柚木麻子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレセックスレスがテーマのお話。よく考えたら初めて。
読後感はどこか爽快で、楽しかった…!
もっとジメジメしているものを想像していたけど、
主人公の初美がなんともさっぱりしてる性格で。
乳がん検診で、女医相手に興奮するところは思わず笑ったなぁ。
最後、ラブホで必死になる啓介さん相手に、どこか気の乗らない初美。でも、あの感じ、わかる。。笑
柚木さんの作品は他にもたくさん読んだけど、柚木さんの、もう情景がありありと思い浮かぶー!って表現が今回は見事に下ネタの方面で発揮されていて。
ぬるぬる滑る鯉、とか、子持ち昆布、とか。(笑)
女はみんなクレイジーフルーツを持っているんだと思う。
そしてそれは男のソレよりきっと過激。
初美の秘密をこっそり盗み見ているような、そんな気持ちになりながら最後まで読みました。
2人の試みが近いうちに成功していますように。
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Posted by ブクログ
初美の心の変化、周りの言葉、すごく心を打って、何度も苦しくなった。でもたくさん考えるきっかけになった。ぐわーーーーっと。
p.91 「俺、おかしい。きっと疲れてるんだ。明日の終わりっていつもこうなんだ。情緒不安定っていうか…。なんだか、人生がどんどん終わっていくみたいで。やり残したことがある気がして、焦って寂しくなるんだ」羽生ちゃんの言葉に、初美はぎくりとした。なぜなら、かつては自分もそう思っていた。8月の終わりはいつも悲しかった。どんな夏にも、満足できなかった。これといった理由もなく、美咲さんで、家族や友達を心配されたことがある。いつの頃からだろ、やり過ごす術を身に付けたのは。
p.105 女性誌編集長の多忙さを理解しているつもりだし、彼ばかりが悪いわけではないこともわかっている。自分だって、仕事が立て込んでおり、展示会の直前だと、ろくに家事もせず、彼の帰りを待たずにさっさと寝ている。その時の夫は、自分も疲れて、いるだろうに、野菜たっぷりの食事を作ったり、勤務先をしてくれた人をいたわってくれる。男と女でなくなったからこそ生まれた連帯感や高さはって何者にも変えがたい。彼の妻をなくして生きていく事は、おそらく可能だとよくわかっている。
p.106 おいしいりんごの見分け方は、ぎゅっと握ったときに、内側から跳ね返してくるような生命力のある、硬く、引き締まったものを選ぶこと、と彼女教えてくれた。
p.113 だってさー、もし不倫するとしたら、そうそう、高いホテルに行けるわけじゃないし、ラブホテルかビジネスホテルでセックスするわけでしょ。シャワーを浴びたら、髪が濡れるじゃない。あゆホテルのドライヤーって壁に作り付けで、使いづらくて、ものすごい激しい熱風でさぁ。ぼさぼさの頭で身支度整えてとぼとぼ歩いて家に帰るわけでしょう。たった1人で。さっきまで暖かい場所に2人でいたのに、もう1人で。重たい秘密を抱えて、髪の根元があ、ちょっとまだ湿っている、帰ったら、下着を脱いですぐ洗わなきゃ、とか忙しく、考えながら、どんどんを冷たくなる体を引きずって、帰るわけでしょ。セックスの後って家だるくて眠いのに、我慢して寒空の中を歩いて何事もない。顔で日常生活に戻るんでしょう。ものすごい気力と体力が必要だよ。海外旅行位大変そう。私には無理。
p.121 りんごをすり終えるまでは、潤平君にとってのエロスの女神様で居させてくれ、と祈るように思う。できる限り、ゆっくりとりんごの皮をむく。くるくると螺旋を描きながら、赤いリボンが降りてくる。鮮やかな赤香宗様は、まるで結果のようだ。潤平くんや明子にあって、自分にはない、貪欲な生きるエネルギー。正しいとか正しくないではなく、ただ体が発するがままに従うこと。
p.141 「定期的に試験があって、季節が変われば、学年が変わって、入学式があって、卒業式があって。目に見える形で、ちゃんとオーケーを出してもらえて、安心して先に進めた…。でも、今は…」「自分で自分にオーケー出さないといけないって、しんどいよね。私も同じ」
p.167 LINEは、やっぱり会話がしにくい。お互いほとばしる感情を自分のペースでぶつけるから、噛み合わない言葉がいびつな鎖になって伸びていく。元はほんのりと笑ってしまう。それでも、その学校でこちょこちょした首飾りが、今の自分にはよく似合うと思った。1歩と言うには、幅が狭すぎる。何も解決していない。子供引き換えしても、あの砂漠を思わせる、日常に戻るだけ。しかし、今、克己は心から干している。彼の隣で安心して、時々困った。体を伸ばして眠ること。すべては、そこから考えたい。
