柚木麻子のレビュー一覧
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帯は、
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結婚、妊娠、出産……
人生のステージが
変わるたび
揺さぶられる
女の友情を描く
長編小説。
会えなくなってしまった
ひとがいるあなたへ。
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文庫本の解説は、ジェーン・スーさん。贅沢。
「デートクレンジング」を改題しての文庫化。
ハードカバーで読んでて、
すっかり忘れて文庫読んでました。苦笑
本書では、
デートクレンジングという
アイドルグループが登場するんですが、
このアイドル達の本を
過去に読んだという私の記憶。
怖すぎる、私の記憶。泣
しかも、全く気づかず読み切って、
レビュー書こうとして、
表紙裏の説明を見て気づくという。。。号泣
本書には30代の女友達二人が登場します。
結婚して、妊活しながら、義母の喫茶店を手伝う佐知子。
芸能事務所でアイドルのマネージャーをしていた実花。
実花が婚活を始めたことを佐知子に告げて物語が始まります。
担当していたアイドルグループは、
メンバーの熱愛発覚、スキャンダルとなり、結果解散。
実花が不安に思う気持ち、
迷う気持ちもわかるし、
佐知子が実花に憧れ、
大好きで大切に想う気持ちもわかる。
途中でお互いの状況が違って
すれ違ってしまうんですが、
義母が言う通り、
普通は疎遠になってしまう人が多いのに、
何とか忌まわしい呪い(価値観や圧力)に屈せずに、
理解し受け止め、相手を大切にしようとする、
二人が良いです。
普通なら、環境違うと疎遠になる。
私も、結婚出産して専業主婦してる友達とは、
だんだん連絡とらなくなっちゃったり。
物語に登場する二人は、
丁寧にちゃんと相手と話そうとします。
それが愛しい。
私だったら、こんな話し方できないと思う。
たぶん諦めるか喧嘩するか呑み込んでしまう。
だけど二人はちゃんと話す。
義母同様、いいなあ、と思います。
多様性とか平等とか言うけど、
自分が正しくその言葉を使えている自信がなくて、
そんな時にこの本を読んで、
呪いに縛られずぶっ壊せというのが、
心に残りました。
結婚、妊娠、出産、仕事、
あらゆることがタイムリミットとともに迫ってきて。
一人でいることも不安。
愛したいし、愛されたい。
開き直って俯瞰してみたときに、
ようやく続きが見えるのかなあ。
簡単に手を離さなかった二人の友情が良かったです。 -
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ネタバレ◾️record memo
あんたもよくやるよね。付き合ってもいない男のためにさ。完全に自家発電だね。自分でねじまいて自分で走るゼンマイおもちゃって感じ。
それでも、あなたは生きなきゃ駄目なの。自分の心にねじを巻いてくれるのは自分だけよ。
自分の価値を誰かの評価にゆだねては駄目。
いずれにしろ、他人の心に何があるかなんて、口にしてくれない限り、永遠にわからないのだ。
こうして服装の自由な会社に就職した以上、金髪のツインテールやバミューダパンツ、原宿の古着屋で買うアメコミキャラクターのTシャツにも、誰にも文句は言わせない。
やってみて初めてわかる。男に媚びると、自分がすり減る。作り笑いは自分を見失う。
魅力的な人なのに、なかなか自分から人生に参加しない様に見える。観客の席にいるのは損ですよ。 -
Posted by ブクログ
松任谷由実の曲を元にしたトリビュート小説集
著名な作家さん達による、別角度からの切り口で綴られる物語
歌詞をそのまま物語にしたものではない
むしろ設定のリンクはそんなにないかも
タイトルにインスパイアされた短編という表現の方が近い
収録は6編
あの日にかえりたい/小池真理子
DESTINY/桐野夏生
夕涼み/江國香織
青春のリグレット/綿矢りさ
冬の終り/柚木麻子
春よ、来い/川上弘美
解説:酒井順子
・あの日にかえりたい/小池真理子
いまも私の心は学生時代を過ごしたあの場所にいる
昭和の学生運動が盛んな頃の大学生
男を巡る友人とのちょっとした行き違い
大学生の頃に戻りたいと思う人は結構いるかもですね
・DESTINY/桐野夏生
大学職員の独身男子が心奪われた「運命の人」とは?
