池央耿のレビュー一覧

  • パイド・パイパー 自由への越境

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    こんなに面白い本に出会えるとは。。。
    だから読書はやめられないと思います。

    パイド・パイパーとは「ハーメルンの笛吹き」のこと。
    あるきっかけから、子供二人を連れてフランスからイギリスへ第二次世界大戦中に逃げることに。
    また様々で出来事から三人・四人と増えていく。
    無事、逃れることが出来るのか。

    もちろん、悪役はナチスドイツであるけれど、
    この小説のもっとも良いところは悪役が一人もいないこと。

    一読するべき。

    追伸…この本は出版されたその年に映画化されたそうです。
    それも戦時中の1942年。戦時中に出版されたのもびっくりだし、映画化されたのもびっくり。

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    2021年05月12日
  • 指差す標識の事例 下

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    長い。
    ちょっとした知識どころか、相当念入りに勉強してから挑んだほうがいい。
    下巻最後の人物解説、年表、訳者解説を最初に読んだ方が楽しめるような気もしました。
    かなり読み手を選ぶとは思うけど、個人的にはがんばって読んでよかったかなって感じでした。
    歴史、宗教絡みのネタに微塵も興味を感じない人には全くおすすめできないし、おもしろくないと思います。

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    2021年02月10日
  • パイド・パイパー 自由への越境

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    英国冒険小説の雄ネヴィルシュートの代表作は「渚にて」よりこっちだと聞き、表紙の絵を見てうっそーと思ったが読んで納得した。表紙に騙されてはいけない。こんなほのぼのとした話ではない。パイドパイパーはハメルンの笛吹きのことだがそれは何を意味するのか。第二次大戦下の戦火強まるフランスで、70歳の元弁護士イギリス人のハワードはイギリスに帰るにあたり世話になったホテルのメイドに2人の子供を連れて行って欲しいと頼まれる。心よく引き受けたもののドイツの侵攻激しくパリ陥落も間近、行く先々で人に助けられながらも託された子供は6人まで増える。100人の敵と戦うわけではない、未知なる世界を旅するわけでもない。戦時下に

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    2021年01月16日
  • 指差す標識の事例 下

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    第三の手記は幾何学教授ウォリス、最後は歴史学者アントニー・ウッド。
    四部それぞれ翻訳者が違うという趣向がまた面白い。「信用できない語り手」、楽しいなあ。

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    2020年11月28日
  • 指差す標識の事例 下

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    ネタバレ

    深いですね~側面どころか、縦・横・斜め・あげくは斜め下から読まなくてはならない本だったなんて・・・。
    4人の手記の形をとっていても政変ありスパイもどきも出没。そしてまさかのキュン話にまで行き先を変えながらもミステリーの形を保ち、謎は深まるばかり。
    『薔薇の名前』を称している通り、時間をおいてまた手に取ってみたいカモ。

    自分のなかの最大の??だった東江先生の謎もあとがきでスッキリ。

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    2020年09月20日
  • パイド・パイパー 自由への越境

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    ネタバレ

    予備知識なしに買ってみたが,いやあ,面白かった.
    フランスで釣りのための休暇を過ごしていた70歳のイギリス人が,ドイツ軍の侵攻のために帰国を試みるのだが,なぜだか次から次へと子どもを引き受ける羽目になり,ドイツ軍占領下のフランスを孤軍奮闘しながら横断して帰国するまでの話.
    読み終わってから驚いたのは1942年の出版であることで,じゃあ,ほぼリアルタイムじゃん.古典的名作ということになるが,読んでて全く古くささを感じなかった.
    主人公のハワード老人がロンドンのクラブで回想するという形を取っているため,帰国に成功していることは分かっているのだが,必ずしもハッピーエンドとは言えない結末まで一気に読み

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    2019年11月01日
  • パイド・パイパー 自由への越境

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    戦時下の極限状況のなかで進む物語は、すべて人間の善意で成り立っている。行く先々で子供たちを託され、または自ら保護してともにイギリスへ帰ろうとする70歳の老紳士ハワードはもちろんのこと、恋人を亡くし失意のなか自ら同行しそれを助けるニコルも、(この小説のなかでは)敵国ドイツの少佐でありながら姪のことを想いハワードに託すディーゼンも、みんな誰かの幸せを願っている。戦争の真っただなか、当然血は流れ人は死ぬけれど、全編に渡りなんとも言えない優しさに満ち溢れている。人間の美しさを感じられる小説だった。