p.175 「私は桃の美味しいところを、あなたにまず最初に切り分けているのに、自分は金で我慢しているのに、いつも何だってあなたを優先しているのに、できるだけくつろげるように心を砕いているのに、ぬかみそくさい、女房だって責めるんだ!?家族になりすぎて、女を感じることができないとか言われちゃうんだ。ひどいよ。ひど過ぎるよ!」
p.188 花火を見たときって真っ先に思い浮かんだのは夫の顔だ。今朝のやりとりを全く許せていないのに、この景色を彼見せたい、と思った。好きとか嫌いではなく、を条件反射だ。売れたものをそいだらみずみずしい果実、ごく自然に夫に差し出し、他にも自分がしゃぶることと同じこと。まるで呼吸するように染み付いている。良いものは全て彼と分け合っては気が済まない。そこに萎えると言われたら、一体この先ってどうやって一緒に生きていけば良いのだろう。わかっているのは、全部手にする事は無理と言う事だけだ。では、自分は心身ともに満たされることを諦めるべきなのか。欲望をぶつけ合うような本物のチェック済求めなければ、中学生の戯れられるのふれあいで我慢すれば、楽しいことにだけ目を向けるようにすれば、だましだまし平穏に生きていけるのだから。
自分はそんなに欲張りなのか。潤平君の言うような「欲張りボディ」なのか。あれ「わがままボディ」だっけ?
今夜、夫とは仲直りするだろう。おそらく初美の機嫌を取るつもりで、彼が買ってくる。コンビニのシュークリームと夕食の後のラブコメのDVDで全てはうやむやだ。つまりは、上も寂しさもこのまま秋に持ち越される。そんなことを考えていたら、夜風に枯れ草の香ばしさが感じられた。あー、今年は何もないまま夏が終わる。あと何回こんな夏を繰り返すのだろう。
p.209 「仕方ないのよ。どうしたって言ってないものはあることにできないの。全部を手に入らないし、できないものはできないんだよ」
p.222 「時間、時間て何よ。もう私にそんな気持ちにならないくせに…。時間なんて何も解決してくれ養いのよ。もうやだ。こんな高い温泉につかって生理痛を癒しに来たわけじゃないのに。喧嘩をしに来たわけじゃないのに。何もうまくいかない。思っていた。30代と違いすぎる!」
メロンでさえ硬い皮の中には、豊かな果肉を湛えていると言うのに。自分で裸の乳房を軽く触ってみる。丸くて柔らかい。でも、こんな体に何の意味もないし、生理痛を何回食べたところで、生まれるものが何もない。もう、何もしたくなかった。何も考えたくなかった。ただこうやって澄んだ湯につかって、ひたすら上げ膳、据え膳で出されたものを食べる。暮らしが今の自分には合っていると思った。
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Posted by ブクログ
「デートクレンジング」を改題して文庫化
既婚者と独身者の女性同士の関係性についてのお話
女性に対するあらゆる呪いへの、柚木麻子さんのガチ殴りに思える
既婚者と独身は仲良くできない、姑と嫁はわかりあえない、男に評価されなければ無価値というありがちなものに代表される、女性同士の友情や女性に対する偏った価値観
『デートクレンズ』の意味は「一定期間、異性とデートをしない」こと
のべつまくなしにデートを重ねるのではなく、デートとデートの間を空けて、気持ちをリセットする行為
アメリカ発祥の概念らしい
ってか、内館牧子も前にこんな事を言ってたなぁ
次から次へと恋愛をし続けると、その気持を感知するアンテナが鈍くなると
なので、恋を休む期間も必要だという趣旨だった気がする
作中に登場するアイドルグループ「デートクレンジング」のキャッチコピーは「デートの呪いをぶっつぶせ!」
ぶっつぶすのは「デート」ではなく「デートの呪い」というのがポイントですね
デートの呪いは女性に対してだけではなく、男性側にもかけられているんですけどね
まぁ、以前に比べればその呪いは軽減されているような気もするけど
むしろ、デートそのものの機会が減っているのが現状でしょうね
作中の婚活女性が想定する「安住の地」
実際はそんなものなんてない
結婚したらしたで色々と揺らぐし、それこそ子供なんて出来た日にゃぁ向こう10年は安息の日常なんてものは存在しなくなるよ?
