池央耿のレビュー一覧
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守銭奴・金の亡者のドケチ強欲ジジイ・スクルージ。
クリスマスを楽しく祝う心を持ち合わせていない彼は
クリスマス・イブの夜に、亡くなった友人マーリーの亡霊と出会う。
このままではいけないと忠告を受けるスクルージ。
続いて過去・現在・未来を司る精霊と出会い、
今までの、そしてこれからの自分と客観的に向き合う。この旅の果てに、ドケチジジイはどこへ辿り着くのか…。
自分の事を客観的に見つめてみると、思ったよりまるでひどい人間だ、みたいな事があるかもな一冊。
ひどいと感じられるうちは大丈夫なのかしら。
改心、という言葉でまとめられがちな物語ですが、
翻訳者の方のあとがきは少し異なる見解でした。
古典 -
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ネタバレ「星を継ぐもの」の続編。
前作出てきたガニメアンたちとの突然の邂逅とそれからの話だった。
遺伝子的な影響(攻撃性を持たない)もあってか、ガニメアン達は地球人達に終始友好的だった。
地球人達も同じく戸惑いこそあれ、ガニメアンへは友好的な描写ばかり。それが少し気になった。
ガニメアンを排除すべき、というような勢力が普通はあるべきでは?描写されなかっただけなのか?地球人達への賛歌ばかりで、正直いやいやそんなことはないだろうと思ってしまうこともあった。
映画の「エイリアン コヴェナント」と「プロメテウス」はこの小説をオマージュしているのだろうか?異星人が巨人であること、地球人を作ったのが異星人だと -
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謎の人に飛行機がハイジャックされて、中国ともチベットとも区切りがつかないヒマラヤ山脈に不時着する。さらにわけの分からない修行僧に案内され、僧院シャングリ・ラ(豪華)に招かれる。コンウェイ他2人は帰らなくて良さそうな雰囲気を出すが、コンウェイの同僚マリンソンは反抗的な態度をとりつつ帰ろうと主張する。そんな中、コンウェイは僧院の中でも一番偉い僧と面会することになる。
不老不死に近く、ゆっくりなペースで老いていく環境のシャングリ・ラ。暮らしは寝て食べて遊んでに近い。山奥にいるのにピアノもハープシコードも図書室もある。某外資系ホテルを思い出した。1回泊まってみたいとすら思う。
あと話の根幹ではない -
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ネタバレまだ上巻なので作品のできについての判断はできないけれど、あまりにも衒学過ぎてとっつきにくいにもほどがあると最初はうんざりした。
何しろ17世紀のイギリスの話で、第一章の語り手はイギリスに着いたばかりのヴェネツィアの若者。
多分本人による手記よりも会話は困難を極めただろうし、それに伴う勘違いのようなボタンの掛け違いもあっただろうし、文化の違いによるバイアスもかかっただろう。
何よりも、宗教の違いは大きい。
語り手は敬虔なカトリック教徒であり、英国は英国国教会を国教としている国。
日本人から見ると同じ神を信じているはずなのに、神に対する姿勢は全く違う。
”プロテスタントがよく聖書の引用をして競 -
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17世紀のイギリスを舞台にした宗教と政争と策略をめぐる物語。4人の異なる男性(異邦人であるヴェネチアの商人、汚名を着せられ命を亡くした父親の名誉挽回に猛進する弁護士志望の若者、暗号を解く技能を使い自分も重要人物であると自負してやまない数学者、華々しい政治の舞台には縁遠いながら身分としてはジェントルマンである不器用な歴史学者)の手記で構成されていて、日本語訳はそれぞれ4人の翻訳者が担当したという凝った作品。ある出来事を別々の視点から語るという群像劇が好きなのでその点では楽しめましたが、世界史にも英国の歴史にも詳しくないので、実在の人物と史実をベースに架空の人物とフィクションを織り交ぜて良質な娯楽
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久しぶりにがっつり語彙力で描写してくる古典を読んだ気がする。きっと全ては理解できていない。
けれど、スクルージに寄せた自分の心が確かにある。彼が打ちひしがれ、懇願する場面を見るたびに訳者あとがきにあった「本来の姿に返った」という部分が胸に響く。
そう、読み始めと読み終わりで、全くスクルージの印象が変わるのだ。けれどそれは、決して納得のいかないものではない。なぜだろう、これがディケンズの力ということか?
クリスマスを祝う喜びに溢れた描写が何ページも続いているところが本著のハイライト、作者が一番表したかったことなのだと私は思った。誰もが憧れ、幸せになる一夜。いいなぁぁぁ日本でもこんな風にクリスマス