坂本龍一のレビュー一覧
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2023年3月28日に亡くなられた音楽家・坂本龍一さんが口述筆記によって書かれた自伝です。2009年に発刊された『音楽は自由にする』の続きに位置づけられる、最晩年の活動の様子を知ることができる一冊です。
江戸時代の貴族は月を愛でて酒を嗜んでいたそうなんだ、と本書序盤で坂本さんが述べています。音楽って不愉快な思いを忘れていられる、ともある。本書の題名の『あと何回、満月を見るだろう』とそれらの発言を、僕は重ねてしまいましたね。「ぼくはあと何回、素晴らしい音楽を得ることができるだろう」みたいにだって、ちょっと強引かもしれないけれど、読めてしまうじゃないですか。
坂本さんは2014年に中咽頭ガンが -
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坂本龍一さんが雑誌の連載で2年近くに渡って語った自伝をまとめた一冊。
坂本龍一さんと言えば「戦場のメリークリスマス」と「ラストエンペラー」くらいしか知りませんでしたが、随分と幅広く活動されていたんだなと驚きました。
先進的で、過去にこだわらずどんどん新しいことをやってみる。何にも執着しない。
音楽もクラシック、ロック、ポップスと様々にジャンル分けされてはいても、長い歴史の中で必ず潜在的に他のジャンルの影響を受けているわけだから、音楽家でも、そのジャンルの中だけで活動する人もいれば、複数のジャンルを渡り歩くように活動する人もいるんだな、と思いました。
備忘として、自分の中で一番印象に残っ -
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坂本龍一さんの自伝。というかインタビュー形式の対談でご自身が語られた内容が本になったもの。記憶のある幼少時のことから語られている。坂本さんが自然に語っておられる様に感じてしまいます。しみじみ。
語られたことがほぼ直接文章になっているので、様々な言葉に対して注釈が付いている。私も時々注釈を見て、そういうことなのか、と頷いていました。
1950年代からの日本の情景もよく見えてきます。私は年下なので完全に同時代を生きたとは言えないけれど、かなりの部分が重なっている。特に一定期間、同じ地域で暮らしていたことがあり、当時の坂本さんの社会の見方、ご感想・ご意見に共感を覚えるところが数多くありました。
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「YMO」を初めてテレビで見たときは、衝撃的だった。
CMソングの「君に、胸キュン。」はむすっとした顔の首振りダンス?
「戦場のメリークリスマス」「ラストエンペラー」などの、
映画音楽でしか、知識があまりなかった。
ニューヨークでの911を体験して、
東日本大震災で、チャリティーコンサートや、
被災地の子供達への音楽活動支援。
吉永小百合さんとの、平和への活動、
森林保全の「more trees」の設立。
「自分に有名性があるなら、むしろそれを積極的に利用したほうがいい。」
海外で活動しているからこそ、日本の閉鎖的な考えから脱して、たくさんの世界的リーダーたちと支援活動が可能になったと -
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ネタバレ坂本龍一氏が雑誌の連載でインタビューに答えながら来歴を語ったものを集めた本。
出版のタイミングの関係で、亡くなるまでではなく2000年代の初頭くらいまで。
小生の父親世代ではないけれど、20年以上歳上なので、なかなか違う時代である。
ご存知の向きも多いが、坂本氏はかなり学生運動に傾倒していた方で、その周辺の登場人物とか、時代の雰囲気とか、読んでいても、なんとかついていけるかどうか、という感じである。
それくらい、独特な世界観の時代だったわけだが、娘が読んでも肌感覚としては伝わらないだろうなぁ、という印象。
個人的に面白かったのは、幼少期に経験した「点」と「点」がつながっていく様だったり、同 -
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文章も考えていることも経験も洞察も面白い!
「名前だけは知ってます」みたいな人も面白く読めると思う〜私も「曲は聴いたことあります」って感じだし。。
エッセイというジャンルはあまり好きではないのだが、これはエッセイ(日頃思ったこと)ではない、何かの先駆者になる人の眼差しの方向を本人の手でちょっぴり教えてくれる、そんな豊かさのある文庫本。
何より、先駆者が何に腹立って手を動かしていたのかが分かるのは面白い!先駆者って、何かに腹立ててるから先駆者なんだよね〜と。。
坂本龍一のさらに先生的な人たちの面白い言葉に沢山触れられるのも良い。
すごい人ってなにかすごいんだよねえ、何が凄いかとか私と何が -
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この本を読むと、いかに坂本龍一という人物が多面的でかつ、好奇心に溢れており、世間一般的なイメージより泥臭い1人の人間である事がわかります。
おそらく、YMO時代の裏話を期待して買った方もいると思います。僕もそうです。
ただ、この本を読んだあとにYMOについては多く語らず、どちらかというと、三人の関係性や、その後の苦しみについて赤裸々に書かれており、そういった意味では良い意味で裏切られた本でした。
ちょうど明日で「坂本龍一 | 音を視る 時を聴く」展で終わりますが、展示きっかけで気になる方は読んで欲しいです。また違った視点で坂本龍一の一面が見えてくると思います。 -
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現代日本の音楽家である坂本龍一(1952-2023)による自伝、2009年。
自分史を振り返りそれを不特定多数へ向けて発するのだから、そこにはなにがしかのポーズがあるのかもしれないが、幼少年期の思い出や音楽との出会い、新宿高校での学生運動、東京藝大でのさまざまなアートやアーティストとの出会い、YMO、『戦場のメリークリスマス』、『ラストエンペラー』、湾岸戦争、9.11、イラク戦争、環境運動など、57歳までの目まぐるしく濃密な半生を、気取らず、率直に語っているように感じられる。
□ 青年期の経験について
坂本龍一の半生(とりわけ青年期)を追体験しながら、こういう経験からこういう気づきを得て