坂本龍一のレビュー一覧
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Musik macht Frei. 直訳すれば、「音楽が自由を作る」。音楽は人を自由にするということだ。
恥ずかしながら、僕は坂本さんのことをあんまり詳しく存じ上げず、彼の音楽はバッハやラヴェルなんかがベースにあって、幸宏さんが「教授」と呼んだくらい理論的バックボーンのある人というイメージだったので、この本も読む前は難しいことが書いてあるのかなと思っていた。ところが、実際読んでみたらとても面白くて、スルスルと最後まで読めてしまった。
細野晴臣さんと出会ったエピソードがとても印象的で、きっと「別々の国で生まれたのに、会ったら言葉が通じた!」みたいな衝撃だったんでしょうね。矢野顕子さんとの結婚もず -
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ネタバレ坂本龍一強化月間でこちらを。
面白かったし、ちょくちょく入る坂本龍一の写真が格好良いし、取り上げられている場所に旅行で行ってみたいなあという気持ちがわいています。
中沢「…死の問題をいろんなかたちで世界のなかに取り入れていくことが戦略上、重要なんですよね。生きている人間の世界は、「ある」か「ない」かっていうバイナリ思考に陥りがち。でも「ある」でも「ない」でもない、もっと根源的な「生命力に満ちた死」があるわけで、それを組み込むと3の世界になっていく。世界はバイナリではなくトリニティの構造に変わっていく…」(p.51)
中沢「神話の想像力と、資本主義や科学技術へと分かれていく原点は。エコロジス -
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ネタバレ生前は情報量が多過ぎる気がして敬遠していたけど気にはなっていた。なぜ闘病しながら活動家のようなことを続けてやっているのか…この本でほんの少しだけ、彼の言い分のようなものを知れた気がする。去る準備ができることを幸せだと思うこともあるだろうけど、やはりもう少し時間があれば…ファンですらないのに、そんなことを思った。
それにしてもさまざまな知識が語られるので、周りの人も博学なのか?自分の周りにはこんな話す人はいないので、新鮮。多方面に関係団体や人物が出てくるので、ノートに書き出したくなる。読み終えて、そういえばと思ったが、パートナーと大貫妙子さんの話はあるけど、矢野顕子さん方面の話はなく、お孫さんの -
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2023年の年始に坂本龍一のドキュメンタリーをNHKで放送したが視る事が出来なかった。視るには何かしらの覚悟が要り、その覚悟が持てなかったからだ。
しばらく時を開けこの本を取り、その人生を悼む。クラシックとポップ、両面を使い分けた世界で最も膾炙された日本の音楽家であった。今なら冒頭のドキュメンタリーも視聴出来ると思う。
因みに父親の坂本一亀はこの本の中では希薄な存在である。元々希薄な親子関係だったのか、それとも男の親子特有の一種の照れから敢えて詳しく述べなかったのか…
思考的にはこの親あってこの子あり、といったイメージがあるのだが。
扶桑書店アルプラザ堅田店にて購入。 -
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現在2023年4月末。先日、まもなく新型コロナが5類になることが正式決定されたとニュースで流れた。
この本に掲載されているインタビューや手記は2020年。コロナ禍がいよいよ始まり、おそらく世界中の誰もが、今まで非日常と思ってきたことを日常的なものとしなくてはならないという不安に覆われはじめてきた、そんな時期の発言だ。そのような意味では、更に数年後、コロナ禍を振り返るための格好の史料となりうると思った。
この本の中で多くの識者たちが言及していたと思うが、人間にとって一番厄介なのは、人間の心の中に生じる差別、偏見、批判なのだ。どのような状況下にあっても生じるこの心の動きに、私たちはどのように打ち勝 -