垣谷美雨のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ介護や高齢化社会についてとともに、自分はどう生きたいか、死生観も考えさせられる一冊。
タイトルを衝撃的に感じて手を引っ込めた方もいるんじゃないだろうかと思うけど、でもそれこそがなんというか現実逃避の思考だよなと思って読んだ。こんな法案通ったらさすがに暴動が起きそうなものだけど、どんな法案が通ってもデモも何もしない現代日本を風刺してるのかと感じた。
途中で主人公の東洋子が全てを放棄してから状況が好転する。ちょっとこんな都合よくいくかな?という感じはある。読後感は悪くないけれど、現実こんなうまくいくかなって思ってしまう。
実際70でみんな死ぬ法案が通ったら、たぶんみんな途中から働かなくなり資本主義が崩壊するだろうけど。あと、年齢ごまかそうとする特権階級層も出るだろうなぁ(作品中そうなのかな?と感じる場面もあった?)。でもそこまでしないと、今一部の人が担って負担が増えてしまっている日本の介護について、すべての人が自分ごととして考えないのかもしれない。そういう意味でいろんな人に読んでほしい。 -
Posted by ブクログ
扱っている題材に興味があり手に取った作品。
58歳の主婦、澄子は夫との生活に苦しんでいた。田舎の狭いコミュニティ、意地悪な同級生たち、モラハラ夫に従うしかない澄子を変えたのは元親友との再会だった。
読み手の年代、置かれている環境によってこの作品の感じ方は大きく違うのかもしれない。
主人公と同年代かそれ以上の方、年代は違えど置かれている環境が澄子や澄子の同級生たちと似ている方はもしかしたら共感の嵐かもしれない。
私はきっと恵まれているんだろう。
前半、読み進めるのがとてもしんどかった。
田舎の生きづらさ(男尊女卑、女の序列、離婚は絶対悪という思想、プライバシーのなさ)に加え、意地悪な同級生たち、澄子の夫のあまりの横暴さ、澄子の母の嫁に対する役割の決めつけ、押しつけ…読みながら息が詰まりそうだった。
けれど前半の描写があったからこそ、後半、澄子が様々な不安を抱えながらも自分の人生を取り戻そうと奮闘する場面は、素直に応援したくなった。
また、その過程で澄子が周りにもいい影響を与えていくのが印象的だった。
解説がとても興味深く、この作品が扱っている社会問題の多さに驚くと同時に自分自身に重ねて考えさせられた。
私は正社員で勤務していたが、育休明け、時短勤務を拒否され退職せざるを得なかった。
これが日本の正規雇用の実態だったのか。
「次の首相になる人には、ぜひこの小説を読んでほしい。(p.338)」とあるように、広く読まれてほしい作品。
男性が読んだらどのような感想を抱くのだろう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ育った環境から努力して掴んだ社会的地位を失って、自尊心と自分の現状とのギャップに苦しんでいるであろう主人公が農業に希望を見出し、悪戦苦闘するお話。
主人公とアヤノさんには終盤まで共感出来ませんでしたが、富士江のばーさんのおかげで楽しく読めました。
地の文から、作者の思想とこれまで受けた理不尽やら屈辱が滲み出ています。著者の作品は「七十歳死亡法案、可決」しか読んだことはありませんが、男社会に振り回され、今も闘い続けている人なんだろうなと思いました。
最後まで良い男キャラは出てこないのは、女性に向けた物語だからなのか、別の理由なのか。
終わり方がハッピーな感じだから良し。 -
Posted by ブクログ
都会に住む主人公が、田舎に住む高齢の父親の自動車運転を心配して、最終的には田舎に引越して、田舎をまわる移動スーパーを始める話。
私も最近になって、自分の父親と母親の運転を心配し始めている。
私自身は退職をして田舎に戻る選択まではなかなか真似できないと思った。だけど、この本を読んで、父親や母親の気持ちも少しわかるようになったと思う。少しでも似た境遇にある方は、サラッと読めるし、読む価値はあると思う。
自動車免許は、現在の高齢者世代にとって(特に男性にとって)家族の中で唯一自分だけが運転できる(た)という「誇りである」というような表現が出てきて、ハッとした。ある意味父親の尊厳だったのだ。そうだったんですね?全然考えたこともなくて、一方的にただただ返納を勧めていた自分を反省。何も寄り添っていなかったな。一方的な主張はただただ反感を強めるだけだ。
あと、若い人は両親が都会に引っ越して来たらいいと簡単に考えがち。しかし、狭い都会のコンクリート生活が、田舎からきた人々にとってどれほど窮屈な思いをさせてしまうものなのか描かれていた。これも考えさせられるエピソードだった。
自分もすぐに高齢者になることを心に留めて、両親の気持ちに寄り添いながら、運転について一緒に考えていく姿勢が大切なのだ。
主人公が移動スーパーを始めて田舎の人たちと交流が深まっていくシーンはたまにほろほろと涙が出た。どんな人でも交流を求めているし、いろんなことを知りたい欲求があるのだ。
高齢者を移動スーパーの助手席に乗せて、仕事をする主人公。いろいろなものを見聞きできて喜ぶ高齢者。助手席に乗る予約をできるノートがある。予約がたくさん入っている。素敵だ。