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    2019年10月23日
  • 南仏プロヴァンスの12か月

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    日々を味わう秘訣が満載。何度でも読みたくなる美しい情景描写。池央耿さんの訳も語彙が豊かでとても読みやすかった。

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    2019年01月26日
  • タイムマシン

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    80万年後の地球にいた地上人と地下人。
    暗に、今の世の中の問題意識を提示しているかのようだ。

    人間は動物を家畜化し、
    多くの場合(キリスト教など)霊魂は人間以外の下級動物には存在しないとしてきた。人間至上主義だ。

    快適さを求める人間の末路は?
    なさそうでありそうな未来の物語。

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    2018年12月10日
  • パイド・パイパー 自由への越境

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    ジワジワと染み入る小説。第二次大戦、独軍のポーランド侵入を機にヨーロッパに広がる恐怖。迫りくる危険を感じ独占領下の仏から本国英国へ帰ろうとする老人ハワード。しかも自分の子供、孫でもない小さな子供二人を連れて。英国への道のりは迷走しながらも一緒に行く子供の数が増えていく。戦争の恐怖と緊張感、そしてハワードが背負う命の重さと責任を一緒に感じ取りながら息をひそめるようにページをめくる。独兵を悪魔のように書くこともできるが良い面も見せている。国の未来を信じ戦っているのは同じ人間なのだ。戦争終結前の1942年作品。

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    2018年08月14日
  • パイド・パイパー 自由への越境

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    ネタバレ

    息子を失った傷心の老人が戦火のフランスで子供達を託され、イギリスへ向けての逃避行を始める。道中にはびこる死、そして困難。その中で連れ帰ればならない子供の数はどんどん増えて行く…
    主人公の老ハワードは持ち前の正義感と枯淡のウィットを武器に、その旅へ果敢に挑戦するのだ。
    助けてくれる者、助け合う心。
    憎むべきヴィーゼル少佐ですら、戦争の前では親類の少女の身を案ずる一人の叔父でしかない。
    敵味方、国籍の別なく子供達を守り通そうと奮闘するハワードの姿に、読者は強い勇気と人間の気高さを感じるだろう。

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    2017年02月11日
  • パイド・パイパー 自由への越境

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     世界大戦下のイギリスのとあるクラブ。遠くから空襲の砲弾の音が聞こえる長い夜に、わたしはジョン・ハワードという老人と意気投合する。フランスからイギリスまで、あらかた歩いて帰ったというハワード。わたしはその話に興味を持ち、さらに話をうながす。そしてハワードは、幼い子供たちをつれてフランスからイギリスは渡った話を語り始める。

     戦争の影響で電車やバスの路線は乱れ、さらに侵攻してきたドイツ軍は、イギリス人を捕らえようとしています。

     また子供たちの描写のリアルさも、物語を盛り上げます。道中で熱を出してしまったりぐずったり、あるいは無邪気に戦車を見たがったり、ドイツ兵の前で英語で話そうとしたりと、

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    2017年02月05日
  • タイムマシン

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    短いけど濃厚。実際に未来はこうなりそうで怖くなった。100年前以上の作品なのに想像力が今読んでも古臭くないのに驚かされる。

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    2016年09月08日
  • クリスマス・キャロル

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    「人はみな、隣人、同胞と進んで深くかかわって、心を通わせなくてはいけない。そのためには、遠路をいとわずどこへでも出かけるようでなくてはだめだ。」

    こんなに感情が溢れ、匂いがする物語だったとは。前回読んだ岩波文庫の訳は、感情移入できず、短いお話ながら何度も挫折しかけた。それに比べるとさすが新訳だけあって、人々の交わす表情が伝わってくる。単純明快な話だけど、クリスマスはキリスト教のお祭りであることを再認識させられる。日本にいると「誰と過ごすか」「何をあげるか」しか話題にならないけれど、貧しい人に寄付をし、キリストの誕生を家族みんなでお祝いしようという温かい心が根底にあることを改めて思いだすきっか

