池央耿のレビュー一覧

  • パイド・パイパー 自由への越境

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    「パイドパイパー」とは「ハーメルンの笛吹き男」のこと

    スイス国境近くのディジョンで釣りをしようとしていた70歳のイギリス人ハワードは、ドイツ軍のフランス進撃とイギリス軍のダンケルク撤退を知って、イギリスへ帰国しようとする。
    ところがドイツ軍がスイスに侵略する噂に心配した国連に勤めるイギリス人夫婦から、2人の子供を連れてってほしいと頼まれる。
    ゆく先々で子供は増え、最終的に7人それもイギリス人、フランス人、オランダ人、ポーランド系ユダヤ人、ドイツ人と、縁もゆかりもない子供たちを連れてイギリスを目指す。
    戦争で交通手段もままならない中、乳母車とともに大勢の子供を連れて「ほとんど歩いて」イギリスを

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    2021年09月29日
  • 指差す標識の事例 下

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    ネタバレ

    読み応えがあった。
    語り手が変わるたびに意味が変わっていく出来事の連続で、主観が違うとこうも違うのかと。もちろんあえて真実を書いていない語り手も存在しているのだけど。2人目が1番手こずった。ちょっとどこまでが妄想なのか…。下巻に入ってからは割と一気に読めたかな。

    手記ごとに訳者が違うも面白い。より一層、4人それぞれの視点、それぞれの物語へと入ってしまうので事実はさらにわからなくなっていく。

    語り手が変わるたびに、ひっくり返されるミステリ。あまりこの時代の宗教戦争に詳しくないことが悔やまれたけれど…薔薇の名前を読んでみようと思う。

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    2021年07月14日
  • タイムマシン

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    ネタバレ

    SF好きなので、タイムマシンの形状とか未来人の姿を想像して話を読めてよかった。
    小学生の頃に読んで、ラストで怖くなったのを覚えている。

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    2021年07月04日
  • 指差す標識の事例 上

    匿名

    本作が語られる時代背景や宗教の状況等、知っていた方が断然楽しめます。下巻の末尾についている年表をざっとでもよいので眺めておくとよいかもしれません。

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    2022年09月28日
  • クリスマス・キャロル

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    村岡花子の訳に馴染めず、半ばにして訳者を変えてあらためて読みなおした。中身がぎっしり詰まった短編。描写が鮮明で幽霊が浮き立たない。幽霊と言えど怖くはない。主人公が自己を省みる道しるべの存在。スクルージは吝嗇だが悪人ではない。幼い頃の環境が生活において頑なな人物に仕上げた。家族を大切に思う気持ちを読者に深める名著。2021.5.16

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    2021年03月16日
  • 指差す標識の事例 上

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    格調高い文章が、どうにも読みにくかったです。医学創成期の技法が興味深かったですね。輸血の方法とか。血液型も調べないでいいんかい!とは思いましたが、なかなか面白かったです。そうしたサイドストーリーには興味は引かれましたが、ベースとなるストーリーはやや浅め。下巻に期待。

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    2020年12月05日
  • 指差す標識の事例 下

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    なぜ翻訳者が4人もいるのか、という読む前の疑問があったがそれは納得できた。

    ひとつの出来事を複数の視点から語るという手法は大好きで、信頼できない語り手感がどんどん増していくのは大変に楽しめた。

    ただ、それほどまでにして隠したかった暗号文は、正直なところ「ふ〜ん…」という印象だった。
    イングランド人ならバッチリ決まるんだろな。

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    2020年12月04日
  • パイド・パイパー 自由への越境

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    隠居生活の元弁護士ハワードは、第二次大戦の戦火が広がる中、イギリスからフランスのジュラの山村へ釣りに出かける。戦局に関心をはらっていなかったハワードは、フランスがドイツに攻め込まれ危機的な状況になりつつあるのを理解していなかった。ジュラではゆっくりと釣りを楽しんでいたが、スイスもドイツの手に落ちるのではないかという噂の中、帰国を決める。同じ宿に泊まっていた国際連盟職員の妻から、子ども二人をいっしょにイギリスまで連れ帰ってほしいと頼まれる。列車を乗り継いで帰れると引き受けたハワードだったが、ドイツ軍の侵攻で交通機関は寸断され食料も泊まるところも無くなっていく。バスに乗り換え、最後は歩いてイギリス

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    2020年09月16日
  • 指差す標識の事例 下

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     四人の語り手の手記により、大学で発生した毒殺事件と、その犯人と疑われた女性の運命如何を主筋として、イングランド王政復古時代の政治情勢や党派対立等を絡ませながら、物語は進んでいく。

     ミステリとして見れば、信頼できない語り手の問題や語り=騙りといったことになるが、媚びず、卑屈にならず生きていくヒロインの人物造形が実に魅力的だと思った。

     ヒロインのラストについては、ウーンという気持ちも拭えないが、語りの中で、そこまで含めて書かれているではないかと言えば、そうかもしれないと思わされる(ネタバレ気味の恐れもあるのでぼかしていますが、最後まで読まれた方には分かっていただきたい)。

     本書では、

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    2020年09月03日
  • 指差す標識の事例 上

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     先ずは本書の無事刊行を寿ぎたい。

     本書の帯とカバー裏には、『薔薇の名前』とクリスティの名作が融合と謳われているが、本作を手に取り、内容ではない別の面での『薔薇の名前』との共通点を思って、しばし感慨に耽った。

     それは、日本語訳がなかなか出なかったということである。『薔薇の名前』が映画化された頃、原作ではアリストテレスやキリスト教、異端審問等に関わる内容が満載だということで、それらに纏わる蘊蓄本がだいぶ刊行されていたのだが、肝心の原作の翻訳が待てど暮らせど出ない、その出版社が東京創元社であった。

