池央耿のレビュー一覧
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ネタバレ初めての本格SFでした。
5万年前の死体「チャーリー」が発見され、疑問が優秀な科学者達から噴出し、百家争鳴状態となるも、ハントがすべてをつなぎ合わせ、謎が解ける。
ハントがこれらの謎を解くに至った場面は、「ガニメデ」から木星を見たときでした。月の5倍の大きさで様々な色を発して輝く木星、大きな感動から心が無の状態になり、唐突にチャーリーの心情に至り、そして…。この部分の表現は素晴らしかったですね。
さらに、ここでやや鼻持ちならないキャラとして描かれていたダンチェッカーが、最後の謎たる人類の起源について解明する。最後は素晴らしいキャラとなってましたね。
エピローグではその裏付けとなる場面が登場。ル -
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歴史の転換期に立ったイングランドを舞台に、多数の実在の人物を壮大なフィクションの世界に引きずり込んで繰り広げられる謀略の物語。上巻で積み上げられた謎を下巻で解き明かしていく構成で、正直、上巻はかなり忍耐力が必要でした。
書物と宗教的背景が絡んでくるためウンベルト・エーコ『薔薇の名前』が引き合いに出されていますし、「犯人探し」の体裁を取ってもいますのでクリスティも言及されています。が、おそらく読書子各位はそれが作品を皮相的に捉えただけの惹句であろうことを、早々に見抜いた上で読み進められたことと思います。
そういう意味では、クリスティもエーコも「レッド・ヘリング」だったと言えるかも知れませんね -
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1977年に刊行された名作と言われているSF。こんな面白い小説があるんだと感動しました。「星を継ぐもの」というタイトルの意味の深さ。
あらすじとしては、書かれた当時からすると未来である2027年頃、月で宇宙服を着た遺体が発見されたが、それがなんと5万年前のもので、生物学的に人間と全く変わらない事がわかる。その頃の人類は石器時代のはず。この謎を調査し、驚天動地の事実を解明していく過程を綴った話です。主人公やそのライバル(後で仲間になる、その過程の描写も良かった)が、調査した結果を口頭やレポートて報告する場面が多く、巻末の解説にもあったが、謎解きミステリー要素も強いです。読者も謎を一緒に考えてい -
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ネタバレ序盤(テューリアンと接触するまで)は、どの通信がどこからのどういう性質のものなのかというのが結構複雑でイメージし辛く、なかなか読むのに時間がかかった。テューリアンと接触してからはイメージしやすくなったため、面白さも増した。
三部作の第三作ということで、前の二作とは変わって異星人の政治事情や戦いが中心となっている。そしてガニメアン、地球人、ジェヴレン人の3つの人種の因縁の決着がつく。
テューリアン、シャピアロン号のガニメアンたちと地球のハントたちが惑星の距離を隔てて共闘する様は緊迫のシーンもあって面白いし、ジェヴレン人のスパイであるスヴェレンセン邸に乗り込むシーンと寝返ったヴェリコフの活躍も良か -
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ネタバレ前作がとても綺麗にまとまっていて単体で面白かったので続編はどうなるのか気になっていたが、さすがに前作ほどのインパクトはないものの元々続編の構想もあったのだろうなと思うような内容でとても面白かった。前作で登場したガニメアンと地球人の出会いと交流、人類起源の謎が中心。
異星人ガニメアンが争いの概念を持たない温厚な人類で、そうなった理由ももっともらしく説明されているため納得感があり(実際どこまでありえる話なのかは知らない)面白い。最初の対面から地球訪問まで、具体的に場面が想像できて楽しい。
人類の攻撃性を理解できないガニメアンたちだが、実は自分たちの介在のせいだと知り去っていくのが切ない。でもラスト -
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ネタバレ本当に面白かった!
月面の遺体チャーリーの謎を巡り、様々な分野の技術者たちが集結して議論し前進していく過程が面白く、続きが気になり夢中になった。
自分に知識が無いためどこまでが事実でどこからが創作なのかがよく分からず、それゆえにより現実味というか納得感があったのかもしれないとも思う。月がすごい距離動くって実際にはありえないのかもしれないけど、なるほど!と思わせられた。
人物描写的なものが少ない中、最初険悪だったハントとダンチェッカーが互いの意見を重視するようになっていく点も良かった。
ハントがガニメデに降り立って木星を見て、真実に辿り着くシーンが好きだった。あとラストのハント→ダンチェッカー -
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ノンフィクションから、SFやミステリまでを翻訳する池央耿(1940-2023)。翻訳をめぐる書下ろしエッセイ。どの話も見かけは軽めだが、内容に重みがある。
生涯の翻訳点数は170点ほど。翻訳家で生活できる(食える)かという問いにも答えている。答えはシンプル。生活できるものしか翻訳しない。確かに、生活するには、それしかないかな。
翻訳したなかで会ったことのある作家は2人だけという。ひとりは『カッコウはコンピュータに卵を産む』のクリフォード・ストール。もうひとりは『南仏プロヴァンスの12か月』のピーター・メイル。えっ、そんなものなの。翻訳したからには、本人に会いに行くのが当然のように思っていたのだ -
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壮大な物語に飲み込まれた。面白かった。
月で発見された人類そっくりの白骨の正体を解明するため、優秀な科学者たちが奔走する。
初めは、小難しい科学的な記述に辟易してたけど、だんだん解明されていく事象に好奇心を触発されて、逆にその論法に感心するようになって、SFの面白さがわかってきたような気持ちになる。
主人公のハント博士、頭が良すぎて鼻持ちならん雰囲気を感じて、あまり好きじゃないなと思っていたけど、人類が初めて遭遇する大事件に携わって、その優れた感覚を存分に発揮する姿に、結局肩入れする自分がいる。
やっぱり文学に遊ばれてるw
次々に発見される前代未聞の事象、これがテンポ良く展開して、どんどん読