下手したら一生つきまとうものですしね
そんなわけで、それぞれお互いにないものねだりしてる関係なのに、隣の芝生は青く見えるだけなんですよね
柚木麻子さん作品で女性同士の友情ものといえば、あまからカルテットが好き
例え離れていた期間やそれぞれの立場や環境が変わっても、変わったなりに柔軟な友情関係を築く事ができるという物語はいいよなー
あと、孤独死問題
これは独身を貫いた人だけの問題でもないんだよね
結婚しても子供がいないとか、子供がいても離れて暮らしているとか、配偶者に先立たれたとかであれば、同じように独居老人になるんだしね
超高齢化社会になっている日本では、今後こうした人達の終末に関しては何らかの対策は必要でしょうね
とりあえず、誰かが一日に一回は生存確認をする仕組みはいるんじゃないかと思う
それにしても、柚木麻子さんのアイドル像が、普段のつぶやきから垣間見える姿も含めて面白いなぁ
「デートクレンジング」というグループの存在を本当に求めているんじゃなかろうか?
旧来の精神の性的なクリーンさを前提にしたものではなく、ファンと疑似恋愛的な要素ではない関係性を築くアイドルという存在
まぁ、作中でも言及されているけど、同世代にウケないのでメジャーにはなれないかもしれないけどね
あと、バスツアーの描写が色々と商業主義的なものを感じさせるけど
まだまだお行儀の良い方のアイドルバスツアーだと思うよ
ネットで有名な某元有名アイドルのバスツアーは悲惨なものだったようですしねぇ…… -
Posted by ブクログ
玲奈の、
「たった一人でくるくる回って人生を回転させていけるのはね、意固地なわけでも、魅力がないわけでもなくて、心豊かに生きているあかしなんだよ。あたしはね、あんたの溢れるような豊かさに惚れたんだと思う。あんたくらい惜しみなく人に与える人間はいない。あまりにも豊かだから、いくら人に与えても、あなた自身は一ミリもすり減らないの」
という台詞がとても、とても心に響いた。
いつもは“ あんた” 呼ばわりなのに、最後では“ あなた” と言っているところにグッときた。
1人でも楽しめる素質が人一倍ある宝子の魅力がよく分かる言葉だなぁと思った。
西島も宝子も、自分の世界を保ちつつ人生をメリーゴーランドのように回していけたらいいな。 -
Posted by ブクログ
リベンジポルノ問題を取り扱った物語
タイトルや冒頭の恋の予感を感じさせる始まりから想像するさわやかさとは反対に、気持ちが結構重くなるものが描かれている
コーヒーチェーン店会社の広告部署で働く30歳手前の菫は、自分の裸の写真がネットにアップされているサイトを偶然発見する
元彼に乞われて撮られた事はあるが、その場で消してもらったはずの写真
彼との馴れ初めは、大学の飲み会で渋谷から暗渠を辿って自宅まで同行したことから
当時の回想と今起こっている事への対応が交互に描かれる中で明らかになる二人の関係性の変遷と事件の真相
そして菫がとった行動……
主な登場人物は少ない
元彼の光晴
母の亜希子、父の井手さん、弟の幹夫
高校の美術部からの親友で、芸大を経て高校の美術教師の百合
自分の裸が知らない人たちの間で評価され共有されている事を嫌悪し戸惑う菫
元彼を疑いたくない気持ちと共に、もう会いたくないという感情
自らが普通ではない状況にいることを自覚しながら、いつも通りに振る舞おうと取り繕う
温かい家庭でまっすぐに育って常に自然体でいられる菫に対し、義母との複雑な家庭環境で屈折して育った光晴が対比されている
自称複雑な家庭で育った光晴に多少の同情は感じるが、身勝手な自己弁護や浅はかさ、酒との付き合い方には嫌悪感を覚える
結局は原因を他人になすりつけてきた人生の責任をとってないだけに思っていまう
マンガ「彼氏彼女の事情」を思い浮かべてしまった
あっちでも暖かな家庭で育った雪乃と複雑な生い立ちの有馬という組み合わせだし、有馬は違った意味で拗らせた感情を持っていたけれども、結末はまったく違うものですね
このケースは厳密にはリベンジポルノではないかもしれないけど、独善的な所有欲というのはあるでしょうね
そもそもの問題は、彼氏のそんな提案を断れない関係性であって、そんな関係性を築いてしまった事やそんな人間と付き合ってしまったという過失もあるのではなかろうか
ま、そこに原因はあっても責任はないですけどね
そして先輩社員の坂咲
被害者への追い打ちというか、二次被害ですよね……
同性に限らず、自己責任論をかざす輩はいるでしょうねぇ……
そんな人達にとっては、菫のとった選択も意味がわからないというか、「やっぱりそんな人なんじゃん」と思ってしまいそう
だけど、その選択が文学っぽく思う
拡散してしまったものは完全に消すことはできない
だから「自分の体を取り戻す」というのが回復の方法なのですね
最近何かと話題のAVに関する法改正について
同意して自らの意思で行っている人もいて、そこに自信をもっているというのが矛盾しない状況もありえるわけで
全面的に一律で禁止という案に一石投じてるのだろうか?
