瀬戸内寂聴のレビュー一覧
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やっと第二巻。有名な、というか自分がわりと覚えている女性たちがたくさん出てきて賑やかだった印象。
藤壺の出家を受け茫然自失となる源氏を見て、出家ってどんなことなのだろうと疑問に思ったが、巻末の「源氏のしおり」、寂聴さんによる解説を読んで、少し理解が深まった。それだけでなく、出家を決意するに至るまでの藤壺の葛藤とその描き方や、出家後の藤壺が意外と強い女性に変貌していくことについての指摘もとても興味深く、寂聴さんのおかげで藤壺への認識が改まった。
以下自分用メモ。
■末摘花(源氏十八歳)
・頭中将とのライバル関係が楽しい。夕顔の子を引き取る算段までしている源氏は密かに優越感を持っている。 -
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巻八で、宇治十帖は、これまでとテイストの異なる、現代ドラマのような親しみやすさと書いたが、やはり『源氏物語は、源氏物語であった』と、本書を読み終えて、しみじみと感じさせられた点には、まるで、紫式部のしたり顔が脳裏に浮かぶようで、人間には良いところもダメなところも共存しているのが当たり前なんだよなと、改めて、私のイメージしていた現代ドラマって、夢物語だったのだと痛感させられた。
「早蕨(さわらび)」
父も姉も現世より去っていった、「中の君」の喪失感は、「匂宮」からの希望で、これまで住み続けた、宇治から京へと引っ越さねばならない現状も重なることで、より漠然とした重い不安を抱くようになるが( -
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「竹河(たけかわ)」
ここでひと息つくかのようにと書くと失礼だが、「薫の君」と「匂宮」の二人が順調に成長する中での、「玉鬘の君」の、非常に現実的な苦労話がメインとなっており、彼女は生まれたときから波瀾万丈な人生を送ってきたのに、「故髭黒の太政大臣」と出会った事で、情けない心持ちにさせられたと思ったら、今度は子どもたちの将来と、彼女自身に今も拘りを持ち続ける男達との兼ね合いが、また何とも面倒くさい事になってしまい・・・こうなると、モテる女は辛いねを通り越して、この世で誰を頼りにしたらよいものかと、その無常さを嘆くのも分かるような気がするからこそ、最後の「宰相の中将」への『困ったお坊ちゃんだこと -
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いよいよ、一つの山場を迎えた感のある、巻七。あまりに重要なネタばれが多いため、最初から順番に読みたい方は、くれぐれも『作品紹介』は読まないようにして下さい。
この巻は、子を思う親の心の闇(本当に闇なの?)が多かったのが印象深く、それが、心のままにならない人の世の儚さと繋がっているように思われるが、「本当にそうなのか?」と、私だったら刃向かいたくなる。
「柏木(かしわぎ)」
『元々、寛容な人柄で、やや情に溺れやすい面があって、あまりにもお心が弱々しくやさし過ぎた』彼は、「玉鬘の君」から、『この方だけを親しい姉弟だと思っていた』と言わしめる程の人間描写を再実感することで、前巻とはまた異 -
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漫画の『あさきゆめみし』は過去に二回ほど読んだ。その他関連本も多少読んだからなんとなく知った気になっていたが、現代語訳そのものは読んだことがなかった。たださんの本書レビューに触発されて、私も源氏読んでみることにした。
角田光代版が最も新しく、これは絶対読みやすくて面白いだろうなという予感があった(角田さんの『曽根崎心中』がとても好きだから)が、瀬戸内寂聴版を自分でもパラパラと見てみた感じ、「これは紫式部が書いたままの文章なんじゃないか」「古文をそのまま読んでいるのに脳内で理解できてしまってるんじゃないか」と、そんな錯覚さえ起こしてしまうような文体が魅力的で、全十巻と長いのだけど、これに決め -
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全10巻の為、今後自分が混乱することを防ぐためにも、あらすじを主としたレビューです。
その為、いつもにも増してめっちゃ長いです。
スミマセン。
①桐壺
冒頭の「いつの御代のことでしたか、……」
それだけでもう、これこれ!と、心は平安京へ。
帝のあまりの寵愛ぶりに妃たちが妬み、
桐壺は酷い苛めを受けていた。
「打橋や渡り廊下の通り道のあちこちに、汚いものなどを撒き散らし……」
えー引くわ。。。
妃たちよ、気品や気高さはどこ行ったー!
元々桐壺は、腺病質で弱々しく、気苦労の耐える間がなかったとある。
更に桐壺の部屋は帝の清涼殿から一番遠い淑景舎。
可哀想に。
いつの時代も苛めは身勝手で残酷で醜 -
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巻三は、26才~31才までの源氏を描いており、ここにきて、ようやく自己を見つめ直す機会も頂いたかに思えた彼が、ここから心機一転やり直していこうとするのかと思いきや・・・。
「須磨(すま)」
須磨とは今で言う、神戸市須磨区と思われ、前回、見事なしくじりをしでかした源氏は、早速、「弘徽殿の大后」の策略により、彼が謀反を企んでいるとして、まずは官位を剥奪された後、次は流罪だと予想し自ら須磨へ都落ちする。と、こう書くと、ついに覚悟を決めた、堂々たるさっぱりとした姿を予想されるかもしれないが、実際は、「ああ、なんか最近嫌なことばっかりだなあ。もうこんな所いたくないよー。でも、だからといって、女の -
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源氏物語初心者の私にとって、瀬戸内寂聴さんの『源氏のしおり』は、とても興味深い上に面白くて好きで、今回は、「恋愛の手順」。
なんでも平安時代の姫君にアタックするには、まず、その周りを固めている女房たちをなんとかしなければいけないのだが、それ以前に、顔や姿をみだりに見せてはならないので、男たちは、女房たちの口コミだけを頼りに、どうしようかなと考えなければならないのは、なんとも悩ましく、姫君の立場からしたら、私はこの人が良いですといった自己主張が出来ないそうで、「なんで?」とは思ったが(少年愛は当たり前だったのに)、これは、政略結婚の意味合いが最も強かったからだと言われれば、どうしようもない。
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