規則正しい生活の中で出会った運命の人という思い込み
片想いという状況にものすごく共感する
でもまぁ世の中そんなもんですよね
・夕涼み/江國香織
かつて暮らしたポルトガルのあの光景を忘れられない
もうすぐ結婚する妹との会話の中で、自分の結婚生活やそこに至るまでのことに思いを馳せる。
特別不満があるわけでも、後悔しているわけでもなくて、むしろ幸せなのだけど、ふと遠くを見てしまうことだってある。
もうすぐ結婚するという妹との会食
自分が結婚するまで、そして結婚生活に思いを馳せる
夫の事は嫌いではないし、むしろ今の生活に幸せを感じてはいる
ただ、昔に夫と見た、老女達が無言で夕涼みをする光景を思い出し、自分の将来を考える
恭二の行動がある意味でホラー
まず前提としてDVだし
その解決法をいきなり勝手にしてくるとは……
重すぎる愛は、確かに怖さを感じる場合もあるでしょうね
文章から感じるいつもの江國さんっぽさ
「――」で挟まれる詳細、()でテンポよく繰り返される挿入、「行かれる」という言い回し
私はこの文体が好きなんだろうか?
・青春のリグレット/綿矢りさ
離婚直前の私の心を占めるのは元彼への悔恨だった
離婚が決定的な状況で、昔付き合っていた男との事を思い返す
自分が愛している人と結婚したが、相手は自分を愛さなかった
昔の男は自分を愛してくれたが、自分は相手を愛せなかった
・冬の終り/柚木麻子
友情とも憐憫ともつかない同僚への感情の行方は?
友達になりたいという程ではないけど、もっと交流をしたい
そんな女性同士の微妙な距離感
わかり合いたいという気持ちなんだろうか?
ドラマ好きな柚木麻子さんらしく、この曲が主題歌だったドラマ「その時、ハートは盗まれた」が話題として出てくる
ってか、これが放送された当時って柚木さん小学生だった頃なのによく覚えてるなぁ
カセットテープというガジェットも何とも昭和感がありますよね
・春よ、来い/川上弘美
一度だけかなえられる能力をもつ人々が願ったもの
正しくは一度だけ他の人のために願いを叶えることができる家系(と思いこんでいる?)人たち
両親を事故で亡くし、祖父と叔母と一緒に暮らす中学生女子
3人の視点が入れ替わりながら、最後は一つに収束していく
やはり、ユーミンのライブと言えば苗場ですよねー
少女視点の話もいいけど、母親が何を願ったのかを知る場面もなかなかいい
多分、そんな能力はないんじゃないのかなー と思うんだけどね
酒井順子さんの解説も、これで一作のような雰囲気を感じる -
Posted by ブクログ
ネタバレユーミンの曲を女性作家さん達がトリビュートし
創作された物語の短編集。
小池真理子「あの日にかえりたい」
まだ共同玄関や共同トイレが一般的だったころに
学生時代を過ごした主人公の郷愁の物語
既に老年に入った主人公が人生を振り返るような
切ない物語。短編の中に人生の流れがつまっていて
さすが小池真理子さんだなと思った。
桐野夏生「DESTINY」
村上春樹が愛読書の争いごとを好まない青年の物語
変わらぬルーティーンの中ではっと目についた
女学生に少し惑わされてしまうけれど、また
普段の日常に戻っていく。何も劇的なことは
ないのだけれどシニカルでとても良かった。
村上春樹とか山田風太郎とか主人公の愛読書が
渋いのが良かった。
江國香織「夕涼み」
THE、江國さん。
江國さん定番設定の仲良しの姉妹が出てくる。
主人公は姉の花、妹の結婚のお祝いに関東郊外から
都内の独身時代のいきつけの串揚げ屋さんに出てくる。
妹との会話の中で、重大な悩みではないけれど
少し心を重くする家族の悩みを反芻したり。
平和な姉妹のやり取りの中に差し込まれる花の
夫婦のやり取りの回顧がちょっとゾクっとした。
家族って平和とか安心の象徴と思われるけど
責任とか逃げられないとか閉ざされた重しも
含まれていてそういうことをとても上手に表現していて
幸せな気持ちとちょっと背筋が寒くなる気持ちが
両方感じられて読み物としてとても面白かった。
綿矢りさ「青春のリグレット」
柚木麻子「冬の終り」
この2編は軽く読んでしまったので特に感想はなく。
川上弘美「春よ、来い」
一番ページ数をとっていて短編の中に
永井カナコ38歳、上原多恵13歳、衣笠雄大29歳の
三人のことが交互に視点が変わって描かれている。
当初三人に接点はなく大人二人には秘密があって、
13歳の子供はいじめを受けている。
衣笠雄大のパートは少しユーモアがあってお父さんも
良い味だしていて、上原多恵ちゃんのパートは悲しいけど
どうにもできないむなしさ、子供の無力さが感じられ
でもそれでも頑張って毎日淡々と過ごしている
強さも感じられる。永井カナコさんのパートは
パートナーも含め皆優しさに満ちていて
とても良かった。最後ハッピーエンドってわけではない
けれど、焚火にあたるしっかりとした暖かさではなく、
白熱灯に手をかざした暖かさのようなふんわりじんわり
した余韻があって、少しだけ良い方向へ行きそうな
終わり方でとても良かった。
一旦全部読み終わってからもう二度も春よ来いだけ
読み直している。毎回じんわりと目が潤む、
そしてこれでいいんだよって自分のこと含め皆の人生を
納得できるような読後感。さすが川上さん。 -
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現在2023年4月末。先日、まもなく新型コロナが5類になることが正式決定されたとニュースで流れた。
この本に掲載されているインタビューや手記は2020年。コロナ禍がいよいよ始まり、おそらく世界中の誰もが、今まで非日常と思ってきたことを日常的なものとしなくてはならないという不安に覆われはじめてきた、そんな時期の発言だ。そのような意味では、更に数年後、コロナ禍を振り返るための格好の史料となりうると思った。
この本の中で多くの識者たちが言及していたと思うが、人間にとって一番厄介なのは、人間の心の中に生じる差別、偏見、批判なのだ。どのような状況下にあっても生じるこの心の動きに、私たちはどのように打ち勝っていけばいいのだろうか? -
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片思いの相手、西島さんに度々降りかかる事件を刑事以上の推理力で解決して行く宝子さんがかっこよくて!