造り手の視点、見る人の視点によって対象の意義が変わるというのも表しているのかね?
義母が光晴の視線を嗜める行為と両者の認識の相違、ポルノサイトの画像と百合の作品の違い
明確な基準は決められないでしょうけど、多数に受け入れられる基準は決めなければいけないのでしょうねぇ -
ネタバレ 購入済み
おもしろかった
まさかまさかのお父さん
逆にリアルでそうきたかーって感じ。
主人公の二人のお互い感じているギャップ
二人の成長、大変面白かった
本当に二人ともいい子で純粋で、若くて
とっても応援したくなった
ティアラの過去をもう少し知りたかったなぁ
実家とのやり取りとか
でも私もティアラみたいに、
どんな辛い過去も、
切ない過去にも、
しんどい今にも負けないで、
いつでも明るく、娘を愛して応援できる、お母さんになりたい -
Posted by ブクログ
5年もの片想いをこじらせている敏腕おもちゃプランナーの顛末記
大手玩具メーカー「ローレライ」に勤務する富田宝子はフリーのグラフィックデザイナーの西島裕也に5年間も片想いをしていた
西島の幸せのため、自分の想いのため行動する宝子の奮闘劇
とにかく、宝子のバイタリティがすごい
片想いをこじらせすぎなためか、恋に関しては中学生のような初心さ
その想いが、おもちゃプランナーとしての才能とリンクしているのでしょうねぇ
ってか、富田宝子はタカラトミーの捩りっすかね?
そして、想い人の西島のため、探偵のように影で解決する宝子
向かいのマンションに貯水タンクが設置されて、部屋の窓からスカイツリーが見えなくなったと嘆く西島のために設置の経緯を調べてわかった真相
西島の新しい彼女という存在にショックを受けながら、彼女に借金があるらしいという情報を元に身元を調べて判明する素性、西島の思い出のテレフォンカードを取り戻すためにスリの修行等々
その過程で、子どもを手懐ける手腕も読んでいて面白みを感じる
あと、子供向けアニメの「魔法使いの心友」
設定的に、プリキュアよりはおジャ魔女寄りのお話なのかな?と思わないでもない
そんな子ども向けのおもちゃを子ども目線でプランニングできるから宝子さんはヒット商品を作れるのでしょうね
タイトルの意味として、心のねじを巻けるのは自分だけという意味が込められているわけで
片想いが原動力となって様々な行動力に繋がっていると……
終盤の展開に関してはまぁ賛否両論ありそう
個人的にはその感覚がわからないでもない
こんな年齢になったからなのか、これまでの経験が故なのかわからないけど、たとえどんなに想い人でもあんな生活を私も送れるような気がする
メインの二人以外にも登場人物のキャラが立ってる
宝子のルームメイトの同性愛者 菅谷玲奈、刑事の目黒正次朗
同期の前場その子、後輩の淡嶋ミカ、メーテル似の韮崎響子、韮崎に想いを寄せる榎木田吾郎、室長の竹本
宝子のビジュアルがゆるふわのガーリーな描写をされているものだから、羽海野チカの絵柄を連想してしまう
他のキャラもそれにつられてあのタッチでイメージしながら読んでた