     翻訳者の一人である日暮氏が、本書についての打合せの始まった時期のことを書いた文章を読んだ

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    2020年08月31日
  • ヘンリー・ライクロフトの私記

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    新訳で読んでみる。
    これも悪くはないかな。
    といって、昔の平井正穂訳がどんなだったか、もう忘れてしまっているが。

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    2020年07月07日
  • ウィンブルドン

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    1977年発表、プロスポーツを題材としたサスペンス小説の名編。テニスの国際大会「ウィンブルドン」を舞台に犯罪の顚末を描くのだが、本作がメインに据えているのは、若き天才テニス・プレイヤー二人が切磋琢磨し、頂点へと上り詰めていく過程だ。
    豪快且つ正攻法のプレイで魅了するオーストラリアの俊英ゲイリー・キング23歳、天賦の才を持ち華麗な技術と純真な人柄で誰からも愛される亡命ロシア人ヴィサリオン・ツァラプキン17歳。この二人が図らずも出会い、テニスを通して友情を育んでいくエピソードを主軸にしており、何よりも青春小説として味わい深い。
    ウィンブルドン決勝。時には相棒として数多の強敵を倒し、互いに待ち望んで

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    2019年11月06日
  • クリスマス・キャロル

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    立て続けにクリスマスものを。こちらも中編程度の長さで、サラッと読み通せる内容。特殊な場面設定としてクリスマスが採用されているけど、基本的に、過去から未来にかけての自分と、改めて直面させられることによって、現在における自省がなされ、結果、ポジティブな変化をもたらすというもの。それ自体は、今となっては使い古された手法で、特に目新しさなどを感じる部分は無い。それぞれの回想シーンの見せ方が魅力的で、結果的には惹き込まれる要素たっぷりだったから、物語的には面白かったんですが。

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    2018年12月19日
  • クリスマス・キャロル

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    ドケチの守銭奴スクルージ。「欲深い因業爺」とかひどい言われようの主人公。クリスマス・イブ、スクルージに不思議な出来事が起きるのだが、すごく良い話だった。
    キリスト教の思想が背景にあるのは明らかだけど、説教くさくはなく、むしろユーモアを感じた。人の善意や幸福がテーマの人情物って感じかな。スクルージはもちろん、甥っ子がいいキャラ。

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    2018年11月07日
  • タイムマシン

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    SFの古典名作を光文社の新訳で。光文社の古典新訳文庫は翻訳が平易で読みやすいのでさらっと読めた。タイムマシンものの魁。他の翻訳でも味わいたいところ。

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    2018年11月01日
  • ウィンブルドン

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    名作。
    前半はキングとラスタスの蜜月…友情?(笑)
    後半がほぼ二人の1試合のみと云う大胆な構成。
    邦訳小説の中でも、読み難い部類かも知れないと思いました。無駄な説明を削いでおきながら、機知にとんだ文章で、ささーっと読み進めてしまうと、誰の台詞だったか覚束無くなったり、急に場面が変わっていたり。
    しかしこの文章のお蔭で後半のテンポが素晴らしい出来になっている事も否めません!

    解説にも有りましたが、テニス全く分からない人間でも楽しめました。とにかくヴィサリオン…ラスタスが可愛くて萌え苦しいです。はっはっは。

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    2017年08月11日
  • 二都物語(下)

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    「自由、平等、博愛、さもなくば死!」血みどろのフランス革命。当時の空気ってこんな具合だったんだなあ。気が触れてしまったかのような大衆の熱狂が伝わってきてゾッとした。この狂乱の雰囲気を体感しただけでも読む価値があったと思う。もちろんストーリーも面白い。最後のシーンは別格だった。神聖な輝きが溢れていて、なんとも言い難く美しい。個人的には死体盗掘人の男が終盤で心を入れ替えて言ったセリフもたいへん胸に響くものがあった。全体の作りとして個人の心理を追究するという趣向ではないが、大衆の心理を媒介にして、それを作り上げ牽引する側と犠牲になる側の個々人が複雑に交錯する群像劇はとても読み応えがあった。満足。

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    2017年05月02日
  • 二都物語(下)

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    ストーリーは良かった。特にラストシーンには、甚く胸を打たれた。
    翻訳に関してだが、信頼を置いている池央耿氏の訳という事で楽しみにしていたのだけれど、相変わらずよく言葉を知っているなあと唸らされはしたものの、本著では些か衒った言葉遣いが鼻についた。文章もかなり難しく(抑々近代文学であるから当然と言えば当然であるが)、あまり人にお薦めは出来ない。

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    2017年03月19日
  • クリスマス・キャロル

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    ネタバレ

    とても有名なお話なのに読んだことなかった!
    12月だしぜひ読んでおこうと思い立ちました。

    読んでみて思ったのは「意外とスクルージは怖くなかった…。」ということでした。
    意外とすぐに改心したなぁと。もーっと頑固なのかと思ってました。
    語られるイメージが先行していたんですね(- -;)

    「人生はやり直せる」「人には優しく」
    小学生のうちに読んでおきたい本です。

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    2016年12月12日
  • クリスマス・キャロル

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    19世紀英国の庶民の貧しい生活風景が目に浮かぶ。3人の精霊が吝嗇なスクルージに過去現在未来の世界を見せて、スクルージの頑なな生き方を改めさせる。生まれ変わったスクルージはみんなに優しく、クリスマスを楽しく祝う。特に子供達にとって愛されるべき小説だと納得した。現実は凝り固まった人の考えはそう変わるものではないが、精霊という非現実的な存在が、人を変える力を発揮する。訳は明快で読みやすい。光文社古典新訳文庫のシリーズは期待を持たせる。

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    2016年04月17日