片想いをこじらせすぎなためか、恋に関しては中学生のような初心さ
その想いが、おもちゃプランナーとしての才能とリンクしているのでしょうねぇ
ってか、富田宝子はタカラトミーの捩りっすかね?
そして、想い人の西島のため、探偵のように影で解決する宝子
向かいのマンションに貯水タンクが設置されて、部屋の窓からスカイツリーが見えなくなったと嘆く西島のために設置の経緯を調べてわかった真相
西島の新しい彼女という存在にショックを受けながら、彼女に借金があるらしいという情報を元に身元を調べて判明する素性、西島の思い出のテレフォンカードを取り戻すためにスリの修行等々
その過程で、子どもを手懐ける手腕も読んでいて面白みを感じる
あと、子供向けアニメの「魔法使いの心友」
設定的に、プリキュアよりはおジャ魔女寄りのお話なのかな?と思わないでもない
そんな子ども向けのおもちゃを子ども目線でプランニングできるから宝子さんはヒット商品を作れるのでしょうね
タイトルの意味として、心のねじを巻けるのは自分だけという意味が込められているわけで
片想いが原動力となって様々な行動力に繋がっていると……
終盤の展開に関してはまぁ賛否両論ありそう
個人的にはその感覚がわからないでもない
こんな年齢になったからなのか、これまでの経験が故なのかわからないけど、たとえどんなに想い人でもあんな生活を私も送れるような気がする
メインの二人以外にも登場人物のキャラが立ってる
宝子のルームメイトの同性愛者 菅谷玲奈、刑事の目黒正次朗
同期の前場その子、後輩の淡嶋ミカ、メーテル似の韮崎響子、韮崎に想いを寄せる榎木田吾郎、室長の竹本
宝子のビジュアルがゆるふわのガーリーな描写をされているものだから、羽海野チカの絵柄を連想してしまう
他のキャラもそれにつられてあのタッチでイメージしながら読んでた -
Posted by ブクログ
料理をテーマにしたアンソロジー。
女性作家ばっかりかなと思ったけど、中村航さんは男性かな?色んなテイストの作品が詰まっていて、美味しくて嬉しいアンソロジーでした。
以下お気に入り作品。
柚木麻子「エルゴと不倫鮨」
不倫を嗜む男たちの隠れ家的鮨屋に、明らかに場違いなくたびれたおばさんが襲来する。そのおばさんはなぜかとても料理に詳しく、次々と美味しそうなオリジナル創作鮨をオーダーしはじめ…まさにタイトル通り注文の多い料理小説。ラストのオチも痛快でよい。
伊吹有喜「夏も近づく」
悠々自適な田舎暮らしをしている主人公が、兄から半ば押し付けられる形で甥っ子を預かることに。田舎の豊かな自然と触れ合うことにより2人が打ち解けていく様子が微笑ましい。伊吹有喜さんらしい、爽やかで優しいお話。
坂井希久子「色にいでにけり」
はじめましての作家さん。時代物で、美しい色彩と和菓子の融合。短編なのにキャラが立ってて、シリーズもので読みたいと思った。
中村航「味のわからない男」
岩上が脳内で原田○二に変換されて笑った。 -
購入済み
カッコいい女性たち
柚木さんの描く女性は、みんな何だかカッコいいなぁ。いろいろな生き方の女達が出てくるけど、どの生き方も憧れる。
もちろん、格好良い男性もチラホラ出てくるけど、女性たちはみんな強くて、みんな主人公みたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ6人の女性作家が書いた短編集。普段読まないタイプの本だけど、先週のZoom飲み会で友人が紹介してくれたので読んでみました。
正直、西加奈子さんの話はイマイチだったけど、それ以外はそれぞれが全然違うテイストですごく面白かった!そこまで恋愛要素強めでも無いし、恋愛モノに興味無い人も楽しめる作品だと思います♪
柚木麻子さんのは、段々相手の事を好きになっていくドキドキ感が伝わってすごく面白かった。この話を一番最後に持っていくところに編集者のセンスも感じました♪1話目の飛鳥井千砂さんの「あれ?こういうテイスト??」もなかなかスパイスが効いてて面白かったし(笑)、一番本のタイトルに近い彩瀬まるさんのはめっちゃほっこりしたし、瀬尾まいこさんのは単純に文章が面白くて、かつ微笑ましい感じで嫌されました☆
南綾子さんのも、割とめんどくさい事が嫌いでは無く、興味のある事に対してはいつも全力投球の僕とは違ったタイプの女の子が主人公で、何でもすぐめんどくさがる人の気持ちがちょっと理解出来て面白かった♪
絶対に自ら進んで手に取るタイプの本では無いけど、たまには普段読まないタイプの本を読んでみるのも良いものです☆ -
Posted by ブクログ
古典文学、教科書で名前を聞く名作。いつか読んでみたいと思いつつ、タイトルしか知らないからどれから手を出せばいいのかわからない。どれも大作なので、中身もよく知らずに手を出すのがためらわれる。
私はそんな風に思うことが多いが、勇気を出して名作を読んでみると面白さに目からウロコ、ということもまた多い。
たまに自分にもあわない本もあるけれど、だからと言って名作に手を出さずにいるのはもったいない。
本書では、小説家の筆者がいきいきとした筆致で、フランス・日本・イギリス・アメリカの古典的名作を紹介するエッセイであり、私のように「どの本を読もうかな?」と悩む方にとっては頼りになる指針になるだろう。
私はこの本を読んで、5、6冊の名作を、次に読みたい本リストに追加した。