坂本龍一のレビュー一覧
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幼少期の頃からの自身を振り返る前著「音楽は自由にする」はまさしく自叙伝という感じだったが、前著に引き続き2009年から亡くなる直前までを振りかえる本書は自叙伝というよりはむしろ日記のようだ。読書家でもあった教授が、仕事のこと、友人や仲間のこと、アートのこと、環境問題、反原発、東日本震災、ウクライナ侵攻など社会問題のこと、闘病のこと、生と死のこと、について語る一つ一つに一家言があり、坂本龍一自身が一冊の本であるようだった。死を間近にしているからか、書かれているすべての対象へ去りがたい愛着があるように、その向けられている眼差しの優しさ、慈しみのようなものに溢れていて、読んでいて気持ちよく、いつまで
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ネタバレ
p49
「おまえ、ビートルズ知ってる?」って訊くんです。知ってるやつとは仲良くする。知らないやつは、あまり相手にしないことにする。
p229
ファシズムは何か崇高な美に対する強い憧れのようなものがあります。彼らは、ただ野蛮なだけではなく、高貴な教養があって、洗練されている者もいた。
p233
ベルトリッチ監督は、放っておくと半年でも編集を続けて全然違う映画にしてしまうような人なんです。
p287
戦車を買うわけにはいかないので、レンジローバー。
p291
その一方で、音楽的にも文化的にも、ぼくが得てきたものはほとんどアメリカ経由なんです。ロックはもちろん、東洋思想だって、禅だってそ -
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自伝『音楽は自由にする』の続編。
2009年以降の活動を振り返り、自身の語りからは2023年1月17日の71歳の誕生日にリリースされたアルバム『12』の話を最後に、聞き手の鈴木正文氏によるあとがきでは、坂本龍一氏が亡くなる少し前のエピソードも書かれている。
亡くなるほんの数日前まで精力的に仕事をこなされていて、頭が下がる思いがした。
楽曲の制作活動だけでなく、震災復興関連、脱原発や環境問題、明治神宮外苑地区の再開発問題など、活動の幅の広さ。ガンの闘病→療養を余儀なくされながらもなおこんなに活動できるなんて、凄すぎる。
本当に濃密すぎる71年の生涯だなと思う。
まだどこかで、いろんな活動を変わら -
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『音楽は自由にする』と『skmt 坂本龍一とは誰か』を読んだあとに本書を読んだ。会って話したことは一度もないが、この本には坂本龍一が宿っている。読者一人ひとりに時間と空間を超えて語りかけるようとする坂本龍一がいた。読み終えると悲しみや感情ではなく、感謝と尊敬の念が溢れた。
「Ars longa, vita brevis」
ある日を境に何度も何度も目にしたこの言葉が、あの日と同じように突然目に飛び込んできたとき、胸にぽっかりと穴が空いたような不思議な感覚に陥った。どうして?まだ早すぎる——そんなことをまた思った。残されたものがあまりに多い。そして、追悼は終わることはない。 -
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坂本龍一 死後1年が経とうとしている。坂本の業績、「音楽は自由にする」2009年の以降亡くなる月の3月8日までを口述筆記したエッセイ。優しい語り口で書いているが、反戦、反原発の姿勢で音楽、芸術を縦横に表現し語っている。常に新しい音を模索して僕たちに提示している。発表した作品の制作過程など詳らかに教えてくれている。彼の業績は音楽だけでも多方面にわたり映画音楽でも実際に深く鑑賞して作り上げていることが書かれている。子供の時から多くの映画を見て映画に傾倒している。父の影響でと書いているが読書量も半端でなく博識で、人間に寄り添うダイバーシティ(多様性)を尊重するリベラルな芸術家であることがわかる。
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自分のタイムリミットがわかったときに、どう生きるか。
残された時間とエネルギーの不可逆性を芸術に巻き込み、音楽家として生きる姿に感動させられた。
「郷愁の感覚こそ、芸術の最大のインスピレーションのひとつ」という言葉が強く残っている。
そして、YCAMが坂本さんにとって思い入れのある場所だったなんて。世界中をまわる中で、ピンポイントであそこが選ばれるとは。自分にとっては庭のような場所なので、なんだか嬉しかった。
巻末には闘病中の日記が収められている。
2021年12月24日は、ただ一文だけ。
“今、何が聴きたい?”
本のタイトルと章の構成も美しい。
「ぼくはあと何回、満月を見るだ -
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『ガンと生きる』からはじまり『未来に遺すもの』で終わる。
その部分は昔聴いていたラジオ番組を聴いているような感覚で読んでいました。
私は中学2年の頃にYMOを知り、坂本さんのFMのラジオを聴き、戦メリや胸キュンの時代からラストエンペラーまで追いかけていました。
新しい音楽がどんどん生まれてくるような時代で、そこから先は少し離れていました。
この本を読み始めると、ラジオのあの口調のまま、癌と向き合いながら存在している坂本さんの言葉の束がとても懐かしくも思えました。
音楽に向ける思い、拘り、胸に響きました。
オンラインのコンサートやテレビのドキュメンタリーも含めて、この本で更に補完されて私 -
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2026年最初に読んだ本。
とてもよかった。
2023年に亡くなった坂本龍一さんの語り下ろしの自伝。
雑誌『エンジン』に連載されたインタビュー記事がもとになっているとのこと。
単行本となったのは2009年初め。
インタビュー自体はそれより前。
坂本さんはまだ50代?
震災の後の活動などは含まれていない。
タイトルのことで、戸惑う。
「音楽は自由にする」ってどういうこと?
自由に音楽をするのか、音楽が人を自由にするのか?
タイトルをよく見たら「Musik Macht Frei」とある。
後者か。
しかし、複数の意味に開かれているところが、この人の生き方にふさわしい気がする。
幼稚園時代、ピ -
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ネタバレ坂本龍一氏が雑誌の連載でインタビューに答えながら来歴を語ったものを集めた本。
出版のタイミングの関係で、亡くなるまでではなく2000年代の初頭くらいまで。
小生の父親世代ではないけれど、20年以上歳上なので、なかなか違う時代である。
ご存知の向きも多いが、坂本氏はかなり学生運動に傾倒していた方で、その周辺の登場人物とか、時代の雰囲気とか、読んでいても、なんとかついていけるかどうか、という感じである。
それくらい、独特な世界観の時代だったわけだが、娘が読んでも肌感覚としては伝わらないだろうなぁ、という印象。
個人的に面白かったのは、幼少期に経験した「点」と「点」がつながっていく様だったり、同 -
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文章も考えていることも経験も洞察も面白い!
「名前だけは知ってます」みたいな人も面白く読めると思う〜私も「曲は聴いたことあります」って感じだし。。
エッセイというジャンルはあまり好きではないのだが、これはエッセイ(日頃思ったこと)ではない、何かの先駆者になる人の眼差しの方向を本人の手でちょっぴり教えてくれる、そんな豊かさのある文庫本。
何より、先駆者が何に腹立って手を動かしていたのかが分かるのは面白い!先駆者って、何かに腹立ててるから先駆者なんだよね〜と。。
坂本龍一のさらに先生的な人たちの面白い言葉に沢山触れられるのも良い。
すごい人ってなにかすごいんだよねえ、何が凄いかとか私と何が