垣谷美雨のレビュー一覧
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「優しい悪魔」とのタイトルの単行本で読んだ。
ヘビースモーカーの佐和子だが、いつでも禁煙したいと考えている。だけどニコチン依存で止めることができない。そんな自分を意志の弱いだめな人間だと卑下している。いつでも喫煙できる場所を探して行動しなければならない、“タバコに支配されている” ような生活に嫌気がさした佐和子は最期の頼みの綱だと禁煙外来を訪ねるが…。
禁煙を頑張る「禁煙小説」。非喫煙者の私には、禁煙の指南書をタバコを吸いながら読んでしまう呆れるような佐和子の姿だが、佐和子のようにやめたくてもやめられない、苦しんでいる人もいるのだろうなと思った。
喫煙者の人たちはどう読むのか、ちょっと気になる -
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ネタバレシビア…心がゾワゾワしましたが面白かったです。
世代間の認識の差を埋めるって難しいし、生きる・生きてきた階級に差があるとそれもわかり合えない。
だからといって関わりを断って蔑ろにするわけにも行かず…生きる事や住むって難しいな。
団地の理事会キツいし、終盤のロンドンでのマウンティング…特に全ての元凶の三起子がキツい。自分から手放したのに上手くやってる朋美を見ると羨んで、でも琴里よりは上だ!って安心して、琴里との友人関係を続けたいのも朋美の陰口と琴里へのマウンティングだろ?と穿った見方をしてしまいました。琴里は離れて正解。
「私っていいものばっかり持ってる」、そう思えるように明日からも生きていこう -
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ネタバレ[☆3.5]
富裕層の男性の話をすると、「そんなやつは苦労知らずだ」とけなしていたのに、自分の娘の彼氏だと言った途端に母の態度がころっと変わったのがおかしかった。
娘は、奨学金を、親はローンを肩代わりしてもらうなんて、初めから公平じゃない関係はなんだかなぁとモヤモヤしてました。
後からタダより怖い物はないって分かりますけども。
母子がとても似てますよね、父と祖母が引き戻してくれてホッとしました。
中盤ぐらいでちょっと中弛みかな?という感じだったけど、そう思った瞬間に怒涛の展開で驚きました。
訳あり彼氏を友達に押し付け合って(まさか主人公もそうするとは…)、最終的に引受人となった朋美は結 -
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坂木司さん、初野晴さんの本をそのうち読みたいと
思っていたので、いっぺんに読めるのー!と、借りた本。
『お仕事小説アンソロジー』第2巻。1巻は未読。
面白かった。
登場する職業は、スイミングインストラクター・社労士・宅配ピザ店長・遺品整理会社員・ラジオパーソナリティ・メーカーOL。
まったく自分とは縁遠い職業ばかりだけど、共感できる点もたくさんあった。
仕事も親業も、よく観察し、自分の気持ちは抑えて相手のために何が良いのかを考え、最適な提示方法を試行錯誤し・・何より相手を信じて任せることがとっても大切なんだなと。
アラサー女子たちがちゃんと気づいて、あちこちぶつかって傷をつくりながらも( -
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人と人との関わりをコミカルかつ軽妙に書いた短編集です。
さらりと読めるし元気になれるのに、ひとつひとつどこか毒があるのが面白い。
よくあるいい話ではなく、どこか歪んだ人々の戯画のような話ばかり。それでいて魅力がある登場人物ばかり。
人間関係は付き合い長くてもどこか猜疑心が沸くし、嫌いと好きだけで判断できないところがありますね。諦めと許しが底に敷き詰められた関係が一番長持ちする気がする。その上に喜びを積んでいく方が強度が上がる気がします。
特に好きなのは霧中ワイフかな。先が気になってしょうがない話でした。でも全体的に物語に魅力がありますので、どれもおススメ出来るレベルです。
ブラックでいて明るく -
購入済み
読了後は澄んだ気持ちになりまし
自分の部屋はある程度いつもきれいにしているけど、この本を読んでいると久しく触れてないクローゼットの奥のものを引っ張り出して、思い出だからととっておいてあるものを選別したくなりました。
最後のお子様を亡くされた遺族の話は、看護師として働いてる自分としてもとても深く考えさせられました。