瀬戸内寂聴のレビュー一覧
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ネタバレ長いヨーロッパへの旅の途中で読破。日本の風情、日本の香りが描かれていて、故郷が懐かしくなる。源氏物語は本当に香りの描写が多い。香りに関する記述に印をつけていったら、ブックイヤーがたくさんできてしまった。
源氏が都に戻ると、暗かったお屋敷が明るさを取り戻した。そんなお屋敷にお気に入り女子たちを集めて暮らすのだが、源氏は楽しいだろうけど、女子たちの気苦労は大変なものに。一番ご寵愛を受けている紫の上でも嫉妬の嵐なのだから、ぷっつりお便りの途絶えた姫たちの哀しみは相当なものだろう。モテ男を選んでしまった女子はいつの時代も辛いらしい。
源氏自身も昔亡き帝から「みんなを平等に愛さなければダメじゃないか -
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ネタバレ光源氏26歳の記録。プレイボーイ盛りの源氏は、異母兄弟である兄帝のご寵愛する姫に手を出してしまい失脚!遠く(といっても明石なんだけど)に流されてしまう。そんな危険を背負ってまで手を出さなくても…と思ってしまうのだが。
そんなこんなですっかり落ち込んでるかと思いきや、明石でも素敵な女性を見つけてしまうあたりがこの人のポジティブなところ。しかもそうこうしているうちにまた都に戻れることに。一件落着。
現代の私たちからすると物語がぶっとび過ぎていて「え~!!」の連続だけど、源氏の行動が大胆すぎて爽快で、彼を取り巻く女性たちの心理描写は「あるある!」と納得。まだまだ読み続けられそう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読めば読むほどどんどんハマってく。気になったのは、方違いとか占いとか呪術が色々な局面で出てくること。例えば、六条の御息所は「源氏ったら葵の上のところにばっかり行きやがって!」と思い悩んだ挙句、葵の上を難産に陥れた末、呪い殺してしまう(!!)現代人からするとフィクションのホラーだと思うけど、当時の人は本気で御息所を恐れたことだろう。
また、至る所に「香り」の話が出てくる。源氏はナポレオン並に匂ったようで、色々な場所に残り香を残していき、女たちの心を翻弄する。平安時代、お香は今でいう香水のように、個人の魅力を高めるのに一役買っていたのだろう。
2巻目にして新帝の寵愛する姫に手を出していたことが -
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「父は、徳島県との県境に近い
香川県引田町の黒羽という所在に生まれた・・・」
『場所』(瀬戸内寂聴著 新潮文庫)
瀬戸内寂聴はこの中で
父のことを「南山」に
母のことを「多々羅川」に書いている。
随筆のようでもあり、
過去の人生を「再構築」した私小説のようでもある、
不思議な空間が訪れてくる。
本人は徳島県徳島市の東大工町で
三谷家の次女として生まれた。
その後、父が瀬戸内家の養子に入ったことで
本人も三谷姓から瀬戸内姓に改姓している。
故に、瀬戸内は瀬戸内海のペンネームにあらず。
自分の親以上の年配の方が
今なお携帯小説で話題をさらうなど
阿波の女性 -
Posted by ブクログ
いま現在どうしようもなく孤独感に苛まれて身も心もずたずたになっているという方と、近い将来にその予兆がありそうな方にこそ読まれるべき本です。
それほど具体的な処方箋が書いてある訳ではありませんが、あらかじめ参考のためにとか、面白そうだからという読み方は推奨できません。
寂聴さんは、ご自分の肌を切って傷口を押えもせず、血の吹き出る中で血文字で語っていますから、生半可な読み方ではこちらが怪我をしてしまうのです。
あまりにも出来すぎですけれど、ちょうど今、部屋の中にはビリー・ホリディの「ソリチュード(孤独)」が流れています。・・・好きな曲ですが、必要以上に孤独感が増します。
孤独に上下高低の