瀬戸内寂聴のレビュー一覧
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『子宮作家』ねぇ……そんなに下品な作品では全然ない、と思うのは、書かれた当時と今の風俗が変化しているからだろうか。
むしろ、恋のなんたるかも知らないうちに、親が勝手に決めた好きでもない男性と結婚し、子供まで生んでしまった後に、恋を知り、夫を愛していないと気づいてしまう女性のなんと可哀想なことか、と同情すらしてしまう。
そこで、妻とは、母とはどうあるべきかということを、自分自身がどう生きたいか、よりも大切だと考える女性だったなら、心と身体を別物として生きられたのかもしれない。
けれど園子は、既成概念などに囚われない女性であり、心と身体を別物とは思えない女性だった。
夫や子供を置き去りにしてまでも -
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最近は、よほどのことがない限り新刊本って買わなくなってしまったんですが(金銭的な理由で)、この本は書店で見つけて即買いです。
瀬戸内寂聴とホリエモンの対談という、切れ味抜群な組み合わせ。
しかも「死」がテーマということで、いったいどんな話が聞けるのかと興味津々です。
冒頭で両者がそれぞれの死に対する考え方を語るのですが、あとがきでホリエモンが書いているように、
死ぬってどういうこと?
=生きるってどういうこと?
どう死にたいかと考えることは、どう生きたいかと考えることに行き着くのだと思います。
しかしこの二人、決して軸はブレないのに柔軟。
時々タブーにも踏み込んで、読んでるこちら -
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松岡正剛さんいわく、世阿弥は中世のスーパースターだとのことで、いつか読んでみたかった世阿弥関係の本。100分De名著の「風姿花伝」に続き、瀬戸内寂聴さんの本書を読んでみました。
晩年、いわれない理由で島流しになる世阿弥が佐渡に向かうところからストーリーが始まります。道中、12歳にして足利義光に寵愛されたあとの栄光の日々と、人生後半での人々との別れや、どちらかというと不遇な日々が回想されます。ストーリーの中では、「離見の見」「秘すれば花」「幽玄」「男時女時」など、世阿弥の哲学がさりげなく紹介されます。
瀬戸内寂聴は本書を書き終えた後、抜け殻のようになったそうです(あとがきによる)。世阿弥の生涯が -
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ネタバレ本屋さんで目に留まり購入。仏教のこと、昔の教えを学びたかった上に、寂聴さんのことをもっと知りたかったので良いチャンスだと思った。
「法句経(ほっくきょう)を読む」がサブテーマだ。
お釈迦様とよく聞くけれど、本当の名前は釈尊・・・そして、本来はネパールヒマラヤの小さな国の王子として生まれたゴータマ。人間の真の幸せ、永遠の生命それを解決したくて城を抜け出し修行後、悟りを開き仏陀(ブッダ)となる。
仏陀とは、固有名詞ではなく「悟れる者、覚者」のこと。
法句経はお経の中でも古いもの。釈尊が亡くなってから弟子たちで書いたものとのこと。それをわかりやすく解説しながら、寂聴さんの想いが書かれている。
釈尊が -
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高校時代を思い出しながら、
懐かしく読みました。
今まで、円地文子訳を読んだことがありましたが、
正直、あまりよく分かりませんでした。
けれども、この1冊で、
源氏物語の神髄がようやく分かりました。
内容について書くのは、
いずれ、瀬戸内さん訳の源氏全巻を読もうと思うので、
ここではやめておきます。
この本については、
うまくまとめてあるということで、
授業で読んだ断片的な部分がどういう流れの中にあったのかを
理解するには、必要十分です。
宇治十帖がかんたんに書かれすぎていて、
それでも、あらすじは分かりましたが、
少し残念。
筆者の源氏物語の理解の深さに感嘆 -
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ネタバレえ!!!!!十巻も待たせたのに、こんな終わり方?!日本に誇る有名文学作品の終わりがこうだったとは。長い源氏物語の中で一番の衝撃がここにある。
歴史の授業を聞いていると、平安時代はとっても昔で、文明が未発達というイメージがあった。しかし、源氏物語の登場人物に触れて、現代に住む私たちと心はほとんど変わらないということがよく分かった。
源氏の栄華が語られる前半、そして宇治に舞台が移る後半。どちらも個性溢れる登場人物の心理が巧みに語られ、昼ドラさながらどんどん惹きこまれていく。特に宇治が舞台の後半は、頁をめくる手が止まらず、どこで休憩しようか迷った程だった。
寂聴氏は「男はせいぜいこの程度よ、と -
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「浮船」「蜻蛉」「手習」「夢浮橋」の4帖を収録した最終巻。
心が震えるほどに感動した。
四季折々の日本の風景、人情の機微、人を愛すること、そして命のはかなさなど、人が生きるということに関するおよそあらゆるエッセンスを紫式部は描いている。
それらが美しい言葉と和歌、音楽に乗せてつづられているところが本当にすばらしいと思う。
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匂宮は、一目で心を奪われた女(浮船の君)のことが忘れられず宇治へ赴き、薫の君になりすまして浮船の部屋に忍び込むと、彼女を手に入れてしまう。
薫に申しわけないと思いながらも、情熱的な匂宮のとりこになっていく浮船は、追いつめられた末に宇治川に身投げをしてしまった。 -
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宇治の八の宮の姫君たちの物語がつづく。
亡き大君(おおいきみ)のことが忘れられず、悲しみに沈む薫の君。
妹である中の君(なかのきみ)は匂宮の妻となるが、その面影が大君と見まがうほどに似てきたため、薫は中の君を自分のものにすればよかったと後悔する。
2人の姫君たちには異腹の妹がいて、名を浮船という(巻九にはまだその名は出てこない)。
薫は、大君に似ているというその人に会ってみたいと思う。
ところが、ふと浮船の姿を見かけた匂宮がそのまま彼女を自分のものにしようとしてしまう(ここでは危機一髪で難を逃れた)。
亡き人のことをずっと一途に想っている薫と、美しい女性には抜け目なく言い寄っていく匂宮。