池央耿のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
有名な小説だが今まで読んだことが無く、新訳を契機に読むことにした。本編以外にも解説・小伝・補説などたっぷり載っており、固有名詞の含む意味や時代背景、文学史上の位置づけ等が分かる親切設計で、前知識0でも随分楽しめたかと思う。
自分が読んだSFは(両手で数える程度しかないが)どれもこれも人類の将来が穏やかでなかった。本作でも同様で、今のままじゃヤバイよ!という著者の警句がモロに伝わってくる。「人類は自殺を遂げたと言うしかない」(p.133)と、強烈この上ない。
無理やり現代と結び付けて考えるならば、親の収入を頼りに悠々自適な生活を送るニートであったり、自宅通いでフリーター生活を満喫してる -
Posted by ブクログ
ネタバレキャラクターの性格も話の構成・展開も単純明快で、本書が短編なことも相まってとても読みやすい本だった。
しかし感情の表現も等しく単純であり、せっかくのスクルージの信条の移ろいが妙に小ざっぱりとしているのが本筋の面白さを半減させているように感じられる。
「頑固で情け知らずの冷たい人」→「誰よりも熱心にクリスマスを祝う優しい人」と変わっていく過程の感情に複雑さがない(元来の性格からの感情と反省の感情が共存しているようには見受けられない)ため、彼に共感しながら読むことが難しかった。
またこの展開からすると、スクルージの心情の変化は、あくまで「自分が将来不幸な目にあいたくないから」生まれた変化であり、 -
Posted by ブクログ
血も涙もない守銭奴と呼ばれる金貸しのスクルージは、数年前に仕事のパートナー、マーリーを看取っている。そのマーリーが亡霊となり、あるクリスマスに現れた。彼の導きで3人の精霊とともに自らの現在過去未来を見聞する中でスクルージは、自己を見つめ直す。結果、長年の過酷な日々にすっかりねじ曲がってしまった心根を入れ替え、本来の自分を取り戻すことになる。
「そんなに簡単に改心できるの?」と穿った見方をしがちだけれど、この辺りは巻末の訳者あとがき(2つある!)を読まないと本筋が見えづらい。作者の意図や当時の社会や受け入れられ方を知ると、理解が深まる。単に不幸な未来を見て改心したのではないことは、過去をまずは