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    2015年07月17日
  • ウィンブルドン

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    サスペンス部分はおまけ。
    メインは二人の熱い友情(?)の青春小説
    そんなカンジで読みました。
    ワタシは好きです(*´ω`*)

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    2015年03月15日
  • ウィンブルドン

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    祝・復刊!とても面白かった。1977年の作品なので、片手バックハンドが主流だったり携帯電話がなかったり、今とは違う状況も多々あるが、前半の青春編も後半のミステリ編も大変読み応えがあった。ラリーの描写もテニスファンにはたまらない内容。ウィンブルドンを舞台にした犯罪がいつ解決するのか、ラストはハラハラドキドキで読み終えた。当時のテレビ中継技術も興味深い。ツァラプキンのように綺麗に負けるかデニスンのように汚く勝つか、誰とは言わないが現役の選手に置き換えて読んだ方も多いのではないだろうか。

    p65
    相手方のサーブでラブ・フォーティに追い込まれると、

    p86
    「まだまだ、食えるところまではいってない

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    2015年02月10日
  • クリスマス・キャロル

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    ネタバレ

    クリスマスが近くなったから読んだわけではありません。
    たまたま、この本をすでに抽出済み。

    一人の欲の塊で誰からも好かれぬ男が
    彼とともに仕事をしていた男の霊の警告により
    だんだんと人としての心を
    取り戻していく物語。

    無論、強烈なのは
    最後の精霊の出てくる物語でしょう。
    現実にこれは実生活で体験あります。
    亡くなったのは身内ではないですが、
    「さっさといなくなってよかったわ」
    と思われるような人間でした。

    本当、こう思われたらおしまいです。
    男の以前のようになるまえに、
    どこかで気づかないと…

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    2014年12月11日
  • パイド・パイパー 自由への越境

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    ネタバレ

    評判が良かったので、いつか購読しようと思っていたのですがやっと古本屋で見つけ講読。
    本当に一気読みしました。

    激しいアクション、殺伐としたシーンがない。70歳のおじいさんが主人公の異例な冒険小説。
    唯一の武器は、弁護士であった資金力、交渉能力、フランスの土地勘のみ。
    本当にこれでもか!と、難題が降りかかるが、タフなイギリス紳士が切り抜ける。こんな状況でも未来に溢れた子どもとはいえ、他人の子どもを自らの犠牲を厭わずに守れるのか。
    敵であるドイツ軍に捕まりそうなスリリングな状況下に子ども達の無邪気なのが癒される。
    第二次世界大戦のフランスの情景を生かしながら、主題は、未来を担う子ども達に自らの犠

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    2013年11月21日
  • パイド・パイパー 自由への越境

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    第二次世界大戦のさなか、老弁護士は滞在先のスイスに近いフランスの片田舎からイギリスに帰郷する。ドイツ軍の進軍を聞き、滞在先で同郷の家族から子どもの同行を依頼され、老人と子どもたちのイギリスへの旅が始まるのだ・・。
    老郷の身なのに、小さな兄妹の世話は大変・・、しかるにさらにホテルのメイドの子どもを預かり、次には被災して孤児になった男の子も・・・、そんな風にどんどん一緒に逃れる旅の道連れが多くなる。約束したことを守りぬく老人は本当に紳氏なのだ。
    ちょっと翻訳臭が気になるけれど、一気に読めるロードサイドストーリー。

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    2013年02月05日
  • 南仏プロヴァンスの12か月

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    旅行記、紀行文ってジャンルに興味を感じたことはなかった。
    だって旅それ自体に関心がないんだもん。
    でも、今回この本を「とりあえず全然期待せずに」読んだら、非常に面白かった。
    プロヴァンスというところに急に詳しくなってしまったような気さえしてくる。
    愛着さえ覚えてしまう。
    この作家の腕は大したものだ。
    ただ、彼がこの作品を世界的な大ベストセラーにしたおかげで、
    この地方はきっと旅行客で、(しかも彼が嫌いそうな旅行客)大賑わいになり、地域の色自体も少々変わってしまったのではなかろうか。
    また、彼の文章の中に自分の子供のことが一切登場しなかったのはちょっと不自然。
    さらに個人的に文句を言うと、食べる

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    2012年10月08日