実は内に秘める想像力を全開にして、キラキラ楽しんでいて可愛かった!
しかも、自分が勤める玩具会社のオモチャ達を武器?として駆使しているのが面白かったです。
そして西島さんのダメンズっぷりもなかなか!
そんな彼に夢中になってしまう宝子さんを止めたくてウズウズしてしまいました。
舞台も浅草、スカイツリー、東京タワーていうのが素敵でした。柚木さんの食べ物の表現がやっぱり美味しそう!
ローレライの仲間達、西島さんも宝子さんも、どの登場人物も、子供心を忘れてなくて、「好き」を大事にしているのが良いなと思いました。想像を膨らませながら毎日を楽しむ事は大事だなー。
1人の世界にこもりがちな宝子さんが自分と向き合って自分の幸せとは何か?を見つけていきます。更に強い女性になっていく宝子さんは本当に魅力的でした。 -
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ネタバレセックスレスがテーマのお話。よく考えたら初めて。
読後感はどこか爽快で、楽しかった…!
もっとジメジメしているものを想像していたけど、
主人公の初美がなんともさっぱりしてる性格で。
乳がん検診で、女医相手に興奮するところは思わず笑ったなぁ。
最後、ラブホで必死になる啓介さん相手に、どこか気の乗らない初美。でも、あの感じ、わかる。。笑
柚木さんの作品は他にもたくさん読んだけど、柚木さんの、もう情景がありありと思い浮かぶー!って表現が今回は見事に下ネタの方面で発揮されていて。
ぬるぬる滑る鯉、とか、子持ち昆布、とか。(笑)
女はみんなクレイジーフルーツを持っているんだと思う。
そしてそれは男のソレよりきっと過激。
初美の秘密をこっそり盗み見ているような、そんな気持ちになりながら最後まで読みました。
2人の試みが近いうちに成功していますように。
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Posted by ブクログ
初美の心の変化、周りの言葉、すごく心を打って、何度も苦しくなった。でもたくさん考えるきっかけになった。ぐわーーーーっと。
p.91 「俺、おかしい。きっと疲れてるんだ。明日の終わりっていつもこうなんだ。情緒不安定っていうか…。なんだか、人生がどんどん終わっていくみたいで。やり残したことがある気がして、焦って寂しくなるんだ」羽生ちゃんの言葉に、初美はぎくりとした。なぜなら、かつては自分もそう思っていた。8月の終わりはいつも悲しかった。どんな夏にも、満足できなかった。これといった理由もなく、美咲さんで、家族や友達を心配されたことがある。いつの頃からだろ、やり過ごす術を身に付けたのは。
p.105 女性誌編集長の多忙さを理解しているつもりだし、彼ばかりが悪いわけではないこともわかっている。自分だって、仕事が立て込んでおり、展示会の直前だと、ろくに家事もせず、彼の帰りを待たずにさっさと寝ている。その時の夫は、自分も疲れて、いるだろうに、野菜たっぷりの食事を作ったり、勤務先をしてくれた人をいたわってくれる。男と女でなくなったからこそ生まれた連帯感や高さはって何者にも変えがたい。彼の妻をなくして生きていく事は、おそらく可能だとよくわかっている。
p.106 おいしいりんごの見分け方は、ぎゅっと握ったときに、内側から跳ね返してくるような生命力のある、硬く、引き締まったものを選ぶこと、と彼女教えてくれた。
p.113 だってさー、もし不倫するとしたら、そうそう、高いホテルに行けるわけじゃないし、ラブホテルかビジネスホテルでセックスするわけでしょ。シャワーを浴びたら、髪が濡れるじゃない。あゆホテルのドライヤーって壁に作り付けで、使いづらくて、ものすごい激しい熱風でさぁ。ぼさぼさの頭で身支度整えてとぼとぼ歩いて家に帰るわけでしょう。たった1人で。さっきまで暖かい場所に2人でいたのに、もう1人で。重たい秘密を抱えて、髪の根元があ、ちょっとまだ湿っている、帰ったら、下着を脱いですぐ洗わなきゃ、とか忙しく、考えながら、どんどんを冷たくなる体を引きずって、帰るわけでしょ。セックスの後って家だるくて眠いのに、我慢して寒空の中を歩いて何事もない。顔で日常生活に戻るんでしょう。ものすごい気力と体力が必要だよ。海外旅行位大変そう。私には無理。
p.121 りんごをすり終えるまでは、潤平君にとってのエロスの女神様で居させてくれ、と祈るように思う。できる限り、ゆっくりとりんごの皮をむく。くるくると螺旋を描きながら、赤いリボンが降りてくる。鮮やかな赤香宗様は、まるで結果のようだ。潤平くんや明子にあって、自分にはない、貪欲な生きるエネルギー。正しいとか正しくないではなく、ただ体が発するがままに従うこと。
p.141 「定期的に試験があって、季節が変われば、学年が変わって、入学式があって、卒業式があって。目に見える形で、ちゃんとオーケーを出してもらえて、安心して先に進めた…。でも、今は…」「自分で自分にオーケー出さないといけないって、しんどいよね。私も同じ」
p.167 LINEは、やっぱり会話がしにくい。お互いほとばしる感情を自分のペースでぶつけるから、噛み合わない言葉がいびつな鎖になって伸びていく。元はほんのりと笑ってしまう。それでも、その学校でこちょこちょした首飾りが、今の自分にはよく似合うと思った。1歩と言うには、幅が狭すぎる。何も解決していない。子供引き換えしても、あの砂漠を思わせる、日常に戻るだけ。しかし、今、克己は心から干している。彼の隣で安心して、時々困った。体を伸ばして眠ること。すべては、そこから考えたい。
p.175 「私は桃の美味しいところを、あなたにまず最初に切り分けているのに、自分は金で我慢しているのに、いつも何だってあなたを優先しているのに、できるだけくつろげるように心を砕いているのに、ぬかみそくさい、女房だって責めるんだ!?家族になりすぎて、女を感じることができないとか言われちゃうんだ。ひどいよ。ひど過ぎるよ!」
p.188 花火を見たときって真っ先に思い浮かんだのは夫の顔だ。今朝のやりとりを全く許せていないのに、この景色を彼見せたい、と思った。好きとか嫌いではなく、を条件反射だ。売れたものをそいだらみずみずしい果実、ごく自然に夫に差し出し、他にも自分がしゃぶることと同じこと。まるで呼吸するように染み付いている。良いものは全て彼と分け合っては気が済まない。そこに萎えると言われたら、一体この先ってどうやって一緒に生きていけば良いのだろう。わかっているのは、全部手にする事は無理と言う事だけだ。では、自分は心身ともに満たされることを諦めるべきなのか。欲望をぶつけ合うような本物のチェック済求めなければ、中学生の戯れられるのふれあいで我慢すれば、楽しいことにだけ目を向けるようにすれば、だましだまし平穏に生きていけるのだから。
自分はそんなに欲張りなのか。潤平君の言うような「欲張りボディ」なのか。あれ「わがままボディ」だっけ?
今夜、夫とは仲直りするだろう。おそらく初美の機嫌を取るつもりで、彼が買ってくる。コンビニのシュークリームと夕食の後のラブコメのDVDで全てはうやむやだ。つまりは、上も寂しさもこのまま秋に持ち越される。そんなことを考えていたら、夜風に枯れ草の香ばしさが感じられた。あー、今年は何もないまま夏が終わる。あと何回こんな夏を繰り返すのだろう。
p.209 「仕方ないのよ。どうしたって言ってないものはあることにできないの。全部を手に入らないし、できないものはできないんだよ」
p.222 「時間、時間て何よ。もう私にそんな気持ちにならないくせに…。時間なんて何も解決してくれ養いのよ。もうやだ。こんな高い温泉につかって生理痛を癒しに来たわけじゃないのに。喧嘩をしに来たわけじゃないのに。何もうまくいかない。思っていた。30代と違いすぎる!」
メロンでさえ硬い皮の中には、豊かな果肉を湛えていると言うのに。自分で裸の乳房を軽く触ってみる。丸くて柔らかい。でも、こんな体に何の意味もないし、生理痛を何回食べたところで、生まれるものが何もない。もう、何もしたくなかった。何も考えたくなかった。ただこうやって澄んだ湯につかって、ひたすら上げ膳、据え膳で出されたものを食べる。暮らしが今の自分には合っていると思った。